V51.高御位山
(播磨アルプス全山縦走)

1.動 機
以前小林さんから、加古川に高御位山という低山があり、アルプスを歩いているような気分が味わえる面白い山だと知らされていた。播磨アルプスともいうらしく、地形図を見るとUの字に尾根筋が繋がっていて距離も10km程度で日帰りハイクに丁度良さそうなので、記憶に残っていた。姫路の山奥に所要で出かける機会があり、その帰りに曽根駅から歩いて縦走してきた。標高304mとは思えない変化のある展望のいいコースであり、岩の多い登山道の整備も良く、好天にも恵まれて気持ちのいいハイキングを楽しむことができた。
コースにはたくさんのピークがあり、鋸21峰に倣って21のポコに印をつけた。途中出合ったHさんから頂いた地図にある名前をそれぞれのポコにつけてみた。

2.データ
a)山域:高御位山(304m)
b)登山日:2008/05/16(金)晴
c)日程:曽根駅 6:45 ---- 6:55 豆崎登山口 7:00 ---- 7:09 経塚山 ---- 7:25 豆崎奥山 ---- 7:54 地徳山 ---- 8:05 鹿島神社分岐 ---- 8:10 百間岩展望台 ---- 8:22 P5(鉄塔) ---- 8:25 別所奥山(反射板) ---- 8:45 鷹巣山西峰 ---- 8:54 本峰(鹿島山) ---- 9:02 東峰 ---- 9:14 P10 ---- 9:30 長尾奥山 ---- 9:37 P12 ---- 9:40 高御位山 10:00 ---- 10:10 分岐点 ---- 10:25 引返し点 ---- 10:40 分岐点 ---- 10:55 P14 ---- 11:00 小高御位山 11:05 ---- 11:19 P16 ---- 11:32 中象山 ---- 11:45 北山奥山 11:55 ---- 12:03 P19 ---- 12:06 P20(米相場) ---- 12:20 P21 ---- 12:28 峠登山口 12:35 = 12:40 宝殿駅
(高御位山全山縦走ルート)
鋸21峰に倣って21のポコに印をつけ、Hさんから頂いた地図上の山名をつけた。

d)同行者:単独
e)地形図:1/25000 「加古川」

3.山行記録
姫路駅を早朝に出る電車に乗って曽根駅で下り、事前に情報を得ていた豆崎登山口に向かった。R2を横切って脇道に入ってすぐのところにそれらしき踏跡を見つけた。赤いテープを巻いた木の棒が立っているだけなので、向かいの家の奥さんに確認してから踏み込んだ。
藪っぽい道を登るとすぐに大きな岩に突き当たった。左右にも道が別れており巻道があるのかもしれないが、岩の表面に歩いた土跡が残っている。高さは30m、斜度は30°ぐらいだろうか、もう5°も傾斜がきついと怖そうだが、表面がざらついていて滑る恐れはなさそうだ。一歩一歩ゆっくりと登った。
この縦走コースにはこの程度の岩場が何度も現れた。下り道にも現れるので、雨が降ったら敬遠したほうが良さそうだ。今日は天気が良くてラッキー!
(豆崎登山口)
(いきなりの岩場)

その先も岩っぽい道が続き、再び現れた大岩の登りをこなして高度が上げると展望が開けてきて、後ろに高砂の街と瀬戸内海、西に姫路の街が広がってきた。春霞ではっきりしないが姫路の白鷺城も確認できた。
その先に経塚山古墳の穴があった。看板によると4〜5世紀頃の前方後円墳だそうだが、古墳といえば平地にあると思っていたので意外だった。
(姫路城)
(経塚)

少し平らな道があり、また急坂を登りきると右からの道が合わさって稜線歩きになった。道の真ん中にある豆崎奥山の三角点を過ぎると視界が開け、高御位山が見えてきた。まだまだ遠いし逆光なので山肌ははっきりしないが、立派な山容をしている。
これから歩くU字コースの全貌が見え、終点近くの北山奥山まではまだまだ遠い。茨城の加賀田山−難台山−愛宕山のU字形コースよりも距離が長く見えて心配になってきたが、まあエスケープルートも沢山あるらしいから何とかなるだろうと歩き続けることにした。
(P3・大谷山からの展望)

