朝食をとらないで我が家を出発、大甕駅から5時58分発のときわ58号に乗り、車内で朝食を食べて上野駅で乗り換え、神田駅で中央快速青梅行きに乗り換えた。乗り換える駅や時刻はあらかじめNETで調べてはいたが、慣れない路線の電車での移動、時計を見たり通過する駅名を確認したりなかなか疲れる。10時過ぎに無事に終点の奥多摩駅に到着した時はホッとした。
駅前の観光案内所で地図を見たりして時間を潰し、10時33分発小菅の湯行きのバスに乗って奥多摩湖に向かう。
この時間には途中のバス停で乗る人は少なくて、バスはノンストップでどんどん走って奥多摩湖に5分も早く着いた。1957年の竣工時には世界最大規模だった水道専用貯水池の奥多摩湖と、これを堰き止めた小河内ダムの堰堤をしばし眺めた。奥多摩湖越しに御前山の山並みを眺めて、今日は随分と歩かなければならないのだなあ、と今更ながら気おくれもしてきた。
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(奥多摩駅) | (奥多摩湖) |
巨大なダム水門の施設の上を歩き、長い堰堤上の道を歩いて行くと、右下100mに出力2万kWの第一奥多摩発電所が見えていた。1957年の建設だから私との関わりはないが、水力発電所を見るとどうしてもシャッタを押したくなる。
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(小河内ダムの水門施設) | (多摩川第一発電所) |
堰堤上に展望塔があり、入口で話し合い中の男性にきくと「どうぞ」とのことなので、最上階まで上がってみた。「高度恐怖症の人にはきついですよ」とのことだったが、ガラス窓は開くことができず、迫力今一つ。御前山方向や奥多摩湖をガラス越しに眺めてすぐに下りた。
入口の男性と話していると「鹿の食害でカタクリの花は全滅らしいよ」と聞いて、少しがっかりさせられる。
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(展望塔からの眺め) |
長い堰堤を渡りきったところに小公園があり、左手の駐車場の奥が御前山への登山口になっていた。
のっけからなかなかの急登、ゆっくり登って、途中の展望広場にも頂上広場にも立ち寄らないでひたすら登って行った。
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(登山口) | (急登) |
サス沢山近くまで登ると、もう上から下ってくる男性に出会った。挨拶だけして交差したが、この時間に登り始める我家の計画は無謀だったかなと思わされる。
ピークに登りついたが「サス沢山」を示す何物もなく、なだらかな山頂部を歩いて行くとすぐ下りになった。そこで弁当を広げて昼休み。さきほどのピークをサス沢山としてバス停から歩行時間は1時間25分、ガイドブックのコースタイム1時間よりも随分かかっている。この調子で歩いていては下山が暗くなってしまうと、そそくさと昼食を済ませて次に向かった。
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(サス沢山近く) | (サス沢山から下る) |
サス沢山を過ぎたあたりからカタクリの葉っぱだけが見られるようになったが花はなく、ヤッパリ駄目なのかとがっかりしているとハルリンドウの鮮やかな花が見られ、カタクリの花もちらほら見られる様になってきた。
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(ハルリンドウ) | (カタクリ) |
鞍部の岩っぽい道を過ぎ、惣岳山の登りにかかると単独行の女性が下ってきて「惣岳山の向こうはカタクリが綺麗ですよ」と励ましてくれた。
まわりはコバイケイソウが一杯生えていて、時期には素晴らしい眺めになりそうだった。コバイケイソウは有毒なので鹿も寄りつかず、カタクリに代わって御前山の名物になるのかも。
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(惣岳山手前の鞍部) | (コバイケイソウ) |
ちらほらのカタクリの他にも、スミレやハシリドコロ、キジムシロ、ニリンソウなど色々な野の花が目を慰めてくれる。
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(アリアケスミレ?) | (ハシリドコロ) |
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(キジムシロ) | (ニリンソウ) |
エイザンスミレを見た先のピークに「惣岳山1348.5m」の山頂標柱が立っていた。予定の時間に追いついてきて一安堵。
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(エイザンスミレ) | (惣岳山) |
惣岳山で一息入れて御前山に向かうと、登山道の両側にロープが張られていた。植生保護のために登山者が立入らないようにとの策だが、鹿には効き目はなさそう。
カタクリの花は多くはなってきたが、ところどころまばらに花開いているだけ、茨城県人には少し寂しい。
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(御前山とロープ柵) | (寂しいカタクリ) |
更にいくと、右手に黒い網で囲われた所が見えてきた。これなら鹿も入れない、カタクリの花も賑やかに咲いている。網越しに見るので少々味気ないのは致し方ないか。
