H24.白根三山縦走(MAC山行)
北岳・間ノ岳・農鳥岳

1.動 機
 水戸アルパインクラブで「日本第二の北岳登山」と題して、北岳だけの「ゆっくりコース」と「白根三山コース」と2コースが案内された。我が家が申し込んだ白根三山コースには、日本百高山にリストされている第2位の北岳(百名山)、4位の間ノ岳(百名山)、15位の西農鳥岳(二百名山)のほか中白根山、農鳥岳と3000mを超えるピークが5座連なっていて魅力的な縦走コースになっている。「ゆっくりコース」が広河原から北岳に登って広河原に下るので、「白根三山コース」もこれと下山口を合わせるため、北岳、間ノ岳、農鳥岳と縦走してそのまま奈良田へは下らないで、尾根を引き返して広河原に戻る往復縦走になっていた。往復したため、復路の尾根筋をまだガスが出ない早朝に歩くことになり、素晴らしい展望を楽しむことができた。北岳はまた花の百名山、可愛いお花がいっぱい咲いていて嬉しい山旅になりました。

2.データ
a)山域:北岳(3193m)、間ノ岳(3189m)、中白根山(3055m)、西農鳥岳(3051m)、農鳥岳(3026m)
b)登山日:2002/8/24(土)〜26(月)(前夜発)
c)日程:
8/23:日立自宅 19:30 = 日立電鉄南営業所 19:50 = 水戸 = 水戸IC =
8/24:= 談合坂SA(仮眠) = 甲府昭和IC(タクシ乗換)=広河原 7:30 ---- 大樺沢二股 ---- 13:30 肩の小屋(泊)
8/25:肩の小屋 5:30 ---- 北岳 ---- 中白根山 ---- 間ノ岳 ---- 西農鳥岳 ---- 農鳥岳 ---- 農鳥小屋(泊)
8/26:農鳥小屋 4:55 ---- 間ノ岳 ---- 中白根山 ---- 八本歯ノ頭 ---- 13:35 広河原 日帰り温泉(入浴・バス乗換) = 甲府昭和IC = 水戸IC = 日立電鉄南営業所
(白根三山縦走ルート)

(白根三山縦走ルートの標高差)

d)同行者:水戸アルパイン会員24名(男13、女11)、和子
e)地形図:1/25000 「間ノ岳」「仙丈ヶ岳」「鳳凰山」

3.山行記録
アクセス
(8/23)日立自宅 19:30 = 19:40 日立電鉄南営業所 19:50 = 水戸IC =(8/24)談合坂SA(仮眠) = 甲府昭和IC 5:10 山梨交通(タクシ乗換) 5:20 = 6:45 広河原

 明日の朝と昼の弁当を用意して夕食を食べてから我が家を出発し、日立電鉄の営業所に車を置いてバスに乗った。他の仲間は指定乗車場所の水戸のモリ商会前で24名乗り込んできたが、参加者名簿より1人少ない。しばらく待って現れないので見切り発車した。途中、談合坂SAで仮眠を取って甲府昭和IC で5時に高速を下りて、タクシに乗換えて広河原の登山口に6時45分に到着した。

1日目(8/24):広河原登山口から肩の小屋まで
広河原(朝食) 7:30 ---- 8:05 御池小屋分岐 ---- 10:00 大樺沢二股 10:30 ---- 13:30 肩の小屋(泊)

 広河原で朝食をとって準備運動をして7時半に全員揃って出発。しばらくは川沿いを歩いて、枝沢の橋を渡ったり、川の中の石を選んだりしながら30分ほど歩いて白根御池小屋への分岐に着いて「ゆっくりコース」の11名と別れ、残り15名の「白根三山コース」はそのまま大樺沢沿いを登って行った。
(広河原登山口)
(枝沢を渡る)

