V718.ノルウエーフィヨルドとトレッキングの旅(8)

(メムルトウインガ台地)

昨夜の夕食後、今日のハイキングについて説明があり、当初考えていた300mの崖登りは34名の大所帯には不適当とニルスさんに指摘され、ストララーデン川を遡ってから尾根に上がる安全ルートを薦められたという。少しコースタイムが長くなったので、明日は船でメムルブに向かい明後日のベッセゲン尾根のために体力を温存しておくのも一法との提案もあったが、結局、全員揃ってニルスさんお奨めのコースで歩くことに決定した。
ガイドさんからは、歩行には必要ないシーツなどの荷物を一括預かってメムルブ小屋まで運んでくれるとのありがたい申し出があった。荷物が軽くなるのは何よりの救いである。今朝みんなが出した荷物の合計は150kgもあった。

8日目記録 7月3日(木)晴

イエンデブー小屋8:50----10:55ストララーデン川分岐----15:20崖分岐----16:15尾根分岐16:30----17:40メムルブ川----18:45メムルブ小屋



イエンデブ小屋から川沿いの道を上流に向かって緩やかに登っていった。徒渉したり一部ぬかるんだところもあったが、歩きやすい道が続き、道沿いには色々な花が咲き乱れていてシャッタを押すのに忙しい。30分に5分程度小刻みに休憩しながら歩く。左の流れが急流になり、滑滝のような流れと雪を頂いた峰々の組合せが美しい。
(川沿いに)
(急流)

川が細くなり両側から滝が落ちてくる谷沿いを歩くと、やがて分岐点の標識があった。直進すればガルホピッゲンの方に向かうが、我々はここからメムルブへの標識に従って登り始めた。ジグザグの急登が続いたが、ニルスさんが途中の流れから水を汲んで飲ませてくれた。ノルウエーの水はどこでも安心して飲めるので嬉しい。ただし、氷河の解け水は動物の糞尿が混じるので飲まないほうが良いとニルスさんの話だった。
(もうすぐ分岐)
(いよいよ登り)

登るに連れて視界が開け、270°の大展望になった。2000mクラスの雪山が連なって絶景である。黒い山とか色々な山の名前を聞いたが忘れてしまった。
(2000mの山並み)
(Raudals(黒い森)4山)

絶景を楽しみながら昼食休憩。みんなが食べ終わったところで、ニルスさんが立ち上がって山の歌を歌い始めた。なかなかの美声である。これに応えて、日本からもMさんが立ち上がって南部牛追い歌を披露した。これまた美声、アンコールと行きたいところだった。
そこから先少し登りがあり、徒渉したり、雪渓を渡ったり、綺麗な沼があったりしたが、高原のお散歩はただただ美しかったとの印象だけが残って、どこをどう歩いたか覚えていない。3箇所でトナカイが群れを作って移動していたのは他では見ることが出来ないことで印象的だった。
ニルスさんお奨めのコースは大人気、スイスアルプスに似通ってはいるが、人の手が入っていなくてもっと自然がそのままに残されている印象が強かった。
(歌声が響く)
(徒渉もあり)
(トナカイの群れ)
(沼もあり)
(高原漫歩)
(雪渓)

尾根筋と谷筋の分岐点に来て2回目の昼食休憩、日程が長いので昼は2回に分けられた。日が長いので急ぐことはないのだ。
ニルスさんはラクチンな谷筋を盛んに薦めたが、ここで別れて尾根筋を歩くも選択肢もあり、元気の良いグループには少し迷いがあったが、結局ここからも全員揃って谷筋を下ることになった。翌日、ベッセゲン手前の尾根から振り返ってみながら、この尾根筋には結構なアップダウンがあるし展望も似たようなものだったろうと思われて、この選択がよかったと思いなおしていた。
川筋に下っていって振り返ると、後の山並みの風景も変わり山の深さを感じさせた。メムル川の流れは氷河の雪解け水なのが白っぽい色をしていた。まずイエンデ湖が見え始め、次いでメムルブ小屋も見えてきて、長い歩きもやっと終わると思ったが、ここからが長かった。景色が雄大なので、目で見た距離感は当てにならない。下るに連れて流れはだんだんと急流になり、メムルブ小屋の手前では滝になっていた。
(川沿い)
(宿が見えてきた)

メムルブ小屋は個人経営の山小屋で、トイレシャワーが各部屋にあり、電力は豊富な水で水力発電、建物も真新しく設備もホテル並だ。DNT直営の山小屋だって、シャワトイレが共用以外は寝室は2人部屋が基本だし、日本の山小屋に比べれば天国なのだが-----。




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