V82.花の百名山:平標山と苗場山

1.動 機
花の百名山に名を連ねる苗場山と平標山は、毎年登りたい山のリストに載せていた山だった。この度、天気予報で好天気が続くようなので、思い切って出かけて花いっぱいの山行を楽しんできた。山頂山小屋泊の3日コースと、それぞれ麓から一日で上り下りする2日コースの2ケースを計画していたが、色々と忙しいこの時期、2日コースを選んだ。

2.データ
a)山域:平標山(1994m)、仙ノ倉山(2026m)、苗場山(2145m)
b)登山日:2008/08/11(月)晴〜12(火)晴時々曇
c)コースタイム:
1日目:日立自宅 3:35 = 3:45日立南IC = 4:20 桜川筑西IC =(R50)= 5:55 太田薮塚IC = 6:25 赤城高原SA(朝食) 7:10 = 7:20 月夜野IC = 8:00 火打峠駐車場 8:30 ---- 10:45 平標山の家 11:00 ---- 11:50 平標山 12:00 ---- 12:15 (昼食)12:45 ---- 13:20 仙ノ倉山 13:40 ---- 14:30 平標山 ---- 15:45 松手山 15:55 ---- 17:00 火打峠駐車場 17:10 = 17:45 和田小屋(泊)
2日目:和田小屋(五合目) 6:45 ---- 9:00 神楽ヶ峰(八合目)---- 10:10 苗場山頂湿原 11:50 ---- 14:45 和田小屋 15:00 = 15:40 こまくさの湯 16:30 = 16:45 湯沢IC = 17:40 伊勢崎IC = 17:50 太田桐生IC =(R50)= 19:45 桜川筑西IC = 20:20 日立南IC = 20:25 (夕食) 20:50 = 21:00 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「三国峠」{苗場山」

3.山行記録
(アクセス)
ガソリン代も高くなったので、北関東道の開通部分が増えこともあり、遠回りの首都高回りを止めて、最短距離のR50を走るルートにした。高速料金を倹約するため、日立南ICから深夜割引の4時前に高速に乗り、桜川筑西ICを下りたR50は早朝なので快調に走ることが出来た。太田桐生ICを見過ごして太田薮塚ICから再び高速に乗って 赤城高原SAでゆっくり朝食をとって伊勢崎ICから通勤割引でR17に下りた。登山口の火打峠の有料駐車場には8時に到着した。

(1日目)
火打峠駐車場8:30 ---- 8:40 林道 ---- 8:55 ゲート ---- 9:30 登山口 9:35 ---- 10:45 平標山の家 11:00 ---- 11:50 平標山 12:00 ---- 12:15 (昼食)12:45 ---- 13:20 仙ノ倉山 13:40 ---- 14:30 平標山 ---- 15:45 松手山 15:55 ---- 17:00 火打峠駐車場 17:10 = 17:45 和田小屋(泊)
(平標山−仙の倉山歩行ルート)

(駐車場トイレと登山届け箱)
平日なので料金所には人がおらず、帰りに支払えと書いてあった。広い駐車場には5台ばかり先客があり、綺麗なトイレを使わせてもらう。
身支度を整えて、トイレ脇の登山届け箱に届けを出して登山道に入った。登山道かと思ったら、すぐに車道に出て、左に向かって「松手山経由平標山」とあり、向かいの山に向かって「平元新道・平標山の家」の道標があった。
向かいの山道に入ると、沢沿いの植林の中に手入れされた登山道が続いており、沢音が涼しげで日も遮られて気持ちがいい。右手に別荘らしき建物を見上げながら歩くと、間もなく林道に出た。以前は別荘地を通るこの林道を歩いて来ていたのを、別荘地に気を使って新たに登山道を作ったようだ。
(平元新道入口)
(植林の中の道)

林道を歩いて橋を渡ると車止めがあった。森林管理事務所の看板は「車両通行止め」ではなくて「通行・立ち入り禁止」となっている。他に登山道があるわけでもないので、お役所仕事の標本みたいな看板は無視してどんどん歩いた。登山口に着くと、「20m先に水場」と書いてあった。水場まで登ってから冷たい水で喉を潤し、家から運んできたボトルの水も入れ替えた。
ここから階段道が断続的に続いた。道はそれほどの急坂でもなく、いつも嫌だなと思う階段もステップが丁度いい高さで余り苦にしないで登ることが出来た。山の家近くになってから、もう下ってくる男性に出会った。4時半に松手山登山口から登りはじめ、仙の倉山はガスっていたのでパスしてきたとのこと、標準タイムのようだ。
(車止め)
(階段の多い登山道)

