W46.毛無岩
(アカヤシオオフ本番)

1.動 機
(毛無岩山頂にて)

いよいよアカヤシオオフの本番である。好天続きだった先週の下見山行とは裏腹に、今週は荒れ模様の天気予報になり、1日目は山行を中止して、午後コテージに集合して山菜いっぱいの賑やかな宴会パーテイーだけを楽しんだ。2日目は予想以上の上天気になり、毛無岩という変わった名前の岩山を案内して貰った。途中から2班に分かれ、宴会重点の都会組はトラベエさん夫妻に案内されて巻道のプロムナードコースを歩いたが、元気満々の茨城組はのみねさんに案内されて毛無岩山頂に登頂して、満開のアカヤシオも愛でながら西上州らしさを凝縮したような急峻な岩山歩きを満喫した。

2.データ
a)山域:毛無岩(1300)
b)登山日:2009/04/25(土)雨、26(日)曇後晴
c)コースタイム:
1日目: 日立自宅 11:30 = 11:40 日立南IC = 12:45 佐野藤岡IC ---- 13:15 太田桐生IC = 13:30 波志江PA 13:45 = 14:10 下仁田IC = 14:55 南牧村自然公園(宴会、泊)
2日目: 南牧村自然公園 8:35 = 8:55 道場 9:25 ---- 9:35 登山口 9:40 ---- 10:30 道標 ---- 11:45 相沢峠 ---- 11:50 巻道分岐 ---- 12:10 前峰 ----12:15 (昼食) 12:30 ---- 12:50 毛無岩 13:05 ---- 13:35 黒滝山分岐 ---- 13:40 巻道分岐 14:10 ---- 15:15 急坂 ---- 15:30 沢 ---- 15:55 道場 16:35 = 17:10 下仁田IC = 17:45 波志江PA 17:50 = 18:05 太田桐生IC = 18:30 佐野藤岡IC = 19:35 日立南IC = 19:45 日立自宅
(毛無岩周回登山道)
(毛無岩周回登山道の高低差)

d)参加者:トラベエさん夫妻、のみねさん、だるまさん夫妻、山百合さん、シモンさん夫妻、和子
e)地形図:1/25000 「荒船山」

3.山行記録
1日目:宴会
1日目をどうするかがnet上で色々と議論され、山行は止めにして、去年も泊まった南牧村自然公園のコテージに午後集合して宴会パーテイのみを実施することになった。
日立を昼前に出発して、北関東道回りで下仁田ICまで高速を走り、南牧村自然公園に向かった。県道から道標にしたがって自然公園の道に入ると、山道は淋しいところをどんどんと登っていく。去年走った道なのだが、去年は先導車の後ろについてただ走っただけ。本当にこの道でいいのだろうかと心配になった頃、やっと見覚えのあるコテージ村に到着した。雨の中を荷物を持ってコテージに入ると、ほとんど全員が集合済み、早速ビールの洗礼を受けた。去年や先週のアカヤシオの話に花が咲いた。
コテージ村は昨日開村したばかりで今日は貸しきり状態、風呂は婦人風呂だけが湧かされて、男女入替の入浴だった。始めてご婦人風呂に入ったが、浴槽の檜も新調したばかりでとても気持ちが良かった。
シモンさん夫妻が山菜をどっさりと持ち込んで山菜中心のご馳走を作り、それに各人が持ち寄った自慢の名物料理が加わって、テーブルいっぱいにご馳走が並んだ。ビールに各地の地酒も並んで、パーテイーは大いに盛り上がった。
(持ち寄りご馳走)
(山菜の山)

明日の予定の話し合いになると、テレビもなく、携帯も通じないので明日の天気予報がはっきりせず、なかなか話はまとまらない。先ずは、予定していた豪快な岩峰群を縦走する「大津」は、いま雨が降っているのでは明日は滑りやすくて危ないので駄目という結論になり、代わりの山の話になった。紆余曲折した挙句、次案としてトラベエさんが提案した「毛無岩」周回コースに集約され、明朝の天気を見てから最終決定することになった。

