G104.韓国、米国発電所出張

 1985年12月に韓国の華川発電所(落差73m、出力3万kWフランシス水車4台)、1986年1月に米国カルフォニアのフライアントカーン発電所(落差36m、出力2万kW筒型水車1台)とヘルムス発電所(落差531m、出力41万kWポンプ水車3台)、1年半おいて1987年9月に米国のブレンハイムギルボア発電所(落差339m、出力30万kWポンプ水車4台)に出張している。今までの海外出張のようなゆとりはなかったようで、観光写真はほとんど残っていなくて面白くないでしょう。国内発電所でも面白い観光写真は結構あるのですが、キリがないので次からも海外出張だけに限定して報告します。

1.韓国華川発電所(1985年12月26日〜86年1月1日)
 華川発電所は北朝鮮との国境近くにある発電所で、ソウル空港からバスで華川に向かったようで、車窓から撮ったソウル市の写真が数枚残っている。
(往路のソウル郊外)
 帰りに撮ったソウル市街もある。
 華川の町は北漢江沿いにあり、街のすぐ前に大きな橋があった。この川は華川発電所の下ダムだった。
(帰路のソウル市街)
(北漢江の橋)
 漢江沿いを上流にいくと華川ダムがあり、発電所への4本の鉄管が見えていた。ダムの落差は76m、3万kWの水車が4台ある。
 華川発電所についてNETには
    日本統治時代の朝鮮における第二次世界大戦下で日本人により建設された。1939年7月に漢江水力電気株式会社が建設を開始し、1944年10月に完工した。最初の発電機はその数ヶ月前に稼動し、10月に第二の発電機が稼動した。第三の発電機は1957年に稼働し、最後に第四の発電機が1968年に導入されている。上流に平和のダムが2005年に完成する前に、北朝鮮の任南ダムの崩壊または任南ダムからの過度の放流に対する第一の防御線として機能した。
とあり、私が出張したのは4台の水車のうち、最後の4号機の試運転のためだったらしい。
 ダムの上には広い上池が広がっていた。
(入口鉄管)
(上池:破虜湖=華川湖)
 ダムの下にある発電所脇にある変圧器や遮断機などの写真を見ると、送電機材は皆古びた感じがする。NETの説明では、発電所ができてから25年もたっているのだから当たり前か。
 発電所内には4台の発電機が並んでいるが、一番手前のもの一番手前が今回運開する4号機みたい。


(送電システム)
(4台の発電機)

2.米国マデラ、フライアントカーン発電所・ヘルムス発電所(1986年1月15日〜1月27日)
 韓国から帰国して、2週間後アメリカカルフォニア州の2つの発電所に出張している。一つ目はフレズノ北を流れるサンジョアキン川を、フライアントダムで堰き止めて造られたミラートン湖から、北に分かれるマデラ運河と、南に分かれるフライアントカーン運河、それぞれの入口に造られた発電所である。マデラ発電所は落差44m、出力1万kWの筒型水車1台、フライアントカーン発電所は落差36m、出力2万kWの筒型水車1台。
    Friant Dam's primary purpose is to capture the fluctuating flows of the San Joaquin River and divert the water for irrigation through the Friant-Kern and Madera Canals. The Friant-Kern Canal is 151.8 mi (244.3 km) long, extending south from the dam to the Kern River near Bakersfield, and has an initial diversion capacity of 5,000 cubic feet per second (140 m3/s); the 35.9-mile (57.8 km) Madera Canal, which has a capacity of up to 1,000 cubic feet per second (28 m3/s), travels north from the dam to the Chowchilla River.
(フライアントダム)
(ダム湖)

