U71.ヒメサユリの会津朝日岳

1.動 機
我家は花を眺めるのが大好きである。数年前に高清水自然公園を散策して、園内いっぱいに群生していたヒメサユリを眺めたのが思い出され、そのかわいらしい花にまたお目にかかりたくなった。ヒメサユリは会津の花、今度は山に自生するヒメサユリを眺めようと、会津朝日岳に登ることにした。
会津は遠いし、朝日岳はきつい山らしいので、日帰りは無理と考えて登山口で前夜泊することにした。


2.データ
a)山域:会津朝日岳(1624m)
b)登山日:2007/07/06(金)曇(前夜発)
c)コースタイム: 
7月5日:日立自宅 16:10 = 18:45 道の駅たじま18:55 = 20:30 登山口P(車中泊)
7月6日:登山口 5:45 ---- 6:50 三吉ミチギ 7:00 ---- 7:45 人見の松7:50 ---- 8:20 叶の高手---- 8:50避難小屋 9:00 ---- 9:55 山頂(昼食)10:45 ---- 11:25 避難小屋11:35 = 12:35 人見の松---- 13:25 三吉ミチギ13:30 ---- 14:35 登山口14:50 = 15:10 むら湯(入浴、食事)16:20 = 17:20 道の駅たじま17:30 = 20:20 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「会津朝日岳」
(会津朝日岳登山ルート)


3.山行記録
我家を前日夕方出発して道の駅たじまに着いた時には、もう日が落ち始めていた。R121からR289に入って駒止湿原を越えて只見の黒谷川沿いの道に入る頃にはすっかり暗くなっていた。「いわなの里」から先は道が未舗装なうえに草が覆いかぶさっていて、車で入っていいものかどうか危ぶまれた。尋ねようにも「いわなの里」の照明も消えており、思い切って突っ込むしかなかった。深い水溜りがあったりの悪路だったが、程なく広い駐車場に着いた。途中買い込んだコンビニ弁当を食べてから、真っ暗な駐車場、たった一台だけの車の中で静かな一夜を明かした。
朝起きて朝食をとって、出発準備を終わっても誰もやってこない。少し霧雨も降り出し、天気予報が悪いほうに変わって、皆さん敬遠したのかなと心配になった。
ザックカバーを付け、登山者カードをポストに入れ、その脇の登山道を歩き始めた。すぐに木の橋を渡り、沢沿いのなだらかな道を歩いていった。
(誰もいない駐車場から出発)
(木の橋を2度渡る)

道は広いのだが、両側から草が出っ張っているので狭く感じる。間もなく雨は止んだが、驟雨で濡れた草でズボンも濡れてくる。道にも水が流れているところが多く、足元を選びながら歩いていった。登山道に沿ってヤマアジサイの青い花があちこちに咲いていて、落ち込みそうな気分を癒してくれた。
二つ目の橋を渡って少し歩くと「叶の高手」が見えてきた。絶壁のような斜面が見え、これを登るのかと思うと気が引き締まる。
(道は広いが草がうるさい)
(叶の高手が立ちはだかる)

沢沿いの登山道は斜度を増してきて、何度か赤倉沢を飛び石伝いに渡ると「三吉ミチギ」とよばれる水場に到着した。パイプから流れ出る水を飲んでみたら、冷たくて美味しい。今日の登山は、来週挑戦する栂海新道への鍛錬でもあるので、ザックは重くしようと携帯ボトルに水を補給し、2Lのペットボトルも満タンにした。
(飛び石での渡渉を繰り返す)
(三吉ミチギの水場、ここから急登)