ここからなだらかな尾根道が続き、視界も良く、盛りを過ぎてはいるがツツジが彩りを添えて気持ちのいいハイキングが続いた。大谷山の岩場から下界を見渡すと、鹿島神社の大鳥居が見え、市ノ池が湖面を光らせ、その上に高御位山が聳える景色はなかなか気持ちがよかった。
(大谷山から鹿島神社大鳥居、市ノ池、高御位山)

次の地徳山への登りがきつかった。登りきると、向かいに全山岩だけで出来ているような山が見えていた。この山を登るコースの露岩が百間岩と言って、このコースの一つのハイライトらしい。途中に立派な展望台も見えていた。
(地徳山から百間岩)

地徳山からの下りは登りと同じように急坂で、その上このコース唯一砂状のザレた道なので滑らないように気を遣った。目の前に百間岩を眺めながら下ると、鹿島神社からの道と合流した。多くの人はここから登ってきたり下ったりするらしい。
百間岩の登り始めに展望台があり、この上で下界や瀬戸内海の展望を楽しんで英気を養ってから長い岩場に向かった。標高差100m以上ある百間岩は幅広い岩場で、表面はやはりざらついていてどこを歩いても滑る恐れはなさそうだった。白ペンキで○や⇒のマークを付けてあるが、適当に段差の小さい足場を選びながらゆっくりと登っていった。スケールが大きい岩場なので、登っていてもなかなか気持ちがいい。
登り切ったところが鉄塔のピークであり、その先に反射板も見えていた。
(鹿島神社との合流点)
(鉄塔ピークから反射板ピーク)

岩場の稜線を歩いて反射板のある別所奥山に着くと360°の展望が広がり、西や北の山や街には残念ながら馴染みがないが、これから歩くコースが良く見通せた。高御位山はまだ遠い。
(別所奥山から先の縦走路を望む)

別所奥山を下り、次の鷹巣山西峰へ掘れた岩の道を登っている時に、今日はじめての登山者に出合った。「豆崎から登ってきたの。早いわね」と声を交わしたのは単独行の女性だったが、この後で出会う人も殆どが単独行だった。低山でありコースも良く整備されているので安心して歩けるということなのだろう。
展望のいい尾根道を歩いて次の鷹巣山本峰に登りついた。道の真ん中に赤い4等三角点があり、歩いて来た豆崎からのコースが良く見通せた。歩き始めて2時間ばかり、結構歩いてきたもんだ。
(鷹巣山本峰から歩いて来た縦走路を振り返る)

次の東峰からの下りが少し急で、何人かの登山者とも交差しはじめて、道の譲り合いをしながら下った。「あの反射板のある山が高御位山ですか」と尋ねると、「そうですよ。もうすぐですよ」と励まされた。
次のP10ピークを越えて鞍部に下りると市ノ池への分岐があり、長尾奥山を過ぎてP13ピークへの登りに差し掛かるとまた広くて長い岩場になった。振り返ると豆崎からのの西尾根が一望出来る。
(東峰から高御位山を望む)
(P12への岩場)

高御位山に到着すると方位版があり、視界がよければ氷の山や六甲山、淡路島や小豆島まで360°の大展望が広がるらしいが、今日は残念ながら春霞が濃くて見えるのは海岸線の工場群までだ。山頂には大げさな天乃御柱天壇の社やグライダー記念碑などあり、電気も引いてあるようでバイオの綺麗なトイレもあった。
(高御位山山頂からの展望)

近くの岩に針金で縛りつけられた山名板を使ってセルフタイマで証拠写真を撮って、も一つ先の最高地点と思われる岩の上に移動した。ここでは男性が一人お休み中、全山縦走のルートについて「54.4m三角点に下りて曽根駅に戻る積り」と尋ねると、「曽根駅から登ってきたのなら、辻峠に降りて宝殿駅まで歩くと全山縦走だ。辻峠の方のピークをいくつか越えないと」と教えられた。
すぐ下に高御位神社の立派な神殿があり、その前のベンチで大勢お休み歓談中だった。
(高御位山の証拠写真)
(高御位神社)

その前の岩場には小さな石の祠と百度石があり、山頂直下の絶壁を覗くことが出来る。丁度一人の男性がロッククライミングの練習中で、その下る時の動作の速さに驚かされた。
(山頂には小さな石の祠も)
(山頂岩壁のロッククライマー)