 天気は曇り、風は無風、ガスが立ち込めて視界はほとんど利かなかったが、時に目の前に北岳が姿を現すことがあった。明日はあの山頂に立つはずだが、さすが日本第2位の北岳、広河原との標高差は1700m、ずいぶん高いところに見えた。
 やがて小雨も降り出して雨具を付けて歩くことになり、ヤマハハコやサラシナショウマ、トリカブト、シシウド、シラネニンジンなどの花を愛でながら登って行き、しばらく樹林の中を歩いた後に再び沢に出ると先に雪渓が見えてきた。ここが大樺沢二俣で、一休みして右谷間の登山道に入って行った。
(北岳?)
(大樺沢)

 大樺沢から別れ、谷間の登山道を登るとだんだんときつくなってくる。さらにきつい右の急斜面をジグザグに登っていくと、暑くなって雨具の中から汗で濡れてきて、雨も殆んど止んだので雨具を脱ぐ。相変わらずのガスの中登っていくと、標高2500mあたりから和子の高山病の気配が出てきて苦しいと言い出した。仲間から腹式呼吸の要領を教わり、頑張り屋の和子はゆっくり歩を進め、そしてトリカブト、イブキトラノオ、オヤマリンドウなど沢山の花に慰められながらなんとか頑張っている。
 右から白根御池小屋からの道を合わせると、やがて尾根に出て少しなだらかな道になる。トウヤクリンドウやシナノキンバイ、イワベンケイなど相変わらず花の多い尾根道をしばらく歩くと肩の小屋に到着した。小屋前の広場からは展望が広そうだが、相変わらずのガスで何も見えないので、すぐに小屋の中に入って山談義に花を咲かせた。
(肩の小屋到着)
(北岳山頂は雲の中)

 夕食が終わって18時過ぎに外に出るとガスは大分晴れてきていて、回りの山も見えるようになっていた。北岳の山頂部には雲がかかっていたが、仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳は何とか見えるようになっていた。山並みを眺めながら刻一刻変わる日沈の様子を楽しんだ。
(夕日と仙丈ヶ岳)
(甲斐駒ヶ岳)

 日没後もだんだんと状況が良くなってきて、目の前の鳳凰三山がすっきりと見えてきた。明日は天気が良くなりそうだ。
(日没後山がだんだん見えてきた:鳳凰三山)

2日目(8/25):肩の小屋から三山縦走して農鳥小屋まで
肩の小屋 5:30 ---- 6:15 北岳 6:40 ---- 7:45 北岳山荘 8:05 ---- 8:45 中白根山 8:55 ---- 9:10 中間点 9:15 ---- 10:15 間ノ岳 10:20 ---- 11:35 農鳥小屋 11:55 ---- 12:25 西農鳥岳 12:35 ---- 13:10 農鳥岳 13:25 ---- 14:10 西農鳥岳 14:15 ---- 14:45 農鳥小屋 15:00 ---- 水場 ---- 14:40 農鳥小屋(泊)

 翌朝は昨日とは打って変わった上天気、空は真っ青、鳳凰三山の上にお日様が登ってきた。今日は一日嬉しい山行になりそうだ。
 朝食を食べて出発する頃には北岳の山頂が朝日を受けて綺麗に見えていた。集合写真に写っている仲間の顔も朝日を受けてご機嫌である。
(日の出:今日は上天気!)
(北岳も見えてきた)

 ゆっくり歩いて45分で北岳の山頂に登りつくと360°の展望が広がっており、朝焼けを背景にした仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳が美しかった。
(北岳山頂から:仙丈ヶ岳・鋸岳・甲斐駒ヶ岳・八ヶ岳)

 西側の眼下には北岳がくっきりと影を落として、影富士ならぬ"影北岳”ができていた。
 更に10分もすると、その"影北岳”のてっぺんあたりにブロッケンが現れ、だんだんとはっきりとした見事な光輪になってきた。
(影北岳)
(ブロッケン)

 山頂では映写カメラを持ったグループが盛んに撮影をしていたが、我々は朝日を受けた絶好のコンデイションで集合写真と銘々の記念写真を撮った。
(北岳山頂:日本No.2に登ったよ!)

