B121.迦葉山(MAC忘年会)

1.動 機
 水戸アルパインクラブ(MAC)の今年の忘年会は水上温泉で行われ、山行は一日目に3時間ほどで玉原湖近くの迦葉山に往復登山、二日目は当日決定と案内された。最近とみに体力に自信がなくなってきているが往復登山なら迷惑をかけることもないだろうし、今年のMACの山行に余り参加していなかったので皆さんに会うのを楽しみにして参加した。当日のお天気が今年初めての大雪になり、低山の迦葉山でも途中まで登って引返さざるを得ず、二日目は登山中止になってしまったが、代わりに観光が組み込まれて、10名ほどの参加者と雪景色を眺めながらそれなりに賑やかな忘年会を楽しんできた。

2.データ
a)山域:迦葉山(1322m:途中まで)
b)登山日:2014/12/6(土)雪、7(日)雪
c)コースタイム:
一日目:日立電鉄南営業所5:50 = 水戸IC = 沼田IC = 10:10迦葉山弥勒寺10:35 ---- 11:10和尚台下11:15 ---- 11:45迦葉山弥勒寺12:30 = 13:00酒蔵誉国光13:35 = 14:10月夜野ビードロパーク14:50 = 15:00水上温泉松乃井(宴会・泊)
二日目:水上温泉松乃井8:55 = 9:15土合口駐車場10:15 = 水上IC = 湯沢IC = 11:30関興寺12:05 = 12:15へぎそば12:50 = 湯沢IC = 水戸IC = 17:25日立電鉄南営業所
(一日目迦葉山和尚台までの歩行軌跡と標高差)

d)同行者:水戸アルパイン会員8名、和子
e)地形図:1/25000 「後閑」

3)山行記録
3−1)一日目
日立自宅5:30 = 5:40日立電鉄南営業所5:50 = 6:00東海 = 6:20勝田 = 6:45水戸 = 7:00水戸IC = 7:15笠間PA7:20 = 8:45波志江PA9:00 = 9:25赤城高原SA9:35 = 9:40沼田IC = 9:55迦葉山入口 = 10:10駐車場10:20 ---- 10:25弥勒寺10:35 ---- 11:10和尚台下11:15 ---- 11:45弥勒寺11:55 ---- 12:00駐車場(昼食)12:30 = 13:00酒蔵誉国光13:35 = 14:10月夜野ビードロパーク14:50 = 15:00水上温泉松乃井(宴会・泊)
 
 我家を5時半に出て、いつものバス会社の駐車場に車を入れて、馴染みの運転手さんに「お久しぶり」と挨拶を交わして特大バスに乗る。東海、勝田、水戸と仲間が乗ってくるが、今回の参加者は10名だけ。ばらばらに席を取ればゆったりはするのだが話しが遠くなる。前三分の一に固まって席を取り、話しに花を咲かせながら進んでいく。
 車窓には、近くに加波山、筑波山がくっきりと見えてきて、その先では遠くにまっ白にお化粧した富士山も見え、栃木県に入っても日光連山などが綺麗に見えてきてみんなを喜ばせる。
(特大車に乗客10名)
(筑波山)

(富士山)
(日光連山)

 群馬県に入ると南部では赤城や榛名の連山や子持山等が近くに見えていたが、北に向かうにつれて空模様が怪しくなってきた。
(榛名連山)
(小野小山・子持山)

 バスは沼田ICで高速を降りて玉原湖へ向かう県道を北上し、迦葉山入口の表示がある部落道に入って行った。途中に参道入口の脇道もあったがバスはそのまま直進、そのうちにヘアピンカーブを繰り返す山道になり、雪も強くなってきたが運転手さんは特大車を巧みに運転しながら平然と登って行く。いくら上手でも対向車が来たらどうするのだろうと心配したが、ここは一方通行で、下りは別の道を下ってくるとのこと。
 弥勒寺の下を通過してすぐのところに広い駐車場があり、バスはここで止まったが、外は雪で一面まっ白。広く立派なトイレを使い上下にカッパを付けて歩き始めた。
(迦葉山入口)
(駐車場)

