H26.立山から仙人池へ(MAC山行)

1.動 機
 水戸アルパインクラブに入会して、7月の焼岳、8月の北岳・間ノ岳に続いて今回3座目の日本百名山登山だった。立山は数年前に黒部アルペンルートツアーに参加した時に室堂から眺めたことがあったが、こんな奥深いところの山を登山の対象として考えたことはなかった。途中雨に降られたこともあったが、信頼できるリーダとベテランの仲間たちに連れられて、新鮮な感動を受けた山旅だった。この時の山行記をクラブの会報に投稿していたので、文章はそのまま転記して写真だけ追加したのが以下の山行記です。
 
 9月26日夜出発の「立山仙人池登山」に参加して、素晴らしい4日間の山旅を満喫しました。室堂には、10年前に黒部アルペンルートのツアーで訪れた事はあるが、その時は、ただただ綺麗だなと感嘆するだけで、どれがなんという言う山かと考えることもなく通り過ぎました。今回も地形図を見て立山の名前がどこにも見つからなくて混乱しました。こんなアルプス音痴が書いた登山記録です。

2.データ
a)山域:立山(3003m)、大汝山(3015m)、真砂岳(2999m) 、別山(2880m)
b)登山日:2002/09/27(金)晴、28(土)雨のち曇、29(日)曇、30(月)雨のち晴
c)コースタイム:
前夜出発(9/26): 日立バス停 = 水戸モリ商会 = (9/27)立山道 = 室堂BT
1日目(9/27):室堂−一ノ越−大汝山−真砂岳−別山−剱沢小屋(泊)
2日目(9/28):剱沢小屋−剱沢−真砂沢小屋−二股−仙人池ヒュッテ(泊)
3日目(9/29):仙人池ヒュッテ−二股−真砂沢小屋−剱沢−剱沢小屋(泊)
4日目(9/30):(剱沢小屋−別山乗越−新室堂乗越−雷鳥平−室堂)
帰途:室堂BT=立山ゆうランド=(北陸道)=(磐越道)=水戸IC=日立バス停

(立山−仙人池歩行コース)
(立山−仙人池歩行コースの標高差)

d)同行者:水戸アルパイン会員24名(男11、女13)、和子
e)地形図:1/25000 「立山」

3.山行記録

9月27日晴(室堂−一ノ越−大汝山−真砂岳−別山−剣沢小屋泊)
森山自宅19:25 = 19:35 バス停 = 20:00 勝田駅 20:25 = 21:05 水戸モリ商会 21:15 = 22:00 守谷SA 22:15 = (9/27)5:00 立山道入口 6:00 = 6:50 室堂BT(朝食) 7:40 ---- 7:50 室堂展望台 8:05 ---- 9:10 一ノ越 9:20 ---- 10:30 雄山 11:05 ---- 11:45 大汝山 11:55 ---- 12:15 富士折立 ---- 13:00 真砂岳(昼食) 13:30 ---- 14:25 別山 14:45 ---- 15:30 剱沢小屋(泊)

 前夜日立発車、勝田駅を経由、森商会前を21時15分に出発し、一行23名の楽しい夢を乗せて、バスは関越道を通って一路室堂へ。立山道には朝6時の開門を待って一番乗り。前日の雨模様との天気予報にかかわらず視界は良好。薬師岳が大きく見え始め、続いて大日、剣、立山連峰ぜーんぶ見えてきた!
 バスターミナルで朝食をとってから、裏に出るとこれから歩く雄山から別山にかけての山並みが綺麗に見えていた。国立公園「立山」の石碑の前で立山をバックに集合写真を撮って出発です。
(室堂高原から:剱岳・別山・真砂岳・富士折立・大汝山・雄山・浄土山)

(室堂バスターミナル)
(国立公園「立山」の石碑)

 いよいよ登山の始まり、初めはゆっくりとした登りで、赤く色づいたナナカマドやチングルマに嬉しくなって、雄山をバックにシャッターを切る。一ノ越しに着いたら峠の向こうに北アルプスの山々が一気に見えてきた。あれが野口五郎、針ノ木、鹿島槍・・・ と永井さんの解説も晴れやかだ。唯一登ったことのある表銀座と奥穂も見えていて嬉しくなる。裏銀座にも白馬にも早く登らなくっちゃと二人で言い合う。
(一ノ越へ)
(一の越)

 石くれの少々歩きにくい登山道を登って雄山に着くと、もっと視界が開けた。まさに360°! 登りたい山がいっぱいできてくる。売店の人に「唐沢岳の上に富士山も見えているよ」と言われ、確かに見えたと思って皆に吹聴したが、誰も同意してくれなかった。
(雄山へ)
(雄山山頂神社)

(山頂標)
(神主さんと)

