W36.上高塚山・熊ノ山・盛金富士
(イワウチワを求めて)

1.動 機


(イワウチワ探索ルート)

桜の開花情報が流れ始め、今年は暖冬異変で1週間以上早いと言う。桜と一緒に咲くイワウチワも盛りは早くなって3月下旬ごろだろうか。3月終盤には孫との旅行があって留守にするので、今年はイワウチワを見落としてしまうかもしれないと心配になり、天気の良い今日を選んでイワウチワ探訪に出かけることにした。
どこの山に行こうか話し合った。この冬に歩いてイワウチワの群落を見つけた茨城の山も面白そうなところが多かったが、奥まったところにあってまだ早過ぎそうだ。3年前の同期会の山行忘年会で上高塚山から穴城山へと縦走したことがあり、橋本集落の後ろの山(この山行記でイワウチワ山と命名)にイワウチワが咲くと教えられていたのを思い出した。その後気になりながら登っていなかったが、低い山なので花期も早そうなので、今回のイワウチワ探訪の山に選んだ。ついでに近くのイワウチワの名山・盛金富士にも立ち寄ってきて、盛りにはまだまだだったが、新鮮なイワウチワを鑑賞することが出来た。

2.データ
a)山域:上高塚山(370)、熊ノ山(300)、盛金富士(341)
b)登山日:2009/03/21(土)晴
c)コースタイム:
森山自宅7:45 = 8:40 西金駅 8:50 ---- 9:05 橋本集落 ---- 9:45 イワウチワ山山頂 ---- 10:35 上高塚山 11:00 ---- 11:05 後在所分岐点 11:15 ---- 11:35 熊の山山頂 11:50 ---- 12:25 下小川橋 ---- 12:40 盛金富士登山口 12:55 ---- 13:15 ベンチ(昼食)13:40 ---- 13:45 イワウチワ群落14:10 = 14:15 盛金富士山頂 14:25 ---- 14:35 アンテナ峰 ---- 15:00 盛金富士登山口 ---- 15:05 下小川駅 15:13 =(JR)= 15:18 西金駅 15:30 = 16:45 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「大中宿」「山方」

3.山行記録
朝8時前に我が家を出発して常陸太田から旧水府村に向かうと、道沿いに西金砂神社の小祭礼の幟がたって、多くの村人が行き交い、広場では屋台が店を広げる準備をしていた。イワウチワを止めてこれを見物するのも良さそうに思ったが「信仰心もない人が何よ」と和子からNoが出た。そのまま通過してR118に出て、快調に走って西金駅に1時間足らずで到着した。
直前を走っていたご夫婦の車は男体山へ登るのか西金駅入口交差点で古分屋敷側に曲がった。西金駅の駐車場に着くと数台の車が停まっており、ここでも奥久慈男体山に向かうご夫婦があった。新百名山に選ばれてから男体山の登山者は随分と多くなったようだ。身支度をして歩き始めると、これから歩く予定の上高塚山が見えていた。
(西金駅からイワウチワ山と上高塚山)

R118を横断してりんご園の橋本集落を過ぎると、廃屋のような家の手前に祠に入る山道があり、これを歩けばイワウチワ山に登れそうだった。イワウチワを求めてくる人の踏跡だろうか、山道は祠を過ぎ、墓地を過ぎても雑木林の中に続いていた。
(橋本集落のりんご園)
(祠のところから取り付く)

稜線に伸びるシュンランが新鮮な花を広げる踏跡を辿ると、北斜面のあちこちにイワウチワの群落が出てきた。始めはなかなか花が目に入らなくて、まだ来るのが早過ぎたかと心配になったが、一輪見つけるとあちこちに白い花が見えるようになってきた。これで今日出かけてきた甲斐があったと大喜び、シャッタを押し捲った。北斜面は急な斜面になっていて、足を滑らせると止まりそうにない。立ち木に掴まりながら慎重に足を運んだ。
(シュンラン)
(イワウチワ群落)

(イワウチワ)

途中急登になったが、左側の北急斜面にはチラホラとイワウチワが咲いていた。山頂近くは大きな岩が重なっていて岩の間を縫うように登ったが、山頂には何もなかった。東方に上高塚山が聳えており、ずいぶんと遠く見えた。
山頂からの下りは始め稜線が岩っぽくて少し進路を考えさせられたが、少し下ると再び歩きやすくなった。なだらかな稜線を歩いて行くと、右から地形図の破線の道が登ってきて、道にはくるぶしまで埋まるような落葉が積もっていた。
(岩の山頂)
(落葉の登山道)

山道を辿って上高塚山の麓まで歩くと、上高塚山に直登する踏跡も見えたが凄い急登だ。左に巻く山道を進んで境界線のところまで歩くと、「上高塚山」の道標があって踏跡が山頂に向かっていた。踏跡は山頂までなだらかな稜線上に伸びていて、5分ほどで山頂に着いた。
山頂には三等三角点と、上高塚山の山名板がぶら下がっていた。
(上高塚山へ)
(上高塚山山頂)

山頂は立ち木に囲まれていたが、まばらな雑木林なので落葉した木々の間から近くの山を見通すことが出来、塩原や那須の雪を頂いた雪山も見えていた。コーヒを飲みながら展望を楽しんだ。
(塩原山塊)
(那須連山)

次は目の前に見えるアンテナ塔目掛けて急坂の踏跡を下り、林道に出て後在所分岐で方向を誤った。しばらく林道をそのまま歩いてから気がつき、道傍のフキノトウを収穫しながら引き返した。
分岐点まで引き返すと、右に後在所に向かう道が下っており、正面の山に登る踏跡に「下高塚山」の道標があり、その右にこの山を巻くように「下高塚山・熊の山」の道標があった。らくちんルートと思って巻き道を選ぶと、少し先で竹藪が覆いかぶさっていて、枯れて倒れた竹を避けながらの歩行になった。これを過ぎると左から「下高塚山」からの良い道が合わさってきた。下高塚山を越えて来た方が良かったかもしれない。
(アンテナのピーク)
(しばらく林道)

