82 ヨーロッパアルプス横断ハイキングと
絶景のドロミテ 14日間

川本 一俊
 水戸アルパインの特別企画で、フランス:シャモニ、スイス:チェルマットとサンモリッツ、イタリア:ドロミテ、オーストリ:グロスクロックナを14日間で歩いてきました。天気も良くて、期待通りの素晴らしい景色を楽しみました。
日程
NO月/日(曜)旅 程
18/17(火)
成田空港発、フランクフルト空港経由ジュネーブ空港着バスでシャモニ
28/18(水)
ラックブランハイキング
38/19(木)
イタリアのエルブロンネル、シャモニのブレバンハイク
48/20(金)
バルム峠ハイキング
58/21(土)
ゴルナグラートへ移動、途中リッフェルゼーハイキング
68/22(日)
フィンデルンへハイキングしながらチェルマットへ
78/23(月)
オーバロートホルン登山
88/24(火)
チェルマットから氷河特急でサンモリッツへ
98/25(水)
ベルニナ山群ハイキング
108/26(木)
コルチナダンベッツオへ移動、途中フネス谷ハイキング
118/27(金)
ドライチンネン一周ハイキング
128/28(土)
ザルツブルグへ移動、途中グロスクロックナハイキング
138/29(日)
ザルツブルグからバスで移動、ミュンヘン空港発
148/30(月)
成田空港着

1.シャモニまで 8月17日
 一行22名(男8、女14)は岡本添乗員に連れられて、成田を9時50分に出発し、フランクフルト経由ジュネーブに17時30分到着した。現地石部りーダとの連絡悪く、空港で1時間ロスしてシャモニのホテルに着いたのは20時15分だった。まだ明るくモンブランの氷河の写真を撮ることができた。
(到着時ホテル前から撮影)



2.シャモニ1日目(ラックブラン)8月18日(水)
(ラックブランからモンブラン山群)

 長い空の旅の疲れを慮って、今日は軽いハイキングが予定されている。ベテラン3名だけはモンブラン登頂を目指して早めに出発し3日間別行動だ。
 8時の定期バスでレプラまで移動し、バス停のそばの教会をドリューの鋭鋒をバックにした絵葉書のような眺めに感嘆し、みんなでシャッタを押し、全員の記念写真も撮った。下駅まで10分歩き、ロープウエーを乗り継いで一気にアンデックス展望台まで登った。モンブラン山群の眺めが素晴らしい。生憎モンブランの頂上だけは雲がかかっているが、針峰群や数々の氷河が目の前に迫っている。
しばらく展望を楽しんで写真を撮ってから、白い湖ラックブランに向かって歩き始めた。モンブラン山群の真っ白い山々の姿と雄大な氷河を、いつも目の前にしながら歩く登山道は疲れを忘れさせてくれ、登山道の周りにはたくさんの花が咲き乱れていて目を楽しませてくれる。キク科の花、ツメクサのような花、リンドウ、魔女の爪という物騒な名前の花など綺麗な花がいっぱい咲いていてシャッターを切るのに忙しかった。
 2時間ほどゆっくり歩いて11時にラックブランに着いた。静かなたたずまいの湖の畔にはレストランもあり、多くの人が集まっていた。少し波立っていたが、湖面に映る白いモンブランの姿をカメラに収め、山手の高みでドリューなど針峰群の山波を楽しみながら弁当を食べた。弁当は土地の弁当屋で作ってもらったおにぎり弁当である。少々高くついたが、やはり山登りにはおにぎりがいい。
1時間休んで12時にロープウエーの中間駅プレジュールに向かって歩き始めた時、山頂の雲も消えてモンブランが姿をあらわした。ラッキー! 可愛い花々や、折り良く飛んでいたハングライダーの写真を撮りながらゆっくり歩き、14時30分ロープウエーでシャモニに下り、モンブランを指差す二人の登山家の銅像の前で写真を撮ってホテルに帰った。