 フライアントダムの仕事が終わって、次のヘルムス発電所に向かう。ミラートン湖からさらに西に進んだ高地のシエラネバダ森林公園の中にあり、下池のウイッションダム湖を下池、コートライト貯水池を上池にする落差532m,出力41万kW,フランシス型ポンプ水車3台の揚水発電所です。
    The Helms Pumped Storage Plant is located 50 mi (80 km) east of Fresno, California in the Sierra Nevada Mountain Range's Sierra National Forest. It is a power station that uses Helms Creek canyon on the North Fork of the Kings River for off-river water storage and the pumped-storage hydroelectric method to generate electricity. After being planned in the early 1970s, construction on the plant began in June 1977 and commercial operations began on 30 June 1984. It has an installed capacity of 1,212 MW and is owned by Pacific Gas and Electric Company. 
 森林公園に入ってウィッションダム湖方向に進むと、高く聳えるセコイアの樹林の中にひときわ太い巨木があり、幹の根本付近に大きな洞ができていた。老木なので上の方は途中で枯れて折れていた。
 大きな岩が折り重なるように並んだ岩石帯もあり、その向こうに高い岩山が見えていた。

(セコイアの巨木)
(セコイアの樹林)
(岩石帯)
 宿舎はその岩山の麓にあり、身支度を整えて発電所に向かう。
 発電所の入口は岩山の端に作られていて、厳重そうな入口扉の上に「HELMS POWERHOUSE」「PG&E 1.2MILLION NEW KILOWATTS FOR CALIFORNIA」と記されていた。
(宿舎)
(発電所入口)
 入口を入ると1km近い長いトンネルが続いていた。
 トンネルの先から入った発電所には3台の発電機の上部機器が並んでいた。発電機は一つ下の階、水車とのカップリングはその下、水車本体や入口鉄管は更にその下。
(岩山内の通路)
(発電機の上部)
 6日間の仕事を終えてサンフランシスコの街に出て一泊、翌日に帰国した。
(夕方のサンフランシスコ)
(夜のサンフランシスコ)

2.米国ブレンハイムギルボア発電所(1987年8月30日〜9月14日)
 ギルボア発電所は1973年運開のポンプ水車で、その後の発電所の運用ニーズに変化から,建設時に比べて広範囲な水車出力領域での安定運転や,揚水時間の短縮を可能にする揚水量増加など必要になっているとの情報があった。日立の最近の設計技術の進歩で、これらに対応できることをPRするために出張した。
 現地の運転状況を測定確認して模型試験と対比し、進歩した最新の設計技術でこれらに十分に対応できることをPRさせてもらった。
 日立評論の案内文
     ブレンハイム・ギルボア発電所は,ニューヨーク市から約160 km北のハドソン川上流のスコハリー(Schoharie)渓谷に位置しており,日立製作所がポンプ水車と発電電動機などの主要機器を納入し,1973年に運転を開始した。30万kWのポンプ水車を4台有する揚水発電所である。
     日立製作所が米国へ納入した4揚水発電所のうち,ニューヨーク州電力局納めのブレンハイム・ギルボア(Blenheim-Gilboa)発電所において,ランナ更新を伴うLEM(Life Extensionand Modernization)プロジェクト2の入札が実施され,他社と競争の末,日立製作所が受注した。2009年3月時点では,全4台中の2台の更新工事が完了し,3台目の工事,4台目の機器製作が進行中である。ブレンハイム・ギルボア発電所は,ニューヨーク市から約160 km北のハドソン川上流のスコハリー(Schoharie)渓谷に位置しており,日立製作所がポンプ水車と発電電動機などの主要機器を納入し,1973年に運転を開始した。30万kWのポンプ水車を4台有する揚水発電所である。
(ブレンハイム・ギルボア発電所)
(会議メンバー)
(ダム上のクレーン)
(直径2.6mの入口弁)

 今回は風景の写真がなかったので、1986年2月に静岡県富士宮市の鳥並発電所から見た富士山、1986年3月に島根県美郷町の潮発電所から見た三瓶山の写真を追加しておきます。
(鳥並発電所からの富士山)
(潮発電所からの三瓶山)
 次はスイスの水力実験所に長期間の実習に出張した時の、ヨーロッパアルプスの写真を色々と紹介します。


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