2日目:毛無岩
朝目覚めると東側のカーテンが明るい。空はどんよりと曇っているが、東の山並みの上の雲が朝日で明るく光っている。外に出てみると上空から西の方の空は晴れていて、今日は歩けそうだと期待させた。近くの碧岩や立岩の岩峰が朝もやの中に聳えていて、西上州らしい景色が広がっていて気持ちが良かった。
山菜ずくしの味噌汁やタケノコ卵などの暖かい朝食をとり、いなり寿司やサーダアンダギー、魚雷サンドの弁当を貰い、部屋の片づけをしていざ出発だと外に出たら、あれあれ突然空が掻き曇ってきて霰まで降ってきた。みんなはしばらくお茶でも飲みながら様子を見ようと部屋に入ったが、やる気満々のシモンさんは車の中から動かない。
すぐに霰も収まったので、車を連ねて出発した。県道に出て羽沢のT字路で左折して星尾川沿いの細い道を走っていくと、目の前に立岩が格好よく屹立している。丁度路側が広くなっていたので車を停めてシャッタを押した。その先の線ヶ滝分岐で皆さん、車を停めて離れてしまった私の車を待っていてくれた。
ますます細くなる道をどんどん登っていき、道場の集落入口の分岐を左に入ると集落の端で大きく曲がって小さな神社の入口に突き当たる。沢沿いに舗装された細い林道が上がっているが、目の前の駐車場には車が停まっている。先発隊3台が先を偵察に出かけたが、すこし遅れたシモンさんだけトラックに押し戻されて、車幅ぎりぎりの細い道を汗をかきながらバックさせられた。シモン車とこれを見た車2台は近くの民家にお願いして庭先に停めさせて頂くことにした。
やっと駐車場所を確保して安心し、身支度を整えて歩き始めた。周りに芝桜が植えられた道を上の駐車場まで歩くと、すぐ先に「毛無岩登山口、前橋山遊会」のブリキの道標があった。ここから全員揃って登山開始。
(星尾川沿いから立岩)
(登山口)

始めはは杉の植林帯をジグザクと上っていくので西上州らしくなかったが、すぐに沢筋に出た。何度か沢を渡り返しながら遡上していき、滑滝を巻いて登ると、滑りやすそうな岩壁が現れロープと頼りない材木の支えを頼りに渡るところもあって面白くなる。小さな滝もでてきて目を慰める。この辺りで、毛無岩を巻く道を歩く都会組と、あくまでも毛無岩登頂を目指す茨城組とに分かれて歩くことになり、都会組はトラベエさん夫妻、茨城組はのみねさんに案内してもらえることになった。
(滑りやすい岩場)
(小さな滝)

沢筋の植林帯に入ると植樹後40年の杉が間伐され、細木が倒れたままになっていたが、登山道の幅だけは歩きやすいように切り取られていた。この辺りの杉は生長したらどうやって運び出すのだろうか、要らぬ心配もしたくなった。。
また沢に出ると、数年前の台風被害なのだろう大岩がゴロゴロと転がっている。岩を巻いたり越えたりしながら登っていった。道がはっきりしないところが何箇所も出てきて、のみねさんに確認するが、台風で様変わりしていて記憶と大分違うらしい。テープを探しながら進んでいった。
(40年の植林)
(大岩ごろごろ)

沢の合流点に山遊会の「毛無岩へ」の道標があり、ここから道は沢筋を外れ植林帯から雑木林の中の急登になった。汗を拭きながら足元のコガネネコノメソウに気を紛らわせながら登っていくと、樹間から毛無岩の絶壁が見えるようになってきた。「へえ!あんな岩の上に誰が登るの?
さらに登ると左手の岩山にはアカヤシオの花が咲いているのが見上げられた。この分だと毛無岩でもアカヤシオに出会えるだろう。峠に近付くと風が強くなって寒くなり、一枚着込んで歩いた。
(道標から急登)
(樹間から毛無岩)

一頑張りして稜線に上がると、そこは相沢峠で「荒船山⇔黒滝山不動寺」「道場⇔相沢」の道標があった。
尾根筋に付けられた登山道は広く、一息入れて黒滝山方面に向かうと直ぐに三叉路に出あい、同じ「荒船山⇔黒滝山不動寺」の道標が現れた。表から見ると何も書いていない板には、裏から見ると「毛無岩・上級者コース」と書かれていた。毛無岩に登るコースは一般的ではなくて、巻道を歩く荒船山から黒滝山へのプロムナードコースがメインコースなのだ。
(相沢峠)
(巻道分岐)

毛無岩方向に進むとすぐに痩せた尾根の急登になる。のみねさんにこれがナイフリッジかと聞くと、こんなもんじゃないよとのこと。少し登ると登山道脇にアカヤシオが咲いていた。アカヤシオ越の軍艦岩の荒船山や経塚山が見事だった。浅間山は残念ながら雲の中だった。
急登を攀じ登って行くと前峰山頂に出た。ここからは右がスパッと切れ落ちた毛無岩の岩峰が良く見え、怖い山だと良くわかる。アカヤシオ越の毛無岩に向かって何枚もシャッタを押した。
(経塚山と荒船山)
(前峰から毛無岩)

急坂を一旦下り尾根道の岩陰で強風を避けながら昼食を取った。休みながら目の前に見えるのが妙義の山々、右手には先週の物語山も見えているよと教えられた。
長く休むと冷えてくるので昼食を早々に切り上げて毛無岩の近くまで進んだ。ここにナイフリッジがあった。多少潅木があるので戸隠の蟻の戸渡りほどの怖さはないが、今日は風が強い。時々立っているだけでもふらつくほどの突風が来るので、流石の治子さんも足がすくんで足が前に出ない。いくら待っても風のおさまる気配はないので、シモンさんに励まされ意を決して渡り始めた。
戸渡りは渡っても、尾根は凄い痩せ尾根で戸渡りが連続としている感じだ。とても立っては歩けない。木の根っ子や岩に掴まりながら、強風に耐えながらゆっくりゆっくりと登っていった。登りきると頂上には一本の松の木が立っていたが、本当の山頂はもう少し先だった。ここで展望を楽しんでから山頂に向かうと、4人さんは山頂柱が立っている山頂に着いていた。丁度良い距離で証拠写真をパチリとできた。狭い山頂では集合写真もままならない。
(毛無岩への痩せ尾根)
(毛無岩山頂)

