B41.高鈴山麓の三角点探訪(2)

1.動 機
 十日前に歩いた高鈴山麓の三角点探訪の時に割愛した鹿の子作と鹿野場二つの三角点のことが気になっていた。今日は一日中好天気の天気予報だったが、桜見物には少し早いので、この三角点を潰してしまおうと出かけてきた。少し藪漕ぎはあったが、丁度咲き始めていた野の花を愛でながらの気持ちの良い山歩きを楽しむことができた。

2.データ
a)山域:鹿野場三角点(107)、鹿の子作(252)
b)登山日:2014/04/02(水)
c)日程:自宅 10:10 = 10:45 高鈴台団地入口路側P 10:55 = 11:05 鹿野場三角点 11:10 ---- 11:20 天満天神宮 ---- 11:30 高鈴台団地端 ---- 11:45 高鈴台団地上端 ---- 12:05 #41鉄塔 12:10 ---- 12:25 ピーク分岐 --- 12:50 尾根 ---- 13:05 鹿の子作三角点 13:10 ---- 13:10 #40鉄塔(昼食) 13:45 ---- 14:05 縦走路戻り ---- 14:20 高鈴台団地上端 ---- 14:35 高鈴台団地入口路側P = 15:10 自宅
(高鈴山麓の三角点探訪U歩行ルート)

(高鈴山麓の三角点探訪U歩行ルートの高低差)

d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「日立」

3.山行記録
 和子の朝の用事を済ませて10時過ぎに我家を出発、日立駅前から「日本さくら名所100選」に選ばれている平和通りに入った。まだ3分咲きと言ったところだったが、木によっては満開に近いものもあって、信号待ちのチャンスに車の中からシャッタを押してみた。
 登山口を高鈴台団地近くと考えて、県道36号から高鈴台団地に上がる道を走りながら駐車場所を探したが、意外と車を停められるスペースが見つからない。団地入口の交差点まで上がってきて、別部落に入る分岐の脇に、少々危なっかしいが盛土のスペースを見つけてぎりぎりに車を停めた。先日、最後に東平霊園に戻った近道の階段道の入口のところである。
(平和通りのサクラ)
(高鈴台団地入口交差点近くに駐車)

 交差点から少し県道側に戻ったところに、右に別れる細い道があってこれに入った。少し登って民家を通り過ぎたところに細かく区分けされた広い畑地があり、あちこちで土を耕したり、作物の手入れをしている人の姿が見えた。作業中の人に訊くと、ここは貸農園とのことで、ほとんど無料の料金で使わせてもらっているとのこと。
 ナビによれば三角点はこの畑地の中にあるようだが、ほぼ平らなこんな広い畑地の中で三角点標石を見つけるのは難儀だなと思っていると、畑地の端の近くに国土地理院の白い標柱が目立って見えていた。標石の写真を撮って引き返した。
貸し農園
(鹿野場三角点)

 高鈴台団地の上端に上がるのに団地の道を歩くのでは面白くない。地形図を見ると、県道近くまで下ったところに鳥居マークがあって、ここから団地の上部まで登る破線の道があり、これを狙って左の道に入った。分岐して少し登ると眼下に日立の山手工場と日鉱電錬工場の工場群が見えていた。
(天満天神宮近くからの展望)

 分岐道の先に数軒の住宅地があり、その奥に「天満天神宮」の懸額が掛かった鳥居があった。その先の小さな社は結構古びて見えたが、鳥居と敷石は真新しかった。由緒書はなかったが、古い地形図でも鳥居マークがあるのだから古い神社に違いないので、震災で被害を受けて最近補修されたのだろうか。
 神社の左に地形図の破線と思われる山道があり、これを辿ると、右や左に飛び飛びに古い墓地が何ヶ所にも現れた。
(天満天神宮)
(山道の左右に墓地)

 墓地が途絶えると、その先は笹薮になったが、何とか古い道跡らしいところを探しながら歩いて行くと家が見えてきて、予定通り高鈴台団地の端に出ることが出来た。
(先は藪)
(高鈴台団地に出る)

 この団地には瀟洒な建物が多く、庭には花木も植えてあって、ヒュウガミズキやシデコブシなどいろいろな花が咲いていて綺麗だった。
(ヒュウガミズキ)
(シデコブシ)

 花を楽しみながら団地の上まで上がって、車止めのある道に入る。この前#41鉄塔から下ってきたところだ。
 車止めの先にはキブシの花が満開だった。
(団地上端の車止め)
(キブシ)

