V35.北八ケ岳スノーハイク

1.動 機
水戸アルパインクラブの今年2回目のスノーシューハイキングは、縞枯山、茶臼山、北横岳を1泊2日で歩く計画だった。このあたりは夏に歩いたことがあるが、雪の季節には様変わりだろうと期待して参加した。2日間、暖かい快晴の日が続き、それぞれの山頂からは正に360°の大展望を楽しむことができ、満足いっぱいの山旅だった。和子は相変わらず、雪山は敬遠である。

2.データ
a)山域:縞枯山(2403m)、茶臼山(2384m)、雨池山(2325m)、三つ岳(2370m)、北横岳(2480m)
b)登山日:2008/03/15(土)晴、16(日)、前夜発
c)コースタイム:14日:日立自宅 21:30 = 日立電鉄南営業所 21:45 = 22:35 水戸駅 = 23:00 水戸IC = 23:45 守谷SA 23:55 =
15日:= 1:30 談合坂SA 1:40 = 2:45 八ケ岳PA 6:50 = 8:10 横岳ロープウエー麓駅 8:30 = 8:38 上駅 9:00 ---- 9:15 縞枯山荘 9:30 ---- 9:35 雨池峠 ---- 10:05 縞枯山 10:30 ---- 10:55 展望台 11:10 ---- 11:20 鞍部 ---- 11:49 茶臼山天望台(昼食)12:24 ---- 12:53 中小場 ---- 13:04 大石峠 ---- 13:51 出逢いの辻 ---- 14:08 五辻 ---- 14:45 坪庭 ---- 15:00 縞枯山荘
16日:縞枯山荘 7:04 ---- 7:09 雨池峠 ---- 7:30 雨池山7:35 ---- 8:36 三つ岳 8:47 ---- 9:07 北横岳ヒュッテ 9:20 ---- 9:38 横岳山頂 9:49 ---- 10:00 北横岳ヒュッテ 10:06 ---- 10:45 ロープウエー上駅 11:00 = 11:08 麓駅 11:15 = 11:30 すわっ子ランド(入浴/昼食)12:55 = 15:50 石川PA 16:00 = 17:12 守谷SA 17:25 = 18:10 水戸IC = 19:30 日立電鉄南営業所 = 19:40 森山自宅

d)同行者:水戸アルパイン会員(男7、女7)、和子は不参加
e)地形図:1/25000 「蓼科」

3.山行記録
和子の車で日立電鉄南営業所まで送ってもらい、待っていたバスに乗って夜10時前に出発、東海、勝田、水戸と15名の参加者が全員揃って、水戸ICから高速に乗った。1人2座席とゆったりとした車内でうつらうつらしながら守谷SA、談合坂SAで休憩後、2時45分に八ケ岳PAに到着した。ここで仮眠をとって、6時過ぎに目覚めると、空は快晴、南アルプス、八ケ岳が朝日に燃えていた。やがて金峰山の脇から朝日が上がってきて、今日の山行に期待が膨らんだ。
(金峰山と日の出)
(八ケ岳)
(南アルプス)

持参の弁当を食べて7時前に発車、諏訪ICで高速を下り、8時10分に横岳ロープウエーの山麓駅駐車場に到着した。駐車場の前には八ケ岳、南アルプス、中央アルプス、御嶽山の雪山がずらりと並んでいた。後には、蓼科山が大きく、その右にこれから登る北横岳や縞枯山が聳えていた。ロープウエーの始発は8時30分、リーダが往復乗車券を買ってくれている間、ゆっくりと展望を楽しんだ。
(南アルプス・中央アルプス・御嶽山)
(蓼科山、北横岳、縞枯山、茶臼山)

始発のロープウエーに乗り込むと、定員100名の大きなキャビンに乗客は30人足らず、正面左右の視界が利き、雪山がだんだんと競りあがってきて、北アルプスも見えてきた。「あ、あれが大キレットだ!槍が見える!」の声が上がる。
山頂駅でスノーシューを付けていよいよ歩き始めた。縞枯山荘まで坪庭のなだらかな雪原を、右に縞枯山、正面に雨池山を見ながら、行儀良く一列に並んで歩いた。足慣らしに丁度良かった。
三角の山荘に余分な荷物をデポして、またすぐに歩き始めた。雨池峠までは同じようになだらかな雪原の歩きが続いた。
(坪庭を縞枯山荘へ)
(縞枯山荘)