毛無岩山頂からは正に360度の大展望だ。遮るものは何もない。山頂での風は戸渡り辺りよりは弱いと言っても、立っていては危ない。座り込んで身体を回しながら展望を楽しんだ。恐る恐る四つん這いになって南壁を覗いてみたが、吸い込まれそうな高度感だ。和子から「いつまでも覗いていないでよ」の声が飛んできた。
群馬山遊会のブリキの「毛無岩」山名板もあり、シモンさんが私の頭とこれを入れた素晴らしい証拠写真を撮ってくれたので、この山行記の文頭を飾ることにした。
ためしにトラベエさんに携帯を掛けてみたら、驚いたことに通じた。こんなところで電話が通じるなんてと驚きながら、「都会組も無事相沢峠に登りつめて、今巻道に入ったところ、尾根コースとの合流点で待ち合わせしましょう」と連絡がついた。
近くに荒船山や立岩があり、その右に浅間山があるが頭を隠している。
(経塚山と荒船山、浅間山は頭を隠す)

絶壁を背にして北面を眺めていると安心だ。物語山が眼下に見え、メンベ岩まで見えていた。妙義山の向うに榛名山や赤城山辺りまで確認できたが、残念ながらガスがかかっていてそれ以上の遠望ははっきりしない。かすかに谷川あたりの白い峰峰も見えるようだがはっきりとしなかった。
(北方展望)

下山もものすごい急斜面の連続で、万一すべったら一巻のお仕舞いだ。潅木に掴まりながら下ったが、痛めている左肩にはきつかった。(帰宅後翌日、左肩が痛くて日常生活にも支障が出て、午前中整形外科のご厄介になった。歳相応の老化で50肩と同じだよと言われてしまった)一度上り返してから次の登りの手前で右手に踏跡を見つけて下った。プロムナードコースへの近道だった。
プロムナードコースまで下る久しぶりの気持ちの良いハイキング道、落葉でくるぶしま埋まる道を気持ちよく歩いて行くと、すぐに「道場⇔黒滝山不動寺」「荒船山」への分岐道標が現れた。都会組も間もなく到着し、昼食をしながら一休みした。巻道も台風で荒らされていて、ずいぶんと怖い思いをしたらしい。休憩中に元気の良い男性3人組が通過していった。これが今日始めてで最後に出合った登山者だった。
(下りも急坂)
(落葉の絨毯の巻道)

分岐点から道場への道は「尾根コース」と呼ぶれ、しばらくはなだらかな道が続き、後ろには毛無岩の南壁が、左手にも名を知らない岩峰が聳えていて、西上州の雰囲気を味わいながら歩くことができた。
(毛無岩)
(名もない岩峰)

尾根コースもラクチンコースはここまで、浮石の多い岩っぽい急斜面をトラバースするところが多く、気が抜けない。古い梯子を降りたり、小さな岩場を下ったり、小さな段差だが、転げるとどこまで落ちるか判らない。しばらく都会組の様子を見ながら歩いていったが、手を出すほどの実力もないので、お世話はトラベエさんとのみねさんにお任せして、先行するシモンさんを追いかけた。
何度か現れた痩尾根のピークのところでは振り返ると毛無岩が姿を見せてくれ、なかなか楽しいコースではあった。
赤松の巨木が生えている場所まで下ると行く手の尾根筋に材木を横たえて通せんぼしてあった。地形図では行く手は崖になっている。尾根を左に外れる道を進むとすぐにすごい急坂になり、ジグザグの下りになった。尾根コースを登りに選ぶとこの辺りを登るのが辛いなと思った。足を滑らさないように気を付けながら慎重に下ると沢に出た
(尾根コースは大部分快適)
(植林帯のジグザグ急坂)

沢を渡りしばらく沢沿いを下りると道がなくなり、沢の中を大石を越えたりしながら下っていくと、また左に道が現れた。この辺はシモンさんの感は大したものだ。滑滝を右下に眺め、ヒトリシズカの群落を愛でながら歩くと、登り道で見た水道施設が沢向うに見えてきた。対岸に神社が見えたところで沢に下り徒渉して無事出発点に帰り着くことができた。
(沢下り)
(最後に徒渉)

車に戻るとおばさんが出てきて、「無事帰ってきてよかったね。なかなか帰ってこないから心配していたよ。お茶でも飲んで行きなんし」と声をかけていただいた。
30分ほどで都会組も無事帰り着いて、神社の鳥居の前で集合写真を撮った。楽しいアカヤシオオフをプレゼントいただいた皆さんにお礼を言って解散になった。





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