V41.大倉山
(新福島の山のピークハント(1))

1.動 機
(富岡IC近くからの大倉山)

1999年版ヤマケイ分県登山ガイド「福島県の山」に60座が載っていて、去年残っていた8座に登って完登した。ところが分県登山ガイドには改訂版が発行されていることが判り、調べてみると13座が入れ替わっていて、そのうち5座は登ったことがあり8座が登ったことのない山だった。飯谷山、大白森山、高太石山、五台山、大倉山、笠が森山、権太倉山、赤面山が未踏峰だった。8座ぐらいなら今年のうちに登れそうだと、今年の登山目標の一つになった。
ハワイから帰ってきて色々取りこんで出歩かなかったので、なまった足を鍛えるために、手始めに、アクセスが一番近い富岡IC近くの大倉山に登って見ることにした。大倉山には手入れの行き届いたなだらかなハイキング道が整備されていて気持ちよく歩くことができ、道沿いには期待通りにカタクリやイワウチワなどの早春の花が咲いていて目を楽しませてくれた。


2.データ
a)山域:大倉山(593m)
b)登山日:2009/04/05(日)晴
c)コースタイム:日立自宅 8:05 = 8:15日立南IC = 9:20 富岡IC = 9:30 コンビニ駐車場 9:40 ---- 9:45 赤木登山口 ---- 10:05大曲り小曲り ---- 10:30 馬頭観音 ---- 10:40 座頭ころばし ---- 10:45 駕立場 ---- 11:00 旗巻場 ---- 11:10 大倉山分岐 ---- 11:20 大倉山山頂 11:30 ---- 11:45 (昼食) 12:05 ---- 12:20 カタクリ群生地 12:30 ---- 13:00 山頂駐車場 ---- 13:05 大倉山分岐 ---- 13:35 馬頭観音 ---- 14:00 大曲り小曲り ---- 14:15 赤木登山口 ---- 14:25 コンビニ駐車場 14:35 = 14:50 夜の森公園 15:20 = 15:30 富岡IC = 16:35 日立南IC = 16:45 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「夜の森」「成子内」
(大倉山の登山ルート)
(大倉山の登山ルート標高差)


3.山行記録
普通は福島県に向かうには高速代とガソリン代を倹約するために日立北ICから常磐道に乗るのだが、今日は日曜日、どれだけ走っても高速代は1000円である。少し南に下がって日立南ICから高速に乗った。心持ちいつもよりも車が多いような気がする常磐道を走って、いわきJCTを直進して終点の富岡ICで高速を降りた。
高速道の上からも大倉山らしき山を横目で眺めていたが、富岡ICから一般道に下りて県道35号をいわき方向に南下すると、山頂に鉄塔が立っているように見える頭の尖った形の良い山が目に入った。これが大倉山に違いないとシャッタを押した。
富岡工業団地の一つ先の交差点にガイドブックにあるコンビニの広い駐車場があった。コンビ二は廃業して売り店舗の看板が出ていたが、駐車場には数台の車が止まっていた。おそらく大倉山に登っていった人たちなのだろう。
身支度を整えて交差点を渡ると「大倉山登山口入口」の標柱があり、向かいの道を500mも歩くと登山口があった。ここからが塩の道で「オートバイ乗り入れ禁止」とか「マイカーは山崎ショップの駐車場へ」などの立札があり、大倉山への山道が始まった。
(コンビニまえの交差点)
(塩の道の登山口)

登山口の脇にはもう一つ大きな案内板が立っていて、塩の道は内陸部の二本松や三春に物資を輸送する道だったとあり、途中に色々な史跡があるらしい。大倉山山頂までは4km、2時間と表示されていた。
(大倉山登山案内)

塩の道に入ると、南斜面をトラバースするように良く手入れされたなだらかに登る道がどこまでも続き、足元にはスミレやカキドオシの可憐な花が目を楽しませてくれた。運搬を楽にするためには急坂を作れないので道は地形に従って大きく湾曲せざるをえず「大曲り小曲り」の立札が立っていた。
「大曲り小曲り」の先で尾根の向こうが見える広場があり、太平洋を気持ちよく見渡すことができた。再び尾根の南側を歩く道になり、しばらく歩いて行くと右の尾根に上がる踏跡があった。何かあるのかなと寄り道してみると、尾根の先の北斜面にイワウチワの群落があった。群落はずっと下まで続いていたが、急斜面の危なっかしい踏跡に下ることは止めにして、尾根近くで数枚のシャッタを押して先に進んだ。
(気持ちの良い登山道)
(始めのイワウチワ)