登山道は水場を過ぎてから沢から遠ざかり、いよいよ叶の高手への急登が始まった。ジグザグに切った登山道がどこまでも続き、いろは坂以上に何回も曲がりを繰り返した。
人見の松の立札が現れ、下に枯れ木と茂った木と大きな木が2本見えたが、どっちが人見の松なのだろう。ここは展望台のようになっていて、条件がよければ会津の山が見渡せるのだろうが、今日は残念だが視界が利かない。ここでお元気なご夫婦に追い越されたが、今日出合ったのはこのお二人だけだった。
(じぐざぐに切った登山道、ロープもあった)
(人見の松で一休み、天気が良ければ好展望地)

人見の松で一休みして更に登っていくと、道は少しなだらかになり、道傍に待望のヒメサユリが現れた。少し色あせたのもあったが、多くはまだ綺麗な色で咲いていて、二人を喜ばせてくれた。何枚もシャッタを押した。
叶の高手に登り詰めたが、向こうに見えるはずの会津朝日岳もガスの中だった。少し下ると大きなクロベの木が立っていた。大クロベはこの先にももう一本あり、こちらの方が大きいようだった。
(叶の高手の手前はヒメサユリ群生地)
(大クロベの木、もう一本あった)

叶の高手から熊の平まで勿体無いが100mほど下る。道には泥濘や倒木が何箇所も現れた。ユキザサの白い花やサンカヨウの青い実が目を引いていた。
(随所にぬかるみ)
(倒木とも格闘)

熊の平の先に避難小屋があり一休みした。大きな小屋だった。小屋から登ったバイウチの高手から会津朝日の絶壁が見えてきたが、山頂はまだガスがかかっていた。下の写真は下りで撮ったものである。
バイウチの高手からすこし下ったところから山頂までがすごい急登だった。雪渓を登るものと思ってアイゼンも用意して来たのだが、今年は雪が少なかったようで岩場を攀じ登ることになった。雪渓が解けたあとにはイワイチョウやコバイケイソウは新鮮な葉を広げていたが、花はまだだった。脇にはコイワカガミやウラジロヨウラクがピンクの花を見せていた。
汗を拭きながら登っていると、くだんのご夫婦が降りてきて「山頂は視界ゼロ、ヒメサユリが綺麗、ここが一番苦しかったね。もう少しだ、頑張って」と声をかけてくれた。
(朝日岳の絶壁が見えてきた)
(山頂直下の雪渓は消えていた)

たっぷり汗を搾られて山頂尾根に登りつくと、ヒメサユリがまた現れた。ここではまだ蕾もあり、咲いた花は新鮮な色合いで綺麗だった。山頂手前の最高峰の岩場にはたくさんのミヤマクワガタが小さな青い花を付けているのが美しかった。
山頂に着いても、ご夫婦の話通り周りは一面の雲の世界だった。すぐに下山かと持って、近くの絶壁の写真を撮ったり、証拠写真を撮ったりしているうちに、なんと視界がだんだんと晴れてきた。視界がもっと良くなるのを期待して、まだ10時前で少々早いが昼食をゆっくりと食べることにした。かすかに見え始めた景色をゆっくりと楽しんで下山にかかった。
(山頂にもヒメサユリが咲いていた)
(山頂の証拠写真、虫多し)
(鋸刃方向の絶壁)
(高倉山方向も絶壁)

下り道では、登りでは見えなかった山々が展望できた。
(下りでは浅草岳も見えてきた)
(会津駒が岳)

登山途中、ヒメサユリだけでなく、たくさんの花たちが目を楽しませてくれました。
(ヒメサユリ)

(ヤマアジサイ)
(カラマツソウ)
(バイケイソウ)
(コイワカガミ)
(ウラジロヨウラク)
(ミヤマクワガタ)

ゆっくり歩いて14時半ごろ登山口の駐車場に下り着いたが、停まっているのはやはり我家の車一台だけだった。昨夜は気持ち悪かったい狭い林道も、昼間走ればなんと言うことはない。今日は草刈をする人も見えて、走りやすくもなっていた。
途中、日帰り温泉「むら湯」で汗を流して食事も頂いて元気になり、安全運転で20時過ぎ我家に無事帰ってきた。




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