T55 ドンデン山と金北山

1.動 機
ドンデン山という変わった名前の山が気になって、花の百名山にも入っているので、以前から登ってみたかった。今年こそと思い立ち、新潟の姉夫婦にも「今年は行くよ」と宣言して5月18日のドンデン山荘の予約も取って天気予報を睨んでいたら、15日にお日様のマークが付いてきた。急遽、両津の安宿の予約を取り、ドンデン山荘の予約を取り消して出かけてきた。ドンデン山のほかに金北山にも登ってきたが、花時期にも旨くマッチングして、期待以上に素晴らしいお花畑を堪能してきた。

2.データ
a)山域:尻立山(940m)、孫次郎山(938m)、金北山(1172m)
b)登山日:2006/05/15(月)晴、05/16(火)曇り後晴
c)コースタイム:
5月14日:森山自宅 8:05 = 8:35日立北IC = 9:20小野IC = 12:25新潟中央IC = 13:30白山公園15:30 = 15:45 佐渡汽船P 15:50 ---- 16:00 トキメッセ 17:00 ---- 18:00 ホテル(会食) 20:30 ---- 20:40トキメッセ21:10 = 21:20佐渡汽船P (車中泊)
5月15日:新潟港 6:00 =フェリー= 8:30両津港 8:50=(バス)= 9:10 アオネバ登山口9:15 ---- 11:10 アオネバ十字路10:20 ---- 11:50林道 ---- 12:10キャンプ場入口12:15 ---- 12:25ドンデン池 ---- 12:30キャンプ場入口 ---- 12:45尻立山(昼食)13:15 ---- 13:40ドンデン山荘14:20 =(バス)= 両津港15:00 ---- 旅館(泊)
5月16日:旅館 7:10 =(タクシ)= 7:40ドンデン山荘 7:55 = 8:35 アオネバ十字路 ---- 9:25 マトネ 9:35 ---- 9:55石花分岐 ---- 10:35ニセ天狗の休場10:40 ---- 11:10イモリの頭 ---- 11:55天狗の休場 ---- 12:15 (昼食)12:35 ---- 13:00アヤメ池 ---- 13:30 金北山13:50 = 15:10白雲台16:40 =(バス)= 17:20 両津港19:30 =(フェリー)= 22:00 新潟港 22:20 = 22:35 新潟亀田IC = 23:50 磐梯山SA(車中泊)
5月17日:磐梯山SA 6:10 = 6:15 猪苗代IC = 6:40 郡山南IC = 7:00 高旗林道 8:30= 10:40 三鈷室山 12:00 = 14:00 森山自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000「両津北部」、「金北山」

