D111.県北アート・常陸太田北部と大子の街 1.動 機 前回の県北アート常陸太田の時に時間切れで見そびれた常陸太田北部のポイントを見てから、袋田の滝入口トンネルの中の幻想的なモチーフを見ようとの計画で出発した。袋田の滝分岐まで来て、袋田の滝は暗くなってからでもいいから、その前についでに大子駅近くのポイントも見てみようと寄道することにした。ところが、大子駅前のポイントが意外に多くて、見終わった時には袋田の滝の入場制限時間に間に合わないことになって、肝心の袋田の滝の幻想的なモチーフは次の機会にすることになってしまいました。 2.データ b)登山日:2016/11/02(水)晴 c)コースタイム:自宅12:00 = 12:35松平休耕地(D-03)12:45 = 13:10竜神大吊橋(D-01)14:35 = 14:40竜ちゃんの湯(D-02休館) = 15:20大子駅前観光協会(F-17) 15:25 ---- 15:30麗潤館(F-09〜F-15)15:55 ---- 16:05地域おこし協力隊事務所(F-16)16:15 ---- 16:25大子駅前観光協会16:30 = 17:10水府直販所17:15 = 17:45自宅 d)同行者:和子
3.山行記録 我家を10時前に出て、常陸太田市街はずれのJA直販店手前の交差点にアートフェステイバルの旗が立っていて道標が立っていた。田舎道に入って走っていくと県道33からR461に繋いで峠を越えたところで袋田の滝への近道に入ると、草ぼうぼうの空地に羊が遊んでいる。動かないので模型だと分かる。 更に走っていくと、左への分岐にライオンの模型があって道案内していた。
三次元模型のように見えたが、真横から見て初めて二次元の平板模型であることが分かり、上手に描かれていることにびっくりした。 D-03:「ART ZOO」:サファリパークプロジェクト in 常陸太田 「羊飼いプロジェクト」を中心に国内外で多数の展覧会をやプロジェクトを実施する井上信太は、近年、ジャンルを超えたアーティストとのコラボレーションや、劇場、能舞台、茶室など新しい空間での作品発表に積極的に取り組み、平面作品の新たな可能性を探っています。本展では、松平の広大な丘を舞台に、絵画で作られた動物たちを放牧します。顔のない4本足の生き物が描かれたおよそ250枚のパネル。三次元の空間と二次元のイメージが交錯する時、鑑賞者に新たなコミュニケーションを誘発します。国境を越え、ボーダレスな生き方の象徴となる「羊飼い」の生き方に感銘をうけた作家が自ら動物の飼い主となり、私たちを自由な旅へと誘います。
石碑の奥にはチラホラ咲き始めている数本の寒桜が並んでいて綺麗だった。
次は県道に出て竜神大吊橋に向かう。吊橋入口である水府物産センタの駐車場に入ると、目の前に吊橋をワイヤで引っ張って支える大きなコンクリートの土台が色鮮やかに彩られていた。水府小学校の生徒のアイデアを専門アーテイストが「水府の精霊」と題して絵にしたものだとのこと。
女性の指示に従った形で梯子をするすると登っていき、てっぺんで片手での逆立ちをして大喝采を受けて得意顔。
吊橋を渡っていると、向うからはジャンプをしたグループとも出会ったが、みんな安全帯を付けて満足げな笑顔だった。
D-01:山海魚 LOVE 山か、海か、魚か?河川から山にのぼる魚、山から海にむかう魚、空にのぼる魚、太陽を食べる魚、山と海と対話をする「山海魚」。魚は愛と豊穣をあらわし、我々に世界の創造について考えさせます。山の魚と海の魚の出会いは、家族、恋人、愛のシンボルです。 魚の表皮はゴミとなるレジ袋でできています。ビニールやプラスティックなど再利用可能な資源は、自然と人間をつなぐ第二の自然と言えるでしょう。これらはゴムの木や石油(鉱物資源)からできていることを忘れないでください。 チェは語ります。「この作品は天人合一そのものです。時にアートは見捨てられたものや愛のある生活を回想させるもの。アートは生きることそのものなのです。あなたもアーティスト、だれもがアーティスト。すべてがアートです。アートはなにかを説明するために存在するのではありません。アートに触れた時、私たちの心にわきおこったもの、それが答えなのです。」