だらだらと登っていくと右上に馬頭観音があり、左には「不思議な木」があった。ケヤキの木が自然に変形してできた樹形らしく、看板は「何に見えるでしょうか」と問いかけていた。一目ゾウサンである。面白かったのでおっかなびっくり乗っかって記念写真を撮った。
「不思議な木」の先には右斜面にイワウチワの大きな群落があった。南斜面にイワウチワが咲いているのは珍しい。花が全部登山道を向いてくれているので可愛らしい。何回もシャッタを押した。
(ブナの不思議な木)
(2番目のイワウチワ)

イワウチワの群落を過ぎると「座頭ころばし」の看板があって、「昔座頭が悪人によって谷底に突き落とされた」という急斜面のところを通過すると、今度はエンレイソウの群落地があった。エンレイソウはどの株もやっと葉を広げたばかりのところで、新鮮な色が綺麗だった。
やがて登り坂が終わりになると、「駕立場」の看板があった。村人がお役人をここまで駕籠で送ってきて、お礼を述べ前途の安全を祈ったところだと言う。ここからしばらくは殆ど登り下りのない平坦な道が続いた。この辺りにもカタクリの株がところどころにあったが、花が咲いているのは数えるほどだった。目的の群落地まで行っても咲いていないかもしれないと心配になった。
(エンレイソウ)
(少しだけ坂道のあり)

再び登り坂になって少し歩くと大倉山山頂への分岐表示があった。ここにも大きな案内板が立っていて、それによると山頂一帯が森林公園になっていて、遊歩道が網の目のように作ったある。最外周の健脚コースを歩けば一周3時間、中心の初心者コースを往復すれば40分とある。先ず山頂まで登って、東側の外周を回ってカタクリの群生地のある谷間の「クルミの小径」まで下って、帰りは初心者コースの「石畳の径」を登ってくることにした。
(山頂付近の遊歩道ガイド)

分岐点から山頂までは「がんばる小径」といって結構な急坂である。ロープが張ってあったので、これを掴みながらゆっくりと登っていった。
登り切った山頂にはDocomoの大きなアンテナ設備があり、その前に三等三角点と、浅間神社の石の祠があった。富士山と同じ浅間神社には古事記に出てくる木花咲耶姫命が祀られていると言う。その前で記念写真を撮った。
東側の展望が開けていて、太平洋が広がっており、福島第一原発が見えていた。
(がんばる小径)
(大倉山山頂)

冷たい北風が吹いてくるので寒くて居たたまれず、山頂を早々に退散して「ささやきの小径」を下った。深く掘れて歩きにくい丸太の階段をどんどん下ってから少し上り返すと「つづらおりの小径」との合流点に出た。そこには立派な休憩舎があった。合流点ごとに遊歩道ガイドの縮小版と道標が立っており、同じ形の休憩舎も各所にあって、心憎いほど案内が整備された森林公園だ。休憩舎で弁当を広げた。
(ささやきの小径)
(各所に案内板や休憩所あり)

お腹を満たしてから「さえずりの小径」を下り、「くるみの小径」を下ると沢沿いの道になり、あちこちにカタクリやアズマイチゲ、キクザキイチゲ、ニリンソウが咲いていた。ヤッター! 沢を渡った向かいの斜面にはカタクリの花が一段と賑やかに咲き乱れていた。
(カタクリ)
(アズマイチゲ)

早春の花を堪能して満足してから帰途についた。沢沿いに作られた車も走ることができる広い文字通りの「石畳の道」を緩やかに登っていくと、トイレもある山頂駐車場があった。山頂駐車場から大倉山分岐まではすぐだった。県道36号からこの駐車場まで車で上がってきて、森林公園の遊歩道をゆっくりと散歩するのも楽しそうだ。
下りは往路をそのまま気持ちよく下って、コンビニの駐車場に戻った。残っている車は一台だけだった。まだ帰るには少し早いので、近くの桜の名所・夜の森公園に立ち寄ってみた。露店は開店の準備に余念がなかったが、桜はまだほとんどが蕾のままだった。夜の森地区の道路の両側には桜の木が育っており、満開の時期になれば素晴らしい桜のトンネルを楽しめそうだ。運動場のような夜の森公園では若者の大集団がソーランヨサコイの練習中で、しばらく踊りを楽しませてもらった。
日立に帰る常磐道は、いわきJCTから先、今まで見たことがないほどの車の洪水だった。日立トンネル近くでは2列縦隊の車列が続き、東京近くの関越道や中央道を走っているのかと錯覚するほどだった。皆さん、東北地方の北部まで1000円×2ぽっきりで楽しんで来て帰るところなのだろう。
ピークハントは2座以上を纏めて登るのが我家の流儀だが、今回は1座にとどめた。ゆとりがあって楽しい山行になったねと話しながら我家に帰った。




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