S92.憧れの甲斐駒ケ岳

1.動 機
甲斐駒ケ岳は北岳や鳳凰山に登ったとき、そのピラミダルな山容を間近に眺めて登りたくなり、中央道を走っているときいつも気になっていた。仙丈ケ岳と抱き合わせにして2泊3日で登ることを考えていたが、雑用が立て込んでなかなか自由にならなかった。15日から17日にかけての天気予報もまずまずになったので、18日の孫の運動会に帰ってこれるように急遽出かけた。仙丈ケ岳から下りた日仙水小屋に泊まって、最終日甲斐駒ケ岳に登って帰ってきた。思いがけないほどの好天に恵まれて素晴らしい展望を楽しんだ。本報に甲斐駒ケ岳、前報に仙丈ケ岳と報告を分割した。

2.データ
a)山域:甲斐駒ケ岳(2967m)、駒津峰(2752m)、双児山(2649m)
b)登山日:2005/09/17(土)晴れ
c)コースタイム: 
9月17日: 仙水小屋4:10 ---- 4:55仙水峠5:10 ---- 6:35駒津峰6:40 ---- 7:05六方石 ---- 8:05甲斐駒ケ岳8:35 ---- 9:40駒津峰10:00 ---- 10:45双児山10:55 ---- 12:05北沢峠(昼食)12:55 =(バス)= 13:20広河原13:30 =(バス)= 13:55夜叉神峠14:05 = 14:30金山沢温泉15:10 = 15:40甲府昭和IC = 16:10談合坂SA(夕食)17:00 = 20:40日立南IC = 20:50森山自宅  
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「駒ケ岳(南東)」

3.記 録 
(ヘッドランプ)
朝3時にいきなり部屋の蛍光灯がぱっと点く。目覚まし時計の代わりである。外に出て空を見上げると満天の星空である。今日も天気が良くて展望が期待できそうだ。朝食は3時半から母屋に用意されていた。土日は難所で団体と出くわすと1時間ぐらいの待ち時間はしょっちゅうなので、早出するようにとの宿の親切である。ヘッドランプを点けて4時10分に追い出されるように出発した。10分も歩くと岩の重なりの上を歩くようになり、ヘッドランプ頼りの歩行は気を遣った。
仙水峠に着くと、日の出はまだだが、地平線が赤くなり始めており、左手に摩利支天の岩山が黒々と聳え、右手に鳳凰山のオベリスクが突き出しているのが目立った。
ここから駒津峰まで急登が続く。中腹まで登ったところで日の出になり、視界が開けたところで小休止して日の出を拝んだ。赤く染まった太陽は美しかった。右手の駒ケ岳の岩頭が朝日で輝きだし、左手には仙丈ケ岳に乗っかった笠のような雲が赤く染まっていた。
(日の出)
(甲斐駒にも朝陽が当たる)

駒津峰の山頂は広い。鳳凰三山、北岳、仙丈ケ岳の眺めが素晴らしいが、眼前の甲斐駒ケ岳の白い岩頭の迫力に圧倒される。ゆっくりしていたいところだが、下りの混雑を心配して早々に駒ケ岳に向かう。
(甲斐駒に向けて岩稜を歩く)
(六方石)

少し急降下して岩稜をアップダウンしながら進むと、駒ケ岳の白い岩肌がどんどん近付いてくる。六方石という大きな岩のそばを抜けると、直登ルートと巻道の分かれになる。直登ルートは眼前の岩の重なった稜線を直登するもので上級コース、面白そうだったが、和子に嫌われて巻道に下っていった。一般コースというが、ざれ場までの下りはなかなかの難コースだった。段差の大きな岩伝いの下降や砂礫の急斜面のトラバースなど十分に緊張した。上り返すところに来て振り返ると、中央アルプスをバックに六方石が美しい。近くで見るより格好が良い。大きな石が何個も立っているところまでは緩やかな登り道が続いた。大石越えの北岳や仙丈ケ岳の眺めはなかなかだった。
ここから山頂まで花崗岩の砂礫の急坂になった。ともするとずるずると滑るのでゆっくりと登った。途中「雪岩花」という「六方石」よりも大きな大岩を巻いて登る。山頂に近付くと、早足に下ってくる人に出会った。「今日は団体さんが来るよ。早く駒津峰までは下ってしまわないと団体に出会うと大変ですよ」と注意してくれた。
(山頂から南アルプス)
(鳳凰三山と富士山)