国道に戻って北上して袋田の滝への分岐に来たが、ここで時刻はまだ15時過ぎ、袋田の滝入口のトンネルは閉鎖時間の17時近くなって暗くなっても見るには支障ない。マップを見ると、少し先に行った大子駅前に何カ所も展示ポイントがあるらしい。明るいうちにそちらを見ておこうと大子駅前に向かった。 大子駅前には大子駅前観光協会「まいん」の広い駐車場があったので、ここに車を入れた。まいんには東京芸術大学の学生が中心になって活動したプロジェクトの一部展示があり、80枚のグループ構成員の顔写真が貼り付けてあった。指導者らしき年配の芸術家もいたが、ほとんどは若者、中には中学生と思しき顔や東南アジア系の顔もあった。 F-17:8days in daigo、Kindecoプロジェクト、ほか 2015年に東京藝術大学が大子町の協力のもと「藝大子アートプロジェクト」として活動を始めました。タイ・シラパコーン大学、インドネシア国立芸術大学デンパサール校を招聘しての展開となりました。 本年は、タイ・シラパコーン大学、ベトナム美術大学を招聘し、写真や漆のワークショップの実施と、大子町各所において東京藝術大学油画チームによる展示、彫刻チームの屋内外での作品展示、漆芸チームによる作品制作展示、金工チームの金属による装飾展示等多種多様に展開いたします。 女の子に怪しげな手がまとわりついたり、挟みの柄に顔が彫られた絵など、洋画チームの作品と思われる何をも不可解な絵が並んでいた。
最初に見たところは、和子がたしなむ茶道に関連した「茶の本」と題した部屋、畳を敷かれた部屋には片隅に茶道具が置かれているだけ、壁一面には文字の様なものが描かれていた。和子はその前に神妙な顔をして座っていたが、何を感じ取ったのだろうか。 F-09:茶の本 芸術祭の「海か、山か、芸術か?」の題字を担当した書家の木下真理子。彼女にとって初の取り組みとなるインスタレーションは、岡倉天心の『茶の本』(1906)から触発された言葉を、西の内紙に書作し、それらを分断して再構築するという、書の新しい表現による作品です。木下は、分化した文字の断片・断片がさながら「気」というエネルギーとして次元を超えて交差する、と述べています。中央の畳に座り、『茶の本』の世界観が一つの「茶室」に見立てられた空間と対話してみてください。「大切なことは文字に残すのではなく心から心へ伝達する」「ひたすら座禅することで悟りを体験する」。禅思想の「不立文字(ふりゅうもんじ)」に基づき作家が述べた言葉のように、110年前の天心からのメッセージを感受していただけることでしょう。 漆文化の拠点なので、漆の展示がたくさんあった。現代アートとしては、何やらくねくねと曲がりくねった帯のようなものが、漆で綺麗な光沢を持って塗りあげられててかてかに光って美しい曲線模様を描いていた。似たような形で赤と黒のものがあった。 A-10:japan? 3Dプリントした造形に漆を塗るなど、最新技術と伝統工芸により新たな造形を探求する企業兼クリエイティブチームsecca。メンバーの上町達也と柳井友一による作品のタイトルは「japan?」です。英語で「japan」とは、漆の意味。縄文時代に遡る漆は、塗料や接着剤としてこの国の文化を担ってきました。しかし明治以降の輸入や前世紀のウレタン塗料の登場で、和漆は希少なものとなりました。seccaは高い透明度をもつ奥久慈漆と中国産の漆、そして漆を模した化学塗料を対比させた新作を通して漆をめぐる現状に一石を投じます。「漆の違いを見分けることができるのだろうか。見分けることに意味があるのだろうか」と。
F:11:Life Record ー生成と生業ー 樹木の成長の跡、人によって使われてきたものに残る痕跡、それらの美しさを留める、宮原克人の「装飾器」を中心に展開します。割り板や樹皮、大子町で集められた古材で作られた装飾器は、器であり道具であり彫刻です。木や漆の特徴を生かした繊細な作品たちで構成された空間は、個々の装飾器の美と共に、その総体で宮原ならではの静謐な世界を創出しています。それはこの土地や人々の生活に寄り添う装飾器の提案でもあるでしょう。この建物は、和漆を推進するNPO・麗潤館により運営されており、向かいの部屋は漆を体感いただける常設展示となっています。そちらもぜひご体験ください。
