B118.滝山渓谷と君田ウオーキング
紅葉の君田で新米を楽しむ

1.動 機
 新聞で高萩グリーンツーリズムの「紅葉の君田で新米を楽しむ」という滝山渓谷と妙見山を歩く案内を見つけた。滝山渓谷は高萩グリーンツーリズムの去年の案内を見て初めて知って、個人的に11月中旬に歩いていたのだが、妙見山という山が知らない山だったし、団体で歩けば面白い話も聞けるだろうと参加申し込みした。実際には妙見山には登らなかったが、高萩の自然の話など聞かせて頂きながら、63名の大勢の参加者と一緒の賑やかなウオーキングを楽しむことができた。

2.データ
a)山域:滝山渓谷(410)
b)登山日:2014/11/30(日)晴
c)コースタイム:森山自宅 7:20 = 8:20松岩寺駐車場9:10 ---- 9:30下滝9:35 ---- 9:40上滝 ---- 10:00渓谷出口10:20 ---- 10:55妙見公園入口 ---- 11:00君田十字路11:05 ---- 11:05保護林看板前11:20 ---- 11:25薬師堂11:35 ---- 11:40上君田集会所(昼食)13:05 ---- 13:40大塚神社13:45 ---- 13:50駐車場13:55 = 14:00モミ群落14:40 = 16:00森山自宅
(君田地区ウオーキングコース)

(君田地区ウオーキングコースの標高差)

d)同行者:参加者61名、和子
e)地形図:「里見牧場」

3.山行記録
 途中知人宅に立ち寄るために早めの7時20分に我家を出発して、集合場所の松岩寺駐車場に向かった。道が思いのほか空いていて集合時間の40分前に到着したが、すでに十台以上の車が到着していて受付には行列が出来ていた。参加者は63名もあり、遠くは鹿島や桜川あたりからの参加者もあるとのこと。人数が多すぎて楽しみにしていた妙見山は取りやめになって、代わりに寺山古舘が案内されるとのこと。「君田周辺マップ」や「君田の自然」「宮の沢モミ植物群落保護林」などの資料が配布され、定時になってからグリーンツーリズムの幹事団から今日の予定の説明等があり、準備運動して4班にグループ分けして歩き始めた。
 200mほど県道111号を歩いて、滝山渓谷遊歩道入口の看板のあるところから林道に入った。
(松岩寺駐車場集合)
(滝山渓谷入口)

 がけ崩れしたマサドの斜面の説明などを聞きながら林道を歩いて行くが、参加者63名にスタッフ10名程を加えた行列は長い。沢沿いに下る遊歩道に入って、下滝の展望台に上がって滝を眺めるが、班ごとに入れ替わりしながらの滝展望だ。時間がかかるし、後の班に急かされている感じがして少々落ち着かない。
(林道を歩き)
(遊歩道に下りる)

 柵で囲まれた狭い展望台の上に上がると、豪快に流れる下滝が正面に見える。滝近くの岩場まで行って写真を撮りたいが、時間がかかりそうなので遠慮して、望遠モードにしてシャッタを押す。
(下滝)

 遊歩道に戻って遊歩道を上流側に向かうと、下滝と上滝の間には岩の段差の連続しており、小さな滝のオンパレードでいい眺めである。
(下滝の上流部)

 下滝と上滝の間には柵でしっかりガードされた遊歩道が整備されていて安心して歩ける。仮設の階段には定員3名の立札があった。
(連絡歩道)
(階段)

 上滝は岩の左右に滝が別れており、左の滝は下滝に遜色なく迫力があるが、右の小さい方の滝は木立に邪魔されて迫力今一つ。こここそ、滝壺の前まで近づいてシャッタを押したいところだが、先が急がれる。
(上滝)

 上滝展望台からは林道に戻って長い林道歩きになったが、右下に沢が近づいてきて、すぐ近くに澱みのある静かな流れや白波を立てるせせらぎを見ながら気持ちの良いお散歩が続いた。
(林道に戻って)
(渓谷美が続く)

 林道は歩きやすく整備されていたが、昨日までの雨が水溜まりを作っているところが何カ所もあって、その度に狭い道に端っこを選んで行儀よく歩くことになった。
 林道を20分も歩くと、突然目の前が開けてきて滝山渓谷はお終い。向かいに広い田圃やその向こうに山並みが見えるようになり、「妙見山はどの山ですか」と尋ねると「もっと歩いて行って大きく回り込んだ先になります」とのこと。
(雨の跡)
(渓谷終わり)

 ここで郷土・君田の自然に詳しい専門家が紹介されて、この辺りの植物の植生に付いて詳しい説明があった。この辺りは広葉樹の林だったが、戦後杉の植林が行われたので針葉樹と広葉樹の混成林になっているとのこと。後の林を振り返ると、コナラの木立の奥に杉の植林が見えていた。
 ボケた頭では専門的な細かい話には付いていけず殆ど頭に残っていないが、エビフライと呼ばれるリスが松の実を食べた残渣の話だけが強く印象に残っている。
(君田の自然について)
(リスが残したエビフライ)

 ここから少し歩くと立派な民家が現れ、奥まったところにあるこの一軒家のところまで電柱、電線が引かれていて、道路もここから舗装道路になった。一軒家のすぐ先にも別の民家があったようで、田圃の中に基礎石と建物の残材が横たわっているのが見えた。
 橋を渡ると、黒牛が遊んでいる牧場のようなところもあったが、人影は全く見えなかった。
(舗装道が続く)
(常陸牛)