3.記 録 
a)5月14日
新潟の姉夫婦に会うのは午後の約束だが、8時過ぎに我家を出発した。ETCの通勤割引に間に合わせる魂胆で、9時前に日立北ICで高速に乗り、100km未満の小野ICで一旦高速から下りる。
新潟に着いて、まずは佐渡汽船のターミナルに行って、駐車場の様子や乗船方法を下見した。車のフェリー代が馬鹿高いので、車は新潟に置いてフェリーに乗る積りだ。新潟市内にただで駐車できるような場所はないだろうかとうろうろしたが、政令指定都市になろうとする大都市には、市街地に空地はない。海岸通りではあまりに人通りが少なくて、二日も駐車しておくのは危険だ。佐渡汽船の駐車場に停めて行くことにした。
白山公園で昼食を取ったり散歩したりし、佐渡汽船の立体駐車場に戻って駐車して、待ち合わせ場所の隣のトキメッセまで歩いた。姉夫婦は70才台半ばでまだまだお元気、挨拶にも張りがあり去年と変わらない。
メッセのラウンジでしばし四方山話してから、川畔のホテルのレストランでフランス料理をご馳走になった。いつも山菜等でつつましくやっている口には、久しぶりのご馳走、お元気な話を聞きながら嬉しい時間を過ごした。
食後、歩いて駐車場に戻り、駐車場の中で車中泊した。途中の夜景と川面とが綺麗だった。
(トキメッセ)
(万代橋の夜景)
b)5月15日
車は駐車場に置いて、6時出港のフェリーに乗る。二等船室も空いている。一眠りしてから、朝食をとり、外に出て見え始めた初めて訪れる佐渡島に見入っていた。
登山姿の一団が、金北山に向けて盛んにシャッタを押していた。「あれが金北山ですか」と話を向けると「さて、自信がないよ」とのご返事。団長らしき小柄の男性が、「左端が金北山、中がドンデン山、右が金剛山です。われわれは今日、ドンデンから金剛に10km縦走、明日は、ドンデンから金北山へ20kmの縦走です」と「そんな計画もあるんですね。面白そうですね」といったが、後で思い出してみると、この人は岩崎元郎さんだった。もっと話を聞くのだったと悔やんだが、話べたはどうしようもない。
両津港に着いて、予約しておいた乗車券を買って、ドンデンライナという登山バスに乗った。乗客は意外と少なく、席は半分空いている。アオネバ登山口までは広い道、勾配もカーブも少ない。ここで、我家はバスを下りたが、一緒に半分が下りた。
整備されていて歩きやすい登山道を歩き始めると、すぐに花のオンパレードが始まった。スミレやニリンソウ、キクザキイチゲなどが賑やかだが、クルマバソウ、チゴユリ、キケマン、ヒトリシズカ、エゾエンコグサなどおなじみの野の花も咲いている。ユキワリソウは葉っぱだけが残っている姿で残念だったが、登るにつれて、イワカガミ、エンレイソウ、シラネアオイが顔を出しはじめ、特にここのエンレイソウは葉っぱも大きくて立派だ。太いミズを採取しながら「今晩の夕食」と嬉しそうな男性もいた。滝の見える中間の青ネバユブというところを過ぎると、下では盛りを過ぎていたシラネアオイやカタクリが新鮮な色で迎えてくれた。特にシラネアオイが道の両側に列をなしてどこまでも続く様は感激ものだった。
(一日目のアオネバ登山口)
(至る所シラネアオイのお出迎え)
アオネバ十字路まで上がり、明日登る金北山への道を左に分けて、右の稜線の道を歩いた。ここからもヒトリシズカが大群落で咲いていたり、ミヤマカタバミやサンカヨウが新鮮な白い花をつけていたり、ザゼンソウが大きな葉っぱをつけて座っていたり、カタクリもいっそう賑やかになって、シャッタを押すのに忙しかった。下を向いて歩いていたら、上にもタムシバ、ムシカリ、クロモジ、ヒョウタンボクも咲いているのだった。
林道に出て、キャンプ場方向の左に向かい、再び登山道に入るところでユキワリソウを発見した。一昔前は佐渡にも雑草のように咲いていたらしいが、商売人の乱獲に合い、今ではところどころにわずかに残っているだけになったとのこと。角田山や弥彦山の賑やかさはないが、色々な色合いで咲いていて、じっくり眺めているとなかなか可愛い。
草原状の台地に出ると、ここがドンデン高原、広々としていて気持ちがいい。草原の中に、エチゴキジムシロやアマナがいっぱい咲いている。特に黄色いキジムシロは目だって見えていた。
(静かなドンデン池)