3.シャモニ2日目(エルブロンネル、ブレバン)8月19日(木)
 当初はシャモニからエギュデユミデイ往復とシャモニ針峰群の麓をトレッキングする予定であったが、シャモニからのロープウエーが修理中で運行停止。急遽イタリア側から登って同じトレッキングコースを歩くことになった。
 バスで11.3kmのモンブラントンネルを潜ってイタリア側のラバリューに入り、ここから3つのロープウエーを乗り継いで国境近くのエルブロンネルまで登った。だが、残念なことに、ここには吹雪が荒れ狂っていて、ここからエギュデユミデイへのゴンドラはストップ!何も見えない展望台で記念撮影をしてむなしく下り、観光地クールマイユールまで歩いた。しばらくここを散歩し、昼食をとってまたバスでシャモニに戻った。
 シャモニの北西側の山々は美しく日の光で輝いていた。まだたっぷり時間があるので、昨日のアンデックスと同じ方向ではあるが、プレバンまで登ってみることになった。街から2つのゴンドラを乗り継いでプレバンの展望台に立った。風が強くて寒いが西側の展望は素晴らしく、峨々とした岩山やすんなりと格好の良い山々がそびえていた。でも西側の展望は今ひとつで、険しいシャモニ針峰群の姿はなんとか見えていたが、モンブランは雲の中にあり嵐が吹き荒れているように思え、今日今頃このモンブラン山頂に到達する予定の3人のことが懸念された。
(プランプラからシャモニー針峰群)

 1時間ほど展望を楽しんでからゴンドラで中間駅のプランプラまで下りて、ここで自由解散となった。一行の皆さんはここのレストランで一休みしてからシャモニに下りて市内見物のようだったが、我家は二人でリンドウやヤナギランが咲き乱れる登山道を歩いて裏の岩山に登ってみた。そこには赤い針峰群(エギュデユルージュ)がすぐそこに迫力を持って迫っており、シャモニの街を挟んだモンブラン方向も遮るものがないので雲の中ながら素晴らしい展望が楽しめた。昨日登ったアンデックスがすぐそこに見え、そこへハイキングコースが延びているのが見えた。
 シャモニの街に下りて、昨日案内された二人の登山家の銅像をまた眺め、登山道具の店を数軒冷やかし、スーパで果物とワインを買ってホテルに戻った。途中、モンブラン登頂組に出会ったが、やはり強風に阻まれて断念して、早々に山を下りてきたとのことだった。

4.シャモニ3日目(バルム峠)8月20日(金)
(アルプスの3大名花アルペンローゼ)

 今日は天気が良ければロープウエーに乗ってグランモンテまで登って針峰群に間近に迫る展望コースハイキングの計画もあったのだが、生憎の霧の濃い空模様なので、お花畑を楽しむハイキングになった。8時過ぎの定期バスに30分ほど乗ってルトウールで降り、ゴンドラとリフトを乗り継いで9時過ぎに登山道に立った。登山道は整備されて広く、周りには綺麗な花がいっぱい咲いて楽しいハイキングコースである。
 リンドウ、ワスレナグサ、マンネングサのような花々の写真を撮りながら10分歩くとフランスとスイスの国境となった。国境と言っても片面にFRANCE、他面にSUISSEと赤い掘り込みがしてある三角点くらいな石碑がたっているだけのことである。周りに牛がたむろしていたが、危険はなさそうなので、国境石碑と一緒に入れ替わり立ち替わり記念撮影をした。
 ここからバルム峠の小屋まで少し歩いて、いよいよバルム山を一周するコースに入った。視界は無くとも、周りにはアルプス3大名花アルペンローゼ、いろんな色のゲンチアナ、アスター、ベンケイソウ、などなど数え切れない花達が咲き乱れていて、これらを眺めているだけで時間を忘れる2時間半のハイキングだった。初めての花に歓声を上げ、そのたびにシャッターを押しながら楽しく歩いて、バルムの小屋に戻ったのが丁度12時で昼食になった。この小屋は宿泊もできる立派な小屋で、スープとオムレツを注文したが、とても美味しかった。
 午後から晴れてきたので、下りの途中駅シャラミヨン駅で大休憩。トウール氷河を眺めながらオヤツを食べたり、ワインを飲んだり、ヤナギランなどの写真を撮ったり、思い思いに楽しんでからシャモニに戻った。

5.ゴルナグラートへ 8月21日(土)
(リッフェルゼーに写る逆さマッターホルン)

