C34.三鈷室山・妙見山・前室山(MAC)

1.動 機
 水戸アルパインクラブの今年度の最後の3月山行として「三鈷室山・妙見山・前室山ハイキング」が案内された。この山行は去年の3月に行われる予定だったのが悪天候で中止になり、そのリベンジだった。三鈷室山は山菜採りに何度も登ったことがあるし、妙見山と前室山にも今回と反対側からだったが4年前に登ったことがあるが、仲間と一緒に歩くのが楽しみで参加した。11kmのロングコースは、覚悟していた藪漕ぎも意外と少なくて、幹事の下山さんと平野さんに案内されて、林道や山道を織り交ぜて賑やかに楽しく歩くことができた。

2.データ
a)山域:三鈷室山(870)、妙見山(880)、前室山(880)
b)登山日:2015/03/26(木)
c)日程:自宅6:15 = 6:25日立電鉄南営業所6:30 = 6:45東海駅6:55 = 7:20勝田 = 7:35水戸駅 = 8:15那珂町 = 9:00道の駅さとみ9:10 = 9:30里川宿三鈷室登山口9:40 ---- 9:55道標始点10:00 ---- 10:15穴熊林道 ---- 10:30尾根道分岐 ---- 11:20三鈷室山頂(昼食)12:05 ---- 12:35市道岡見線出合12:40 ---- 13:05妙見山13:20 ---- 13:35前室山13:40 ---- 13:50猿喰林道出合13:55 ---- 14:20里川宿三角点14:30 ---- 14:35林道終点 ---- 15:00中子川湯歩道 ---- 15:10里川コミュニテイーセンタ前15:15 = 15:32里見直販所15:45 = 16:40那珂町 = 17:00水戸駅 = 17:15勝田 = 17:45東海駅 = 18:00日立電鉄南営業所 = スーパ = 18:30 自宅
(三鈷室山・妙見山・前室山歩行ルート)

(三鈷室山・妙見山・前室山歩行ルートの高低差)

d)同行者:水戸アルパインクラブ会員12名、和子
e)地形図:1/25000 「里見牧場」

3.山行記録
 手配の手違いで早めにバス会社を出発して東海駅で待機、東海駅から平野さん、勝田から下山さんの両幹事が乗ってきて、水戸、那珂町と廻って今回の参加者14名が揃う。地図が配られて歩行コースの説明を受けながら国道349を北上、道の駅さとみでトイレ休憩、県道22に曲がっていくと、我家が何度か車で三鈷室山頂に向かったことのある分岐がある。バスはこの分岐を過ぎたところで停まった。ここが県道から三鈷室山に歩いて登る登山口で、案内板には山頂まで4168mとあった。
 脇の高みには里川林道記念碑や庚申供養塔、法印一僧抵祐観の墓などと一緒に、三鈷室碑と読める字が刻まれた漢字の羅列がある石碑が立っていたが風化で判読不能。5年前の「Y61.妙見山と前室山(三鈷室の2つの峰)」には次のように書いている。(この時、我家がこの石碑を実際に読んだわけではなく、NETからの引用だ。)
    「宝亀7年(776)、行基菩薩が当地に来て、狼の害を取り除くため、害が最も多い三峰のまず中峰を開いて観音を祀り、前峰に霊符を置いた。その後、後峰に上って法を修し塚を築いてそこに法器を埋めたので、この三峰を三鈷室と称した。土地のものは祭祀を行っている間はよかったが、祭祀が途絶えた天明年間(1781-1788)には再び狼の害が多くなってきた。そこで前峰に妙見を祀って鎮護したところ群狼はいなくなり、平穏になった」
    これから察すると、三鈷室山と前室山、妙見山の三山を合わせて三鈷室と言い、妙見山が前峰、前室が中峰、三鈷室山が後峰と言うことになりそうだ。
 登山口で準備運動をして歩き始める。杉林に向かって歩いて行くので花粉症が心配だったが、幸い、落ちている枝を見ると、杉の実はまだ花開いていなかった。
(三鈷室碑)
(杉林の林道)

 常陸太田市の里川霊園の脇から杉林の中の林道歩きになり、林道終点で衣服調整で一休み。ここから道幅が少し狭くなり、ヤマアジサイの枯木が続くところもあり、季節には綺麗で賑やかなアジサイを見られそうだった。
 ここにコマクサ会の名が入った「⇒三鈷室山」の道標が建っていて、この先、この道標に頻繁出会うことになる。その先の道標のところには、山頂までの距離を示す別の道標も立っていた。 
(ヤマアジサイ群生)
(山頂まで2826m)

 その先で林道に出て、20分近く歩くと「コース入口、山頂へ1880m」の道標があり、左手の尾根道に入っていく。
(熊穴林道)
(尾根道分岐:山頂まで1880m)

 コースには山桜が多く、中には二人で手を繋げないほどの大木もあった。
 このコースは福島県と茨城県の境界に作られていて、右の茨城県側は杉の植林、左の福島県側は広葉樹の自然林とはっきりと別れているのが面白い。
(山桜の大木)
(左福島の自然林、右茨城の植林)

 先頭を行く平野さんが「キュウリが見えるよ」と言いながら土手に上がって行ったが、「今日はキュウリも那須も見えないよ」とみんなを笑わせていた。少し先で私も土手に上がってみると、木の枝が邪魔だったが、那須連山が白くうっすらと見えていた。
 コース中、反対側の樹木の間から里美牧場の風車群がよく見えるようになってきた。風車のある風景は気持がいい。
(那須連山)
(里美牧場)

