P71.鬼怒沼(関東百名山)

1.動 機
 日本一高いところにある花の湿原・鬼怒沼(2039m)に登ったのは12年も前、まだこのHPを開く前だった。記録写真も多くは撮っておらず、記憶も朧だが、要点だけを撮った写真を頼りに山行記を纏めてみた。記述に少々怪しいところがあるかもしれない。
 関東百名山リストには標高2141mの鬼怒沼山となっているが、この時には関東百名山のへの関心はなく、鬼怒沼を過ぎてから鬼怒沼山ではなく、これに対峙する毘沙門山の方に登った。当時使っていたガイドブック「栃木県の山」や「栃木の山120」には鬼怒沼が案内されていたが、鬼怒沼山の案内はなかった。展望もなく何の特色もない鬼怒沼山が関東百名山にリストされているのは、花いっぱい、展望もいい鬼怒沼があってのこと、鬼怒沼まで登れば鬼怒沼山に登ったも同然、関東百名山リストをこなすためだけに、はるばる鬼怒沼山まで登りに行く価値はないだろうと思っている。

2.データ
a)山域:毘沙門山(2113m)、鬼怒沼(2039m)
b)登山日:2002/07/22(月)曇、23(火)曇
c)コースタイム:
(1日目)日立自宅7:20 = 8:40道の駅馬頭8:50 = 10:30瀬戸合峡10:40 = 11:00女夫渕温泉P(昼食)11:50 ---- 13:05八丁の湯 ---- 13:20加仁湯13:30 ---- 13:45日光沢温泉(泊)
(2日目)日光沢温泉6:45 ---- 7:00丸沼分岐 ---- 7:40滝展望台7:45 ---- 8:15白根山展望所 ---- 9:10鬼怒沼入口 ---- 10:00避難小屋 ---- 10:30毘沙門山10:40 ---- 11:00避難小屋 ---- 11:20鬼怒沼(昼食)11:40 ---- 13:50滝展望台 ---- 13:35日光沢温泉13:40 ---- 14:55女夫渕温泉P(入浴)15:30 = 18:00道の駅馬頭(夕食)18:40 = 20:00日立自宅
(鬼怒沼の歩行軌跡)

(鬼怒沼の歩行軌跡の高低差)

d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「川俣温泉」「三平峠」

3 山行記録
(1日目)
 我家としては早めの朝食をとって7時20分に出発、R293を走って馬頭道の駅で休憩、その後も一般道を走って鬼怒川沿いの県道23に入る。川治温泉からも鬼怒川沿いに西に向かい、川俣ダムの手前で瀬戸合峡の道に入る。道は眼下に瀬戸合峡を見ながら切り立った岩壁の上を縫うように走り、日本観光百選の看板通りなかなかの絶景だ。寄り道した価値は十分あった。
 鬼怒沼への入口の女夫淵温泉の駐車場に11時に到着した。目的地の鬼怒沼まで入るのにここから片道7、8kmを歩かなければならない。途中に八丁の湯、加仁湯、日光沢温泉の三つの秘湯が続き、今日は一番奥の日光沢温泉に予約を取ってある。身支度をし、早めの昼食をゆっくりと食べてから登山開始。
 駐車場から先、スーパ林道は一般車通行止め、その右手に「奥鬼怒遊歩道入口」の標柱が立っていて細い登山道が別れていた。
(瀬戸合峡に寄り道)
(いよいよスタート)

 鬼怒川沿いの登山道を10分も歩くと支流の黒沢に出合い、これを絹姫橋という吊橋で渡るといよいよ山道らしくなった。
 8年後に山の会で加仁湯から女夫渕温泉まで奥鬼怒遊歩道を歩いた時には、この吊橋は渡らなかった。その時には山道を超えた少し先で女夫渕温泉側が通行止めになっていて、中将乙女橋という新しい吊橋で鬼怒川を渡って女夫渕温泉へ近道するようになっていた。
(絹姫橋)
(中将乙女橋)

 鬼怒川の清流を眺めながらゆっくりと歩いて行くと1時間超で八丁の湯に到着して一休み。小屋前のヤナギランが可愛かった。
(清流を見ながら)
(ヤナギラン)

 奥鬼怒スーパー林道の立派な鉄橋が見えてきて、この下を歩いていくと15分ほどで加仁湯温泉に到着。
 この奥鬼怒遊歩道は花が多い道で、道すがら沢山の野の花が気を慰めてくれた。
(奥鬼怒スーパー林道の橋)
(サボンソウ)

(キツリフネソウ)
(ツリフネソウ)

(ヒヨドリハナ)
(アジサイ)

 加仁湯温泉で花を愛でながら辺りを歩き回っていると、奥の方に小さな滝もあった。
 加仁湯でゆっくり休んでから歩き始め、15分ほどで今日の宿の日光沢温泉に到着した。時間はまだ午後2時前、部屋に案内され「今日は他に泊る人はいないので、温泉は男女別なしです。どうぞお二人でゆっくりと入って下さいな」とすすめられ、遠慮なく二つの温泉に入って汗を流した。それでもまだ時間はたっぷり、昼寝などもして美味しい夕食を頂き、また温泉に入ったのでした。 
(加仁湯の裏の滝)
(日光沢温泉)

