V622.ミヤマキリシマを求めて九州山行
(2日目:久住山)

1.動 機
この度、ミヤマキリシマの最盛期に阿蘇山、九重山、由布岳と3泊4日で歩く山行が水戸アルパインで計画され、夫婦二人で参加してきた。1日目の阿蘇山に続いての2日目は、九重連峰の西部を歩く山行で、牧の戸峠から歩き始めて扇鼻分岐から星生山の尾根を越えてから久住山に登り、九州本土最高峰の九重中岳にも登って北千里浜を通って法華院温泉まで歩いた。


2.データ
a)山域:星生山(1762m)、久住山(1787m)、九重中岳(1791m)
b)登山日:2008/06/08(日)曇一時小雨
c)日程:
内牧温泉 8:00 = 8:15 大観峯 8:30 = 9:00 牧の戸峠 9:20 ---- 9:45 沓掛山 9:50 ---- 10:40 扇ヶ鼻分岐 10:50 ---- 11:25 星生山 11:30 ---- 12:00 久住の別避難小屋 12:30 ---- 12:55 久住山 13:05 ---- 13:45 中岳 13:55 ---- 北千里浜 ---- 15:50 法華院温泉(泊)
d)同行者:水戸アルパイン会員(男11、女11)、和子
e)地形図:1/25000「九重山」

3.山行記録
ビュッフェタイプの朝食を腹いっぱい食べて、8時出発のバスに乗って、先ずは大観峯に立ち寄った。標高936mの大観峯まで温泉から標高差450m以上ある。バスは山岳道路をくねくねと走って運び上げてくれたが、生憎一面のガス、期待した徳富蘇峰を感動させたと言う阿蘇五岳の眺めは見ることが出来なかった。
記念に写真だけ撮って九重山に向かったが、途中、鳥の形に仕上げたおびただしい数の植木が並んだ畑を見てびっくりさせられた。麦わらなどで作った案山子は見たことがあるが、生きた植木をここまで綺麗に仕上げた腕前に感服させられた。
(大観峯にて霞を展望)
(植木の造形)

バスは牧場の中を縫うように走り、再び山岳道路に入ってくねくねと登山口の牧の戸峠に向かって登っていった。牧の戸峠よりもずっと手前から路肩に駐車した車が列を作っていた。駐車場も相当に広いのに、それでも溢れているのだ。久住山に登る一番ラクチンなコース、今日は日曜日もあってか、おびただしい車が入っていた。
空いていた定期バスの専用駐車場所で準備運動をして歩き始めた。コンクリートの道は始めはなだらかだが、だんだん急になると階段になってきて沓掛山まで続いた。
チラホラとミヤマキリシマが咲いている沓掛山に登って先の尾根道を見渡すと、先を歩くハイカーの列がどこまでも続いていた。沓掛山を越えて振り返ると、後続のハイカーがどんどん追いかけてきていた。気持ちの良い尾根道を歩くと、朝早く出発してもう引き返してくるグループもあった。目の前の山並みの一つを「あれが久住山か」と尋ねると、「まだまだ久住は見えないよ」との返事、見えているのはまだ扇ヶ鼻などの前衛の山のようだった。
(牧の戸峠から登り始め)
(沓掛山辺りの行列)

扇ヶ鼻分岐から2班に別けられ、A班は直進して西千里浜に向かい久住山に登頂してから法華院温泉に向かう。我々B班はここから分岐に入って星生山を経由し、久住山と中岳に登頂してから法華院温泉に向かう。
右に池塘群を見ながら星生山手前の岩頭めがけて上り始め、岩っぽい急坂を攀じ登った。岩頭を巻いて樹林を抜けると、行く手に星生山への気持ちの良さそうな稜線が見えてきた。右手の西千里ヶ浜には直進した仲間と前後につづくハイカーの行列が見えていた。こちらの静けさとは好対照だ。
(星生山手前の岩頭)
(星生山の尾根歩き)