広い山頂に着くと数人の登山者があちこちで地図を出して山名同定に余念がなかった。山頂からの展望は仙丈ケ岳山頂からと同様素晴らしかった。八ケ岳や奥秩父の山が近くなり、浅間山が噴煙を上げるのも見えていた。富士山は鳳凰三山の真上に見え、間ノ岳や農鳥岳は北岳の後に隠れたが、昨日は雲に隠れ気味だった荒川三山、赤石岳、塩見岳もはっきりと見えた。もちろん仙丈ケ岳の眺めも素晴らしい。北アルプス、乗鞍は雲の中だったが、中央アルプスがよりはっきりとし、御嶽山も綺麗に見えていた。
(八ケ岳と噴煙を上げる浅間山)
(中央アルプスと御嶽山)

何時間でもゆっくりしていたいところだが、宿の人や登りで出会った人の御注意もある。少し腹ごしらえをして30分で下りにかかった。下りはざれ場も返って気持ちよく歩ける。眼前の富士山や北岳を眺めながら快調に歩けた。途中、摩利支天への分岐があったが、わき目を振らず下り続けた。同室の5人組の女性にも出会ったが、途中にザックを置いて来たといって空身だった。頭が良い!トラバース道になってからは、交差するのに下山者は道を譲る道幅になり、登山者も多くなってきた。北沢峠から歩き始めた人が来る時間になってきたのだろう。幸い大きな団体さんには出会わなかったので、ほぼコースタイム1時間ほどで駒津峰に到着できた。ここからは交差も楽なので、証拠写真を取り直したり景色を楽しんだりゆっくりした。
(仙丈ケ岳)
(甲斐駒ケ岳を振り返る)

(双児山)
駒津峰からの下りは急坂で鞍部まで石の段差の多い歩きにくい疲れる道だったが、双児山への登りになると樹林の道になり楽になった。双児山から眺める駒ケ岳から鋸山の稜線が印象的だった。ガイドブックには双児山からは歩きやすい道になるとあったので期待していたが、とんでもない。ジグザグの登山道は広いが小石をばら撒いてある。何のために撒いてあるのか分からないが、踏めば転んでしまうので避けながら歩くので大変だ。和子は器用にどんどん下っていくので、付いていこうとすると疲れてしまう。先頭を入れ替わってゆっくり下ったが、終点の北沢峠にたどり着いたときには私の膝は限界を越してガタガタになっていた。
朝早立ちし、山頂の滞在時間も短くしたので、当初予定の最終便15時30分より一つ早い12時55分のバスに乗って帰ることが出来た。一昨日我々が登ってきた便だが、立っている人も乗せて5台も連なってやってきた。さすが三連休の初日、山小屋は満杯になりそうだ。お陰で広河原への帰りのバスはゆったりと乗れ、運転席の隣に席を取ると、「ここが駒ケ岳の見納めの場所」、「仙丈ケ岳の好展望地」、「200mのなんやらの滝」などいちいち説明をしてもらった。広河原でバスを乗り換え夜叉神峠に向かったが、続々登ってくる満員バスと交差した。
夜叉神峠で自分の車に乗り換えて芦安温泉に下り、公営の金山沢温泉で汗を流して元気を取り戻し15時過ぎに発車して帰ってきた。途中、談合坂SAで1時間近く寄り道したが、中央道、常磐道ともに事故渋滞があり、首都高も通常渋滞、日立南ICに帰ってくるまでに5時間半かかった。



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