 ゆるく登るとすぐに弥勒寺本堂の前に出て、先ずは安全登山のお祈りをする。
 左の龍願閣の前を通っていくと中峯堂拝殿の前に出る。拝殿の前には蝋燭の門があり、更にその先には狛犬さんの代わりに対の天狗さまがお寺を守っていた。さすが大天狗で名を馳せたお寺ではある。
(弥勒寺本堂)
(中峰堂拝殿と蝋燭門、対の天狗)

 拝殿の中に入ると、左側に床面から天井まで届くでっかい天狗の面が二つ並んでいた。日本一大きな天狗面だと聞いていたが、目の前にすると圧倒される。
 右の壁にも、すこし小ぶりだが迫力十分な天狗面が奉納されていた。
(左の大天狗)
(右の大天狗)

 拝殿中央の「お返し面」と表示されたところに沢山の天狗面が並んでおり、その右に「お返し面」と表示された台の上におびただしい数の小さな面が置いてあった。迦葉山参りでは、最初の年、中峰堂から天狗面を借りて帰り、次にお参りする機会に借りた面を持ち、さらに門前の店で新しい面を求めて添え、寺に納め、また別の面を借りてくるという、ならわしになっているとのこと(沼田市観光課)。
 蝋燭門には「鎮守中峯寺大開帳厳修 平成二十七年四月二十八日〜五月二十八日、この期間のみ奥殿までご昇殿できます」と書かれていたが、通常はお参りはここまで、中峯寺の奥までお参りできるのは十年に一度とのこと。
(お返し面)
(お借り面)

 天狗面を眺めてから引き返すと、龍願閣と本殿の間の渡り廊下の下に1mほど彫り込まれた通路があり、これが迦葉山への登山口で、ここを潜ると目の前に赤い太鼓橋があり、その先に石段が伸びていた。
 雪が積もった太鼓橋を渡るのは大変。滑り止の桟は付いているが滑りそうで怖い、雪のはり付いた欄干を掴みながら慎重に渡った。
 石段の手前に迦葉山への登山道が別れていたが、これまた雪が積もって怖い急な石段を登って迦葉堂にお参りし、別の丸太の階段を下って登山道に出た。
(渡り廊下の下通路)
(洗心池橋と迦葉堂石段)

 登山道に入ると、始めはなだらかな山道で雪でも滑る心配もなく、洞のある古木や石塔、観音像など眺めながら気楽に登って行ったが、和尚台へ0.3km、15分の道標が立つあたりから傾斜が急になり、根っ子道が出てきたり緊張。
 足元ばかり見ながら登っていてそれまでは気が付かなかったが、うえを見上げると尖がった岩山が見えていた。これが和尚台だった。
(雪中行軍)
(和尚台)

 和尚台の付け根には壊れそうなお堂が立っていて、このお堂には浅間山荘事件で有名な連合赤軍が一時ベースにしていたと言う初めて聞く歴史も聞かされた。お堂の右に大きな岩の割れ目があってこれが胎内潜りという岩場で、道標には「鎖場のため滑落注意」の注意札があり和尚台の頂上まで登ることが出来るらしい。途中まで登ってみるかと入口から覗いてみたが、最初の段差が高くて登りは何とかなっても、ここを降りる自信なくて諦めた。
 迦葉山には胎内潜りを通らなくても、左に巻道があったが、雪も強くなってきて危ないし、せっかく山頂に立っても展望はゼロと思われここで引き返すことになった。
(和尚台下)
(胎内潜り)

 下りは登り以上に雪道に気を遣いながら下山し、迦葉堂を迂回して弥勒寺に下り、中峯堂拝殿の大天狗の前で集合写真を撮って、石段の参道を下ってから駐車場に戻った。
 バスに戻ると運転手さんが味噌汁を作って迎えてくれた。高速のSAで買い込んだおにぎりの昼食も、熱くて美味しい味噌汁が付くと立派なお昼御飯になった。
(下りも雪道に苦闘)
(下りは迦葉堂を迂回)