(山頂からの展望)

赤い衣装が映える神主さんに、全員揃って祈祷とお祓いをして頂いてから、室堂平を俯瞰しながら岩場を下り、大汝山から富士の折立へは気持ちの良い稜線を歩いた。ここから急降下して真砂岳に登り返したところでお昼御飯、茨城から持参した弁当を広げた。
(大汝山)
(富士ノ折立)

(室堂平を俯瞰)
(展望の尾根歩き)

(大汝山・雄山を振り返る)
(真砂岳山頂にて:後ろは別山と剱岳)

 大休止してから別山北峰への最後の辛い登りを登り切ったら、すぐ目の前に剱岳の険しい山稜が飛び込んできた。あまりの険しさに圧倒されてしまって、正直言って征服欲も沸いてこなかった。
(真砂岳を下って)
(別山への登り)

(別山から剣岳)

 ここからは快適な下りを歩いて、剱沢小屋に15時30分に到着。小屋に入る前に明日のためにアイゼンの講習会。身体が硬くて、右手が左足の外側に届かないので、アイゼンのバンドがなかなか止められない。ゴムバンドがきつすぎると指導を受けた。小屋には温水シャワーが付いていて汗を流せて有り難かった。
(剱沢への下り)
(剱沢小屋前にて)


9月28日雨のち曇(剱沢小屋−剱沢−真砂沢小屋−二股−仙人池ヒュッテ泊)
剱沢小屋6:30 ---- 7:40 雪渓入口 7:50 ---- 9:00 雪渓出口 9:15 ---- 10:00 真砂沢小屋 ---- 11:30 二股(昼食) 12:05 ---- 13:30 仙人峠 13:35 ---- 13:50 仙人池ヒュッテ

 朝起きると屋根をたたく雨の音はまだ止んではいないが、窓の外に剱の峰々は見えていて、大した雨ではない。6時半にみんな雨具を付けて出発。色とりどりで綺麗である。
(雨具を付けて出発)
(雪渓へ)

 剱沢の途中から雪渓に下りてアイゼンを装着して慎重に歩いた。初めてのアイゼンに最初は緊張したが、なかなか具合のいいものだった。下り切った真砂沢小屋で大休止して、さらに少し下ったところで増水した広い沢に出会った。どこを渡ろうかと心配していると、永井さんが飛び石をひょいひょい渡ってロープを張って皆さんどうぞと言ってくれた。有り難い。お蔭様でバランス感覚の悪い小生も無事通過。二股に着く頃には雨も止んで、吊橋の付け根の河原でお昼弁当をいただいた。
(剱沢雪渓)
(鎖場)

 ここから仙人池までの仙人新道は長い急な登り道で、くさり頼りの岩場の上り下り、急斜面のトラバースと難所が続いた。「川本さん、ゆっくりね」と小河原さんの声が度々飛んでくる。高度差500mは茨城の山程度の軽いトレッキングと多寡を括っていた小生には、前日の立山縦走よりもきつかった。
(二股の吊橋)
(仙人新道)

 それでも、所々で出会ったリンドウの花やシラタマノキの実が可愛く、高度を増す毎に鮮やかになる黄葉紅葉も美しく、しょっちゅう立ち止まってシャッターを押しているうちに疲れも吹っ飛んできた。白い霧をバックにしたナナカマドの紅葉は特に綺麗で感じが良かった。残念ながら裏剱の全貌は見えないが、紅葉越しに小窓の雪渓や八峰の岩肌を滑り落ちる細い滝が見えたりして充分展望も楽しんだ。
(ナナカマド)
(オオカメノキ)

 登りきった辺りで、仙人池ヒュッテが向かいの斜面に見えたが、真っ盛りの紅葉に囲まれて綺麗だった。永井さんに導かれ仙人峠まで少し寄り道して池の平方面を覗いて13時50分に仙人池ヒュッテに到着した。玄関では熱いお茶の接待が待っていた。冷え込んだ身体に、この心尽くしがしみわたった。
(仙人池小屋が見えた)
(熱いお茶、ごちそう様)

 小屋到着して30分もすると急に本降りの大雨になってきた。丁度雨の止んでいる間に仙人山への急登を歩いたわけで、まさに間一髪のラッキーでした。
 ここにはお風呂が待っていた。シャワーよりももっといい! ゆっくり暖まってビールを飲んでいい気分になったところで、ビフテキや刺し身と豪華な夕食になった。先月登った農鳥岳の山小屋とは大違いで、日本の山小屋も良くなったものとつくづく有り難く思う。トロッコ電車が交通遮断になっていて黒部側からの登山者がいないとかで宿泊客も少なく、小屋のおばさんには気の毒だが、ゆっくりと休むことができた。

