A113.日立の魅力再発見ウオーク(中里)

1.動 機
 中里は日立市街から20km山越えして入った里川沿いにある農林業の部落で、何度か玉簾滝を眺めに行ったことがあるが、最近はレジャー農園やりんご園が沢山出来て評判になっているとのこと。「もっと日立が好きになる再発見ウオーク」のNo12「紅葉・歴史と中里りんご園散策」に参加して、水瀬のヤブツバキ、水辺空間、りんご園、里川発電所の吊橋など初めての場所を案内してもらった。水辺空間の紅葉が真っ盛りで綺麗だった。

2.データ
a)山域:日立市中里地区
b)登山日:2013/11/10(日)曇
c)日程:自宅8:40 = 9:15中里交流センタ9:30 ---- 9:50玉簾寺9:55 ---- 10:10日月神社 ---- 10:20中里発電所 ---- 10:40細野のヤブツバキ10:45 ---- 10:55里川水辺空間11:00 ---- 11:05中里交流センタ11:15 ---- 11:40りんご園見学11:45 ---- 11:55ファーム中里 ---- 12:10里川発電所吊橋 ---- 12:15中里発電所取水口 ---- 12:30中里交流センタ(昼食)13:15 = 13:25岡町の大欅13:35 = 15:00自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「町屋」
(中里ウオーキングルート)
(中里ウオーキングルートの高低差)

3.山行記録
 前々日までの天気予報では日曜日は全国的に荒れ模様の天気予報だったので中止になるかと思っていたら、前日になって午前中曇で午後小雨の予報に変わった。中里交流センタに確認の電話を入れると雨が降っていなければ実施するとのご返事。朝もはっきりしないお天気だったが、とにかく行ってみようと集合時間に間に合うように出発した。
 中里交流センタに到着すると、センタの建物は中里中学校の敷地の中にあって、学校の駐車場に駐車させてもらった。トイレを使わせてもらって、参加者40名を前にした幹事さんの説明があって定刻9時半に歩き始めた。
 中学校から旧国道に出て常陸太田方向にすぐのところに日立への分岐点があり、ここに昭和53年に指定された日立市文化財の「入四間道」の道標があった。この通りは今のR349が開通するまでは主要国道だったとのこと。この分岐点は何度も通ったことがあるが、こんな道標があったことは気が付かなかった。ここから10分のところにも分岐があり、御岩神社や高鈴山への登山道入口とのことで、近くに「高鈴入口」のバス停があった。
(中里交流センタ)
(入四間道標)

 高鈴山入口のバス停から5分も歩いて玉簾滝を眺める橋に着いてシャッタを押した。立札に玉簾寺には一般観光客は入場禁止となっていたが、交流センタの顔で山門は開けてあって全員中庭に入ることができた。中庭に入って護摩焚き線香をあげ、お寺や常念杉の写真を撮り、芭蕉の句碑(松風の於ち葉可水能音寿ヾし)を読んでいる間に、幹事さんのお寺の由来についての説明を聞き損ねた。このお寺は安産にご利益があると聞いて、和子の出産時にも、娘の出産時にもお札を貰いに来たねと話し合う。
 中庭から本堂脇を通って玉簾滝を間近に眺める休屋への入口は通行止めになっていた。お寺の宝物が持ち去られる被害があって、今の住職になってから一般観光客へのサービスは止めにしたとのことだった。最近多いらしいが、文化財泥棒なんて怪しからん!
 
(玉簾寺)
(玉簾滝には立入禁止)

 旧国道から新国道R349に出ると、車は多くなったが歩道があって安心して歩ける。ここまでは車は少なかったが、歩道がないので幹事さんは車が来る毎にみんなに注意喚起するのに随分気を遣っていた。
 R349沿いに鳥居があって、石柱には日月神社とあり、その奥に石段が伸びていたが、そのまま通過。二人だけだと最近は神社仏閣があると立ち寄るのを常にしているので拍子抜け。
 日月神社から5分歩いたところに十石峠公園への分岐があり、これを下って里川を渡ると、左手に小さな水力発電所があって、30m上から鉄管が下りているのが見えた。建屋に書いた東京発電株中里発電所の文字が見え、明治41年運開の700kWの水車が今でも回っているとのこと。県内最古の貴重な水力発電所なので、このウオーキングでも以前は見せて貰えていたが、最近は東電が一般公開は止めにしたとのこと。幹事さんの説明を聞きながら遠くから眺めるだけで通過した。
(日月神社)
(中里発電所)

 発電所からは上り坂を30mぐらい登ったところに発電所への導水路があった。この水路には豊富に水が流れていて、金網フェンスで厳重に囲われた形で、一つ上流の里川発電所の放水路出口まで3km近く延々と伸びていた。
 導水路に沿った道を1km以上歩いたところで、左の森の中に案内された。そこには「市指定文化財第八号細野のヤブツバキ」の標柱が立っていて、スギ林の中に大きなヤブツバキの木が立っていた。樹高15m、幹周り2.4m、樹齢270年とのこと。根本の部分は殆ど空洞でこんな大きな木の重さを支えているのが不思議なほどだった。傍に孫の樹だという幼木が育っていた。