 時間とともに明るくなり山頂からの展望がよくなってきて、ゆっくりとNo2の山頂からの山座同定を楽しんだ。
 南には八本歯分岐のある暗い岩尾根の向こうに、これから向かう中白根山、間ノ岳(雲の中)、農鳥岳が見えていて、今日のうちにも随分遠くまで歩くんだなあと気が遠くなる。中白根山のこちらの鞍部には赤い屋根の北岳山荘が遥か下に見え、あそこまで300mも下るんだと気を引き締める。
(北岳山頂から:農鳥岳・間ノ岳・塩見岳・中白根山)

 下りはガレた尾根、油断すると滑落しそうなので慎重に下る。100m下ったところに八本歯のコルへの分岐標があり、振り返ると北岳の岩がむき出しになった山肌が見えていた。上にいる時には気が付かなかったが、さっきまであんな怖そううなガレの上に居たんだ。
(山頂の)
(上の八本歯コル分岐)

 尾根の右を下っていくと、目の前の中白根山がだんだんと高くなってきて、その向こうの間ノ岳もすっきりと見えていた。結構登り返すんだなあと150mの上りを見上げていた。
(中白根山、間ノ岳へ、鞍部に北岳山荘、左に農鳥岳の頭)

 すぐ手前にあった鐘を突いて北岳山荘に着き、20分ほどゆっくりと休憩してから、今度は約150m高い中白根山に向かう。朝からの北岳の急登と下りで足は重いが、ゆっくりゆっくり登って行った。道は思ったほどきつくなく、なんなく中白根山まで登りきる。
 そこからはなだらかな尾根道が続き、展望を楽しみながらゆっくりと歩いていく。途中にはいろいろと高山植物の花も見られるようになり、中間点の小さなピークを越えてだらだらと登って行った。
(中白根山頂)
(中間点)

 中白根山から振り返って見た北岳の雄姿が、左に仙丈ヶ岳、右に鳳凰山を従えて堂々としていてとても立派に見えた。
(中間点山頂から振り返る:仙丈ヶ岳・中白根山・甲斐駒ヶ岳・北岳・鳳凰三山)

 間ノ岳も近付くとだんだんと大きく立派に見えてくる。ゆっくり登っていくと、この山頂からも360°の大展望、朝も10時になると少し雲が出てきていたが、集合写真と記念写真を撮ってから展望を楽しんだ。
(鞍部から間ノ岳)
(間ノ岳山頂)

(間ノ岳山頂から南方:農鳥岳・西農鳥岳・荒川岳・赤石岳・塩見岳)

(間ノ岳山頂から北方:仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳・雲の中に北岳)

 間ノ岳から三峰岳ー塩見岳への分岐を見送って農鳥小屋まで、石が転がっているザレた斜面をストックを突きながら一気に下った。
 小屋に下って昼食を取ってから、ザックを小屋に預けて空身で農鳥岳へ向かう。
(農鳥小屋で一休み)
(空身で農鳥岳へ)

 少し登っていくと、背後に間ノ岳が大きく見え、先ほど下ったザレた登山道がはっきりと見えていた。
 3055mの西農鳥岳に登ってから、三角点のある3026mの農鳥岳へ向かった。タカネビランジやトウヤクリンドウなど結構お花を見ることができたが、途中で巻いて行った岩の奇峰が面白い形をしていた。
(間ノ岳が大きい)
(農鳥岳へ岩頭を巻く)

 農鳥岳の山頂に着くと、三角点標石は殆ど根元までむき出しになってガラガラの石の間にやっと立っている感じだった。今日の縦走の最南端からの展望を楽しみたかったが、雲が湧いてきていて集合写真と銘々の記念写真を撮って帰路に着いた。
(農鳥岳山頂)
(西農鳥岳へ引き返す)