「熊の山」への道標にしたがって整備された山道をどんどん歩いて行くと、熊野神社の鳥居下に着いた。200段の石段を休み休み上りきると、山頂の神社の脇に右の尾根から来る踏跡があった。歩きやすい巻き道を選んで歩いてきたが、手前の左の尾根道の踏跡を選んでいたら200段の石段を登らなくて済んで楽だったかもしれない。
山頂の周りの立ち木は殆ど切り払われていて、まさに360°の大展望だった。西にはアンテナ塔と上高塚山が見え、その向うに奥久慈男体山の山頂が頭を出していた。
(熊の山山頂)
(上高塚山と奥久慈男体山)

塩原、那須の連山も頭を出しており、日光の山も見えていた。上高塚山よりも標高が70m低くなったので出ている雪山の範囲は小さくなったが、邪魔するものもない大展望だった。
(写真で見えない日光、釈迦、塩原、那須の雪山連山)

しばらく展望を楽しんでから石段を下った。正面の道は高井釣への道で、左への下り道に「下小川駅」の道標があった。5分歩くと左に以前歩いた穴城山への分岐道があったが、今回は右の「下小川橋経由下小川駅」への道標に従った。ここから急坂になり、広い登山道をジグザグに下っていった。
道傍には、もう色々な春の花が咲いていて目を楽しませてくれた。
(ユリワサビ)
(ヒメイチゲ)

(オオイヌノフグリ)
(ナノハナ)

(アオキの実)
(紅梅)

R118近くまで下ると右に分岐があり、これを下ると後在所への道に出た。左に曲がるとすぐに下小川橋に出て、目の前に盛金富士が見えていた。
ダンプカーの行き交う車道を歩いて行くと梅園があり、まだいっぱい白い花を付けていて綺麗だった。
(下小川橋から盛金富士)
(白梅と盛金富士)

その先で農作業から帰る土地の男性と出逢い、「どこから来たの?」から始まって、色々と山談義が始まった。この男性も百名山をもう75座も登った山好きで、仲間数人とあちこちの山を歩いているとのことで、あちこちの山情報の交換に15分も話し込んだ。
富士神社の鳥居のある「富士山頂へ登古道」入口から登り始めた。丸太の階段で整備された登山道を登って行くと、尾根に上がったところにベンチがあり、「山頂まで20分」の案内があった。ベンチに座って遅い弁当を広げた。
(盛金富士登山口)
(整備された登山道)

ベンチのすぐ先の右斜面にイワウチワの大群落がある。恐る恐る覗いてみると、咲いていた!
まだまだ一面の花園とは行かないが、ピンクや白の可愛い花があちこちに咲いていた。

(ベンチの休憩所)
(イワウチワ群落)

イワウチワの群落はその先の山頂直下の斜面にもあって、崖のような急斜面だが、イワウチワを愛でに来た人たちの踏跡が縦横に出来ていた。
(ピンク)
(白)

十分にイワウチワを楽しんでから山頂に登った。途中の巻き道から八溝山から奥久慈男体山への展望が開け、歩いて来た上高塚山から熊の山の山並みも見えていた。
山頂からは蛇行する久慈川の向うに水戸の県庁や、高鈴山の鉄塔が見え、はるかに難台山、筑波山、加波山も見えていた。
(奥久慈男体山)
(山頂から久慈川展望)

山頂で小休止して時計を見ると、下小川駅を1時間おきに出る西金駅行きの電車の時間までは45分だった。登ってきた登山道を下れば悠々間に合うが、同じ道を下るのでは面白くない。アンテナの峰まで下って、まだ歩いたことのない右の尾根を下ることにした。距離は短いから上手くいけば、これでも間に合うはずだ。
アンテナの峰から右の急斜面の尾根にアンテナの配線が下っており、踏跡も付いていた。ずるずると滑るように下っていくと、踏跡はところどころでツツジの潅木に入って怪しくなったが、どこまでも尾根筋を下っていった。途中、この斜面にはダンコウバイが黄色い花を付けており、イワウチワの大きな群落もあった。ここのイワウチワは晩生のようで花はまだ咲いていなかったが、一度この斜面のイワウチワも見に来たいものだ。
(下りはアンテナルート)
(ダンコウバイ)

余り進路について気にしないでやみくもに下っていったら沢に下り、沢沿いの道を辿っていったら登山口のところに出た。
登山口から下小川駅まで5分、電車の時間にゆうゆう間に合った。やがてやってきたワンマンカーの電車に乗ったが、初めての乗車で切符の買い方など要領がわからず、優しい運転手さんの好意に甘えることになった。
西金駅に着いて駐車場から川向の斜面を見ると、いままで気がつかなかった見事な滝が流れ落ちていた。
(下小川駅から電車に乗る)
(西金駅の滝)

日立の自宅に帰る途中、水府の松平交差点から先で車の渋滞になった。小祭礼のクライマックスの時間で、県道を使って神輿行列が進んでいたのだ。部落ごとに神輿を出しており、賑やかなお囃子を奏でながら大勢の行列に曳かれていた。
数年前に73年ごとの大祭礼が行われて我が町内でもお手伝いに出たりしたが、小祭礼は7年ごとの未(ひつじ)年と丑(うし)年に行われるということを後で知った。
(西金砂神社小祭礼)

変化のあるコースを歩き、今年始めてのイワウチワを見ることが出来、色々な春の花にも出会えて期待以上に面白い一日だった。我家に帰ってからのビールが上手かった。




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