高御位神社前から広い石段を下ると岩場になり、見返すと高御位山山頂には岩頭が飛び出していて、とても300mほどの低山とは思えない山容だった。
(分岐道標)
(成井けもの道へ迷う込む)

分岐点の道傍に道標があり、立派な道は直角左の成井方向に下るが、北山登山口方向が示す正面の道は山道だ。
傾斜のきつい山道で「下るのは楽だが、ここを登るときついだろうな」と思いながら下る。少し方向が違うように思ったが、そのうち右にトラバースするのだろうと思ってどんどん下った。そのうち縦走路の鞍部よりも低くなって、やっと道を間違えたと認識して分岐点まで登り返すことにした。高度差100m以上も下っている。さっき辛いだろうなと思った急な登り坂を汗をかきながら登り返した。
(分岐道標)
(成井けもの道へ迷う込む)

分岐点に戻って道標の前の岩場の上に上がってみると、岩場に○と⇒の白いマークがつけてあり、その先の稜線に先ほど教わった縦走路がはっきりと見えていた。
傾斜のきつい岩場を慎重に下り、鞍部に下りて上り返すところで、後ろから快足の男性が追いついてきた。「さっき道を間違えたみたいなのだが、縦走路はこれでよろしいか」と尋ねると、「自分も縦走路を戻るところだ。一緒に歩こうか」と誘われ、また間違えたら大変なのでお言葉に甘えて後を付いて歩くことにした。
「4年前の定年後、2日に1度は高御位山に登っている。辻峠から豆先まで2時間半で歩いたことがあるよ」とおっしゃるHさん、なかなかの快足で付いて歩くのも大変だった。それでも歩きながら「全山縦走は辻峠に下りても北池に下りてもどっちでも良いよ」など、この山について沢山教えてもらった。
P16に登り返して少しのところに「小高御位山」の道標があり、この山にも寄り道してもらった。小高御位山は北や東の見晴の良いところで、間違えた道を話すと、それは成井への下り道の一つで「成井けものみち」だと言われ、山の斜面を示しながら二つの成井道を教えられた。山名板の前でシャッタを押してもらって縦走路に戻った。
(縦走路に戻る)
(小高御位山)

Hさんは動植物についても博識で、「もう鳴きはじめているセミは「五月セミ」とか「ハルセミ」とかいう。今咲いているツツジは「モチツツジ」と言い付け根のところに粘り気があるのが特徴、もうすぐ沢山のササユリが咲くと綺麗だよ」と言いながら、モチツツジの粘り気やササユリと笹の葉の違いをいちいち私に触って見させて教えてくれた。
(モチツツジ)
(ササユリ)

中象山を過ぎた高圧電線の下あたりで、高御位山から豆崎あたりまでの稜線の展望が良いところでは、下の街からのハイキングコースを色々指し示して教えてもらい、「豆崎の先に見える3つのポコを含めて歩くのが高砂全山縦走だ」との話があったが、間の平地が長いので「こっちの加古川全山縦走で十分だ」と意見一致した。
(北山奥山から)

高圧電線の少し前に北山登山口への分岐があり、その道標に北池、峠への分岐点も示してあった。分岐点はP18北山奥山で、左に曲がると続く3つのピークが見えていた。
(北山分岐)
(北山奥岳から辻峠登山口へ)

北山奥山の山頂近くの岩場の上で南の展望を楽しみながら一休みした。眼下に広がる高砂と加古川の街並みを指し示しながら、工場群や採石場、国道、山陽本線、新幹線、宝殿駅、さてはHさんのお家まで教えてもらった。
(北山奥山から瀬戸内海展望)

二つ目のピークP20に登って昔米相場を伝える旗振り中継所に使われていた山だと説明を受けた。ここから巻き道に引き返して少し降ると、秀吉が志方城攻めの時に陣取って采配を振るったという太閤岩があった。
(P20:米相場山)
(太閤岩)

鉄塔横あたりで高御位山からの東縦走路を裏側から眺め、急坂をジクザク道を下ると辻峠登山口にでた。道路の向いにお地蔵さんを祭った社があり、無事下山のお礼をした。
Hさんの車がここの駐車場に停めてあり、縦走路の手書き地図のコピーを頂き、宝殿駅まで車で送っていただいた。迷い道の30分のロスを一挙に取り返し、体力消耗分も救われた。Hさんありがとう。
(P21から高御位山)
(辻峠登山口の祠)





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