B83.幕山と神山(関東百名山)

1.動 機
 暑い8月のうちに、未踏関東百名山の中で一番高い和名倉山と近くの笠取山とを抱き合わせで登ろうと考えていたのだが、山小屋に予約を入れると「冷蔵庫がないので夏の間は自炊だけですよ」とのこと。二日分の食材や食器を持ち上げる自信がないので、秋か春に改めて計画することにし、代わりに涼しそうな箱根の神山に登ることにした。ついでに近くの超低山の関東百名山幕山に、暑くて大変だろうが我慢して登ることにした。
 計画では初日に駒ヶ岳ロープウエーを使って神山に登り、二日目に幕山に登る予定だったのだが、箱根園まで入ると強風でロープウエーが運転中止、湯河原に廻って一日目に幕山に登った。二日目も十石峠は雲の中で、駒ヶ岳もダメだろうと諦め気分で箱根峠まで北上すると、芦の湖の上に駒ヶ岳と神山がスッキリと見えていて、ロープウエーを使って駒ヶ岳から神山、大涌谷へと縦走することが出来た。
 二つの山とも歩行時間が短かくてらくちん登山だったが、往復の車の運転が走行距離が長く、渋滞も酷くて大変な二日間でありました。

2.データ
a)山域:幕山(626m)、神山(1438m)、駒ヶ岳(1356m)
b)登山日:2014/8/19(火)曇、20(水)晴のち曇
c)コースタイム:
(1日目)日立自宅5:00 = 日立南IC = 芦の湖大観IC = 10:50箱根園 = 幕山公園P12:05 ---- 幕山 ---- 15:50幕山公園P = 湯河原(泊)
(2日目)湯河原 = 9:30十国峠登り口 = 箱根園 =(ロープウエー)= 11:20頂上駅 ---- 箱根神社 ---- 神山 ---- 14:00大涌谷 =(ロープウエー)= 桃源台 = 芦の湖大観IC = 日立南IC = 21:00日立自宅
(幕山と神山の歩行軌跡)

d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「箱根」

3.1 1日目 幕山山行記録
    (幕山の歩行軌跡標高差)
    日立自宅5:00 = 5:10日立南IC= 6:00守谷SA6:10 = 6:55小菅JCT =(首都高中央環状線)= 8:00大橋JCT = 8:15東京料金所 = 9:15海老名SA(朝食)9:45 = 9:55厚木IC =(小田原道路)= 10:10小田原料金所 =(箱根新道)= 芦の湖大観IC = 10:50箱根園P入口 = 箱根峠 = 11:20湯河原パークウエー入口 = 湯河原駅前 = 11:50幕山公園P12:05 ---- 12:10管理棟12:15 ---- 12:30ししどの窟分岐 ---- 12:45大石ヶ平 ---- 13:25南郷山分岐 ---- 13:35自鑑水14:00 ---- 14:05南郷山分岐 ---- 14:25幕山山頂14:35 ---- 15:00梅園四阿15:10 ---- 15:35管理棟 ---- 15:40幕山公園P15:45 = 15:55湯河原万葉荘(泊)
 首都高の渋滞を考えて我が家を5時と早めに出発、ガソリンを満タンにして日立南ICから高速に乗り、守谷SAでトイレ休憩して6時過ぎに首都高に入ると、道路状況表示板にあちこちで渋滞が始まっていた。首都高には馴染みがないので小菅JCTから幅寄せが少なそうな中央環状線を選んだが、これが裏目で各所で渋滞があって大橋JCTまで25kmを1時間以上もかかってしまった。東名に入っても渋滞は続き、富士山が見えているのが唯一の慰め、海老名SAに9時15分に入ってやっと朝食をとることができた。
 厚木ICから厚木小田原道路に別れ、箱根新道を芦の湖大観ICまで走って芦の湖へ下り、駒ヶ岳ロープウエー乗り場のある箱根園に着いたのは11時に近く、予定よりも2時間も遅かった。それでもまだ大涌谷まで縦走できると思って駐車場に車を入れようとすると、入口で「今日はロープウエーは強風のため運休です」と非情なご宣託。以前にもこのロープウエーの運休に泣いたことがある。
 今日はここに宿を取って一日日程を延ばすことを考えたが、予約を取っている湯河原の宿の100%のキャンセル料が痛い。「これから湯河原に向かって、今日のうちに幕山に登れない?」と和子の提案、「うん、何とかなりそうだね」と、すぐに車のナビに幕山公園を行き先指定して再出発。Uターンして湯河原に向かった。箱根峠の先で湯河原パークウエーに入ると濃いガスに包まれて周りの山は何も見えない。これでは幕山登山も危ないかなと思いながら湯河原に下って行くと、ガスがだんだんと薄くなってきて相模湾が綺麗に見えるようになってきた。
(富士山と大山)
(湯河原パークウエイ)

