S102.霊峰・八海山

1.動 機
10月の紅葉の季節、2日だけお天気が続きそうなので、一泊二日で越後に出かけ、この八海山と守門岳に登ってきた。八海山は越後三山の一座に名を連ねる古くから信仰の山として崇められてきた霊峰だが、その名前はお酒の八海山の方が有名かもしれない。ガイドブックによると、八つの峰の山頂を全部歩くと30本以上の鎖が繋がっていると言う。ロープウエーで高度を稼ぎ、鎖の数を減らすべく八つ峰部分の半分は巻き道を歩き、月の池から稜線に上がって摩利支岳から大日岳の間だけ岩峰を歩くスリルを味わい、新開道を下って車道を歩いてロープウエー駅に戻る周回ルートにした。それでも稜線以外の一般登山道や巻き道にも数多くの鎖場があって、八海山らしい岩場のスリルを存分に味わうことが出来た。

2.データ
a)山域:大日岳(1720m)、摩利支岳(1710m)、地蔵岳(1707m)、薬師岳(1654m)
(八海山登山ルート)
b)登山日:2005/10/20(木)晴れ後曇り
c)コースタイム: 
森山自宅3:40 = 3:50日立南IC = 4:50三郷= 5:05大泉JCT = 6:25赤城高原SA 6:40 = 7:20六日町IC = 7:45八海山スキー場駐車場8:30 =ロープウエー= 8:40山頂駅8:45 ---- 9:40女人堂9:50 ---- 10:30薬師岳10:35 ---- 10:40千本檜小屋10:45 ---- 11:20月の池(昼食)11:55 ---- 摩利支岳 ---- 12:20大日岳12:30 ---- 12:45月の池12:55 ---- 13:00新道分岐 ---- 14:05カッパ倉14:25 ---- 14:55稲荷清水 ---- 15:30二合目登山口 ---- 16:25八海山スキー場駐車場16:35 = 17:40小西屋(泊)  
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「八海山(南西)」、「五日町(南東)」

3.記 録 

(麓から八海山の八つ峰を望む)
朝3時40分に我家を出発して、日立南ICから高速道に乗り、外環道、関越道と快調に走って、赤城高原SAで休憩する。間近に子持山が聳え、反対側に赤城山、北に谷川連峰が見渡せて気持ち良く、今日の八海山の展望を期待させた。ところが六日町トンネルを抜けたところで「トンネルを出たらそこは雪国だった」ではないが、周りの山々は雲の中に隠れてしまった。がっかりしながら六日町ICで高速を下り、六日町の街中をスキー場に向かって走っていくとだんだんと雲が晴れてきた。目の前に八海山の八つ峰が姿を現したので、大喜びで路側に車を止めてシャッタを押した。
ゴンドラの駐車場にはゴンドラ始発の45分前に着いたが、広い駐車場には既に10台以上の車が止まっていた。平日なのにーーー御一行様と書いた歓迎札も7枚かかっていた。ゴンドラで紅葉見物も多いようだった。身支度を整え登山届けを出してから列の先頭に並び、バスも着いたので超満員になった始発のゴンドラに乗り込んだ。八海山を眺めながら10分間ほどでここは標高1150m、780mの高度を稼いだ。
山頂駅におりたつと、雲海の向こうに日本海が広がり米山がかすんで見えていた。そばに立派な展望塔があったが、大勢がぞろぞろそちらに向かい満員になりそうなので直ぐに登山道に入った。傾斜はないがぬかるんでいて歩きにくい。丸太の階段を登って下りにかかると八海山の左に越後駒ケ岳と荒沢岳が見えてきた。大きな越後駒を眺めながら大倉口分岐、コギ沼分岐を分け、少し岩場の急坂を登ると女人堂に着いた。真新しくトイレもある避難小屋の前は広場になっていて、早足で来た数組が展望を楽しんでいた。
(薬師岳手前から岩場が始まった)
少し下って祓川の水場で「これより浅草登り、あなたをスリムにします。ガンバッテ小屋まで40分」の看板に励まされて徐々にきつくなる坂を登り、浅草岳を気づかないで通過すると10m以上もありそうな鎖場が待っていた。今日初めての鎖場だが、岩場は広いので怖さはなかった。ただ、この先の千本檜小屋までは大勢の人が往復するので、足場が磨かれ泥まみれになっていて少し緊張した。そのうえを気持ちよく登って薬師岳の山頂に着くと、目の前に八海山の岩峰が姿を現し、左に中ノ岳と越後駒ケ岳と越後三山が頭を並べた。猿田彦命の銅像の前で写真を撮り一歩きで千本檜小屋に到着した。振り返ると薬師岳の紅葉が真っ赤に燃えていた。
(薬師岳からの八つ峰、左に中ノ岳と越後駒ケ岳)