 今日はゴルナグラートの山上ホテルまでの移動日。8時過ぎにチャータバスでチェルマットに向かう。フランスからスイスへの国境を越えた峠では、深い渓谷の美しさを見、一面ブドウ畑のローヌ谷へ下り、休憩所ではブドウ棚のブドウを失敬したりしながら、フィスプから谷筋に入ってテーシュまで走った。ここから一般車は乗入れ禁止、電車に乗換えてチェルマットに11時過ぎに到着した。街のレストランで昼食をとり、美しい教会を眺めたり雲間に頭を出しそうなマッターホルンを眺めたりしながら鼠返しもある旧市街を一回りしてから、ゴルナグラートへの登山電車に乗った。
 だんだんと空は晴れ渡ってきて、登山電車の中からは丸裸のマッターホルンが見え始め、急遽、ローテンボーデンで途中下車し、モンテローザやリスカムの雪山を眺めながらリッフェルゼーまで歩いた。一瞬湖面が静かになり、素晴らしい逆さマッターホルンを見ることが出来た。
 再び登山電車に乗ってゴルナグラートについて山上のホテルに入る。早速、3135mの展望台にあがって、360°の展望を楽しんだ。マッターホルン4478m、ヴァイスホルン4505m、ドーム4545m、モンテローザ4634m、リスカム4527m、ブライトホルン4159mと4000m超の山々がずらり並び、足下にはゴルナグラート氷河やグレンチェ氷河が光っている。
 夕食後も展望台に上がると、雪を頂いた山々が夕日に赤く燃えていた。登山電車が下りた後の夕暮れのこの光景は、山上のホテルに泊まらない事には見ることが出来ない贈り物である。嬉しくて何度もシャッターを押した。
夜中、目覚めて空を見上げると、満天の星空が澄み切った空気の中に眩いばかりに輝いていた。明日の日の出が楽しみになった。

6.チェルマット1日目(フィンデルン)8月22日(日)
(朝焼けのマッターホルン)

 6時15分の日の出だというので5時30分に起き出して、防寒具に身を固めて展望台に上がり、寒風に耐えながら日の出を待った。マッターホルンのテッペンからだんだんと赤く燃えてきた。これもこのホテルに泊まらないと見ることが出来ない光景だ。時間を置いて何回もシャッターを押した。隣のブライトホルンの白い頂が赤くなってくるのも美しかった。ヴァイスホルンの三角形の輪郭もも燃えてきた。これらの山は4500m、3100mのゴルナグラートから朝日が見えてきたのは7時を回っていた。ホテルの下には、長い角を持った野生の山羊アイベックスがたむろして朝日を浴びて綺麗だった。時間を決めて塩を与えているとのことだった。
 8時15分にゴルナグラート氷河の方向に下りていった。朝日に輝く氷河にどんどん近づいていくのも嬉しく、ジグザグのコースを元気に歩いていった。ここにもたくさんの花達が咲いていた。なかでもアルプス3大名花エーデルワイスに出合った時には、女性陣から歓声が上がった。
 山腹を巻いてモンテローザやブライトホルンを見上げ氷河を足下に見ながら歩いて行くと、またマッターホルンの鋭鋒が姿を現してくる。リッフェルゼーまで下りてローデンボーデンで登山電車に乗って、一駅先のリッフェルベルグで下りて昼食をとった。このときブライトホルンの山頂に列をなして歩く登山者の姿が見え、早朝に出発して、みんなと別行動で登って行った3人の仲間もいるのではと話し合った。
 また電車に乗ってリッフェルアルプで下り、白い教会の村フィンデルンまで1時間半歩いた。ビールを飲んだりアイスクリームを食べたり銘々ゆっくり休んだが、白い小さな教会や鼠返しの古びた小屋にマッターホルンを入れて盛んにシャッターを押す人も多かった。30分遊んで、50分歩いてから、またフィンデルンバッハ駅で電車に乗り、チェルマットに下りた。

7.チェルマット2日目(オーバロートホルン)8月23日(月)
(オーバロートホルン山頂からドム・テーシュホルン・アルフベル)