山の家に登りつくと、蛇口から冷たい水が流れっぱなしになっていた。暑いこの時期の山登りには冷たい水が何よりのご馳走だ。ボトルの水をまた入れ替えた。
小屋の奥が展望台になっていて、平標山から仙の倉山にかけての稜線が綺麗に見えていた。長大な稜線は眺めているのには綺麗だが、あそこまで登るのかと思うと随分高く見えて気が遠くなる。
(山の家から平標山と仙の倉山)

展望を楽しみながら一休みして、平標山への登りにかかった。周りにはキンコウカの群生地が続くが、少し時期が遅すぎた。黄色い花は既にほとんど散ってしまっていて、花芯だけが並んでいる。緩やかだが階段の多い坂道である。途中のベンチで一休みした。
イワオトギリやキオンの黄色い花や、シラネニンジンやヤマハハコの白い花、高いところではキンコウカがまだ咲き残っていて、色々な花をを愛でながら山頂まで登った。丁度ガスが湧いてきて展望が余り良くないので、三角点と山頂標の前で証拠写真を撮って仙の倉山に向かった。
(平標山の中腹で一休み)
(平標山山頂)

仙の倉山に向かって登山道が長く伸びているのが見える。ノコンギクやフデリンドウを眺めながら下ったところにベンチがあったので、ここで弁当を広げた。食べながら向かいを見上げるといくつも峰が重なっていて、どの峰が仙の倉山なのかわからない。一番奥の峰だと大変だ。
少し下ってから登り返すと一面のシラネニンジンのお花畑だった。白い花は派手ではないが、これだけ一面に咲いていると見事だ。一つ峰を乗越えて、咲き残った黄色いニッコウキスゲを眺めながら登ると、すぐに仙の倉山の山頂だった。360°の大展望を期待したが、何も見えない。せめて明日登る苗場山の長大な山容が見えないかと暫く待ったが、やっと目の前の平標山が見えただけだった。証拠写真を撮ってから平標山に引き返した。
(鞍部から仙の倉山を見上げる)
(仙の倉山山頂)

平標山から松手山方向に下ると、こちら側にはシモツケソウやミヤマシャジン、キオンなど彩が鮮やかな花々がいっぱい咲き乱れていて見応えがあった。
(平標一の肩辺りのお花畑)

一の肩からの階段道の急坂を下りながらも、立ち止まっては二人で花写真を撮り捲くったので、松手山に到着したのはコースタイムよりも30分近くも遅かった。
(階段で急坂を下る)
(松手山山頂)

今日の宿の予約時間に遅れそうで急いで歩きたいが、松手山からの600mの下りは今まで以上に急坂だった。はじめの階段道はまだましだったが、階段のないゴロ石の急坂は膝に弱みを持つ私にとっては酷だった。和子は鈴を鳴らしながら快調に下っていくが、後を追いかける私は足元が気になって遅れを取る。和子は時々立ち止まっては待っていた。
(階段道の急坂)
(ゴロ石の急坂)

何とか登山口まで下って電話で連絡をとり、靴を履き替えて車を三国街道R17を走らせた。二居トンネルを抜けて三俣の街から入った三俣スキー場への林道が長かった。林道の終点の和田小屋に入ると、今晩の宿泊者は我家以外は1人の男性だけだった。好きな部屋を使えと言われて、広い部屋を個室として使った。
風呂に入って汗を流し、山の幸海の幸、食べきれないほどのご馳走を頂いて、意外に厳しかった平標山に疲れていてぐっすりと眠った。

(2日目)
和田小屋(五合目) 6:45 ---- 7:15 六合目 ---- 7:40 下の芝(七合目)---- 8:15 中の芝 8:25 ---- 8:40 上の芝 = 8:50 小松原分岐 ---- 9:00 神楽ヶ峰(八合目) ---- 9:20 雷清水 9;25 ---- 9:45 九合目 ---- 10:10 山頂湿原部 ---- 10:25 山頂点 10:30 ---- 10:35 展望台 10:40---- 11:05 引き返し点 ---- 11:20 休憩点(昼食) 11:45 ---- 11:50 山頂端 ---- 12:25 雷清水 12:30 ---- 12:50 神楽ヶ峰---- 13:25 中の芝 ---- 13:55 下の芝(七合目)---- 14:20 六合目 ---- 14:45 和田小屋
(苗場山歩行ルート)