 尾根道を気持ちよく歩いて行くと山頂まで100mの道標があり、広い芝生の広場に出た。ここから一登りで、通信鉄塔の建つ三鈷室山頂に登りつく。
(山頂下の広場)
(山頂の通信鉄塔)

 山頂には大きな山名板が立ち、信仰の山らしく幾つか小さな石碑が祀ってあった。
 三角点山古室は山頂から少し外れた笹薮の中にがあり、親切な平野さんが周りを綺麗に彫り出してから、みんなにその所在を教えてくれた。教えられないと、素人にはとても見つけられそうにもない所だった。
(石碑)
(三古室三角点)

 通信鉄塔の東側が広く開けていて、これから登る妙見山、前室山の右に北茨城の山並みがずらりと広がっている。どれがどの山だかよく判らないが、風車の並ぶ里美牧場の向こうに尖って見えるのは竪破山か?
(三鈷室山山頂からの展望)

 鉄塔前に集まって弁当を広げ、山名板の前で集合写真を撮ってから下山にかかった。始め妙見山、前室山を正面に見ながら舗装された林道を歩き、10分ほどでまた山道に入った。
(林道を下る)
(また山道へ)

 山道を少し歩くと、丸太が綺麗に重ねられている林道に出た。丸太の列は50m以上もありそうだ。間伐材を処理した丸太と思われるが、今時は間伐材が邪魔者扱いにされていると聞いており、こんなに大量な丸太の山は見たことがない。
 この林道を横切って、次の植林に入ると、杉の木は綺麗に枝払いをされており、下草も刈り払ってあって気持良く歩けた。
(市道岡見線)
(美林)

 気持ちの良い植林を抜けると、地図にない林道があり、路面に残雪が残る林道に出た。地図にはこの辺りに林道は表示されていないと思ったのだが−−−
 林道からまた植林に入ると、こっちの植林には切り倒された倒木がそのまま放置されていて、これを跨ぎながら障害物競走さながらの山歩きになった。
(地図にない林道)
(放置倒木)

 登り切ると 山頂には漆平三角点があり、石祠があった。石祠の横面には寛政十二年の文字が見える。江戸時代だ。一休みし、この山頂でも祠の前で集合写真を撮って次の前室山に向かって下って行った
(妙見山)
(下って)

 自然林の中を登り返していくと、すぐに前室山の文字を彫り込んだ見覚えのある石碑が立つ山頂に登りつく。
 石碑の裏に彫ってある由来書の内容は、また「Y61.妙見山と前室山(三鈷室の2つの峰)」を引用する。
    「旧里美村民族文化財に指定されている「三鈷室の碑」に観える様に、里川には前室、妙見、三鈷室の三ツの峰あり。然し前室には是を示すものなにも無く、近年住民の間に其の存在すら定かならぬ者多し。依って先人の祈りを偲び、敬いて定之。平成二十二年三月吉日 里川町会 会長 荷見誠 撰文 荷見玄徳 高田石材店 刻」
(また登って)
(前室山)

 石碑の前で集合写真を撮って、これからは下り一方。前室山からの下りは自然林の中で、曲がりくねっていたり、くちばしを突きだして隣の木にキッスしていたりなど、面白い形に変形木があって目を楽しませてくれた。
(奇形樹)

 林道に出ると「猿喰林道一号支線2689m」の立札があり、この林道を歩いて行くと、ここにも路面に雪が残っているところがあった。この雪は冬に降った根雪ではなく、3日前の大洗史跡めぐりの帰りに雨が降り出した時に、ここでは雪が降っていたのだろう。
(猿喰林道出合)
(凍った路面)

 林道の途中で、「この近くに三角点標石があるので探しましょう」とトップを歩いていた下山さんが立ち止った。三角点は埋まってしまっているのか見つけることができなかったが、平野さんに案内してもらった展望所からの里見牧場の眺めは気持ちが良かった。
(展望所からの里美牧場)

 猿喰林道は行止りになり、そこから山道の下りになった。始めこそ少し藪を漕いだが、すぐに手入れの良い植林の中の下りになり、各自適当にジグザグに下って行った。
(林道終点)
(植林の中をジグザクに)

 下ったところに小さな流れがあり、流れのそばのなだらかな遊歩道を歩いて行くと、車道への出口に「中子川遊歩道」の標識が立っていた。
(中子川遊歩道)

 車道を少し歩くと民家の庭や畑に福寿草の群落があり、まだ咲き残りの黄色い花が残っていて、可愛い花を見ることができてラッキーでした。
(福寿草)

 そのまま市道岡見線を歩いて行くと、出口の県道沿いにある里川コミュニティーセンタの前にバスが待っていた。
(市道岡見線)
(終点:里川コミセン)

 バスは予定通りの時間に出発することができて、渋滞にはまることもなく快調に走って行く。途中、彩り派手やかに塗られた水郡線の電車が通ると、何にでもシャッタを切る私に「川本さん、綺麗だよ」と声がかかった。
 東海駅で最後の平野さんが降りてからはバスの中は我が家だけ、久慈川を渡る頃丁度日没になり、夕焼けが綺麗だった。赤く沈む夕日を見て慌ててカメラを構えたが、夕日はすぐには山の陰に隠れてしまった。
(水郡線の電車)
(久慈川と夕焼け)





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