 今日はこの旅で唯一山の頂まで登る登山の日である。山の名前はオーバロートホルン、標高3415m、3103mのウンターロートホルンから登る。
 7時45分前にホテル近くからバスに乗り、チェルマットから地下ケーブルに乗ってスネガに上がり、ゴンドラを二つ乗り継いでウンターロートホルンに9時10分に到着した。マッターホルンは昨日までたっぷり見たのでもう沢山だと思っていたが、この方向から眺めるマッターホルンが裾野を見事に伸ばしている姿が一段と美しく見えてきて、またシャッターを押してしまう。
 早速歩き始めたが、すぐにエーデルワイスが見つかって写真タイム。緩い坂をフグジまで100m下っていよいよ本格的な登りが始まった。ゴルナグラートから眺めるた時には、オーバロートホルンは赤茶けた岩山に見えて急登のどこを登るのか心配されたが、歩いてみると登山道は整備されていて、周りはお花畑に彩られて楽しい山登りを演出してくれた。50分歩いて少し汗をかいたところに展望台らしき場所があって休憩する。ここからはジグザグの登山道になり、これを頑張って11時30分に山頂に着いた。
 山頂からは、また360°の大展望。特にドム方向の4000m超級の山々が近くなって素晴らしい。昼食をとって12時過ぎに下山にかかり、ゴンドラの中間駅のブラウトヘルドまで2時間歩き、ゴンドラでスネガに下った。ここで逆さマターホルンを期待してライゼーまで降りてみたが、犬の宙返り訓練を湖でやっている夫婦がいて、波立ちのため叶わなかった。代わりに日光浴中の女性の素晴らしい脚線美にお目にかかれた。
 街中で屋台のソーセージとワインを買って帰り、ホテルのベランダでの夕食になった。

8.氷河特急 8月24日(火)
(ラントヴァッサー橋を渡る氷河特急)

 今日はチェルマットからサンモリッツまでの移動日で、氷河特急の汽車旅を楽しんだ。氷河特急は、スイスの2大アルペンリゾートのチェルマットとサンモリッツを結ぶ山岳列車で、アルプスの真っ只中をアプト式ラックレールを使いながら、ゆっくりと走る。
 8時50分にチェルマット駅で乗車したが、評判の列車も少し季節外れになったのか、我々の乗り込んだ一等展望車は貸切状態だった。生憎の雨交じりの天気で、見えるはずの氷河も雪山も見えなかったが、ハイジの谷のような広大ですがすがしい緑の牧場、由緒ありそうな教会のある美しい村々、多くのトンネルと橋、そそり立つ岸壁の合間を縫って流れる深い渓谷、色々な風景が次々と現れて退屈させなかった。
 途中駅デイゼンテイスで食堂車が接続され、駅員に案内されてプラットホームを歩いてこれに乗って昼食になった。片言の日本語も話すクルーが運んできたのはコンソメスープ、ビーフシチューに人参のソテーにライスと簡単メニューだったが、美味しくいただいた。小さなグラスに高いところから酒をそそぐ噴水サービスも見ものだった。
 絶好のカメラポイントは高さ65m、半径100mの半円を描くループ橋のラントヴァッサー橋だ。展望車は窓が開かないので撮影には向いていない。車内放送で予告があると、カメラキチは後方の2等車に移って、窓を開けてシャッターチャンスを待ち構えた。幸い2等車にもお客さんはまばらで、文句を言われないで撮影できた。
 17時前にサンモリッツ駅に着いて路線バスに乗り、高級リゾート地のたたずまいを楽しみながらホテルに入った。ホテルのベランダからは教会を近景に置いてサンモリッツ湖とピッツナイールなどの山々が見えてなかなかの景観だった。ホテル近くのレストランで夕食をとってから、夕暮れの中を湖の畔を半周ほど散歩した。街や山上の灯が湖面に写る光景も綺麗だった。

9.サンモリッツ(ベルニナ山群)8月25日(水)
(ロゼック氷河とピッツベルニナ)

 8時頃ホテルを出てバス停まで歩いて、8時40分発の路線バスに乗って美しいシルバプルナ湖の畔のスールレイに入り、ここからロープウエーを二つ繋いで、9時20分にゴルバッチの展望台に着いた。
 展望台からは、ここが登山口となるピッツロゼック3937mの鋭鋒、氷河をはさんで隣のピッツベルニナ4049mなどの白い頂が目の前に並んでいて、思わず歓声を上げた。展望台から少し登って、ピッツベルニナに近づいて眺め、トンネルの中に入って展示された氷の彫刻を楽しんだ。
 展望台で1時間遊んで、中間駅のムルテルまでロープウエーで下りてハイキングが始まった。ここからスールレイ峠まで広い平坦な道が続いていて、周りには色々なゲンチアナやカンパニュラ、アネモネやツメクサに似た花が咲き乱れていた。標準時間は30分だが、写真撮りに精を出したので1時間もかかった。
 スールレイ峠に上がるとピッツベルニナなどのベルニナ山群が一段と近くなり、美しい小さな湖と迫力の氷河と相まって美しい絵葉書のような景色を作っていた。峠には立派なレストランがあり、暖かいスープに入ったソーセージが美味しかった。食事をし、お花畑の花々の写真を撮り、記念の集合写真を撮ったりしながら1時間ほど楽しんでから、ロゼック谷に向かう750mの下り道に入った。この道からはいつもベルニナ山群と氷河の作る贅沢な眺めが眼前にあり、トリカブトやナデシコなどの花々も群生していて写真を撮るのも忙しかった。
 ロゼックグレッチャーのホテルからポントレジーナまでは緩やかな下り道だったが、ゆっくりと歩く2頭立ての馬車に乗って、景色を眺め、お馬の尻の動きに話を弾ませながら下って行った。

