W27.上高地と美ヶ原スノーハイク

1.動 機
水戸アルパインでは毎年2月、3月にスノーシューで歩くハイキングが計画される。今年の一回目は前夜発一泊二日で上高地と美ヶ原を歩く展望が期待されるスノーハイクだった。一日目は快晴のもと、真っ白に輝く穂高連峰や焼岳を眺めながら大正池の周りをハイキングした。二日目は生憎の小雨模様のお天気になったが、雪上車体験したり王ヶ頭の最高地点を踏んだりしてから、憧れの山上の王ヶ頭ホテルでゆったりとした時間を過ごしてきた。

2.データ
a)山域:上高地(1500)、美ヶ原(2034)
b)登山日:2009/02/22(日)、23(月) 前夜発
c)コースタイム:
1日目:日立電鉄南営業所 21:40(前夜) = 23:00 水戸IC = 4:00 松本IC = 6:20 釜トンネル入口 6:30 ---- (スノーハイク)---- 9:35 河童橋(昼食)10:15 ----(スノーハイク) ---- 12:40 釜トンネル入口 13:10 = 14:30 松本駅 14:40 =(ホテルバス)= 16:10 王ヶ頭ホテル(泊)
2日目:( 9:30 美しの塔まで雪上車体験、王ヶ頭まで散策 10:10)王ヶ頭ホテル 13:30 =(ホテルバス)= 14:25 山辺ワイナリ 14:50 = 15:30 松本IC = 19:40 友部SA(夕食)20:10 = 20:25 茨城町東IC = 21:40 日立電鉄南営業所
d)同行者:水戸アルパイン会員12名(男8、女4)、和子は不参加
e)地形図:1/25000 「焼岳」「山辺」

3.山行記録
1)上高地
前夜:日立自宅 21:25 = 21:35 日立電鉄南営業所 21:40 = 21:50 東海駅 22:00= 22:20 勝田駅 22:25 = 23:00 水戸IC = 23:50 守谷SA 24:00
1日目: = 3:20 諏訪湖SA 3:50 = 4:00 松本IC = 5:00 風穴の里(朝食)5:50 = 6:20 釜トンネル入口 6:30 ---- 6:55 トンネル出口 ---- 7:40 大正池ホテル(スノーシュー装着) 7:55 ---- 8:30 田代池 8:40 ---- 8:50 分岐 ---- 9:00 田代橋 ---- 9:10 ウエストン記念碑 9:20 ---- 9:35 河童橋(昼食)10:15 ---- 11:15 分岐 ---- 11:35 大正池ホテル(スノーシュー外し)11:50 ---- 12:20 釜トンネル入口 ---- 12:40 釜トンネル出口 13:10 = 14:30 松本駅 14:40 =(ホテルバス)= 16:10 王ヶ頭ホテル

前夜夕食を済ませてから、今回不参加の和子に車で日立電鉄南営業所まで送ってもらって、21時40分発のバスに乗って、勝田水戸と12人の仲間が乗ってきて、23時30分に水戸ICで高速に乗った。参加者は少なくて少し淋しいが、夜行バスではゆったりと席が取れて助かる。途中適当にトイレ休憩を取りながら、眠っている間に常磐道、中央道、長野道と走って松本ICで野麦街道におりて翌朝の5時に道の駅風穴の里に到着した。ここで朝食をとり、身支度を整えてから再びバスに乗り釜トンネルの入口まで入った。
(美ヶ原スノーハイクルート)

釜トンネルは冬季は車両通行止めになっていてゲートが閉まっており、ゲートの中に売店があって中ノ湯温泉の連絡所になっている。
バスを降りてゲートの横を通過してトンネルに向かった。入口の説明板によれば今のトンネルは2005年完成し幅7m、長さ1310mの立派なトンネルに生まれ変わっていた。
中に入るとまばらに小さなランプがあるだけで、殆ど真っ暗の世界になった。路面はまだ真新しく凸凹がなく、車が走らないので路面は乾燥しており、道幅も広いので暗くても余り怖さは感じない。トンネルは入口から出口に向かって1310m、高度差150mの一定勾配の登りになっていて、トンネルを出たら終点の河童橋までは殆ど平らな平原歩きになる。
(釜トンネル入口)
(真っ暗な釜トンネルの中)