雨池峠から、右の「縞枯山」の道標に従ってオオシラビソの樹氷の中の道に入った。樹氷の中を歩いているうちに、だんだんと斜度が増してきて熱くなってきた。一枚脱いで頑張る。女性一人が足に異常を感じて座り込んだが、ザブリーダが残って他は稜線まで一気に登りつめた。
稜線まで上がると、枯れた木々の間から八ケ岳から北アルプスまでの雪山が綺麗に見えていた。みんな大喜びでシャッタを押していたが、少し先に進むと枯れ木が切れて展望が良くなるとリーダがみんなを導いた。邪魔するもののない180°の大展望があった。
シャッタを押しながら大展望を楽しんでいるうちに、遅れていた女性がサブリーダに励まされて上がってきた。このサブリーダには我家も四国の三嶺で面倒を見てもらったことを思い出す。水戸アルパインには面倒見の良いリーダがいるお陰でみんな揃って楽しい山行が出来るのだ。
(樹氷の中を縞枯山へ)
(縞枯山山頂)

ここからまたみんな揃って気持ちの良い稜線歩きをして、地形図に三角点がある展望台まで歩いた。南八ケ岳の左方面の展望も開けてきて、金峰山から西上州までの山々が見えてきたが、こちらの山は雪をかぶっていない。地図を取り出して山座同定が忙しい。
(縞枯展望台から南八ケ岳・茶臼山・南アルプス/左に金峰・両神/右に中央アルプス)

縞枯山の急坂を下り、五辻への分岐を過ぎて茶臼山への急登を登った。地形図の破線の通りに、ルートは急斜面の直登だった。スノーシューでは急斜面は歩きにくく、アイゼンに付け替えたいが壺足では沈んでしまう。頑張って歩いた。
山頂に近付くと枯れ木の山になった。枯れ木の間から雪山を眺めながら歩くと「茶臼山山頂」の標柱があり、「天望台へ」の道標が右を指していた。天だけが見えて視界は無しかと冗談を言いながら少し歩くと、素晴らしい展望台が待っていた。心置きなく展望を楽しみながら昼食を頂いた。
(枯木越に)
(茶臼展望台から)

展望台から茶臼山頂に引き返し、ここからの急坂を下ると中腹で傾斜がなだらかになり、「中小場2232M」の細長い標柱が立っていた。地形図の三角点の場所だがそのまま下った。
下りきると「大石峠」の標柱があり、ここから右に曲がってなだらかな雪原を下った。広い雪原を気持ちよく勝手に歩いていたら、ところどころ陥没するところがあり油断がならない。また一列縦隊の隊列が出来た。
出逢いの辻まで下ると、右向きに「横岳ロープウエー 2.6K」の道標があり、右に曲がると緩やかな登りになった。2.6kmで150mの緩やかな登りだが、もう登りはないだろうと思い込んでいたので、この登りは辛かった。この間の歩きが、今回の山行で一番辛い区間だった。
坪庭に着いてからは、山荘まで朝歩いたと同じコースを歩いたのだが、朝は快適だったコースなのに、疲れた足には辛くて、スノーシューを引きずるようにして歩いた。
(大石峠から出逢いの辻へ)
(出逢いの辻から)

山荘に着いて、女性7人は2階の小部屋、男性8人は3階の大部屋に入った。部屋には布団が敷いてあり、一人一畳ぐらいでゆっくり寝られそうだった。冬でも人気のリゾート地のようで、山登りだけでなくクロカンスキーの客も多く結構な人数の宿泊がある。
一階の談話室に下りると大きな堀炬燵があり、500円也の缶ビールを飲みながら四方山話に花を咲かせた。そのうち、日が翳ってくるとランプに火が点された。一階はランプが灯って風情があったが、他は真っ暗になるのかと心配してヘッドランプを取り付けて準備していたが、自家発設備もあって、要所には常夜灯が点いた。トイレは別棟だが室内廊下でつながっており、明るい照明が点き洋式バイオで臭いもなく気持ちよかった。
夕食は食堂で頂いたが、おかずの品数もあり味噌汁も美味しい。ご飯だけはお代わり自由なのでお腹いっぱい頂いた。「お茶はご飯茶碗に注いで飲み、終わった後の食器は重ねないように」と食器洗いの水使用も少なくする心配りが払われていた。山小屋で買う水は市販のペットボトル入りの水だけであり、他の水は雪を解かして使っているらしい。水の出る蛇口はどこにもなく、トイレの後の手洗いも、「外の雪を使って下さい」と注意書きがあった。水だけがこの山荘の泣き所といったところだろうか。
食事が終わると何もすることはない。7時に寝ては途中目が覚めてどうしようもないだろうなと話し合ったが、皆さんも結構お疲れのようで、朝までぐっすりと眠った。朝起きると今日も上天気、素晴らしい日の出を仰ぐことが出来た。
(縞枯山荘はランプの宿)
(今日もいいお天気だ!)

