U813.北海道南部の山
(羊蹄山)

1.動 機
羊蹄山は、以前北海道のドライブに出かけたとき、麓から蝦夷富士とも呼ばれる美しい円すい型の山容を眺めて、一度登りたいと思っていた。今度の水戸アルパインの「北海道南部の山」では、4日目に比羅夫から倶知安コースを登って真狩コースを下る予定になっていたが、丁度台風5号がやってきてその日の登山は中止になった。4日目は麓の噴出し公園で遊び、5日目に「樽前山・風不死岳」を止めにして、比羅夫からのコースを往復登山することになった。

2.データ
a)山域:羊蹄山(1898m)
b)登山日:2007/08/05 曇一時雨
c)日程
8月4日:比羅夫10:00 = 10:20京極ふきだし公園12:00 = 13:00支笏湖温泉(泊)
8月5日:支笏湖温泉3:00 = 4:50比羅夫登山口5:00 --- 9:25羊蹄山9:45 ---- 12:40比羅夫登山口 = 16:35千歳空港18:20 = 19:50 羽田空港20:20 = 水戸IC = 23:55日立電鉄南営業所
d)同行者:水戸アルパイン(男8、女7)、和子
e)地形図:1/25000 「幌尻岳」「二岐岳」

3.山行記録
4日目:京極町噴出し公園と支笏湖湖畔散策
前日には、今日早朝から羊蹄山に登ることが出来ると思っていたので、ホテルの朝食には弁当を注文していた。しかし、朝4時に起きると、外は雨、テレビの予報では「台風は南に逸れたが段々と風雨が強くなる」と言っている。これでは羊蹄山の山頂を歩くのは危険だと判断されて、今日の登山は中止になった。
登山中止で出発は10時になったが、朝食は注文のおにぎりだけ、ホテル食堂で美味しそうなバイキングを横目で見ながら、お情けのドリンクサービスだけをいただきながら、今日、明日の予定の話し合いをした。今日は予約の支笏湖温泉のホテルに向かう途中、京極ふきだし公園を散策しながら名水を味わってジンギスカン鍋の昼食をとる。「樽前山・風不死岳」は個人でも比較的登りやすいので今回は止めにして、明日は早起きして2時間かけてここまで引き返してきて羊蹄山に登ることに決まった。
今日は、ホテルを出てからのバスの中からも羊蹄山の姿は見えない。ふきだし公園に着くと駐車場にはもう車がたくさん停まっていた。ペットボトルを持って水取りに出かけると、雨の中でも大勢の人が散策している。湧水口でおししい水を味わって、公園内を半周してから、園内の名水プラザで全員ジンギスカン鍋を注文した。みんな健啖家で、たっぷりの材料がすぐになくなった。
(京極ふきだし公園)
(ジンギスカン鍋)

支笏湖湖畔の観光ホテルに入ると、従業員のみんなが親切で、余分な荷物は事務室に預かってくれ、額平川渡渉で濡れた靴や衣類をボイラー室に干させてくれた。
湖畔に出ると、時々青空も顔を出して、岩頭の恵庭岳や明日登る予定だった風不死岳と樽前山が支笏湖の向こうに姿を現した。明日の羊蹄山に期待を持たせた。
近くのビジタセンタに入ると、山や鳥、花の写真展示のほかに、支笏湖の成り立ちを判りやすく展示されていて勉強になった。
入浴後、大広間で大宴会、豪華な料理とたっぷりのアルコールも入って、幌尻の苦闘話、来年の予定など山の話に花が咲いた。
明日は2時起き3時出発、夕食後、ザックの準備をして寝床に入ったが、階下が丁度お風呂場、床下からオンドルのように温められた。北海道には冷房装置がないので一晩中汗をかきながら辛かった。
(支笏湖湖畔から風不死岳)
(ビジタセンタの支笏湖模型)

5日目:比羅夫登山口から羊蹄山往復登山
支笏湖温泉3:00 = 4:50比羅夫登山口5:00 ---- 5:452合目5:50 ---- 6:505合目6:55 ---- 7:507合目7:55 ---- 8:309合目8:35 ---- 9:25羊蹄山9:45 ---- 10:159合目10:20 ---- 11:205合目11:25 ---- 12:002合目12:05 ---- 12:40比羅夫登山口12:50 = 13:50フォレスト276(昼食)14:25 = 15:00支笏湖温泉(入浴)16:00 = 16:35千歳空港(夕食)18:20 = 19:50 羽田空港20:20 = 水戸IC = 23:55日立電鉄南営業所