 湯河原駅前で昼食を買い込んで山あいの幕山公園に向かうと、山腹のあちこちに岩場を持った幕山が見えてきた。手前側からは急登できつそうなので、裏側から緩やかな登山道を登るつもりだ。
 幕山公園の第3駐車場に車を入れたのは11時50分、身支度をしてすぐに歩き始める。新崎川沿いの幕山公園遊歩道を遡っていくと、あちこちで家族連れの賑やかな声が聞こえてきた。
(幕山公園から)
(新崎川)

 一旦車道に出ると公園の管理棟があり、休憩舎に管理人さんがいて「幕山に登るのか?初めてか?」と聞いて、ハイキング図を手渡しながら「幕山山頂から梅林への下りは急坂で滑りやすく、転んで捻挫する人もいるから気を付けてくださいよ」など色々と教えてくれた。我家のすぐ後にやって来た若者は、手前の梅林側から登りたいと言っていた。
 トイレを使ってから車道に出て、右手幕山方向にいくつも遊歩道が別れていたが、そのまま舗装道を歩き、新崎川を渡り「夫婦の梅の里」、「ししどの窟分岐」、「鍛冶屋山の神」を過ぎると新崎川沿いの道になった。
(管理棟からの幕山)
(大石ヶ平まで車道歩き)

 管理棟から30分、2km近く歩いて新崎川を渡り返すと大石ヶ平で道標があり、右手に幕山への登山道が別れていた。途中まで綺麗に刈り払いがされていたが、やがて草の繁る道になり、クズやタマアジサイの葉がトンネルのように覆いかぶさっているところもあったが、シシウドやキツネノカミソリなど野の花があちこちにに咲いていて慰めてくれた。
(大石ヶ平から山道へ)
(クズのトンネル)

 やがてヒノキの植林帯になり、5分も登ると南郷山への分岐標があり、林道に出て少し歩くとすぐに自鑑水への分岐があった。
(ヒノキの植林帯)
(南郷山分岐)

 分岐に入って10分近く登ると小さな池があり、「自鑑水(自害水)」の立札と説明碑が立っていた。曰く
    史跡 自鑑水(自害水・自鏡水)
    年中枯れることなく清水を湛えたこの窪地は、昔から自鑑水と呼ばれている。
    治承4年(1180年)石橋山の合戦に破れた源頼朝主従は地元郷土の英雄戸肥実平一族の庇護のもと、平家の追手から逃れ、この地に辿りつき、喉を潤し、水鏡で乱れた髪を結い直すと、平家を破り天下を納める自らの姿が映り、自害を思い留まり、気を強く持ち直したという。頼朝再興の礎として伝えられている。
    平成19年4月 戸肥会80周年記念事業建之
 自分の顔を映してみようと思ったが、水面に近づくのが難しく、岸辺に座って弁当を拡げた。
(自鑑水)
(自鑑水の)

 南郷山分岐標のところまで引き返し、幕山への登りに入る。緩やかな登山道脇にはシシウド、ゲンノショウコ、クルマユリなど賑やかだった。
(幕山への登り)
(シシウド)

(ゲンノショウコ)
(クルマユリ)

 幕山の山頂に登りつくと、太平洋側の視界が開けていて真鶴半島や相模湾を展望することが出来た。
(真鶴半島)
(相模湾)

 山頂周りを周回する遊歩道があるようだったが、今日はガスで山の展望は期待できそうにもないので、山頂標の前で証拠写真だけ撮って下山にかかった。
 南側の急斜面を下る道だったが、何度もジグザグに折り返す登山道が整備されていて緩やかで楽に下ることが出来たが、路面が小石交じりの砂利道だったので、管理人さんのご注意を思い出しながら気を付けながら下って行った。あとでポケナビの軌跡をチェックしてみたら、折り返す回数は梅園の四阿まででも25回を数えた。
(幕山山頂)
(ジグザグ下り)

 下りの途中には相模湾の絶景ポイントがあり、初島などを遠望することが出来た。
(相模湾展望)