10.フネス谷 8月26日(木)
 今日はスイスのサンモリッツからイタリアのコルチナダンベッツオへ移動の日である。
夜中の風雨の音が気になって朝起きて外を見ると、周りの山は雪を被っている。昨日の好天気が嘘のようだ。
 チャータバスで8時にホテルを出発し、チロル地方を走る。雪を被ったチロルエッタールアルプスの下に、緑輝く広い牧場と小さな村、その中に目立つ端正な教会、高台に聳える古城や城砦、バスの中から何度もシャッタを押した。
10時に突然バスが止まった。行く手を城壁が阻み、出入口の門は狭くてバスは通れそうにもない。丁度近くにあった観光案内所でトイレ休憩をしながら調べると、ここはグロレンツオ城壁の囲みの中だった。30分の休憩中に運転手は寸法を測って検討したようで、ぎりぎりの隙間を見事に通過して拍手を受けた。
 岩壁が目立ってきた山々の間を次々続くりんご畑を眺めている間に、賑やかなボルツアーノの街に入り、ここのレストランで昼食を撮った。馬車が走り、立派な教会の前庭に綺麗な花が咲く街の写真を撮って、バスは再び、緑の牧場と古城とブドウ畑の道を走って、今日のハイライトのフネス谷に入った。ここは副会長拘泥のカメラポイントだった。
(フネス谷)

 まずフネス谷入口の観光案内所から少し登った展望台から、緑の牧場と岩山の連なりとの美しいコントラストを眺めて感嘆する。副会長の拘泥はここではなかったようで、バスで別の高みに移動した。ここからも岩山は綺麗に見えた。赤い花とのコントラストで写真を撮ったりしたが、遥か下に教会が見え、これが拘泥のカメラポイントだった。バスで回るかとの話も出たが、ハイキングに来たみんなはさっさと歩き始めた。
 教会まで下りて教会と岩山の写真を撮ったが、今ひとつピンとこない。教会に近付き過ぎたらしい。迎えに来たバスに乗って次に向かう途中で、牧場の柵越えに無事お奨めの写真を撮ることが出来た。
 ここからコルチナダンベッツオに向かう途中ドロミテ山群の間を走ったが、連なる高い岩山はヨーロッパアルプスのイメージとは別物の景色であった。明日のドライチンネンが楽しみにしながら眺めていた。

11.ドライチンネン 8月27日(金)
 今日のホテルは4星、広い部屋のテラスからは目の前に朝焼けした岩山の連なりが見え、絶好の撮影場所だった。最高の部屋を割り当てて貰った。
7時45分にホテルを発車してドライチンネンに向かったが、途中曲がり角を間違えて、別の谷に下りた。30分ロスしたが、お陰で色々な岩山の景色を堪能出来たから、まあいいか。
 9時20分にオーレンツオ小屋の駐車場に着いて、ここからハイキングの始まり。左回りにドライチンネンを一回わりする。ラバレド小屋に近づくとドライチンネンの尖った三つの岩山が見えてきて、壁に張り付いてよじ登っている人の姿が豆粒のように見えた。更に登って、ラバレド峠から間近に見上げる500mの絶壁は正に圧巻だった。それぞれに記念写真のシャッタを押し合い、集合写真も撮った。
(ドライチンネン)