 田圃、畑地の先に一面にガマの穂が茂った広い荒れ地があった。もう少し早い時期で、ガマがもっと生気がある状態だったら、もっと素晴らしい眺めだっただろうな。
 県道に近づいたところに「御大典記念 妙見公園」と「馬頭観世音」の石碑が立っていた。この石碑の上の山が妙見山とのこと。石碑の後の草に覆われた斜面に薄い踏み跡が山に登っているように見えた。60人が歩けば、踏み跡は立派な登山道になることだろうが、連れて行く人は大変だ。
(ガマの穂)
(妙見公園前)

 県道に出たところが県道22号と県道227号の合流点の君田十文字で、道向かいに大きな木が聳えており、その下に牛の石像が立っていて、ここで説明があった。
 この巨木はトウヒの木で高さ32mあり樹令100年と推定される。20年前から、年末にはこの大木全体に電飾が取り付けられて夜空に輝き「君田のジャンボクリスマスツリー」として近隣に名を馳せていたが、過疎化の波の影響で継続できなくなった。とのこと。
 トウヒの木の下には上君田森林事務所があり、以前はこのあたりで牛馬市が行われていたとのこと。江戸時代から牛馬の牧畜が盛んな土地で、特に軍馬の需要が高かったらしい。明治時代に産馬市が創設され、戦後には「関東名物」となって家畜商人が関東各県はもとより、東北各県からも集まって、サーカスが開かれるなど隆盛を極めていたが、小型農機具の普及で農耕馬の需要が無くなって衰退した。今は常陸牛の石像だけが残っている。私の小さい頃、故郷の久井村が日本三大牛馬市で賑わっていたことが懐かしく思い出された。
(牛馬市跡のトウヒの巨木)
(常陸牛モデル)

 君田十文字から少し奥まったところに「宮の沢モミ植物群落保護林」の説明板が立っていて、その前で説明が始まった。
 この上の山が寺山古館跡で、昔佐竹氏と松岡氏との郡境で城郭があったらしいが、あまりはっきりとしていない。この森が保護林に指定されていてモミの大木が何本も残っているとのこと。
(寺山古舘の説明)
(モミ保護林説明板)

 保護林の話が終わってから裏の山道に入って、急な石段を登って行ったところに薬師堂があり、その奥にモミや杉の大木が茂っていた。
(薬師堂の石段)
(モミの巨木:解散後再訪)

 薬師堂は前の扉が開かれていて、室内には金色の薬師様が祀ってあり、天井には色々な植物の絵が描かれていた。いつもは閉ざされているお堂だが、今日のために特別に御開帳されたらしい。室内に上がってもいいですよと言われたが、山靴を脱ぐのが面倒なので、外から有り難く眺めさせていただくだけにした。
(薬師堂)
(薬師様と天井絵)

 数人は保護林に入っていったが、次の上君田集会所で昼食の準備が出来ているとのことなので、我家はモミの木や城郭跡はウオ―キングが終わってから改めて車で引き返して来て、ゆっくりと探査することにして集会所への列に入った。
 集会所の広間に入ると、テーブルの上に新米のおにぎりと香の物に豚汁が並べられていていい匂いを漂わせていた。上君田の住民の方々のご協力で作られたとのこと、美味しく頂いた。
 食事が終わった後で、君田の自然についての専門家の追加説明があり、今度は主に野鳥類と獣のフィールドサインの話を主題に専門的な説明が行われた。
(上君田集会所)
(昼食会)

 野鳥の講義のあと、今回の行事に付いての挙手方式でのアンケート調査があり、柏餅のお土産を頂いてから、出発地点の松岩寺に向かって県道沿いを歩いて行った。
 途中、君田小学校と君田中学校の案内板が立っている分岐を通過したが、この学校は高萩市の山間部が過疎化でほとんどの小中学校が閉校になっている中で貴重な存在だが、全校で6名しかいないとのこと。
 今日の参加者は元気のいい人ばかりで歩くのが速く、予定よりも早く終わりそうなので、途中大塚神社に立ち寄って行くことになった。県道22号を30分ほど歩いて行き、左手に登る大塚神社の裏参道に入った。大塚神社は下君田の鎮守として500年の歴史をもつ神社で、老杉群の樹叢やささら舞等で有名とのこと。
(君田小学校、中学校入口)
(大塚神社裏参道)

 大塚神社の境内には高さ約40m根周り8mの大きな木が聳えていて「県指定天然記念物 大塚神社のモミ」の立札が立っていた。神社裏には高さ約45m根周り8.6mの「県指定天然記念物 大塚神社のスギ」が立っていた。スギ・モミともに樹齢約500年と推定される古木とのこと。
 帰りは表参道の急な石段を降りて、表側から神社全体を振り返ると樹叢を御神体にして鳥居が立っているように見えた。
(天然記念物:モミの木)
(大塚神社社叢)

 大塚神社の参拝を終わって、県道111号を少し歩くと出発地点の松岩寺の駐車場に戻った。整理運動をして、簡単な挨拶があって解散になった。
 我が家は車で薬師堂下まで引き返して、保護林に入って城郭跡を探索しモミの巨木を眺めてから帰途についたが、お元気な参加者と一緒に賑やかに歩き、グリーンツーリズムからいろいろと貴重なお話も聞き、熱々でおいしいお昼御飯の御馳走を頂いて嬉しい一日でした。





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