 ひとしきり下ったところに四阿があり一休み、そこから先は広い湯河原梅林の中の道になり、2月ごろに訪れれば満開の梅の花が凄いことになるのだろうなと想像しながら下っていった。
(四阿)
(湯河原梅林)

 麓近くまで下ると、目の前に幕山の山腹に大岩の連なりが見えてきた。ここでロッククライミングを楽しむ人もいるらしい。
 梅林を抜けて管理人さんに無事下って来た御挨拶をして駐車場に戻った。歩き始めて3時間20分、我が家にとっては手ごろなハイキングでした。
(幕山の岩石群)

 湯河原の街中のホテルに入って、先ずは屋上に上がって幕山を眺めようとしたが、手前の山並みが邪魔しているようで、大岩の放列を見ることはできなかった。
 岩風呂に入ってゆっくりと疲れを癒し、大広間の夕食会場で御馳走を頂いた。年寄りには多すぎるほどの量だと思ったが、手の込んだ料理の数々、味もいい。ビールを飲みながら完食しました。
(ホテルの屋上から)
(夕食)


3.2 2日目 神山山行記録
    (駒ヶ岳−神山の歩行軌跡)
    湯河原万葉荘9:00 ---- 9:40十国峠登り口10:10 = 10:25箱根峠 = 10:45箱根園11:10 =(ロープウエー)= 11:20頂上駅 ---- 11:35駒ヶ岳山頂11:40 ---- 12:05早雲山分岐 ---- 12:45神山山頂13:00 ---- 13:10冠ヶ岳分岐 ---- 13:35早雲山駅分岐 ---- 14:05大涌谷14:40 =(ロープウエー)= 14:55桃源台15:20 =(バス)= 15:45箱根園16:00 = 16:10芦の湖大観IC =(箱根新道)= 16:40小田原料金所 =(小田原厚木道路)= 17:00厚木IC = 18:00東京料金所 = 18:10大橋JCT =(首都高中央環状線)= 19:00小菅JCT = 19:25守谷SA19:35 = 20:30日立南IC = スーパ = 21:00日立自宅
 朝食は8時から、海岸まで15分ぐらいと聞いて朝食前のお散歩に出かけた。今朝は快晴、海側には伊豆半島から真鶴半島まですっきりと見渡せ、遠く大島まで見えており、山側には城山などの湯河原の裏山がすっきりと見えたが、その後ろの箱根の山には雲がかかっていて、今日の山行を心配させた。
 朝食も大広間で頂く。夕食に負けないぐらいの品数のお皿を、時間をかけてかけてゆっくりと完食、9時にホテルを出発した。
(海岸までお散歩)
(朝食)

 駒ヶ岳の前に、十国峠の展望台から四方の山々を展望したいとケーブルカー乗場に向かったが、登るにつれてガスが出てきて、十石峠のケーブルカー乗場に着いた時には周りは一面ガスの中だった。これでは駒ヶ岳のロープウエーも運休に違いないと神山登山を諦めて、レストハウスでお土産漁りをし、車のナビに直接我が家に帰るようにルート変更した。
 箱根峠近くまでくると、目の前に駒ヶ岳らしい山容が青空の中に見えてきた。また箱根までやってくるのは大変なので、念のため箱根園に寄ってみようと芦の湖に下っていった。芦の湖の右に駒ヶ岳と神山を確認して喜び合った。
(十国峠は霧の中)
(神山・駒ヶ岳スッキリ)

 箱根園の駐車場に着くと、入口の料金係りは昨日と同じお兄ちゃん、「今日は夕方まで大丈夫ですよ」と請け負ってくれ、ロープウエー切符売り場では、片道切符を買った老夫婦の身なりを見て「大涌谷まで歩くのですか。道がぬかるんだり足元の悪いところがあるから気を付けてください。3時間程かかりますよ」と注意してくれた。
 ロープウエーに乗って頂上駅に上がると目の前に駒ヶ岳山頂の箱根神社元宮が見えていたが、その東側にある三角点標にタッチして来ようと右の遊歩道に向かった。
(箱根園からロープウエー)
(山頂駅から駒ヶ岳)

 頂上駅すぐ脇の展望所からは芦の湖が一望に俯瞰できた。三国山など湖畔の山は見えていたが、その向こうには雲が立ちのぼり、高い山並みの頭がわずかに見えていたが、山名同定する気は起きなかった。
(芦の湖俯瞰)