(2日目)
 早く寝たので、朝早く目が覚めて、4時半過ぎに朝日を眺めに外に出た。昨夜はもう一組ご夫婦の宿泊者があり、一緒に日の出を拝んだ。
 日の出後また温泉に入ってから6時からの朝食を頂き、不要な物を宿に預かってもらって、ザックを少し軽くして6時45分出発。
(日の出)
(日光沢温泉出発)

 温泉宿裏から急なジグザグ階段を登って行くと分岐標があった。今回は右手の鬼怒沼方面に進んだが、左に行けば根名草山に繋がっている。6年後に金精峠から手白沢温泉に歩いた時、途中に日光沢に下る分岐がありました。
 鬼怒沼方面に別れると温泉神社があり、その先に現れた頑丈そうな橋を渡ると、しばらくは鬼怒川沿いをなだらかに歩いて行くとシシ滝という小さな滝があった。小さいながら岩盤を滑るように流れ落ちる様は美しかった。
 その先に奥日光の丸沼への分岐があり、吊橋を渡ればヒナタオソロシの滝展望台に行けるらしいが、今日は寄り道なし、吊橋は渡らないで奥鬼怒湿原へ むかった。ここから本格的な登りが始まり、辛い九十九折の急坂を20分登ったところにオロオソロシの滝展望台に到着し、一息入れた。オロオソロシのオロは日陰を意味する方言らしく、遥か遠くの山あいを長く流れ下る細い滝が見えていた。展望台にはベンチもあってずっと休憩していたいところだが、時間もないので再出発!
(シシ滝)
(オロオソロシの滝)

 まだまだ急な登りが続き、途中、日光白根山の頭が見える展望台があり一息。
 その先少し急坂を頑張ると、登山道は緩やかになってきて時々木道も敷いてある道になった。展望のない樹林の中をギンリョウソウなど日陰の花に慰められながら頑張る。
(日光白根山)
(ギンリョウソウ)

木道を歩き終わると鬼怒沼に着きました。尾瀬沼より小さいというが、結構広々としていて、あちこちに池塘も散らばっていて気持ちがいい湿原だ。標高は2000mを越えて尾瀬ヶ原よりも600mも高いらしい。期待が高まる。
 原っぱに敷かれた木道の上を奥に向かって歩いて行くと、期待通りにコバイケイソウなど色とりどりの高原植物の可愛い花があちこちに咲いていた。
(鬼怒沼入口)
(木道を歩いて)

(ワタスゲ)
(タテヤマリンドウ)

(チングルマ果穂)
(モウセンゴケ)

(トンボソウ)
(サワラン)

(キンコウカ)
(コバイケイソウ)

 途中、右前方に奥鬼怒山が見えていて、静かな池塘にクッキリと影をおとしていたのが印象的だった。
 その先には鬼怒沼山の標柱が立っていて、ここが標高2039mであることを明示しており、行く手側に「黒岩山経由尾瀬沼・物見山経由大清水」と長い登山コースを案内していた。
(鬼怒沼山)
(鬼怒沼標柱:標高2039m)

 沼のはずれまで歩いて行って避難小屋のある分岐について、ガイドブック通りならここから引き返すのだが、ピークハンターの癖で一つだけでもピークに登りたくなる。右に行けば奥鬼怒山2141m、左に行けば毘沙門山2113m、奥鬼怒山の方がちょっとだけ高くて有り難そうだが、毘沙門山には物見山という別名があって展望が良さそうだ。
 展望に惹かれて左に舵を取り毘沙門山に向かう。手入れされた登山道をゴゼンタチバナなどの花を見ながら登ると、30分ほどで立木に山頂表示板が取り付けられた物見山の山頂に到着した。物見山とは名ばかり、樹木に遮られて殆ど視界は利かない。がっかりしながらも証拠写真を撮って、少し休んでから往路で下山にかかった。
(ゴゼンタチバナ)
(物見山(毘沙門山))

 帰りの鬼怒沼では、上りでは見えていなかった燧ヶ岳や日光白根山、根名草山などが見えていた。展望を楽しみながら宿謹製の弁当をいただいた。
(燧ヶ岳)
(池塘群、後は根名草山と薄く白根山)

 帰りの湿原の先からの高度差400mの長い急坂下りが、膝に弱みを持つ私にはきつかった。ヒナタオソロシの滝に立ち寄ることも止めにして日光沢温泉まで下って一安心。ここで預かってもらった物を回収し、水を補給して再出発。
 ここからは平らな道でらくちんだが、距離は5kmある。せっせと歩いて15時に女夫温泉に到着、無事山歩きが終わった。日帰り温泉で汗を流して車に置いておいた下着で着替えして、さっぱりした気分になってから我が家に向かった。途中、馬頭道の駅で夕食をとって我家には20時に到着した。


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