V621.ミヤマキリシマを求めて九州山行
(1日目:阿蘇山)

1.動 機
この度、ミヤマキリシマの最盛期に阿蘇山、九重山、由布岳と3泊4日で歩く山行が水戸アルパインで計画され、夫婦二人で参加してきた。
一日目は阿蘇山で、仙酔峡から馬鹿尾根といわれる仙酔尾根を登って高岳と中岳に登頂し、砂漠のような砂千里ヶ浜を横断して火口西から世界一と言われる噴火口を展望した。ロープウエーで下山して草千里ヶ浜に立ち寄って烏帽子岳を展望してから内牧温泉のホテルに宿泊した。

2.データ
a)山域:阿蘇高岳(1592m)、阿蘇中岳(1506m)
b)登山日:2008/06/07(土)曇
c)日程:
日立電鉄南営業所発3:25 = 5:00水戸IC = 5:45守谷SA5:55 = 6:45羽田空港8:15 = 10:15熊本空港10:40 = 11:40仙酔峡12:00 = 12:10仙酔峠 ---- 12:55尾根中間13:05 ---- 14:05天狗の舞台分岐---- 14:15高岳 ---- 14:35中岳 ---- 14:50ピーク ---- 15:25砂千里ヶ浜入口15:30 ---- 15:55火口西展望台16:05 =ロープウエー= 16:25麓駅16:30 = 16:35草千里16:40 = 17:105内牧温泉(泊)

d)同行者:水戸アルパイン会員(男11、女11)、和子
e)地形図:1/25000 「阿蘇山」

3.山行記録
朝3時過ぎに我家を出て、日立電鉄南営業所にマイカーを駐車、3時半出発のバスに乗り込んだ。バスは東海、那珂町、勝田、水戸を回って22名の仲間を乗せて水戸ICから常磐道に乗り、守谷SAで休憩後羽田に向かった。空港で朝食をとってからJALに乗り込み8時15分に飛び立ち、2時間で熊本空港に着いた。
空港には、愛想の良い運転手さんが待っており、これから4日間、この運転手さんのチャータバスのお世話になった。バスは途中コンビニに立ち寄って、今日の昼食と行動食を買い入れ、一路仙酔峡に向かった。R79を西走、車中で食事したり阿蘇外輪山を眺めたりしながら4分の1周して、仙酔峡への道に入った。目の前に、なだらかな高岳と峨々とした鷲ヶ峰の稜線が見え、その前に白い仏舎利塔が仙酔峡のシンボルのように目立って見えていた。
仙酔峡はミヤマキリシマの名所だが、遊歩道のある園地には、花はもうとっくに散ってしまっていて緑の葉だけが茂っていた。駐車場で身支度を整え、準備運動をして歩き始めた。8人はゆっくりと展望を楽しもうとロープウエーで登ることになり、16人が馬鹿尾根と言われる仙酔尾根に向かった。
(バス車窓から阿蘇外輪山)
(登山口から仙酔尾根に向かう)

仙酔峡からの登山道は花酔橋を渡ることから始まるが、高岳を見上げる橋の下には三体の小さなお地蔵さんが祭ってあった。虎ヶ峰の岩稜に挑戦して遭難した登山者の慰霊のためらしい。歩きやすい階段状の遊歩道を登って仙酔峠「鷲見平」に上がると、目の前に鷲ヶ峰虎ヶ峰の峨峨とした岩峰が間近に聳えていた。
(花酔橋から)
(仙酔峠)

岩峰への登山道もあるが、我々は右に曲がって高岳に向かって仙酔尾根を登る。始めは掘れた登山道だったが、すぐに展望が開けた尾根道になった。上には登ったり下ったりする多くの人が見える。麓駅からアナウンスの声が聞こえて、右側には8人の仲間が乗ったロープウエーが登っていくのが見え「ヤッホー!」と大声を上げてみる。
仙酔尾根は通称「馬鹿尾根」とも言われるらしいが、確かに登り一方の尾根道がどこまでも続く。それでも溶岩の登山道は、浮石が少なく、滑る恐れもなくて安心して登れる。岩にペンキで「中間点」と書いてあるところで休憩になった。
(仙酔尾根)
(登山道は溶岩の道)