翌朝目覚めると、東の空が赤く色付いており、やがて太陽が昇ってきた。今日はいい天気になりそうだ。嬉しくて何枚もシャッタを押した。朝食前に小屋の周りを散歩すると、あちこちにヤナギランやオダマキの花が咲いていた。
夕食に負けないほどの朝ごはんを頂いて、小屋前の登山口から歩き始めた。登山口には、ここは標高1380m5合目とあった。この合目標は登山道の0.5合ごとに立っていて励みになった。
(小屋の窓から日の出を拝む)
(五合目から歩き始め)

始めスキー場の中を歩いたが、すぐに森の中の登山道になった。一部階段や木道で整備されていたが、大部分はゴロ石の道だった。登りはまだ元気なので余り苦労なく登ったが、下りではこのゴロ石に泣かされた。
登りの途中に「下の芝」「中の芝」「上の芝」と三箇所の草地があり、木道の脇にキンコウカやイワショウブ、ワタスゲなど咲いていた。
(ゴロ石の登山道)
(途中のお花畑には木道)

小松原湿原への分岐を過ぎ、股すり岩の岩場を越えて少し登ると「八合目」「神楽ヶ峰」の道標があり、そこから先に回りこんだところで目の前が開け、苗場山が見えてきた。ここから100m以上大きく下ってから200m登り返さなければならない。その登りは凄い急坂に見える。
下り坂の途中に雷清水という水場があった。冷たい水で喉を潤し、宿の主人にこの水場のことを聞いていたので、水は半分だけいれてきたボトルを満タンにした。ここからは小さな小石がごろごろする急な下り坂で、うっかりするとずるっと滑りそうで気を使った。
(神楽ヶ峰から苗場山)
(冷たい雷清水)

下ったところにお花畑の道標があり、タカネナデシコやウツボグサの花が咲き乱れていて綺麗なところだった。
お花畑を通過して急登にかかる手前に9合目の道標があり、汗を搾られながら登っていく。道標には「雲尾坂」とあり、トリカブトやミヤマシャジンが綺麗に咲いていて慰めてくれた。
(お花畑)
(急坂の雲尾坂を頑張る)

急坂を登ると突然目の前が開けて、苗場山の広い山頂湿原が広がった。先ずは山頂を踏もうとワタスゲを眺めながら木道を歩いて遊仙閣の裏に回ると、一等三角点の前に背の高い山頂標柱が立っていた。
(山頂部はまっ平)
(山頂標識)

証拠写真を撮ってから山頂ヒュッテ前に出ると、小さな「展望台へ1分」の立札が立っていた。何が見えるのかと寄り道をしてみると、鳥甲山から鳥甲牧場、霧ノ塔にかけての西方向の展望が開けていた。
(展望台から)

湿原に戻るとこちらも視界がよくなっていて、昨日の平標山や秋に登る予定の佐武流山などが確認できた。
湿原にはワタスゲが花盛りで、池塘との組み合わせが綺麗だった。キンコウカも黄色い花を咲かせていて彩を添えていた。これが評判の苗場山の山頂かと納得した。
(ワタスゲと池塘の山頂湿原)

湿原が一周できないかと木道を南下してみたが、どこまで行っても脇道は出てこない。諦めて引き返すと、山頂ヒュッテの手前の赤湯温泉分岐近くに休憩場所があって数人が休んでいた。ここで昼食をとっている間に、急に黒い雲が沸いてきて暗くなり、冷たい風が吹き始めた。最近多い急な豪雨に会うのではと心配になり、すぐに下山にかかった。
(どこまで歩いても切がない)
(突然、空掻き曇って下山開始)

下山は往路をそのまま下ったが、途中からお天気が回復して日に当たって暑くなってきた。雷清水の冷たい水が嬉しかった。和子の後を追いかけて神楽ヶ峰からのゴロ石の下り坂を懸命に歩いた。
和田小屋前の冷たい水で顔を洗ってすっきりとして、湯沢温泉に向かって車を走らせ、日帰り温泉こまくさの湯で汗を流して湯沢ICで高速に乗った。通勤割引のため伊勢崎ICで一旦高速を下りて再び桐生太田ICまで高速に乗り、後はR50をゆっくりと走ったが、意外にも桜川筑西ICに着いた時はまだ通勤割引に間に合った。高速料金の割引分で日立南ICで下りてからレストランに立ち寄り、美味しく夕食を頂いてから我家に帰った。

今回は平標山と苗場山とそれぞれ麓から一日で上り下りしたが、なかなかきつい登山になった。和田小屋のご主人にも言われたが、もう一日かけて山頂の山小屋で泊まる計画にした方が年齢相応の楽しい山行になったかと話し合った。




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