9月29日(仙人池ヒュッテ−二股−真砂沢小屋−剱沢−剱沢小屋(泊)
仙人池ヒュッテ 6:45 ---- 8:35 二股 8:55 ---- 10:15 真砂沢小屋(昼食) 10:50 ---- 11:35 雪渓入口 11:45 ---- 12:10 雪渓出口 12:20 ---- 14:15 剱沢小屋(泊)

 前日の大雨は夜半にはやんで、朝には青空ものぞくいい天気になった。5時からの朝食を終えるとすぐに外に出て、仙人池のほとりで池に映る裏剱をねらう。写真を趣味の鈴木さんは、小屋の長靴と三脚を借りてじっとチャンスを狙っている。突っ掛けで出てきて、水溜まりを避けている私とは心がけが違う。出発時間いっぱいまで頑張ったが、八峰が朝日に輝く姿を見るまでにはならなかった。
(仙人池に映る逆さ剱)

 小屋の前で名物おばさんと名残りを惜しみながら一緒に集合写真を撮って6時45分に出発した。
 今日は昨日と逆コースだが、日が射している分、山も紅葉も鮮やかに見えた。仙人峠近くで見えた雲海に浮かぶ山々の姿も美しく、剱沢の雪渓に入ると剣の鋭鋒群も全部見えてきた。雪渓に入る前辺りでは、昨日は雨で気が付かなかった、アザミやカライトソウなど色々な花を見ることが出来た。特に、雪渓を通り過ぎた辺りでの、剣沢のナナカマドの大群落が一面に色づいた景色は見事だった。
(仙人池ヒュッテ前)
(ナナカマドと剱)

(チングルマ)
(ミヤマダイコウウソウ)

(二股の吊橋)
(鎖場)

(紅葉の河原)
(ガラガラの河原)

(剱沢雪渓)
を見上げる)

 今日の剣沢の登りは800mもあったが、剱の姿や紅葉を愛でて喜んでいるうちに疲れも忘れて、剱沢小屋には14時15分に元気に到着できた。
 夕食時、剣と剱御前の間が見事な夕焼けの燃えた。早速、外に出てカメラを構えた。3回だけシャッタを押して早々に部屋に入ったが、あの鈴木さんは三脚を据え付けてじっと空を睨んで頑張っていた。
(ナナカマドの林の紅葉)
(夕焼け)


9月30日雨のち晴(剱沢小屋−別山乗越−新室堂乗越−雷鳥平−室堂)
剱沢小屋6:50 ---- 7:15 別山乗越 7:20 ----剱御前小屋---- 8:45 新室堂乗越 ---- 9:10 雷鳥平 9:15 ---- 10:05 室堂BT 10:40 =12:05 立山ゆうランド(入浴。昼食) 13:05 = 13:30 有磯海SA 13:50 = 15:55 黒崎SA 16:05 = 17:30 磐梯山SA(夕食) 18:00 = 19:20 湯の岳PA 19:30 = 20:20 水戸IC = 22:00 日立

 今日も小雨模様だが視界は良好。6時50分に雨具を付けて小屋を出発し、別山の乗越まで登り、紅葉最高の大日岳に向かって新室堂乗越まで歩く。今度来る時は、ここから大日三山を越えて称名滝まで歩いてもいいなと思う。
(今日も雨具を付けて)
(別山乗越で一休み)

(大日岳へ向かって)
(剱の山並み)

 ナナカマドやチングルマの紅葉に迎えられ、一段と色づいた立山連峰を仰ぎながら、雷鳥平に下りて室堂まで登り返し、皆元気に10時頃バスターミナルに到着した。
(室堂俯瞰)
(雷鳥平)

(登り返す)
(地獄谷と大日岳)

 10時40分にバスが出発する頃にはお日様も出てきて、車窓から見える室堂平の紅葉は全山秋真っ盛りの鮮やかさだった。三日の間に紅葉が進んで着いた時とは大変な変わり様で、バスがカーブする度に「スゴーイ!」の黄色い声が響き渡った。
(立山道の紅葉)

 帰途は日帰り温泉で汗を流した後、北陸道、磐越道とつないでの長い長いバス旅だったが、途中、磐梯山SA近くで天空全体が真っ赤に夕焼けし、「オーロラより綺麗!」「オーロラ見たことあるの」とみんな大喜び。磐梯山も赤く燃えて見事な赤磐梯になるおまけまでついた。
(磐越道の夕焼け)
(赤磐梯)

後書き
 MACには今年6月に入会させていただき、神室山、焼岳、北岳、今回の立山と続けて参加した。行き届いたサポートで、個人ではとても登れそうにない山を連れて歩いていただき、楽しい語らいの仲間にも入れていただき、本当に良かったと思っています。これからもよろしくお願いします。




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