目の前に立ちはだかる八つ峰の岩峰を眺めながら、先の進路を相談した。稜線の岩場を通過するか、巻き道を歩いて大日岳のみに登るか、下りはロープウエーまで引き返すか新道を下るか、いろいろ話し合った末、結局、八つ峰全部の鎖場を踏破するのは腕力が持たないだろうと、途中まで巻き道を歩き、摩利支岳から大日岳まで岩峰を登って新道を下ることになった。
(八つ峰修験道のコース図)

(地蔵岳)
(巻き道も険しかった)

巻道を進むと地蔵岳のてっぺんに奇岩が出っ張っているのが気になり、登っていって写真を撮った。巻道はらくちんコースと思っていたが、結構事故が起こるのか急斜面に造られた狭い道の崖側には横鎖が張られており、数mの上り下りの鎖場も何箇所も出てきた。巻き道を歩いている間にガスが出てきて、周りが白い世界になってきた。小さな三ケ月形をした月の池まで来ると、摩利支岳、剣が峰、大日岳の岩峰が目の前に聳えていた。こんなところへ登れるものかとまた一騒動。
(摩利支岳、剣が峰、大日岳の岩峰)
腹ごしらえをして元気を出して、ザックはここに置いて空身で登ることにした。小さな丸い形の日の池を見て稜線に登り、いよいよ本番の鎖場が始まった。丁度、三人組の愉快な男性組が釈迦岳から降りてきたので、先に行ってもらう。「俺はもう70年以上人生をやっているからもうここでおしまいになってもいいのよ」と冗談を言いながらゆっくりと登っていった。人の登る後に続くのは気分が楽になる。弱気だった和子が先にどんどん登っていってしまった。ガスが出ていて下界が見えないので高度感がやわらいだか、剣が峰の絶壁のトラバースもこなして、最後の大日岳への登りも文句も言わず登っていった。
(摩利支岳への登り)
(大日岳山頂で感激の証拠写真)

(大日岳への14m登り)
(大日岳から15m下り)
(巻き道への20m梯子)

大日山頂には天照大神が祭ってあり、無事の登頂を感謝してお参りをした。釣鐘を打ち鳴らして大喜びをしてから、大日岳の石碑の前で三人組と証拠写真の撮りあいをする。残念ながらガスは晴れず、目の前の入道岳しか展望は利かないので下りにかかった。登りよりも下りの方が取り掛かりで恐怖感がでるが、三人組の様子を観察して後に続いた。
時刻は既に1時に近い、ここから最高峰入道岳は諦めて、長い梯子を使って巻道に下った。新道への分岐を少し越して月の池の所までザックを取りに引き返して休憩した。新道に入ると、ここもなかなかの難物コースだった。次々と鎖場が出てくるし、急斜面のトラバースには巻き道のような横鎖が張ってないので、岩角や根っ子を掴みながら慎重に歩いた。急斜面が済んでやっと周りの紅葉が目に入ってきた。振り返ると八つ峰も紅葉に飾られているが、八つ峰の岩頭は雲の中だった。だんだんとガスが晴れてきたので、カッパ倉まで下りてから休憩しながら20分待ったが、八つ峰は四つ峰までしか姿を出してくれなかった。紅葉と八つ峰の絶景写真を撮りたかったのに残念!
(紅葉のトンネル)
(八つ峰は半分隠れていた)

勾配が楽になった下山道を紅葉の中気持ちよく歩き、稲荷清水もそのまま通過して二合目登山口に15時半に着いた。止まっている車ももう少なく、ここからスキー場の駐車場まで車道をテクテクと歩いた。途中、屏風沢のコースを下から見上げて、下山夫妻はよくもこんなところを登ったものよと感心し、満開のコスモスにも慰められながらも1時間の車道歩きは長かった。もう16時を過ぎているが、団体バスが一台スキー場に向かって走っていった。16時半がロープウエーの最終なのに、どうするのだろうか。
スキー場の水場で泥んこになったズボンや靴を洗って、守門村(今は魚沼市)の民宿小西屋に向かった。温かい風呂でゆっくり汗を流し、ビールで乾杯してから、野菜たっぷりの料理と自慢の魚沼産コシヒカリを腹いっぱいいただいて、明日の守門岳登山の英気を養った。



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