 ガラガラの石の重なりの道を登った西農鳥岳の山頂には丸太を立てたような簡単な山頂標柱が立っていた。集合写真は止めにして個人の記念写真だけ撮って下山した。
 ようやく小屋に帰着。この農鳥小屋は最近では珍しい文字通りの山小屋で、建付けも悪く食事も至って質素だった。水場まで往復30分、代表3人でみんなの水筒を預かって明日の行動用の水を汲んで来た。綺麗な夕日を眺め、今日の山行の思い出を話し合って満足してお休みした。
(西農鳥岳山頂:背後間ノ岳の行列)
(夕日)


3日目(8/26):農鳥小屋から広河原へ下山
 農鳥小屋 4:55 ---- 6:30 間ノ岳 6:50 ---- 7:15 中間点 7:20 ---- 7:35 中白根山 7:50 ---- 8:15 北岳山荘 8:50 ---- 10:00 八本歯ノ頭 ---- 11:40 大樺沢二股(昼食) 12:00 ---- 13:15 御池小屋分岐 ---- 13:35 広河原 = 日帰り温泉(入浴・バス乗換) = 甲府昭和IC = 談合坂SA = 水戸IC = 日立電鉄南営業所

 早めの朝食を頂いて、しばらく雲海に浮かぶ日の出前の富士山を眺めてから歩き始め、間ノ岳へ少し登ったところで日の出を拝んだ。
 登っていくにつれて富士山が綺麗に見えるようになり、富士山バックの記念写真を代わる代わる撮りあった。
(日の出)
(富士山)

 富士山の右の農鳥岳、西農鳥岳の山並みが朝日を受けてとても綺麗で、その右のに荒川岳と塩見岳もくっきりと見えていた。
(間ノ岳中腹から:農鳥岳・西農鳥岳・荒川岳・塩見岳)

 間ノ岳まで登ると素晴らしい展望が待っていた。まだ朝の6時半、昨日の10時とは違ってすっきりとした展望だった。360°のパノラマ写真も撮り甲斐がある。
 遠く、中央アルプスや乗鞍岳まで見えていた。北アルプスも見えていたと思うのだが、写真では判然としない。
(間ノ岳山頂から:農鳥岳・西農鳥岳・悪沢岳・赤石岳・塩見岳・中央アルプス)

(中央アルプス・乗鞍岳・仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳・北岳・赤岳・鳳凰三山)

 帰りは八本歯の頭を通って下山するので、北岳山荘からトラバース道に入った。斜面にはいろいろな花が咲いていてお花畑のようで、キタザワブシの群落やミソガワソウ、イブキトラノオ、イワオオオギ、ミネウスユキソウなど賑やかだった。
(トラバース)
(お花畑)

 道は木製のハシゴが架けられた岩場をいくつか下りながらトラバースし、山頂からの道との合流点に出る。大樺沢二股・八本歯コルの標識の脇で一休み。北岳は雲の中になったが、バットレスの迫力ある岩壁が間近に迫っていた。
(下の八本歯コル分岐)
(北岳バットレス)

 小さなピークが八重歯のように連なる八本歯は、上り下りが急で木のハシゴが架かっていたりする。
 八本歯から大樺沢に下るまで、なかなかの急降下が続いた。それでも、農鳥岳では高い岩場に咲いていてよく見えなかったタカネビランジが目の前に咲いていて喜ばせてくれた。
大樺沢に出ると上部には雪渓が残っていたが、雪渓を避けて脇のガレ場を下っていって二股で休んでから、広河原に出るまでまたお花畑のオンパレードを楽しんだ。
(八本歯)
(大樺沢を下る)

 広河原に戻ると、先に着いていた「ゆっくりコース」の仲間たちに「人間じゃないのが下りてきたよ」と迎えられた。タクシに乗って街に出て日帰り温泉で汗を流し、日立電鉄のバスに乗って水戸に向かった。充実した3日間の山旅でした。

(花写真)
今度の山行でもたくさんの花に出会えた。ファイルには48種類の花写真が残っているが、8枚だけ掲載する。
(キタダケヨモギ)
(キタザワブシ)

(シロバナタカネビランジ)
(ミヤママンネングサ)

(ヤナギラン)
(ミヤマハナシノブ)

(トウヤクリンドウ)
(タカネツメクサ)



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