トンネルを出て少し歩くと右手に雪を頂いた焼岳が見えてきた。朝日に輝く焼岳を見上げて、みんな歓声を上げながらシャッタを押した。
更に進むと、今度は正面に穂高連峰の峨々とした峰峰が姿を現してきて、みんなの目は更に輝いてきた。穂高連峰をバックに集合写真を撮った。
(焼岳)
(穂高連峰)

何度も立ち止まってはシャッタを押しながらゆっくりと歩いた。大正池の畔まで来ると、焼岳から穂高連峰まで一目に見渡すことが出来た。
(大正池から焼岳、穂高の大展望)

大正池ホテルの手前のトイレのある広場でスノーシューを着けて、車道を離れて湖畔を歩き始めた。大正池の凍った湖面から霧が立ち上り、霧氷を付けた白い木やトドマツの茶色い林、その上に白く輝く穂高連峰、それに真っ青な空、この組合せがなんとも美しかった。これを見ることができただけで今回の山行は大満足なものになった。
(大正池から穂高連峰展望)

大正池を過ぎて森の中に入って霧氷を見たり、目の前の穂高、右手の霞沢岳、後ろの焼岳を見上げたりしながら、雪の感触を楽しみながら歩いていった。
(霧氷の林間散歩)
(穂高を見上げながら雪原散歩)

田代池の道標が立つT字のところで右に入ると、すぐに田代池だった。田代池は霧氷で真っ白になった木が林立していて川のようだった。数人のカメラマンが三脚を構えてじっと何かを待っている。「昨夕は夕焼けの雪山が綺麗だった」、「今は向かいの六百山の上に太陽が出てくるのを待っている」と言っていたとのことだったが、気に入った写真を撮るには大変な辛抱と苦労が要るのだ。
田代池からT字まで引き返すと穂高連峰がナイスビュー、Ozさんと見合い写真を撮り合いをしていたら皆さんから遅れてしまった。すぐ先に林間コースと梓川コースの分岐があってどっちに進んで良いか分らなくなり、大声を出したら梓川コースから返事があり、みんな揃って待っていてくれた。大分気をつけるようにはなった積りだが、まだ時々勝手な動きをして迷惑をかける。
(田代池)
(見合い写真)

川沿いを歩いて田代橋を渡ってウエストン記念碑の前まで歩いて一休み、右手に霞沢岳の山並みが黒々と聳えていた。
車道のすぐ先からは治山専用道になり「歩行者進行禁止」の立札があった。ここで梓川沿いに向きを変えたが、雪たまりを越えながら本日唯一のコース外れ(?)になった。すぐに川沿いの良く踏まれたコースに入ったが、ウエストン記念碑のところの分岐点を除雪の雪壁が塞いでいたので気がつかなかった。
眺めの良い梓川沿いを歩いている時に、霞沢岳の上に太陽が出てきたので、田代池のカメラマンの真似をしてシャッタを押してみたが、バカチョン撮影では碌な写真にはならなかった。
河童橋まで来ると、さすが上高地の中心地だ、大勢の人が集まっていた。吊橋の河童橋は人が動くと大きく揺れる。橋の上でシャッタ押しを頼まれても、動かないタイミングを狙うのに苦労した。
橋の袂でみんな揃って弁当を開くのに、大きなベンチがあると思って雪が消えている端っこを選んで席を取った。食後気がついたが、座っていたのはテーブルで、ベンチは雪の下に埋もれていたのだった。孫に怒られそうな行儀の悪いことをした。
(六百山と霞沢岳)
(河童橋)

河童橋で集合写真を撮って、ここから引き返すことになった。帰りは田代橋まで梓川の左岸を歩き、田代橋からは林間コースを歩いていった。大きなサルノコシカケを見つけたり、サルが木の皮を齧ったらしい跡を不思議に思ったり、足跡を見つけては動物のあてっこをしたり、これも楽しい散策だった。
分岐点まで歩いてからは往路を戻ることになったが、目の前に焼岳を見ながらの散策になる。午後近くになると空が白っぽくなって来て、太陽も薄日になってしまい、雪山の眺めも朝とは比べようもなくなって来た。神様は朝のわずかな時間だけ素晴らしい景色をプレゼントしてくれたのだ。
この時間になっても大勢のハイカーがスキーやスノーシューで歩いてきて、挨拶を交わすのも忙しかった。
(帰途は別ルート)
(焼岳を目の前にしながら)
(きのこや足跡の観察しながら)