 迦葉山の山頂まで登らなかったので午後の時間がいっぱい残った。幹事さんはこの事態も計算済みで、2ヶ所の見学場所に連れて行ってくれた。
 最初は川場村の酒蔵誉国光での試飲付きの嬉しい工場見学。可愛いお嬢さんに案内で製造工程を見て回ったが、誉国光は全国品評会でも金賞を受けるなど、関東でも有名な酒蔵らしく、見学コースには歴代首相のサインの入った色紙も飾られていた。見学のお目当ては純米酒、本生原酒零、日本酒仕込梅酒の3種類のお酒を味見できる売店での試飲会、つまみも頂きながら美味しく頂いていい気分になった。次々にバスが入ってきて、お酒を注ぐ人の前には行列が出来ていた。
(誉国光ご案内)
(清酒製造工場)

 次は水上町後閑の月夜野びーどろパークに移動、グラスアート美術館とガラス工場を見学して回った。美術館では美しいガラス工芸品の数々、ガラス工場では時間の経過を忘れて美しい花瓶が出来ていく工程を飽きず眺めていた。
(グラスアート美術館)
(ガラス工場)

 今夜の宿は水上温泉の松乃井、何棟もの建屋を廊下で繋いだ大きなホテル、お風呂に行くにも、食事に行くにも2階までエレベータで下りて廊下を歩いて行かなければならないので、ナビがないと方向音痴になる私には極めて厄介なホテルだった。温泉に入る前に幹事室で前宴会、差し入れのアルコールとつまみで話が弾んだ。
 温泉に行くのにみんなのあとをついて行く。露天風呂に入って気持ちよく外を眺めると、雪が張り付いた木々がライトアップされてとても綺麗、カメラを持ってきて写真を撮った。
(温泉へ)
(露天風呂からの眺め)

 ゆっくり温泉に浸かってから宴会の始まり。品数の多い料理に飲み放題のお酒を飲みながら話が弾んで愉快な時間を過ごした。
 宴会もたけなわになったころ恒例の抽選会になり、和子はあみだで一番くじを当て、中身が見えない袋の景品を慎重に選んで、見事高級なヤッケを手に入れた。色合いから見て私に似合いそうだった。
 毎年宴会が終わってから二次会が行われるが、今年は前宴会もあって幹事さんもお疲れの様子で、幹事室を訪れたがもうお休みになっていた。
(盛大な宴会)
(一等賞)

3−2)二日目:
水上温泉松乃井8:55 = 9:10谷川岳ドライブイン(チェーン装着)9:15 = 9:20土合口駐車場10:15 = 10:35(チェーン外し) = 10:55水上IC = 11:10湯沢IC = 11:30関興寺12:05 = 12:15へぎそば(昼食)12:50 = 13:10湯沢IC = 14:20波志江PA14:30 = 15:45笠間PA15:55 = 16:05水戸IC = 16:45勝田 = 17:10東海 = 17:25日立電鉄南営業所 = 17:35自宅
 
 ぐっすりと眠って翌朝気分よく目覚めると、雪が降っていて外は一面の雪景色。夜中の間に随分雪が降ったようで積雪は昨夜よりもぐっと増えていた。朝風呂に入りに行きがてら、めぐり湯回廊を歩きながら雪景色の写真を撮り捲った。
(翌朝の日本庭園)
(翌朝の中庭)

 バイキングの朝食を腹いっぱい食べて、すぐにバスに乗って出発!と行きたかったが事は簡単ではなかった。夜中の雪で駐車場に雪が積もっていて、ノーマルタイヤで身動きできない一般客の車がたくさんあって、遠く駐車場入口近くに停めたバスが玄関まで入ってこられない事態になっていて、我々はホテルの車に分乗してバスまで運んで貰った。
 今日の山行は谷川岳ロープウエーに乗って天神平まで登ってみようとのこと。谷川岳ロープウエー乗場に向かってR291を北上していくと、周りの家の屋根にも車の上にも厚く雪が積もっている。雪はますます強くなってきて吹雪状態になり、運転手さんはスタッドレスタイヤだけでは心配だと言って、途中、谷川岳ドライブインの駐車場に入ってチェーンを取りつけた。
(雪景色)
(チェーン装着)