 ここからロカテリ小屋までは、ドライチンネンの反対側の岩山をトラバースする道を歩いたが、谷を歩く下の道や山に登る上の道を歩いて行く人たちもいた。道幅が狭まく気を使うところもあったが、岩山なのにケシやアルメリアなどの花が沢山咲いていた。
 11時40分に最奥のロカテリ小屋に到着し、昼食休み。ドライチンネンを正面から眺めながら、前庭のテーブルに座ってゆっくりと弁当を食べた。小屋の裏の谷には小さな池が二つあり、近くまで下りて岩山とのコントラストを楽しんだ。
 1時間休憩してドライチンネンの方向に歩き始めた。途中の高みから眺める北側の山並みも綺麗で、パノラマ写真に合成すべくシャッタを押した。フォルセリナの小屋から周回登山道を離れてドライチンネンの麓をトラバースする道へ向かって方向変更した。牛が草を食む小さな湖のところから急登になったが、すぐにざれたトラバース道に合流した。ドライチンネンが近づいて迫力が増し、北の展望も更に開けた。展望と花のトラバース道を歩いて周回路に合流し、15時30分にオーレンツオ小屋に戻った。
 帰り道には美しいミズリー湖があり、記念写真を撮り、湖畔のお店に立ち寄って土産物の物色をした。コルチナダンベッツオに戻って岩山に囲まれた街をゆっくり散策してからホテルに戻った。

12.グロスクロックナ 8月28日(土)
(グロスクロックナーとパステルフェ氷河)

 今日は最後のハイキングの日で、バスは7時45分にオーストリーに向けてホテルを発車した。チロルの美しい緑と山並みを眺めながらドライブし、有料の山岳道路を登ってフランツヨーゼフヘーエの駐車場に10時30分に入った。
 駐車場からすぐ目の前に雪をかぶったグロスクロックナーの山群と長々と伸びるパステルフェ氷河が広がっていた。ガイドブックのハイキングルートはここから、お花畑の中を少し登り、トンネルをいくつか潜って、かもしか登山道(ガムスグルーベンヴェーク)の緩い坂道をヴァッサーファルヴィンケルまで歩くものだが、我々は途中のホフマン小屋まで歩いて引き返す。
 トンネルは昔の金鉱の跡で、入口には金採掘の説明板があり、中は薄暗い照明しかなかったが、大きな水晶が飾ってあったり、綺麗な水をたたえた小池があったり、要のところは明るくしてあった。一つのトンネルを抜けるごとに氷河とグロスクロックナーの山がだんだんと間近になってきた。
 全部のトンネルを抜けると、左手が眼下に氷河、眼前にグロスクロックナを眺め、右手斜面にお花畑を眺めながら歩く最高のハイキングコースがつながっていた。12時少し前にホフマン小屋について、展望を楽しみながら、例によって昼食にスープとソーセージをいただいた。
 駐車場への帰り道、売店脇のがけ下にマーモットが何匹もたむろしていた。観光客に餌を与えられるのか丸々と太っていて可愛くなかった。
 ここから宿泊場所のザルツブルグへの道は、峠を越えてイロハ坂のスケールを大きくしたような九十九折の坂道を下っていったが、この道から眺める山々の風景もグロスクロックナと勝るとも引けをとらない素晴らしい眺めだった。

13.ザルツブルグと帰国 8月29日(日)
(宮廷庭園 Kurgarten)

 前日、グロスクロックナからザルツブルグのホテルに到着して、17時30分から1時間半の市内見物に出かけた。最初に入った宮廷庭園は、見事な彫刻が並び、綺麗な花畑で飾られ、背景に白いホーエンザルツブルグ宮殿を置いた美しい庭園だった。ザルツアッハ川を渡り、旧市街に入ってモーツアルトの生家やレジデンツ広場を回ったが、マーケット広場で中国人らしき芸人がやっていた大道芸の演技が一番面白かった。
 翌朝は10時半のバス発車まで自由時間なので、中央駅まで散歩してみた。変哲もない散歩だったが、駅前に以前は私の仕事だった水車ランナが展示してあって嬉しかった。
 時間を最大活用してホーエンザルツブルグ宮殿まで出かけた人たちもいた。9時開門で忙しかったようだが、なかなか面白いお散歩のようだったようで、城郭の中の様子を撮影した100枚以上の写真を入れたCDを頂戴した。自分で見に行ったよりも充実した宮殿見学が出来た。
 帰国の空港はオーストリーのウイーン空港ではなく、隣国ドイツのミュンヘン空港だった。こちらのほうが近いのだ。高速道路を走ったが、結構混んでいて渋滞気味、空港に着いたのは13時20分だった。ミュンヘン空港を15時30分(日本時間22時30分)に離陸して、11時間30分の後、成田に翌日10時に到着し、電鉄バスで水戸経由日立に無事帰ってきた。




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