U91 読売新道

5日目;9月2日 野口五郎小屋ー奥黒部ヒュッテ 


9/02(日):野口五郎小屋5:10 ---- 5:25野口五郎岳 ---- 5:55竹村新道分岐 ---- 6:25・2833 6:30 ---- 7:05東沢乗越7:10 ---- 7:50水晶小屋7:10 ---- 8:45水晶岳8:50 ---- 9:45温泉沢の頭 ---- 12:00赤牛岳(昼食)12:25 ---- 14:15(4/8道標)14:25 ---- 17:00奥黒部ヒュッテ(泊)
天候:曇一時雨

今日はコースタイム11時間の長丁場、小屋のご主人も理解してくれて、4時半には朝食の準備をしてもらえた。ここのご主人は、ここまでの小屋で作ってもらった弁当でたまっていた弁当の空パックも引き取ってくれた親切な親父だった。
弁当を受け取って5時過ぎに歩き始めたが、外は一面のガス。野口五郎の登り口で一瞬空が明るんで朝焼けが見えたが、それは一瞬のことで、後は悪くなる一方。視界がなければ山頂に立っても仕方がないので、野口五郎も巻いて歩いた。真砂岳を巻き、竹村新道の別れを過ぎて岩の多い道を歩いて・2833の巻き道でついに雨が降り出して雨具をつけることになった。
東沢乗越付近は大岩が多いので疲れる。東乗越で一休みしてから、水晶小屋に向けて登っていったが、ここからは更に岩場が続いた。

(・2833mピークで雨具装着)


(水晶小屋近くは岩場の連続)

岩場の道を乗越え乗越え歩いて水晶小屋に着くと、Aグループの女性陣が首を長くして待っていた。昨夜は10人のほかには6人だけの宿泊で快適な夜を過ごしたと喜んでいた。女性陣はすぐに出発して行ったが、我々は小屋の中に入って一休みした。水晶小屋は今年改築されたばかりで、小屋の中は新しい木の香りがぷんぷんとしていた。小屋は広く立派になっていて、寝室は上の階で一階には乾燥室、荷物室もあった。中二階、2階の寝室は天井は低いが30人が布団一枚占有して寝ることが出来るスペースだったという。
ゆっくり休んでAグループの後を追った。しばらくは幅広い稜線上のなだらかな道をだったが、山頂に近付くと岩の重なりの登山道なった。登りでは女性陣は少し遅くなる。ここでやっとAグループに追いついた。

(水晶小屋ではAグループが待っていた)


(水晶岳山頂近くも岩場ばかり)

Aグループに追いついて、風雨の中で大急ぎで山頂での全員集合写真を撮って、また岩を乗越えながら次のピークを越え、温泉沢の頭まで岩場を歩いた。水晶岳は大岩が多くてしんどい山だった。展望が楽しめたら気分も変わったのだろうが。

(水晶岳山頂は風雨強く写真も大変)


(温泉沢の頭まで岩場が続く)

どんどん下ると、やがて山肌の砂地は赤みを帯びてきた。赤牛岳が近付いたことを感じながら、ガスで視界が利かない中、岩っぽい斜面をトラバース気味に歩いていった。しかし赤牛岳は大きな山、なかなか山頂にはたどり着かない。岩の重なりを登り切ってやっと山頂にたどり着いた。山頂でも視界はゼロ、水晶か赤牛から去年歩いた雲の平や高天ヶ原を見たかったのだが贅沢と言うものだったか。山頂は風が強くて休んでおれない。集合写真だけ撮って、山頂のすぐ下で風を避けながら昼食をとった。

(赤牛岳に近付くと砂が赤くなった)


(最後のピーク赤牛岳山頂で万歳!)

ここからいよいよ読売新道だ。快適な下り坂を期待していたが、山頂からの下りは、遠くの山から赤牛岳を遠望したときのなだらかな山容からは思いもかけない急坂の下りだった。急坂を下ってからも岩の重なりが続き、石の頭を拾いながら慎重に歩く。私はこの石の頭を拾う歩きが苦手だ。その後もガレバの下りが続き、皆さんに遅れないよう精一杯頑張って汗をかいた。

(赤牛岳に急坂が多くてびっくり)


(岩場も多かった)

読売新道には道程の1/8ごとに道標が立ててある。6/8道標の前あたりでやっと道がなだらかになり、ガスも晴れてきた。南沢岳・烏帽子岳・烏帽子小屋・三ッ岳が姿をあらわし、下には黒部湖も見え始めて励まされた。やはり展望が開けると気分がよくなって元気がでてくる。

(1/8毎の道標・烏帽子岳が見えた)


(黒部湖が見えてきた、これからが遠かった)

4/8の道標で一休みしてからは道は樹林帯に入る。深く掘れた道、ぬかるんだ道、根っこがアスレチックの網のようになって下がすけすけの道、時にはロープ場もあって、読売新道は体力を消耗する、長い長い下り道だった。水戸アルパインの女性陣は近年下りにはめっぽう強くなった。遅れないように追いかけるのだが容易ではない。
そのうえに小さなぶよのような虫が顔の周りをまとわり付いてうるさくてしようがない。刺しはしないのだが、うっかりすると口の中や目の中まで飛び込んでくる。払っても払っても退散するものではない。暫くして気が付いたのだが、この虫は前の人のザックの後ろに帯状の群になって纏わりついいて飛んでいる。その長さは1m近い。私は遅れたくない一心で前の人にぴったりくっついて歩いていたので、この虫の群れの中に顔を突っ込みながら歩いていたのだった。気が付いて前の人から2mほど距離をおいて歩くようにしたら虫の数はずっと少なくなった。

(4/8:朽ちかけた木道)


(崩れかけた登山道、泥濘、根っこ道)

奥黒部ヒュッテに付くと、すぐ脇の溝にホースで引いた冷たい水がとうとうと流れ出していた。思いっきり冷たい水を飲んでから、泥んこになった靴やスパッツを水洗いした。
ここの小屋も空いていて、同宿者は上の廊下にやってきた数人だけで、10畳ほどの部屋を二部屋貸切になった。あり難いことに風呂も沸いていて、シャンプーも使って汗を流してすっきりすることが出来た。風呂が終わってから、小屋前の溝のところに行って、膝下まで溝の水に浸かり、ホースで膝上に水をかけながら今日一日酷使した足のアイシングをした。冷たい水の効果か、翌日も元気に歩くことが出来た。
小屋番は年配のおじさん一人だけなのだが、一人で大勢の食事を作り、これがまた美味しいのには驚かされた。一人だけだから、ビールを買うにも暇な時でないと買えない。しばらく我慢してから飲むビールも一段と美味かった。
良いことだけではなかった。広い乾燥室があるのだが、「雨が降る時だけストーブを点けます」の張り紙があり、ここでは雨は降らなかったらしくストーブなし。小屋番に「水晶、赤牛で濡れてきたのでストーブを焚いてよ」とお願いしてみたが「駄目」の一言。部屋に持ち帰った衣類のほうが良く渇いた。





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