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(鹿除け網の中のカタクリ群生) |
御前山山頂に近づくと、左手に展望所があり、雲取山から鷹ノ巣山の石尾根、その向こうに秩父の山々が見えていた。
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(展望所@から:雲取山から石尾根) |
その少し先にベンチがあり、右手に富士山が大きく見える場所らしいが、今日は霞んでいてちっとも見えない。近くに三頭山が見え、その右に大菩薩嶺あたりの山並みがうっすらと見えていた。
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(展望所Aから:三頭山方向) |
ひと頑張りして御前山の山頂に到着! 早速、山頂標柱の前で証拠写真を撮った。たくさんのベンチが並ぶ御前山山頂でコーヒの乾杯。
御前山からの下りは階段になったところもあって登りよりも急な感じで始まった。
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(御前山山頂) | (下り) |
こちら側にも咲いていたカタクリの花に喜びながら急坂を下ると大ダワ沢への分岐があり、これを直進すれば、
13年前に大岳山に登った時に下山した鋸山のコースを下って奥多摩駅まで歩くことができるはずだが、今では論外。行き先を示す分岐指導標に「奥多摩都民の森、体験の森案内図」が取付けてあった。この案内図は惣岳山のところから始まり、この先も分岐ごとに取付けてあった。
指導標に従って少し下ったところに綺麗に管理されている御前山避難小屋があった。
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(大ダワ湯久保分岐) | (御前山避難小屋) |
ここからの登山道脇にも、カタクリ、エンレイソウ、ネコノメソウ、ニリンソウなど、いろいろな花が見られて嬉しい山歩き。
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(カタクリ) | (エンレイソウ) |
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(ネコノメソウ) | (ニリンソウ) |
やがて道は舗装された車道になったが、道傍にモミジイチゴ、ミツバツツジなどの花を愛でながら歩いて行くとトチノキ広場についた。
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(車道歩き) | (モミジイチゴ) |
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(ミツバツツジ) | (トチノキ広場) |
タチツボスミレやケマンソウ、キケマンなどの花を眺めながら車道を気分良く歩いて行き、分岐標に取り付けられた体験の森案内図を見てガックリ。ここはヒノキ広場を経て御前山への分岐点で、予定の栃寄大滝を通る登山道から大きくずれている。引き返すにはすでに遅い、そのまま車道歩きを続けるしかない。
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(タチツボスミレ) | (ケマンソウ) |
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(キケマン) | (分岐標) |
ダラダラと続く車道を下って行くと、ボタンザクラが満開の公園があり、その下から集落の家並みが見えてきた。
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(ボタンザクラ) | (集落が見えてきた) |
深紅のハナカイドウの花が咲く民家の前にいたご婦人に「ここから境橋へは出られますか」ときくと「このまま道を歩いて行くと境橋だよ。バス停は橋の中ほどにあるよ。昔は子供たちが学校に通うために毎日歩いていた。30分のあれば着くだろうよ」とのこと。
そのすぐ先に公共施設らしい建物があり、玄関には「栃寄森の家」の看板があった。
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(ハナカイドウ) | (栃寄森の家) |
小さな集落を過ぎると、曲がり角から谷間を流れ下る小さな滝が見え、これを「栃寄大滝」の代わりにしてシャッタを押した。
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(小滝) | (ヤマブキ) |
集落からヤマブキなどの花を眺めながら10分も下るとこの先「行き止り」分岐標があり、さらにもう10分下るとまた体験の森案内図があり、ここがNo1の分岐点だった。ここから栃寄大滝への登山道が分岐しているのだが、その入口には「崩落により通行できません」と通行止めがしてあった。という事は、ここからトチノキ広場に上がるには我が家と同じく車道歩きをするしかなかったのかもしれない。
通行禁止の分岐から少し下ると釣り堀の案内板があり、その上の養魚場で餌を播いている男性の姿があった。ここまでわざわざ釣りに来る人がいないだろうから、体験の森に遊びに来て栃寄森の家などに泊った人達が遊ぶ所かな。
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(通行禁止) | (釣り堀) |
車道歩きはまだまだ続く。通行禁止の分岐からさらに10分下ったところで、やっと行く手の谷間にかかる青い境橋が見えてきた。まだまだ遠いなあ。