大正ホテルのところでスノーシューを脱いで、ここからは釜トンネルまで車道歩き、雪のところを避けながらゆっくりと歩いていった。
釜トンネルに入ると、雪に慣れた目には本当に真っ暗になって何も見えない。ところどころの小さなランプが点いているが、どこが道の中心でどこが端だか良くわからない。帰りは下り坂なので余計に気持ちが悪い。ヘッドランプを出せばいいのだろうが、必死の思いで皆さんの後を追いかけた。左後ろで歩道の境に躓いて横転する人も出たが、往路よりも短い時間でトンネルを通過した。
トンネル出口に着いたのはバスとの約束時間よりも随分と早かった。トンネル前には駐車場所がないので、バスは約束の時間にならないとやってこない。売店に入って飲み物を飲んだり、ゲート前で待機しているタクシーの運転手とだべったりして時間をつぶし、やがてやって来たバスに乗って松本駅に移動した。
松本駅で王ヶ頭ホテルのバスに乗り換えて美ヶ原に向かった。ホテルのバスは定員20名ほどの小型バスだが、四輪駆動で大馬力のエンジンを持っている。街からアンテナ群が見える2034mの王ヶ頭山頂にあるホテルまで、高度差1500mのホテル専用道路を一気に駆け登っていった。途中でスピードを落としながら北アルプスや浅間山などの展望地だとの説明があったが、残念ながら今日の午後は展望は無理だった。
悪路を運転しながらも運転手さんはしゃべりっぱなし、色々な情報を流してくれた。昨日の日曜日の宿泊者は120名以上、平日の今日も80人超、この季節が宿泊客が一番多いのだと言う。車で上がることができる夏場は日帰りが多いと言うことらしい。鹿の食害が多くて困っているとの話も出たが、道中の道の脇にも沢山の鹿を見ることが出来た。
(松本市街から王ヶ頭)
(大勢の鹿のお迎え)

ホテルの前に着くと、そこから美ヶ原の平原が大きく広がっており、その上に八ケ岳が連なっていた。南アルプスや中央アルプスもうっすらと見えていたが、山を同定できるほどではなかった。
(美ヶ原の展望と八ケ岳)

ホテルに入って案内を聞いてから指定の部屋に入って、先ずは風呂に入って汗を流した。風呂場は全面ガラスの展望風呂になっていて、眼下に松本市街が広がっており、八ケ岳、霧ヶ峰あたりまで見えていたが、天気が良ければ北アルプスあたりの大展望が広がるのだろう
風呂上りにシャンパンのサービスがあり、長湯で温まった身体に良く冷えたシャンパンが美味しかった。
しばらくだべってから食事処に行くと、和風のテーブルには数多くの皿が並んでいた。乾杯をしてから、次々と運んでこられる美味しい料理に舌鼓を打った。サービスの人もみんな若くて明るく気持ちが良い。素晴らしい展望を堪能した山歩きの後に、こんな贅沢な夕食を頂けるとはなんと幸せなことだろう。
(王ヶ頭ホテルの玄関)
(豪華な食事)

食事の後、広間で美ヶ原の四季を紹介するスライドショウがあり、その後また風呂に入る人もいたが、夜行バスで寝不足だったので、私はベットにもぐり込んですぐに眠りについた。

2)美ヶ原
2日目:王ヶ頭ホテル 9:20 =(雪上車)= 9:30 美しの塔 9:35 =(雪上車)=9:45 王ヶ頭ホテル ---- 王ヶ頭 ---- 10:10 王ヶ頭ホテル(昼食) 13:30 =(ホテルバス)= 14:25 山辺ワイナリ 14:50 = 15:10 酒造店 15:25 = 15:30 松本IC = 16:30 双葉SA 16:50 = 18:00 石川PA 18:10 = 18:25 高井戸 = 19:00 三郷 = 19:40 友部SA(夕食)20:10 = 20:25 茨城町東IC = 20:50 水戸 = 21:40 日立電鉄南営業所