湿地帯のところに分岐があり、野営場入口の立札がある。この道に入って行くと水場や炊事場があって広いキャンプ場になっていた。ポケナビによるとドンデン池はこの先にありそうなので、更に進んでいくと、岸辺に雪を残した静かな池があった。周りにお花畑を期待したのだが、静かなだけの池だった。
(ドンデン山山頂にて)
立札のところに引き返して、標高940mの尻立山に登った。いわゆるドンデン山は、人によってこの尻立山であったり、次の934mの三角点峰霧立山であったり色々だ。山頂からの眺めは素晴らしかった。南西に金北山への山並み、北東に金剛山の山並みが広がり、南東には小佐渡の山並みが広がっていて、その上にわずかに弥彦山も見えていた。
周りを眺めながら昼食を取って、バス乗場のドンデン山荘に向かった。少し下って上り返したところが三角点峰だったが、青大将が穴から出てくるところに出くわして、証拠写真撮影は中止になった。ドンデン山荘の建物の向こう、小佐渡の手前に両津と相川を繋ぐ平野が広がり、田植えしたばかりの水田群がキラキラ光っていた。
ドンデン山荘に上がってトイレを借用し、冷たいビールを飲んでから下のバス乗場に下りて行き、待っていたドンデンライナーに乗った。時間ぎりぎりに12人の団体が乗ってきたが、予約はなくても、席が空いていれば乗せてもらえるようだ。アオネバ登山口まで下って、4人の予約客を待ったが、時間を過ぎても現れないのでバスは通過した。きっと十字路の先で、フキノトウの入った袋を持ってサンカヨウに感激していた4人の女性達だろう。アオネバ渓谷の綺麗な花に夢中になって時間を忘れたのかもしれない。ここなら、タクシーを呼んでも大丈夫だろう。
バスで両津港に着き、予約を取っていた海老根旅館まで5分ほど歩いた。本日一番の到着だったので、元気のいいご夫婦に猛烈な歓待を受けた。佐渡島の本3冊を貸してくださり、手作りの登山地図を頂いた。早速用意された風呂で汗を流し、海の幸いっぱいの夕食を頂いて幸せな一日を締めくくった。
c)5月16日
朝目覚めると外には青空もみえた。雨も覚悟だったのに、嬉しい予報はずれだ。親切なご夫婦の好意で6時20分からと早めに用意された朝食を取り、7時10分に呼んで貰ったタクシでドンデン山荘まで上がった。山登りの人の料金は定額4000円だといい、メータは立てたままの有難い特価だった。
山荘前には昨日金北山から縦走してきたという女性グループがいて、縦走路の雪渓で苦労した話や「今朝6時に岩崎元郎さんグループが出て行ったよ」など情報をもらう。「山荘は一昨日70人も泊まって混雑したらしい」との話もあり、定員34名以上の予約も受けることもあるようだった。
(カタクリはどこにでも咲いていた)
(ユキワリソウは貴重品)
山荘前で、改めて金北山を眺めるとはるか彼方だった。始めは林道歩きだが、斜面には色々なスミレに混じってユキワリソウが昨日よりもたくさん咲いていた。アオネバ十字路まで昨日の道を歩いたが、カタバミやキジムシロの花はまだ眠っていた。
(マトネから金北山まで続く長い稜線)
十字路からはマトネへの登り道を歩いたが、カタクリが見頃を迎えていて綺麗だった。カタクリやキクザキイチゲがここから金北山、さらに、白雲台に下るまでも道端のいたるところに咲いていた。まさに、花の名山そのもの! 花好きの我家には堪えられない嬉しい登山道だった。
マトネの山頂から道は左に曲がり、笹薮の中を潜って出ると、目の前に金北山まで長い稜線が続いているのが見えた。まだまだ遠いなあ! 石花分岐を過ぎ次のニセ天狗の休場というピークに着くと、ユキワリソウが結構かたまって咲いていて喜ばせてくれた。稜線にはミネザクラが満開だし、草原にはハルリンドウやキジムシロ、アマナが彩りを添えていた。
段々と金北山が近づき、藪気味の道を歩いていると、突然に目の前にお花摘み中の女性がいて、お互いに大慌て。白雲台から来たが誰にも出会わなかったという。岩崎さんはどうしたのかなあ。「雪渓などあって、まだまだ大変だから、気を抜かないで行きなさい」と注意されて、まだ先が長いことを思い知らされる。
本当の天狗の休場に着くと、そこは展望台にもなる草原のピークで、休むに格好の場所だったが、金北山が隠れて見えなかったので、更に進んだ登山道の真ん中に陣取って金北山とカタクリやミネザクラを眺めながら昼食を取った。
(役の行者から金北山の展望)
(雪渓の急な登り、下にあやめ池)