稜線を登って行くと、後ろの岩頭と池塘や沓掛山との配置がだんだんと良くなり、みんなで振り返りながら何度もシャッタを押した。星生山のがれた山頂では証拠写真だけを撮ってすぐ次に向かった。
(星生山手前の岩頭)
(星生山の山頂)

星生山から先に進むと岩山になり、その先には硫黄山と三俣山が現れ、硫黄山の山腹で噴煙を上げる噴火孔が見えてきた。
(星生山の先の岩山)
(岩場の向こうに硫黄山と三俣山)

岩山を鞍部まで下ると、その下にトイレのある避難小屋があった。小雨が降り出したのでここで雨具をつけ、鞍部にあがって久住山と中岳を眺めながら昼食をとった。
(久住別れ避難小屋から中岳と久住山)

すぐ先で西千里ヶ浜からの道と北千里ヶ浜へ下る道が交差する久住分れを過ぎ、さらに中岳への分岐も通り越して久住山への登り口に着いた。久住山頂まで上り下りする登山者の列が続いており、A班の8人が下りながら手を振っていた。
ごろ石の多い急坂を尾根まで上がると、久住山頂まで緩やかな登りになった。A班と交差してから登りついた山頂付近には大きな石がごろごろしており、その間で多くの登山者が休憩していた。天気が良ければ、ここからは阿蘇五岳、祖母山、由布岳など360°の展望なのだろうが、今日は生憎小雨交じりの悪天候、近くの九重山の山並みが見えるだけだった。A班をあまり待たせても拙いので、集合写真を撮って次に向かった。
(久住山への登山者の行列)
(百名山久住山頂)
(久住山からのパノラマ:沓掛山・星生山・三俣山・中岳)

中岳の分岐まで引き返し、石のゴロゴロとした斜面を御池に向かって下り、リーダに「ここから左の天狗ガ城を越えるか右に分かれて御池湖畔を歩くか」と聞かれ、みんな上り下りはもう沢山だと湖畔歩きを選択した。とはいえ湖畔は石だらけで、大石を避けたり越えたり、なかなか楽はさせてくれなかった。
(中岳方向へ)
(御池の畔を)

池を半周して、マイヅルソウの咲く道を少し登り、天狗ヶ城からの道と合流してミヤマキリシマがチラホラと咲いている中岳に向かった。山頂近くでは岩場のようになり少し渋滞気味になったが、ついに九州本島の最高峰に登頂した。
(中岳山頂へ)
(中岳山頂)

中岳山頂で集合写真を撮って往路を引き返し、久住分れからちらほらのミヤマキリシマを眺めながら北千里浜に下った。ここもごろ石の道で、石には黄色いペンキでマークが付けてあった。このあたりはガスの多いときは迷いやすいところなのか、この黄色いマークは北千里ヶ浜から法華院温泉に至るまで続いた。
北千里浜まで下ると、そこは何も生えない広い砂原で、ところどころに大きなケルンが積まれており黄色い木柱がたててあった。左に硫黄山のガレ山から噴煙がのぼるのが見えたり、砂漠のような雰囲気だった。スガモリ越えへの分岐点で道は向きを変えるが、砂漠の雰囲気は変わらない。
(北千里浜へ)
(北千里浜)

北千里浜の東端に近付くと左右の斜面が岩場になり、ゴリラ岩など名前の付いたそれらしき岩も現れ、浜も落石が累々重なったようになってきた。浜東端からは防砂堰の続く深い谷になり、その右斜面を黄色いマークのついた石を辿りながら下った。やがて法華院温泉の大きな建物が見えてきてほっとした。
山荘では一畳一人の布団を並べた大部屋に通された。温泉は完全掛け流し、トイレには洋式もあり、バイオで匂い無しで言うこと無し。温泉で汗を流し、夕食までの間食堂で美味いビールを飲みながら歓談した。
食べ残しがないようにご飯の量を確認されて、7皿のおかずを受け取って、山小屋としてはなかなか立派な夕食を頂いた。夕食後、外を覗くと夕焼けになっていた。明日は晴れそうだと期待しながら布団に入った。
(一軒宿の法華院温泉)
(平治岳と夕焼け)






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