 ロープで仕切られた遊歩道を三角点があるらしい辺りまで歩いていったが、三角点は遊歩道の外、出入り口はあったが施錠されていた。東のゴルフ場の上にどっしりとした金時山から明神ヶ岳があり、その向こう遥かに大山や蛭ヶ岳などの丹沢の山々が見えていた。
(金時山・明神ヶ岳の向こうに丹沢山塊)

 遊歩道を一周して箱根神社の鳥居をくぐって、今日のお天気が持つようにお参りをした。
(箱根神社元宮)
(駒ヶ岳っ山頂屋)

 神社から北の踏み跡に入ると目の前に神山の全容が見えるようになり、登山道のありかを確認することが出来た。神山の左には富士山が雲の脇にわずかに頭を出しているのを見ることが出来た。
(神山)

 笹原をかき分けるように下って頂上駅から神山に向かう登山道に合流した。ここからは材木で補強された階段など手入れされた道だったが、平らなところでは道がぬかるんでいて足場を選ぶのに気を遣った。途中で休んでいるご夫婦に出合って「神山から来られたんですか」と聞くと「駒ヶ岳から神山に登るところだった、泥濘が酷くて転んでしまい、諦めて引き返すところです」と嘆いていた。
 鞍部まで下りると目の前に神山が見えていて、「あそこまで登るのか、ずいぶん高いなあ」と気を引き締め直した。
(100m下って)
(十字路手前からの神山)

 右早雲山・左坊が沢への分岐がある十字路を過ぎると神山への登りになり、大涌谷から縦走してくる登山者に度々出会うことになった。ガレた急坂を登ったりしていると、逆コースの方が良かったのかなと思ったりした。
 泥んこ道は鞍部でお終いになるのかと思ったら、登山道が平らになる毎に泥濘が出てきて少々嫌気がさしてきた。
(200m登る)
(泥んこ道)

 神山の山頂に登りつくと賑やかな男性グループと若いカップルが昼食休憩中だった。真ん中に一等三角点の大きな標石があり、早速タッチ。
 山頂標前での証拠写真のシャッタを若いカップルに押してもらい、少し休んでから大涌谷への下りにかかった。
(一等三角点)
(神山山頂)

 初めは岩っぽい急坂の歩きにくい道だったが、すぐになだらかな道になり、冠ヶ岳への分岐があった。冠ヶ岳は展望の利かない山らしいし、空模様も悪くなってきたので先を急ぐことにした。
 掘れた登山道を行くと一方通行の表示があり、下り専用コースは左の歩きやすい道で5分も続いた。
(350m下り)
(一方通行帯)

 専用コースを終わって少し下ると下から賑やかな声が聞こえてくるようになり、やがて左下に大涌谷の噴煙が見えるようになり、黒たまご館の周りに大勢の観光客が集っているのが見えた。
(大涌谷へ)
(賑やかな大湧谷)

 やがて右下にロープウエー駅が見えるようになり、その手前に早雲山側の崩壊が進んで荒涼とした谷間が見えてきた。
 荒れた谷間を右に見ながら下って大湧谷の賑わいが見えるところに出ると、神泉の湯という水場があった。飲み水ではなくて手を清めるところ、脇には大湧谷延命地蔵尊の社が建っていた。駒ヶ岳頂上駅からここまで4.5km、2時間45分の短い山行だったが、気分的にはなかなか疲れる山旅でした。
(早雲山の谷)
(神泉の湯)

 ここまで下った時点で14時過ぎ、レストハウスのレストランで昼食をとってから、15時13分桃源台発の箱根園行きの最終バスに間に合うように14時40分ごろにロープウエーに乗った。
 桃源台に降りたつと大湧谷に比べて随分暑く感じた。バスの切符売り場に行くと、箱根園行きのバスは西新宿からの高速バスで、東名高速の渋滞で15分ぐらい遅れる見込みとのこと。暑さの中、駅舎の中でゆっくりと休憩した。
(大湧谷駅)
(芦の湖へ)

 バスに乗って箱根園まで移動してマイカーに乗り、一路我家に向かった。途中、東名や首都高で大渋滞に出合ったが、今度は急ぐことはない、気分を楽にして運転することが出来た。守谷SAで夕食をとってから帰ろうと思っていたのだが、守谷SAは現在改修中でトイレだけしか開いていなかった。次に東海PAのラーメンを食べて帰ろうと思ったのだが既に閉店していて食事にありつけず、自宅近くのスーパで弁当を買いこんで我が家でビールを飲みながらの夕食になった。
 今回の総走行距離536km、ガソリン消費量43L、久し振りのロングドライブ、時間も体力も山歩きよりも疲れるドライブでした。


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