W51.五台山と高太石山
(新福島の山のピークハント(2))

1.動 機
庭仕事などしているうちにゴールデンウイークに入ってしまい、観光地近くの山には交通渋滞が心配で出かけられなくなってきた。休み明けの九州山行前の足慣らしにどこに出かけようかと相談しているうちに、新分県登山ガイド「福島県の山」の未踏峰8座のピークハントがあることを思い出した。そのなかで渋滞の恐れのなさそうな阿武隈北部の山、五台山と高太石山に登ってみることにした。
ガイドブックによれば、五台山は「長い歴史と自然豊かな森と水をたたえる山」、高太石山は「点在する花崗岩の大岩モニュメントに遊ぶ山」とあるが、両方の山共にハイキング道が良く整備されていて、晴れ渡って夏のような一日、気持ちの良い山歩きを楽しむことができた。
(新分県登山ガイド・福島県の山)

2.データ
a)山域:五台山(450m)、高太石山(864m)
b)登山日:2009/5/2(土)晴
c)コースタイム: 山行記録に記載
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「下津島」「上移」


3.山行記録
五台山:
森山自宅 7:55 8:05 日立南IC = 9:25 常磐富岡IC = 10:00 鉄山ダム(五台山登山口)10:15 ---- 10:25 思案の辻 ---- 10:35 渓路の辻 ---- 10:40 水涸の滝 ---- 10:50 碧水の滝 10:55 ---- 11:10 緑林の辻 ---- 11:20 五台山(昼食) 11:40 ---- 11:50 緑林の辻 ---- 12:00 金鶏伝説跡地 ---- 12:10 白蓮の滝 ---- 12:20 思案の辻---- 12:30 鉄山ダム 12:35 = 高太石山へ
(五台山登山コース)
(五台山登山コース高低差)

朝食を済ませて8時前に我家を出発して日立南ICで常磐道に乗ると、一律1000円也の休日割引の所為だろうが、初めて見る常磐道の渋滞だった。日立中央ICまで数珠繋ぎの車列の中を30〜40km/hrののろのろ運転で30分もかかったが、ここを過ぎるとみんな嘘のように100km/hrで走り出した。日立中央でそんなに下車したとは思われないが、信号もない高速道で何が原因で渋滞が起こっていたのだろう。連続するトンネルが慣れない運転者を惑わしていたのだろうか。
いわきJCTまでは車列を作って走ったが、殆どは磐越道に曲がって行って、これから先はチラホラの車になった。終点の富岡ICで高速をおりて、県道35号を北上し、国道114号に左折して西走、トンネル続きの大柿ダムの先で右折して県道49号に入って長い原浪トンネルを通過するとすぐに鉄山ダムの湖岸に出た。鉄山ダム湖岸に入ったところの左に、「史跡 五台山」と彫り込んだ大きな石があり、ここが五台山の登山口だった。そばの民家前に先客1台が駐車している5台ぐらい置けそうな駐車場があり、ここに駐車した。
登山口には、五台山の歴史の説明板やコースの案内板があり、ペンキが剥げ掛けているが全コース120分と読めた。身支度を終えて歩き始めようとした時に、小さな幼児を連れた若夫婦の車が到着したが、挨拶だけして歩き始めた。
民家の前を通って登山道に入ると、すぐに二股に分かれた沢を二度わかって左岸に移り、その先で再び渡渉して右岸に移り、その先の支沢を渡って気持ちの良いハイキング道を歩いて行くと「思案の辻」と言う分岐に着いた。ガイドブックではここから左に曲がって時計回りに周回することになっているが、少し思案して反対方向に周回することにした。
(五台山登山口)
(思案の辻)

次の渓路の辻まで、ミヤマエンレイソウ、スミレ、キジムシロ、ヤマブキソウ、ヤマブキ、ヒトリシズカ、カキドウシなど早春の花が百花繚乱しており、大きなかつらの木もあったり、何回か渡渉もあって変化が多い楽しいハイキング道だった。
(ミヤマエンレイソウ)
(かつらの大木前で沢を渡る)

