S81.太郎山
太郎山は独立峰で、奥日光に入ると際立って見える山である。名前にも好感が持て、登りたいと思っていた。8月の初め和子の体調が優れず、鳥海山以来10日間も山行を休んでいると、どこかへ出かけたいとそわそわしてくる。盆前11日12日に苗場山と平標山に登ってこようと計画したが、台風9号の亡霊が中国大陸から舞い戻ってきて雨を撒き散らし始めた。11日だけは雨には会わないで済みそうなので、前日になって日帰り可能な太郎山に行き先変更した。啓ちゃんも登りたいと言っていたのを思い出し、早速電話すると二つ返事でOKが返ってきた。車2台使えるので、新薙ルートを登って、太郎山、小太郎山、山王帽子山と縦走して、山王峠に下りることにした。お天気が悪くて展望はなかったが、久しぶりの山行で充実した気分になった。 本文中のアンダーラインのついた花の名前をクリックすると、写真が飛び出します。見たあとは、[戻る]をクリックすると本文に戻ります。 2.データ a)山域:太郎山(2368m)、小太郎山(2328m)、山王帽子山(2077m) b)登山日:08/11(木)晴後曇 c)コースタイム: 森山4:30 = 5:40馬頭道の駅 5:50 = 6:45日光口PA 7:00 = 7:40山王峠 7:50 ---- 8:30新薙登山口 8:45 ---- 10:50 新薙10:55 ---- 11:00お花畑11:05 ---- 11:25太郎山11:55 ---- 12:25小太郎山 ---- 13:10鞍部 13:15 ---- 13:45山王帽子山 14:00 ---- 14:35山王峠14:45 = 15:05新薙登山口15:20 = 19:20森山 d)同行者:小林啓、和子 e)地形図:1/25000 「男体山(北東)」 3.記 録
登山口は標高1660m、駐車場所を林道10m先に行ったところに道標があり、クマザサの茂った中に踏み跡が登っていた。はじめから結構な急坂を30分登ると平坦になり、崖の上に出ると、信じられない急斜面を持った太郎山が目の前に現れた。小休止しながら、どうやって登るのかと案じながら眺めた。 ここから暫くは緩やかな斜面だったが、えぐられた溝やシラビソの根っこが這い回る登山道になった。お花はアキノキリンソウやニガナが時々見えるぐらいで面白くない。和子は、足元にキノコを見つけては「何だろう」というが、分かるわけもない。ずいぶんと色々なキノコがあったので、知識があれば結構な収穫になったかもしれない。
急斜面を登り切ったところで、日光三嶮の一つ新薙を横切る。下を見ると、ガレた急斜面がどこまでも落ち込んでいる。踏み跡はしっかりしているが、急峻なガレバに大きな岩もごろごろしており、転がってこないかと気持ちが悪い。 足早に薙を通過して、少し登って下ったところに、お花畑と呼ばれる火口原が現れた。地形図にも花畑と書いてあり、現地の入口と出口にも立派な「お花畑」の名板が立っていたが、ぽつりぽつり咲いているシラネニンジンとバイケイソウの外には目立った花は見えなかった。
苔むした石がごろごろした坂道を登るとすぐに2368mの太郎山の山頂だった。山頂は岩っぽいが、広くてここが本当のお花畑だった。あちこちにコゴメグサが咲いており、シラネニンジンが点々と見えていた。よく見ると赤紫のハクサンフウロや青いハクサンシャジンも彩を添えていた。
山名板の前で証拠写真を撮っているとき、二人連れの男性が登ってきた。山王峠から登ってきてピストンだと言い、車2台使っての縦走を羨ましがっていた。 太郎山から小太郎山にかけては、左右が切れ落ちた細い岩稜があったりして気を使うところもあったが、いろいろな花が咲いていて楽しい稜線歩きだった。コバノコゴメグサが一番多かったが、ダイモンジソウ、コメツツジ、トモエシオガマやウメバチソウが目につき、珍しいクロウスゴやハクサンオミナエシもあったりして楽しませてくれた。 2328mの小太郎山山頂で、山名板と太郎山をバックに証拠写真を撮って次に向かったが、お花畑はまだしばらく続いた。黄色いマルバタケブキの群落があったり、ギボウシが咲いていたり、楽しんでいるうちに斜面は急坂になってきた。笹や立ち木に掴まりながらの殆どまっすぐの急降下で、下りなのに汗が噴出してきた。時々雲間があいて、すぐ下に戦場ケ原がひろがっているのが綺麗に見えていた。立入り禁止のハガタテコースの分岐をすぎ、1919mの鞍部に降り立って大休止する。次の山王帽子山が前に立ちはだかっていて、すぐには腰が上がらない。
峠に停まっている車は小林車以外には一台だけだった。啓ちゃんの車で新薙ルート登山口に送ってもらい、常陸太田まで2台連ねて走り、達子さんの待つ青葉台に急ぐ啓ちゃんとここで別れ、途中夕食を済ませてから我家に帰ってきた。 |