S111.巨大なスラブとブナ紅葉の山・志津倉山

1.動 機
(紅葉が映える屏風岩)
8年12万kmお世話になったセダンを、シートがフルフラットになって車中泊可能なRV車に切り替えた。好天気が二日続く天気予報になったので、早速会津に出かけて車中泊の実習をしてみた。登る山は一日目に志津倉山、二日目近くの博士山にした。志津倉山は、その名前からなんとなく優しいものを感じて登ってみたいと思っていたのだが、実際に登ってみると、なかなか厳しい登り下りが続き、落ちたらおしまいになりそうなトラバースもあったりし て、緊張するところもたくさんあった。それでも、迫力ある巨大なスラブの岩壁を間近に眺めて感動し、登山道の脇には黄葉真っ盛りのブナが太陽に輝いている中を気持ちよく歩くことができ、山頂からは申し分ない展望を楽しむことができ、期待以上に素晴らしい山だった。

2.データ
(三島町の案内書から)
a)山域:志津倉山(1234m)
b)登山日:2005/11/01(火)晴
c)コースタイム: 
日立自宅4:50 = 5:00 日立南IC = 6:35 阿武隈高原SA 6:45 = 7:30 磐梯山SA 8:00 = 8:15 会津坂下IC = 8:30尾瀬街道みしま宿 8:35 = 9:10大沢登山口9:25 ---- 9:45二つ岩コース入口9:50 ---- 10:15雨乞い岩展望台10:25 ---- 10:45大沢コース合流 ---- 11:25三本松 ---- 11:45ブナ平11:50 ---- 12:00志津倉山山頂(昼食)12:50 ---- 12:55大辺峠分岐 ---- 13:20細ヒド13:40 ---- 14:20大沢登山口P 14:35 = 15:10西山温泉(車中泊)  
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000「野尻(南東)」、「博士山(南西)」

3.記 録 
朝早く我家を出発し、5時に南ICから常磐道に乗った。車は買ったばかりの新車なので、スピードを巡航速度90km/hと控えめにして走った。磐越道に入り阿武隈高原SAで小休止、磐梯山SAで朝食をとって、会津坂下ICを8時15分に降りた。途中追い越されっぱなし、私が追い越した車はタンクローリ3台と乗用車1台だけだった。R252を南下して三島町の観光案内所のある尾瀬街道みしま宿に立ち寄って志津倉登山の説明書を貰ってから、宮下温泉のさきから県道59に入り、さらに大谷部落から大谷川沿いの道に入った。道は間方部落からすれ違いも困難な細い道になったが、大沢登山口に着くと5、6台止められる駐車場があった。近くには登山ルートを書いた大きな立派な看板が立っていた。
(志津倉の鐘)
看板の下から登山道に入り、直ぐのところに立っていた志津倉の鐘を鳴らして安全を祈って歩き始めた。帰りに下りてくる細ヒドコースを右に分け、沢沿いのぬかるんだ道を辿り沢を渡ると、右手に大きなスラブが見え始めた。これが雨乞い岩らしい。大沢コースから二子岩コースに分かれる分岐点が雨乞い岩の絶好の展望所だった。コンクリートを流したように滑らかに削られた岩肌が、黄葉をちりばめて美しい。
少々やばいところもあるらしいが、展望が素晴らしいという二子岩コースに曲がった。沢を渡り返してから後は、雨乞い岩に沿ってその中腹まで急登を攀じ登った。黄葉の間から雨乞い岩を右手に見ながら30分ほど頑張ると雨乞い岩展望台という立札が立っていた。展望台の矢印はさらに岩壁の方を示していたが、踏み跡を辿ると岩壁の入り口で終わっていた。眼前に想像を絶するような巨大な岩壁が広がっていた。スラブには幾条もの流れの跡があり、雨後に出来るだろう綺麗な滝と黄葉との組み合わせを想像したりして、心ゆくまで展望を楽しんだ。
(雨乞岩展望台より)

(二子岩のトラバース)
「山頂まで2.5km」の立札から急坂を少し下ってなだらかな道になると、大沢の向こうに猫啼岩の岸壁が見えはじめた。やがて二子岩らしいところでは岩場をトラバースする道になり、落ちたらおしまいと緊張した。ふたたび下り坂を進むと大沢コースと合流した。
沢沿いの登山道を何回か沢を渡りながら遡上すると「最後の水場です」の立札があり、ここからシャクナゲ坂の急坂になった。岩交じりの痩せ尾根をロープや鎖を使いながら登ると、足元がスッパリと切れ落ちている屏風岩の上に出た。足元に草木が生えているのであまり恐怖感はなかった。屏風岩の向こう面には黄葉がたくさん張り付いていて、岩面とのコントラストが美しい。さらに登ると三本松の立札があり大きな松の木が三本立っていた。、ここから稜線に近付くとやっと傾斜が緩やかになり周りはブナの原生林になった。
(山頂から浅草岳、守門岳、御神楽岳)
稜線に上がると右方向を示して「山頂→」の看板があった。地形図の1203mの志津倉山は左手1kmにあり、踏み跡もあるので辿り始めたが、直ぐに背丈の藪がかぶさってきたので諦めた。看板から右手に10分ほどで三角点のある1234mの志津倉山頂に到着した。山頂は見晴らしが良いように樹木が切り払われていて、飯豊連峰は雲の中だったが、北面に安達太良、磐梯山から御神楽岳、守門岳、浅草岳あたりまで、南面に那須から七ツ岳、日光、帝釈山、会津駒あたりまで確認できた。登ってきた東方向だけは樹木が茂っていて、明日登る予定の博士山は残念ながら見ることが出来なかった。弁当を食べてからゆっくり山名同定しながら展望を楽しんだ。
下りは西に向かい、大きなブナの木が多く、周りが黄色に色づいて気持ちの良い稜線歩きがしばらく続いた。それも長くは続かず、尾根を外れると途端に転げ落ちるような急坂になった。ロープや鎖も張ってある急坂を下り、細ヒドの立札の先では、ほとんど垂直な5mほどの岩壁に鉄棒を埋め込んで作った梯子を慎重に下った。糸滝をすぎるとやがて傾斜がゆるくなって、やっと周りの黄葉を楽しむゆとりができ、気持ちよく歩  いて大沢コースに出て、志津倉の鐘を鳴らして駐車場に戻った。登りはじめて5時間たっていた。
(大きなブナの木もありました)
(下りの岩場)

来た道を大谷まで引き返し、大谷峠を越えて西山温泉の日帰り温泉「せいざん荘」の駐車場に入った。「せいざん荘」は町営の大きな立派な建物で、食堂や休憩所が付いている。風呂は温泉、露天風呂もあり、入浴料310円也。入浴していた地元の人(地元は210円)も「時たま来るだけだよ」と言い、浴槽はがらんとしていた。夕食を作るのも面倒で、温泉内の食堂の定食で済ませた。駐車場には常夜灯がついており、隣接の公園のトイレも自動照明の立派なもの、車中泊にもってこいの場所だった。管理人に話すと大歓迎の御返事が返ってきた。18時にもなると何もすることがない。シートをフラットにし、シュラフと毛布にくるまって夜明けまでぐっすりと眠った。



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