F-12:森の音のゆくえを辿って 土地の記憶や深層へと分け入り作品を制作するエレナ・トゥタッチコワ。大子の林業に焦点を当て、関係者の協力のもとインタビューや写真撮影を行い、伐採現場へも足を運びました。作品は2部屋に分かれています。一つめは、現場で最も心に響いたという「山の音」を聴いてもらうための部屋。もう一つは写真、楽譜、地図やテキストなどの資料で構成された部屋です。木を切り倒す時の音をエレナは、「一木一曲」が「まるで森全体が参加する、チェーンソーと笛と木のための歌」と表現しています。展示されている楽譜は、アーティスト自らが林業現場の音を想像力を込めて譜面化したものです。音を軸に、林業に生きる人々との出会いを通して、自然と人と産業との密接なつながりを感じさせてくれる作品です。
F13:干渉する浮遊体 シャボン玉は、はかなく消えるもの。そのようなイメージを打ち破る作品です。メンバーはアビルショウゴ、甲斐桜、さとうひろき、橋本次郎、菱田真史、水落大、柳澤祐磨。「ハッカソン」という方法で、彫刻家やデザイナー、建築家、音楽家、科学者、プログラマー、エンジニアなど多彩なメンバーが出会いチームを組むことで実現されました。ガラスの器の中のシャボン玉は、下まで落下することなく中空に浮遊しています。膜表面の虹色の干渉模様がたえず流動し、周囲のものが映り込み見る者を魅了してやみません。シャボン玉の動きには、音や光(映像)が呼応しています。アートと科学、工芸の創造的な出会いが、これまでにない美と体験を生み出したのです。 次の間には、明るい幾何映像の前に常陸太田の自然休暇村で見た折り紙ミューテーションと同じ鶴の折り紙が幾つか天井から吊るされて、美しいコントラストを示していた。 F-15:折り紙ミューテーション ゲオアグ・トレメルと福原志保を中心にしたアーティスティックリサーチ・フレームワーク「BCL」の新作です。吊り下げられた西の内紙による折り鶴は、じつは最先端のバイオアートを取り入れたものです。DNA鎖を折り曲げ、ナノサイズで構築できる構造体「DNA折り紙」を和紙に入れ込むことで、本作はDNA折り紙による折り紙、という二重の意味を得ました。ひも状の DNA(一次元)が、ある温度下でDNA折り紙(三次元)に変化することと、楮(こうぞ)の繊維(一次元)が和紙(二次元)を経て、折り紙(三次元)になることが関連づけられています。DNAがRNAに転写されてできたアミノ酸がタンパク質となるように、「折り込み」から生命が形成されるのです。常陸太田市の旧自然休養村管理センターでは、複数の折り紙によるインスタレーションを展開しています。
別のガラス塊の中には、稲妻が炸裂したような図形が埋め込まれていた。 F-14:velvet order(柔らかい秩序)2016 autumn sunlight 室内には屏風とパネルが置かれ、周りに楮の木が配置されています。作品には、繊細な線や点で自然に見られるかのような形態が描かれています。これらの形態は手作業ではなく、コンピューター上のプログラミングによるものです。数式の演算を繰り返して生まれた膨大な数の造形から厳選し、ピクセル単位で調整を重ねました。パネルの作品は、きめの細かさで有名な県北産の西の内紙に出力、金泥の上書きを施すことで柔らかな光が加わり、緻密な世界があますところなく表現されています。木本の美学がコンピュータと伝統工芸をしなやかに結びつけたのです。日立シビックセンターのプラネタリウムでは、ドーム型の画面を生かしたダイナミックな映像を体験いただけます。
有難うございます」と丁重に迎え入れられて、入口が暗幕で仕切らた部屋に入ると、5.6台のテレビが並んでいて、大子の自然と生活を昔撮られたフイルム映像が再生されていた。テレビの前に置かれた椅子に座って、ピアノ演奏のBGMを聞きながら、故郷の昔に思いをよせながら見させて貰った。 F16:大子 ロスト・アンド・ファウンド 大子町の人々が数十年前に撮影した8mmフィルム。そこには久慈川上流に位置し、豊かな自然と長い歴史を持つこの町の、当時の行事や人々の表情が生き生きと記録されています。地元の有志が発見した貴重な映像を、ソンミン・アンはオリジナルの音源と共に現代に蘇らせました。音源は、作家自身がリサーチの際に発見したこの地方の音楽を、ベルリンのピアニストがアレンジし演奏したものです。懐かしいブラウン管TVに映像が流れ、ソンミンの音が伴奏します。大子を知る人にとっても、初めて訪れる人にとっても、懐かしく、新鮮な出会いとなるでしょう。
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