2日目の当初の計画は北横岳往復だったが、登りは雨池山と三つ岳を越えて北横岳に登ることになった。昨日体調の良くなかった女性が用心してロープウエー駅に直行することになり、サブリーダが同行してくれることになった。女性陣の何人かは余分な荷物をサブリーダに持ってもらった。
雨池峠までは昨日と同じコース、ここから反対側の左に曲がって雨池山に向かった。やがて樹林の中の急登になり、すぐに熱くなってきた。一枚脱いで頑張って樹林を抜けると、後に縞枯山が見え、その左の樹林の中に雨池が白い湖面を光らせていた。
急登をこなすと急になだらかな道になり、樹林の中を歩くと枯れ木の林の向こうに三つ岳の三つ並んだ岩峰が見えていた。今日は昨日よりも風が強い。じっとしていると寒いので少し休んで下りにかかった。
(雨池山へ直登)
(雨池山から三つ岳)

右がすぐ崖になっている斜面を気遣いながら下っていくと、向かいに三つ岩の登りが見えてきた。急斜面に白い道が真っ直ぐに登っている。この急坂を登るのかと暗然となった。下りきって一休みしてから登り始めたが、案の定大変な急坂だ。ストックだけでなく、立ち木にも掴まりながら攀じ登っていった。
樹林を過ぎても急坂は続いた。それでも、右手に浅間山が見えてきたりで慰められて元気が出た。
(三つ岳への急登開始)
(ひたすら登る)

山頂は岩がごろごろ転がっていて岩を避けながら歩いたが、万一スノーシューを引っ掛けて転んだらただでは済まない。気を使いながら小さなアップダウンを繰り返した。
三つ目のピークにたどり着くと、岩場の間に三つ岳と書いた小さな板が道標に打ち付けてあり、その前で集合写真や証拠写真を撮った。また南八ケ岳やアルプス、妙高、浅間の山々も見えてきて嬉しくなった。
(三つ岳山頂は岩だらけ)
(三つ岳山頂にて)

スノーシューでは歩きにくい岩の間の道を気を使いながら下り、坪庭への分岐を左に別けて一登りすると北横岳ヒュッテの小屋前についた。ご主人が薪を割っている傍で、ベンチに座ってお八つをほおばった。
女性人を含めて皆さんはザックがないと背中が物足りないと元気にザックを背負って歩き始めたが、私含めて男性三人はここにザックをデポして空身で横岳に向かった。
急登を登って2471.6mの三角点峰に登り詰めると急に視界が開け、特に南八ケ岳の眺めが秀逸だったが、休まず最高峰2480m峰に向かった。ここに北横岳の標柱が立っており、まさに360°の大展望だった。
(北横岳ヒュッテ前で一休み)
(北横岳山頂)
(北横岳山頂から/南八ケ岳・南、中央、北アルプス・雨飾、妙高)

展望を心行くまで堪能して、心底満足して下りにかかった。2日間の好天と大展望にみんな満足して、明るい笑い声も聞こえながら足取りも軽い。ヒュッテ前で一休みして坪庭分岐まで引き返して、ここからロープウエー乗場に向かって下った。これまでは余り対向者に出会うことはなかったが、今日は日曜日、多くの登山者と出逢い、狭い登山道では登り優先で道を譲り、挨拶を交わしながら予定の11時前にロープウエー乗場に着いた。
ロープウエーは10分おきに上がってくるが、その度におびただしい人数のスキーヤーやボーダーが下りてきた。小さな子供の姿もある。100人定員のキャビンはほぼ満員のように思われ、日曜日とはいえさすが人気のスキー場ではある。
ロープウエーに乗ると目の前に中央アルプスと御嶽山が見えており、左右の南アルプス、北アルプスも眺めながら8分間の空中遊覧を楽しんだ。
(今日は登山者も多い)
(ロープウエーで下る/正面中央アルプス)

麓駅に下って直行した二人のお迎えを受けて、待っていたバスに乗り込んだ。諏訪湖湖畔の日帰り温泉すわっ子ランドで汗を流し、冷たい生ビールで乾杯して美味しい昼食を頂いて帰途についた。
中央高速からは八ケ岳、南アルプス、富士山など綺麗に見えて、茨城に帰り着くまでバスの中は明るい笑い声が絶えなかった。




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