 道傍にはミミガタテンナンショウやクサイチゴの花、ヤマイタチやイノデなどのシダ類を見ながら歩いて行くと#41鉄塔のところに出た。前報ではここを#42鉄塔と書いたが、今回改めて#41鉄塔であることを確認したので、前報も修正した。
(ミミガタテンナンショウ)
(#41鉄塔から#42、#43鉄塔を望む)

 #41鉄塔から前回下った道を思い出しながら登って行くと右に別れる道があり、鹿の子作の三角点は右手にあるのだからとこの道に入った。
 その先で物凄い急坂になり、ズルズル滑る落葉の急斜面を立木に捉まりながら攀じ登った。
(右に分岐あり)
(急登)

 登り切ったピークからは樹間に大煙突が見えていた。木の枝が邪魔するが、先日ニュースで騒がれた日鉱の山火事の跡がまっ黒く見えていた。
 ここから右に曲がることになるが、どっちを向いても立木が茂る急斜面で、下る方向が良くわからない。磁石を出して地形図に尾根がある北東方向に進路を決めた。立木の間を縫うように下り始めると、まわりの様子から何とか尾根を辿っていることが確認できるようになってきた。
(ピークからの大煙突)
(ピークから藪の尾根道)

 どんどん下って行くと大煙突が良く見えるところがあり、和子の思い出深い場所なので、じっくり眺めてシャッタを押した。三倍の高さがあった元の姿が懐かしい。丁度煙突が折れたその日に、旧職場の実験室の窓から眺めて誰よりも早く異常に気が付いたことが生々しく思い出される。
 傍にアオノツガザクラみたいな花があり、なんだろうかと和子に訊くと「葉っぱはヒサカキだよねえ」という。ヒサカキの花を見るのは初めて、意外に可愛い花をつけるんだ。
(大煙突を見ながら)
(ヒサカキの花)

 鞍部まで60m下って少し登り返した尾根でまた右に直角に曲がって、今度は南東方向の尾根を進む。この尾根は立木も少なく、下草も刈り払ってあって歩きやすかった。
 一つ小さなピークを越えてその次のピークに鹿の子作三角点があった。ここには白い標柱がなくて目立たなかったが、立木が綺麗に伐採されていて山全体が丸坊主になっていて、三角点標石は刈り払いされた枯草の中に見つけることができた。
(歩きやすい尾根道)
(鹿の子作三角点)

 丸坊主の山頂からは広い展望が広がっていた。正面に日立北部の市街と太平洋が見え、右手に先ほど歩いた#41鉄塔、左すぐ下に#40鉄塔、その先に神峰公園、蛇塚の山並みが見えていた。
(鹿の子作三角点からの展望)

 昼食は#40鉄塔まで下って、その脇で弁当を広げた。すぐ近くに数輪花を開いたばかりのヤマザクラがあったが、少し離れて満艦飾のサクラもあった。
 昼食後の進路は、鉄塔から県道方向に下る道もあるように見えたが、安全を見て、整備の良いはずの鉄塔点検路を辿って#41鉄塔近くの縦走路に戻ることにした。
(ヤマザクラ)
(鉄塔点検路を辿る)

 三角点峰から急坂を下って右に直角に曲がるところまでは良かったが、その先で進路が度々倒木に遮られて、急斜面で高巻き、下巻きをするのに苦労した。
 遂には、谷まで下ったところで点検路のプラスチック板が見えなくなり、急斜面をやみくもに登って何とか縦走路に戻ることが出来た。
(点検路にも邪魔者)
(途中から道無)

 鉄塔近くで縦走路に戻り、後は登ってきた道を辿って高鈴台団地に降りたち、ここからは前回歩いた通りに団地の道を下って駐車場所に戻った。
 途中、シバザクラやヒメリュウキンカの花を眺めながら下った下の公園まわりには、五分咲きソメイヨシノの並木があった。
(高鈴台団地の道)
(ソメイヨシノ)

 その公園にはユキヤナギに囲まれたモクレンが満開の真っ白い花を付けていて圧巻だった。
(ユキヤナギとモクレン)

 今日は6kmほどの短い山歩きだったが、可愛い野の花や、綺麗な庭の花を愛でることが出来、「少し藪漕ぎはあったけど、反って変化があって面白かったわ」と和子が言うほど意外と充実感のある山歩きでありました。




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