夜明け前に起き出して浴衣のままで玄関前に出てみると、昨夜のうちに雪が積もっていた。このままでは外に出られないので部屋に引き返して、重装備に着替えて外に出てみたら丁度小雨が降り出した。それでも少し外を歩いてみたが、これでは朝焼けも日の出も期待できそうにないので早々に部屋に戻った。
7時半からの朝食場所に行くと夕食並みに品数の多いお膳が用意されており、お代わり自由のご飯をお腹いっぱい頂いた。食事が終わっても天気は良くならないので、予定のスノーシューハイキングは中止になり、雪上車の無料体験乗車に全員で参加することになった。3台の定員10名の雪上車が30分おきに発車して美しの塔まで往復してくる。希望者が多く、3回目発車の2台の雪上車に分かれて全員が乗り込んだ。運転のスピードも速く、路面が固まっているので振動が凄まじく、取っ手にしがみ付きながら雪上車の感覚を味わった。
美しの塔で全員集合の記念写真を撮って、急かされるようにまた雪上車に乗ってホテルに引き返した。
(雪上車に体験乗車)
(美しの塔)

雪上車を降りてからその足で王ヶ頭の山頂まで歩くことになった。山頂はすぐそばだし、雪が少ないのでスノーシューを履かなくても問題はない。御嶽神社奥の院にお参りして、三角点の前の標高2034mの王ヶ頭の山頂標石の前で集合写真を撮った。
少し歩いて鉄塔群の囲いの先まで歩いてみたが、どちらを向いても展望はなかった。潅木の枝に透明な海老の尻尾(これは雨が固まったもので色が白くないので霧氷とは言わず雨氷と言うとの説明あり)がついており、切り取って口に入れると木の香もして美味しかった。囲いの金網にも海老の尻尾がついていたが、金網が太くなって長さも5cmも伸びていて、全体として頑丈な格子の柵のようになっているのが面白かった。
(王ヶ頭山頂)
(金網に出来た海老の尻尾)

10時過ぎにホテルに戻って、13時半の出発予定時間まで談話室でお喋りしたり、昼食のうどんをすすったりして、憧れの山上ホテルの時間をゆったりと過ごした。
ホテルバスは13時半丁度に出発して、乗り換え指定場所の山辺ワイナリの駐車場に向かった。途中、街に入る前にチェーンを外したが、送迎するたびにチェーンの着脱しなければならないのは、悪路の運転と合わせて大変な重労働だ。このホテルの従業員はみんな若くて明るく仕事しているのが気持ちが良い。
ワイナリに着くとお目当てのワインの試飲を何杯もした。銘柄も辛口甘口も色々あって、全部味見をして回ったら良い気分になった。ただ飲みしただけでは申し訳ないので、下戸のシモンさんも「これは美味しい」とレッテルを貼ったワインを、下戸の和子へのお土産を名目に1本買った。
乗り込んだ日立電鉄のバスは松本城を通過し、高速に乗る前に今度は上戸のために日本酒の試飲をするために造り酒屋の店に立ち寄った。この店でお酒を飲んだらますます気分が良くなり、お土産にお酒や酒粕が沢山売れていた。
(ワインの試飲)
(松本城)

試飲で気持ち良くなった一行を乗せたバスは松本ICから長野道に乗り、中央道に入った。これまで曇っていた空がだんだんと晴れてきて、思いがけず南アルプスや八ケ岳が綺麗に見えてきた。先では富士山まで見えるようになり、美ヶ原で展望がほとんど出来なかった分を取り返した気分になった。
(八ケ岳)
(富士山)

帰りの首都高も空いていて快調に走り、いつもの守谷SAは通過して友部SAで夕食をとった。今回の参加者に都合が良いように友部JCTで曲がって茨城町東ICで高速を下りてから水戸に向かったが、こちらの都合を気持ちよく聞いてくれる御馴染みの運転手さんは有難い。




inserted by FC2 system