(発電所水路に沿ってウオーキング)

(水流豊かな発電所水路)
(ヤブツバキの根本部)
(細野のヤブツバキ)

 次は里川が大きく蛇行するところに造られた水辺空間と言う駐車場も整備された公園だった。綺麗な清流にはカモが数匹泳いでいて、その上に赤や黄に色付いた紅葉が綺麗だった。お日様が当たっていればすごく映える光景で、少し残念だが何回もシャッタを押した。
(里川水辺空間)
(紅葉始まり)

 水辺空間のすぐ裏が中里中学校の校庭で、トイレ休憩のために交流センタに立ち寄って一休みしてから、次のりんご園見学に出かけた。旧道に出て、里川の橋を渡って行くとりんご園が立ち並ぶ農免道路と言う道に出た。同じ市内にこんなにりんご園がたくさんあるとは知らなかった。
 たわわに実ったりんごを眺めながら歩いて行くと、路側に軽トラが停まって一行を待っていた。傍のりんご園の持ち主の車で、試食のリンゴ片を味あわせて貰い、りんご園の中にも自由に入っていいとのこと。実をとってもいいし、トラックに取り置いたりんごが幾袋も積んであり、これを買ってもいいし、園に入って自分で採ってきてもいいよとのこと。毎回、立ち寄るりんご園は交代するのだろう。和子も一袋買っていた。
(りんご園の多い農免道路)
(りんご園にて)

 りんご園で遊んでいる間に雨がポツリポツリと降りだして、次に岡町の大欅を見に行って昼食にする予定を変更して、大欅は割愛して交流センタに早めに帰って室内で昼食をとることになった。岡町への行く農免道路から分かれて交流センタに近道した。すぐのところに「民宿なか里」の看板のある古民家があったが、ここが夢ひたちファーム中里の活動本部にもなっているとのことだった。HPには次のような基本理念が掲げられている。
    豊かで美しい自然が残る中里地区。南北にゆったりと流れる清流・里川沿いには、日本の原風景というべき静かなたたずまいが広がっています。過疎化や基幹産業である農業の低迷を克服しようと、平成15年度から農業体験を中心に都市住民との交流を始めました。最近、新たに入会する人が増え、年ごとに会の活動が活発になってきています。農業体験を通して人とふれあい、心のつながりの輪を広げることを基本理念に掲げています。
(雨で大欅を割愛)
(ファーム中里)

 里川を渡ってR349に出て少し歩いたところで、右の脇道に下って行った。下ったところに古びた吊橋があり、その入口が完全に板で閉鎖されていた。これは東電の里川発電所へ通じる橋で、今は東電が保守を止めて通行止めにしてしまったとのこと。
 やがて雨も止んできて、吊橋から里川沿いの道を500mも歩くと川幅が広くなってその先に堰があった。ここが中里発電所の取水口で、ここから中里発電所まで導水路が繋がっているのだった。歩いてきたので、その長さがとても長いように思えた。今では700kWのためにこんな工事はとてもやっておれないだろう。
(里川発電所の吊橋)
(中里発電所の取水口)

 12時半に交流センタに着いたが、ポケナビのデータは10kmに近く、大欅を割愛しても充分に歩いた気分だった。みんな広間に座り込んで弁当を広げたが、昼食をとる予定だった夢ひたちファームから蒸かした芋と白菜の漬物が届けられ美味しく頂いた。帰りに各自にりんご2個とゆず7個づつをお土産に頂いたが、今回は随分行き届いたおもてなしのウオーキングだった。
(交流センタで昼食)
(お土産)

 解散になってから、今日割愛された岡町の大欅を車で見に行くことにした。幹事の人に場所を教えて貰って車を走らせ、それらしき近くまで来ると、下の民家の向こうに大きく聳える大樹が目に入った。路側に車を停めて、りんご園の広場で談笑中の男性に「あれが岡野の大欅ですか」と尋ねると「そうだよ。そこの民家の庭を通って行けばいいよ」と行き方まで教えて貰えた。
 傍まで行って見上げると、なるほど大欅と言われるのが納得できる大きさだった。和子を引き立て役のモデルにして写真を撮って引き上げようとしていると、先ほどの男性の一人がやって来た。話を聞くと、この男性はこの屋の当主の独居老人の椎名俊司さんで、長い間この欅の手入れもしてきた色々な苦労話を聞かされた。椎名さんを入れて大欅の写真を撮り直しした。
 樹齢460年とのことだったが、文化財の指定もなく、NETからも全く情報が出てこない。周知されていないのが勿体ないような気がする。
(岡町の大欅)
(管理者の椎名俊司さん)

 風雨を覚悟で出掛けたのに、殆ど濡れることもなく歩けて満足の一日だった。紅葉にお日様に当たっていたら満点だったのだが・・・




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