V713.ノルウエーフィヨルドとトレッキングの旅(3)

(フロム鉄道とナーロイフィヨルド)


3日目記録 6月28日(土)曇時々晴

ベルゲン6:00=7:40ボス駅8:30=(鉄道)=9:20ミュルダール駅9:40=(登山鉄道)=10:35フロム駅11:00=11:20グドバンゲン12:00=(ナーロイフィヨルド)=14:00ガウバンゲル14:10=15:05氷河博物館16:00=16:30シャイ(泊)

ホテル作成の弁当2個を受け取り、朝食分を食べてからバスに乗って6時に出発した。ボス駅に向かって100kmのドライブ、道は谷沿いに伸び、トンネルの断続だった。トンネルは岩盤をくり貫いたもので、コンクリートの仕上げはなく掘られた岩肌がむき出しのままだった。トンネルとトンネルとの間では、フィヨルドや絶壁が次々と現れて退屈させなかった。
(バスの車窓からのフィヨルドの眺め)

ボスに近付くと大きな湖が見えてきたが、湖面は鏡のように静かで雪を頂いた山々が綺麗に写っている光景が美しかった。湖畔には色々な花も咲いていたり、水鳥が泳いでいたりしており、出発までの時間湖畔を散策した。
後のボス駅の駅舎も立派で、近くには古城のようなホテルらしき建物があり、後の山の斜面には瀟洒な民家が立ち並んでリゾート地の雰囲気だった。
何台かバスが到着してきて、大勢の観光客が駅の中に入っていった。我々と同じように、これから先人気のフロム鉄道に乗るのを楽しみにやってきた人たちだ。入ってきた列車には、車両ごとに窓に予約団体の名前を貼り付けてあった。
     
(ボス駅前の湖)
(ボス駅)

指定された車両に乗り込むと定刻に発車、急勾配を登ってゆく。車窓からは山並み急流、滝と素晴らしい眺めが続き、シャッタを押そうとカメラを構えるとトンネルに入る。トンネルが多くて写真を撮る積りだと気が抜けない。
時々は牧場や民家が現れ、このあたりにも人が住んでいることを示していた。ノルウエー全体で人口450万人ほどに過ぎないという。
1時間足らずで電車は海抜866mの終着ミュルダール駅に到着した。谷合の小さな駅で駅舎以外何もなかったが、世界の旅行客が絶賛するというフロム鉄道の出発駅なので、プラットホームに乗客は多い。
(電車の車窓から)
(谷あいのミュルダール駅)

ガイドさんによると、ミュルダール駅からフロム駅までのフロム鉄道は登山電車が全長20km、高度差860m、最大斜度5度の世界一の急勾配を1時間で結ぶ。この登山鉄道の全線開通に20年の歳月を要し、20ヵ所に及ぶトンネルの総延長距離は6km、全体の1/6に及ぶ。ほとんどは手掘りで掘られたのだと言う。
列車は山やフィヨルドの急斜面をはりつくように走り、数え切れないトンネルをくぐりぬけ、崖を流れ落ちる数々の滝を見ながら走ってフロム駅に至る。

出発してほどなくトンネルとトンネルの間の小さな駅に停車した。ショースの滝を見物するための停車駅である。事前の知識がなく、ヨーロッパの列車は予告なく発車するのでみんな気持ち悪くて暫くは下車していいかどうか迷ったが、プラットホームに大勢の人が走り出し、大勢を置いていく事はあるまいと思い切って車外に出た。
ショース滝は全長93mあり、水量が多くて滔滔と流れ落ちる様は迫力満点だった。プラットホームの半分は滝の猛烈なしぶきでびしょ濡れとなっており、レンズの水滴を気にしながら何枚もシャッタを押した。  
(迫力満点のショースの滝)
滝の中ほどでダンスをしているかのように盛んに動き回っている女性の姿があった。後でガイドさんに聞くと、アトラクションとして、民話に登場する美しい山の妖精を、アルバイトの女性が演じているのだと言う。
(滝の妖精)

やがてフロム駅に到着すると、駅の正面に10万トンはありそうな巨大な観光船が見えていた。フロムはソグネフィヨルドの分枝アウランドフィヨルドの発着地なので、ここまでフィヨルド観光船が入ってくるらしい。我々と入れ替わりに、フロム鉄道に乗り込む観光客の長い行列がプラットホームに入っていった。
(フロム鉄道への乗客の入れ替わり)
(アウランドフィヨルド観光船)

ボス駅で別れたバスがここまで回ってきていてグドバンゲンまで送ってくれた。この20kmの自動車道も1/4は長いトンネルになっていた。
グドバンゲンはナーロイフィヨルド観光船の発着場で、広い駐車場や休憩舎があった。ここからもフィヨルドの絶景を見ることが出来るし、周りの数百mもある絶壁からは何条も滝が流れ落ちており、公園になっていて遊歩道が出来ていた。
狭いフィヨルドを意味する全長17kmのナーロイフィヨルドは、世界一長くて深いソグネフィヨルドの支流で、その名の通り狭いフィヨルドである。
(グドバンゲン港)

バスに乗ったままフェリーに乗り込んだが、最後の乗船だったので甲板に上がった時には椅子席は満席、荷物箱の上に陣取って出港を待った。フェリーが動き出すと、結構な速度で航行するので風が寒くなって防寒着を着込んだ。
初めてのフィヨルド観光に胸が躍り、静かな湖面と絶壁のなす景観に見とれ、何度もシャッタを押した。
(ナーロイフィヨルド)

この絶壁から流れ落ちる名もない滝が次々と現れるが、名前はなくても落差、水量共に華厳の滝の数倍はありそうだ。
途中、登山電車を下りたフロムに繋がるアウランドフィヨルドを右手に合わせ、更に進むとサーグ滝というナーロイフィヨルド最大の滝があった。大量の融雪水が1000mを超える山頂からジグザグになって下ってくる様は、それまでの多くの滝より一段と迫力があった。
(次々現れる名もない滝)
(サーグ滝)

サーグ滝を過ぎるとフィヨルドは幅が広くなり迫力がなくなる。船室に入って酒盛りが始まった。
ガウバンゲルに到着してシャイのホテルに向かう途中、氷河博物館に立ち寄って、氷河トレッキングの映画を見、地球温暖化の模擬体験ルートあるいたり、氷河の中のトンネル模型に入ったりした。
その先に氷河が間近に見えるビューポイントがあり、キンポウゲの黄色い花と氷河の面白い組み合わせをカメラに納めた。
(氷河博物館)
(途中の氷河)

シャイのホテルはなかなかの高級ホテル、ビュッヘタイプの夕食を腹いっぱい食べて、腹ごなしに近くを散歩しながら色とりどりの高山植物の花写真を撮って歩いた。それにしても、夜中まで明るいので、時計を見ないとベッドに入るべき時間がわからない。




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