更に馬鹿尾根を登ると鷲ヶ峰が真横に見えて来てますます迫力が出てきた。ガイドマップによれば、左下の岩峰が虎が大きく口を開けて吠えているように見えるので虎ヶ峰、右の高い岩峰が鷲ヶ峰とある。その間の岩峰には目玉のような小さな穴が開いており、「マーモット岩」とでも呼びたい形をしている。
(虎ヶ峰・鷲ヶ峰の岩稜に目玉あり)

その上には少し段差のある岩場が現れ、ロープも張ってあった。リーダから「このロープは振られやすそうだからロープを頼らないで登れ」と指示が飛ぶ。足場を確認しながら3点確保でゆっくり登った。中岳の稜線には8人のロープウエー組の仲間が快調に歩いているのが見えた。我々よりも随分と早く高岳に到着しそうだ。
上部に上っていくと、ミヤマキリシマの小さな木がポツポツと見られるようになった。初めてお目にかかる花だが、なかなかいい色合いで咲いている。
仙酔尾根を登り詰めて尾根に上がると、そこには大きなマイヅルソウの大群落があった。左が天狗の舞台へ、右が高岳山頂への分岐点で私達は右に向かった。
(ミヤマキリシマ)
(マイヅルソウ群落)

稜線を気持ちよく進むと10分位で岩石を積み上げたような高岳山頂に着いた。寒くて待っておれなかったか、ロープウエー組の姿はもうなかった。ガスで展望も利かないので、集合写真を撮って次に向かった。
(高岳へ)
(高岳山頂)

高岳を下っていると、左に分かれる砂千里の稜線上を歩いているロープウエー組が声を上げながら手を振っていた。これから中岳に登ってから引き返し、これに追いつくのは大変そうだ。中岳で証拠写真だけ撮って後を追った。
(稜線漫歩の8人組)
(中岳山頂)

分岐まで引き返して砂千里ヶ浜への稜線歩きに入った。いくつもの火口が並ぶ砂千里を右に見下ろしながら、なだらかな稜線を気持ち良く歩いた。下りに入るところでは、向かいの切れたった斜面が綺麗な断層状になっていて、「まるでグランドキャニオンを見るようだ」と声が上がった。
登ってくる登山者も多い。「こんにちは」と声をかけると、返ってくる多くは「アンニョンハセヨ」だった。考えてみれば茨城からやってくるよりも、韓国から来るほうがよっぽど早いのだ。先日の姫路城でもそうだった。景気が良くて元気な韓国の人々が世界遺産を求めて日本中を駆け巡っているようだ。
(砂千里ヶ浜を右下に稜線漫歩)
(グランドキャニオン)

下る途中でやっと先行隊に追いついた。これでやっとゆっくりペースで歩ける。ゴツゴツとした斜面をジグザグに下って、砂千里ヶ浜入口でお休みした。
ガイドマップではここからまた急坂を登って稜線の道を歩くようになっているが、火山灰の平原を横切って火口西の展望台まで歩いた。乾いたところは靴がめり込み滑って歩きにくかったりしたが、何もない砂の原っぱを歩くのはなかなか気分がよかった。
(砂千里ヶ浜に下る)
(砂千里ヶ浜を横断)

展望台からはもうもうと噴煙を上げる火口を間近に見ることが出来、世界一の火山の迫力を体感することが出来た。
ロープウエーからどんどんと観光客が押し寄せており、写真を撮っている集団の話し声を聞くと、ここでも大半がハングルだった。
(火口西展望台から)

バスは上までは上がることが出来ないので、ロープウエーで麓まで下りてからバスに乗った。草千里ヶ浜の展望台に立ち寄ってから内牧温泉のホテルに入った。
温泉に入ってから宴会が始まり、楽しいお話を聞きながら美味しい料理を頂いた。山歩きとは思えない贅沢な夜であった。
(草千里ヶ浜と烏帽子岳)





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