渓路の辻で左折して沢沿いの緩やかな山道に入ると、若葉が向かいの太陽の陽を受けて眩いほどだった。
やがて「水涸の滝(別名:五連の滝)」の立札があり、名前の通り小さな滝が5段になって流れ落ちていた。
(新緑のトンネル)
(白蓮ノ滝=五連の滝)

水涸の滝からは滝を巻いて急登が始まった。今日は朝から暑くて夏登山のようだ。一枚脱いで登ったがたっぷりと汗を搾られた。
急登をこなすと「碧水の滝」の道標があり、50mほど歩くと苔むして一面緑色(碧色)になった大岩の表面を水が滴り落ちていた。ここのところの好天気で水が少なく、もう少し水量が欲しかった。
(滝を巻いて急登)
(碧水の滝)

「碧水の滝」から引き返してまた急登を登ってシロヤシオの森まで登ると、新緑の中に白い花を付けた木があちこちに見えた。近寄ってみると確かにシロヤシオだった。今年初めての出逢いだ。
ところどころには紫色のミツバツツジも咲いていた。あっちにこっちに藪をかき分けながらシャッタを何度も押した。
(シロヤシオ)
(ミツバツツジ)

ツツジの園を通り過ぎて少し下ると、「緑林の辻」があった。ここは十字路、山頂に向かうのにやはり反時計回りに登っていった。
山頂は小広く刈り払われていたが、周りは雑木に囲まれて視界はほとんど利かなかった。丸太のベンチに座って弁当を広げていると、登山口で挨拶した若夫婦が幼児を背負って登ってきた。幼児は1年1ヶ月でやっとよちよち歩きを始めたばかりだという。背中から下ろされてきょろきょろしているが、こんな幼い頃から山に連れられてくれば、将来は山好きになることだろう。
食事を終わって、幼児にさよならして反時計回りの下山にかかった。アセビのトンネルの中を「緑林の辻」の近くまで下ると、沢筋にミズバショウが群生していた。ミズバショウの群落は「緑林の辻」からもしばらく続き、水芭蕉園の標柱もあった。
(五台山山頂)
(水芭蕉も)

「緑林の辻」から反時計回りの下りは歴史の道だった。先ず、数個の大石が転がっている「御殿庵跡地」があり、そこからしばらく芽吹いた雑木の中を森林浴気分で下った先には、「隠遁台地」「金鶏伝説跡地」「望郷の巌」などが続いた。
「隠遁台地」からは急坂のジグザグ下りになり、これを登るのは辛いだろうなと思いながら下った先に「がまん坂」の標柱があった。納得! その先に小さな流れの白蓮の滝があった。
(森林浴)
(がまん坂)

白蓮の滝からは傾斜は緩やかになり、沢を渡るところに「洗心の石」という苔むした石があった。この石に座して衣服を改めて登っていったということらしい。
「洗心の石」から少しで「思案の辻」に着き、ここからは往路を歩いて登山口に着いた。思っていた以上に面白かった五台山に満足して、次の高太石山に向かおうと車に乗った時、くだんの若夫婦が下ってきた。幼児を背負って元気なことだ。若い人には敵わない。幼児にバイバイの挨拶を交わして出発した。

高太石山:
鉄山ダム 12:35 = 13:00 津島境駐車場 13:13 ---- 13:16 津島境登山口 ---- 13:40 分岐 13:50 ---- 14:10 高太石山 14:25 ---- 14:35 展望岩 14:40 ---- 14:45 大ぶな ---- 14:55 西高太石山分岐 ---- 15:05 長沢ガンタ ---- 15:30 分岐 ---- 15:45 西高太石山分岐 ---- 15:55 山本屋境登山口 ---- 16:10 グリーン牧場 16:20 ---- 16:25 津島境駐車場 16:35 = 17:30 常磐富岡IC = 18:35 日立南IC = 18:45 森山自宅
(高太石山登山ルート)
(高太石山登山ルートの高低差)