 ロープウエー乗場の駐車場に着いたが、吹雪では天神平まで上がっても景色が見えないのではつまらないのでロープウエーは取り止め、幹事さん二人は少し先まで歩いたらどうかと状況探索のため吹雪の中を歩いて登って行った。私も装備をして後を追ってしばらく歩いたが、遅れが大きかったのでどこまで行っても先行の姿が見えず踏み跡も定かならずで、諦めて引き換えして皆さんと一緒に売店の中で二人を待つことにした。30分も待っていて帰ってきた二人の話は「雪が深くて今日の山行は取り止めとし、新潟まで行ってお寺参りをして名物へぎそばの昼食を食べて帰ることにする」との結論だった。
 水上まで引き返しチェーンを外して水上ICから関越道に乗って北上する。長い関越トンネルを通過すると雪は更に深くなる。湯沢ICを降りてR17を北上、R353に入ってから関興寺への道に別れてからは雪が深くなったが、バスは何とか無事駐車場に入った。駐車場には関興寺の沿革についての看板があり「味噌なめたか」という面白い由来話が書いてあった。
 駐車場からお寺に至る道に人が歩ける程度に除雪されていたが、融雪ののために水を流しているところもあり、こんなこともあろうかと持参していた長靴が役に立った。総門の前の門柱の間だけ何故か雪が70cmほど盛り上がっていて乗越えるのに少々厄介、総門を潜った先の除雪は右に曲がっていて、次の「味噌なめたか」の看板がある三門には行けなかった。
(関興寺総門)
(三門には通行不可)

 除雪道を歩いて行くと左に鐘楼を見ながら庫裡に向かっていて、庫裡の前を通って左の入口から本堂に上がる。
 本堂の廊下には龍や獅子などを手彫りした2mも幅がある欄間が12枚嵌め込まれていて壮観、一枚一枚眺めながら先に進む。
(鐘楼の右に除雪道)
(透かし彫りの本堂廊下)

 本堂の中に入ると、ご本尊の釈迦牟尼佛や千手観音、屋久杉の襖など、これまた見事な芸術品が並んでいてじっくり拝観させて頂く。
(千手観音)
(屋久杉の襖)

 廊下からそとを眺めると雪の積もった庭の向こうに経堂が見え、その前には雪で埋まった臥龍庭があった。雪がなければ、岩を龍に見立てて、龍が寝ている姿を現しているという枯山水の臥龍庭が眺められ、六角輪蔵と呼ばれる一切経が収蔵された回転式の書架をもつ経堂の中も見ることが出来たらしいのだが。
 お宝を眺めさせていただきながらお寺の中を回って入口近くまで戻ると、お茶が注がれた湯のみが並んでいて、その先に味噌が入った壺が置いてあった。入口の案内板にあったように福徳が授かるように有り難く一口舐めさせていただいた。
(経堂と臥龍庭)
(味噌なめたか)

 再びR17に戻って更に塩沢まで北上して、団体客専用へぎそば店舗「和たび」に入った。予約されていたようで、しばらく待つと「へぎ」に並べられた出来たてのそばと野菜の天ぷらが出てきた。
 そば粉のつなぎに布海苔が使われるとのことで緑がかった独特の色合いがあり、コシがあって喉ごしもなめらかなで言う事なし、わざわざここまで案内してきてくれた幹事さんのこだわりが理解できた。幹事肝いりのビールも美味かった。
(へぎそば)
(野菜の天ぷら)

 食事が終わったら後は茨城に帰るのみ、湯沢辺りの雪はますますひどくなり、次々に現れるスキー場や厚く雪が積もった森や家々を眺めながらR17から関越道に乗り、茨城に帰ってくると空は青空になってきた。茨城の住みやすさを有り難く思う。山歩きがなくなったお蔭で、水戸に帰り着いたのは予定よりも3時間も早かった。
(新潟は吹雪)
(茨城は晴れていた)



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