朝2時過ぎに起き出して、帰りのこのホテルに立ち寄って温泉であせを流す予定なので、事務所に余計な荷物を置かせてもらって、日帰り登山の出で立ちでバスに乗り込んだ。途中、昨日予約しておいたコンビニで朝食と昼食を買い込んで、寝不足のみんなを乗せて羊蹄山に向かったが、空は今にも雨が降り出しそうな雲行きで羊蹄山はガスの中だった。
比羅夫の街からR5から分かれて奥に入ると、半月湖大型バス駐車場の看板が目に入った。運転手も随分綺麗に整備されたものだと感心していたが、羊蹄山の登山口はもう一つ奥の駐車場だった。ここはキャンプ場の駐車場で、車道はここまでも細いながらも舗装されており、駐車場も舗装され立派なトイレや水場が整備されていた。

登山道入口に大きな案内板があり、それによると合目は100mおきに付けられているらしい。高度差は1550mあるが、4つある羊蹄山登山コースのうち、この倶知安コースは一番登りやすいコースとの話である。
(麓から100mおきに合目札がかかっていた)

駐車場で身支度を整えて歩き始めた。もうヘッドランプはいらない時間だが、樹林の中は薄暗い。緩やかな登山道を暫く歩いた。
(比羅夫登山口駐車場)
(薄暗い中を登山開始)

やがて山道らしくなり、暫くエゾアジサイの咲くのぼりを歩くと風穴の看板があった。少し上に苔むした岩の重なりがあり、ここから涼しい風が吹き出しているのかと想像したが、今日は確かめる時間がない。すぐ上の2合目看板のところで小休止した。合目板には羊蹄山リレーマラソン実行委員会の名前が付いている。このきつい山を、途中気を抜くことが出来ない駅伝で襷を繋ぎながら登るのは大変だろう。
(風穴)
(2合目)

ごろ石の急坂を登っていると、眼下の一面の雲海の中に山が見えてきて、リーダの説明ではニセコアンヌプリの山とのこと。展望が開けたのは、後にも先にもこの一瞬だけだった。単調な急登をしっかり汗を絞られながら登って、5合目でやっと小休止になった。
(ニセコアンヌプリ)
(5合目)

雪の重みで曲げられて登山道に覆いかぶさったダケカンバの木を潜りながら登る。一時雨が強くなって、雨具を着けたり脱いだり忙しかったが、チシマアザミ、コガネギク、ヤマハハコなど段々と花の数が多くなってきた。九合目は岩場でウラジロタデ、イワブクロ、チシマギキョウ、ウメバチソウなど色とりどりだった。これに視界が利いて近くの山々が見えてくれれば申し分ないところだが贅沢と言うものだろう。
(7合目通過)
(9合目)

9合目を過ぎると周りが花畑のようになり、サマニヨモギ、ミヤマヒゴタイ、イワブクロなど、特にチシマフウロのピンクの花やハクサンボウフウの白い花が一面に咲いているところは見事だった。花を楽しみながら火口縁に登ったが、あたりは一面のガス、大きな火口も何も見えない。
(お釜の縁に上がってもガスは濃くなるばかり)
(三角点峰へ)

三角点前で証拠写真を撮って、最高地点に向かう。1898mの山頂標柱の前で万歳して集合写真と各自の証拠写真をとって、腹ごしらえをした。
(一等三角点)
(最高地点)

花写真集
(エゾアジサイ)
(イワブクロ)
(チシマフウロ)
(チシマギキョウ)
(サマニヨモギ)
(エゾオヤマノリンドウ)
(チシマアザミ)
(ヤマハハコ)
(ウラジロタデ)
(ヤマブキショウマ)

入浴の時間もとって飛行機の時間に間に合わせるために、下山は急ぎ足だった。下りでは頑張る女性陣のあとを男性陣が一生懸命に追いかけるのがいつもの構図だが、今回も同じだった。休憩地点に男性陣にしんがりが着くとすぐに出発になった。
登山口に着いて、水場で泥んこの靴やスパッツを洗ってバスに乗り込んだ。途中道の駅で美味しい食事をして、支笏湖のホテルの温泉で汗を流した。千歳空港には出発2時間前に到着し、チェックインして北海道の海鮮料理を味わった。飛行機は予定通りに飛び立ち、雲海に沈む夕日を鑑賞して羽田に着くと、電鉄のバスが待っていた。一路茨城に向かい、渋滞もなく走って、水戸、勝田、那珂、東海と仲間を全部下ろして、電鉄南営業所に御前様にならないうちに到着した。



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