国道114号に戻って、右折してすぐに昼曽根トンネルを通過し、請戸川沿いに西走して道の駅津島で一休みした。更に西走すると青い「水境」道標のある右の路側に、広い「高太石山登山者用駐車場」があった。ここに車を入れて歩き始めた。
国道を100m歩いた先に「高太石山登山口」の標識があり、右に入って行くと高太石山愛好会の「私有地につき駐車禁止」の立札があって、先ほどの駐車場の案内図が付けてあった。
(路側の駐車場、後が高太石山)
(津島境登山口から)

壊れかけた牧場の鉄条網や木柵の脇をなだらかに登っていく。ところどころ分岐があるが要所には案内板が立っていて心配はない。道はなだらかでも気温は25度を越している。暑いし単調な登りにも飽いてきて、休憩ベンチのある分岐のところで一休みした。
(牧場柵に沿って登る)
(要所に指導標)

分岐を過ぎると傾斜がきつくなってきた。オオカメノキなどの花が見つかるごとに寄り道してはシャッタを押し、これを休憩にしながら登っていった。
あえぎながら汗を拭き拭きやっと登りついた山頂には、大きな花崗岩がゴロゴロと積み重なっており、山頂標と三等三角点があった。証拠写真を撮ってから一休みしたが、周りは立ち木に囲まれていて展望は余り良くない。樹間にはわずかに日山や麓山が確認できた。
(オオカメノキ)
(花崗岩の高太石山頂)

展望には、少し先に行き、左に下ったところに展望岩という大岩の重なりがあった。展望の良い岩に飛び移るには少し勇気が要ったが、南から西にかけての180°の展望が素晴らしかった。これから登りたい西高太石山から口太山、白猪森、麓山、鎌倉岳、大滝根山、五十人山と登ったことのある山がズラリと並んでいた。少し霞加減だが、吾妻連峰、安達太良山、那須連峰などの雪山も見えていたのだが、残念ながら写真には写っていなかった。
そのさきに「大ぶな」の標識があったので立ち寄ってみたら、沢山枝分かれした変わった形になった大きなブナの木があった。
(展望岩)
(大ぶな)
(展望岩からのパノラマ)

少し下って登り返したところが崖になっており、下に採石場が広がっていた。その先に西高太石山への分岐があり、通行止めの標識はなかったがロープで通せんぼしてあったので、和子のご意見を取り入れて強行突破は差し控えることにした。
どんどん下っていくとコバイケイソウの大群落があり、季節には一面に淡い色の穂を出して綺麗になりそうだった。
その先には長沢ガンタという沢筋一帯が大きな花崗岩に埋め尽くされた変わった景観もあった。
(コバイケイソウの大群落)
(長沢ガンタ=巨石群)

その先では登山道が笹に覆われてはっきりしなくなってきたが、山菜の木がところどころに現れて、西高太石山行きを諦めたご褒美にと、少々収穫させてもらった。
その先で高太石山から直接下ってくる登山道と合流すると、再び手入れの良い登山道になってきた。少し下るとまた分岐点があり、ここから西高太石山に登ることができる表示になっていた。それでも往復3時間とあり、今からだと暗くなってしまいそうなので、やっぱり西高太石山は諦めることになった。
国道に出ると山本屋のバス停があり、時刻を確認すると30分も待ち時間がある。車のある水境まで1.5km、歩いて戻ることにした。帰る途中に「みちのくグリーン牧場」という観光牧場があり、多くの家族連れで賑わっていた。冷たくて美味しいアイスクリームを食べながら外に出ると、「高太石山登山口」の表示と一緒に「登山の為、駐車場を利用する場合は売店で了解を得てください」の注意書きがあった。そう言えばガイドブックには、ここの駐車場を使うように書いてあったっけ。
(笹の道では山菜の目)
(みちのくグリーン牧場)

牧場から5分ほど歩いて駐車場に戻り、靴を履き替えて帰りの運転者になった。思った以上に面白かった二つの山に二人とも満足し、富岡ICから高速に乗っていわきJCTからの常磐道も心配した渋滞は一切なく、気持ちいいドライブで我家まで帰り着くことができた。




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