(金北山山頂にて)
役の行者のピークで右に曲がると金北山が目の前に迫り、雪渓を登るステップがはっきりと見えた。金北山に向かって進むと、ところどころに雪が残っていて、その都度残雪を渡ったところで登山道があやふやになった。なんとか踏み跡を見つけてあやめ池を過ぎるといよいよ急坂の雪渓が現れた。45度以上ありそうな雪渓で、先の通過者が深いステップを切ってくれているので、これに足を合わせながらゆっくり登った。下りは怖くてここは通れないだろうから雪渓脇の藪を漕ぐことになるのだろう。
雪渓を登りきると登山道は長いトラバースになり、残雪や藪漕ぎが何度かあった。金北山山頂直下の残雪を登りきると、大きなドームの隣に金北山神社があった。神社前で証拠写真を撮り、周りの展望を楽しんだ。東から南の小佐渡方向の展望は抜群だが、他は自衛隊の施設に囲まれていて展望が利かない。
階段を下り鳥居を潜って施設の門の前まで回りこむと、バスの待つ白雲台までの道路が延々と続いているのが良く見えた。これから4km以上のの車道歩きをするのかと思うとぞっとする。道の周りの斜面はフキノトウの花盛りだった。
 
(金北山から白雲台方向を俯瞰)
生半可な量ではない。広い斜面一面が黄色い花でいっぱいなのである。もう大きくなっているので採る気にはならなかったが、一週間前だったら、荷物を重くしていたかもしれない。
(道路脇はフキノトウの大群落)
(二ノ岳あたりから金北山を振り返る)
うんざりするような長い車道歩きだったが、半ばあたりからは、ブナの美林があったり、カタクリの花が咲いていたり、目を楽しませてくれた。自衛隊の車に何台か出会いながら1時間20分で白雲台に着くと、金北山ライナのバスはもう待機していた。予約は我家二人だけとのこと、運転手と車掌さんがせっせと車内の掃除をしていた。展望台に上がったり、みやげ物店を冷やかしたりしたが、発車まで1時間半もあるので、バスに乗って一眠りした。
予約外の男性一人を乗せて、定刻に発車して両津港に17時20分に着いた。美味しい佐渡の海鮮料理を食べたいと思って街を歩いたが、驚いたことにほとんどのレストランがすでに閉店していた。もう、19時30分発のフェリー一便しかないので、お客がほとんど期待できないので早々に店じまいするのだった。おばあさん一人でやっている店が開いていたので、元気な呼び込み声に誘われて入ってみたが、あまりお勧めできるお料理ではなかった。
フェリーの出発時間はもう日が落ちていたので、新潟に着くまで外には出ないで、毛布を借りて船室でゆっくり寝ながら過ごした。新潟港に夜10時に到着し、県からの補助券2000円で割引された5200円の駐車料金を払ってから駐車場を出て、新潟亀田ICで高速に乗り磐梯山SAで車中泊した。
d)5月17日
5時過ぎにSAで目を覚まし、まっすぐ日立に帰るのはもったいないので、途中、高旗山と三鈷室山に寄って、フキや山菜を採って帰ることにした。次の猪苗代ICで深夜割引で途中下車し、郡山南ICまで通勤割引で走って、高旗山の近くの一昨年目を付けていたところでフキを採取した。2時間ばかり走って、三鈷室山の麓で、ワラビやウド、タラボを採取し、里美JAで昼食を取って、14時頃我家に帰り着いた。ガソリンを満タンにしたら48g、走行距離は620km、燃費は13km/gだった。

4.佐渡の山で見た花たち 
(アマドコロ)
(アマナ)
(イワカガミ)
(エゾエンコグサ)
(エチゴキジムシロ)
(エンレイソウ)
(オドリコソウ)
(カタクリ)
(キクザキイチゲ)
(キケマン)
(クルマバソウ)
(クロモジ)
(ザゼンソウ)
(サンカヨウ)
(シャガ)
(ショウジョウバカマ)
(シラネアオイ)
(ズダヤクシュ)
(スミレ1)
(スミレ2)
(チゴユリ)
(ニシキゴロモ)
(ニリンソウ)
(ハルリンドウ)
(ヒトリシズカ)
(ヒメイチゲ)
(ヒョウタンボク)
(フッキソウ)
(ミネザクラ)
(ミヤマカタバミ)
(ムシカリ)
(タムシバ)
(ユキワリソウ)



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