W521.韓国岳
(九州山巡り(1日目))

1.動 機
1日目は、えびの高原登山口から歩き始めて韓国岳(1700m)獅子戸岳(1429m)新燃岳(1421m)中岳(1332m)を抜けて高千穂河原へ下るアップ&ダウンもあるコースで、コースタイムも5時間超である。朝1時起床の寝不足の身にはかなりきついコースだが、展望が売り物のコースなので、好天気が約束された初日に歩くことになった。
様々な山容の山々、あちこちで白くたなびく湯煙り、蒼い水面を光らせる湖沼群、色とりどりの可憐な花々、寝不足を忘れさせる素晴らしい風景を堪能した一日だった。

2.データ
a)山域:韓国岳(1700m)、獅子戸岳(1429m)、新燃岳(1421)、中岳(1332)
b)登山日:2009/5/6(水)晴
c)コースタイム:
森山自宅 1:55 2:10 日立電鉄南営業所 2:15 = 2:45 那珂町 = 3:00 勝田駅 = 3:25水戸 = 3:45 水戸IC = 4:30 守谷SA 4:40 = 5:25 羽田空港(朝食) 6:50 = 8:30 鹿児島空港 8:50 = 10:10 えびの高原不動滝登山口 10:15 ---- 10:30 合流点 ---- 12:00 韓国岳(昼食) 12:30 ---- 14:10 獅子戸岳 14:15 ---- 14:30 新湯分岐 ---- 14:40 新燃火口縁 14:50 ---- 15:15 新燃山頂 ---- 15:25 湯之野分岐 ---- 15:40 中岳15:45 ---- 16:20 研究路分岐 ---- 16:40 高千穂河原 16:55 = 17:15硫黄谷温泉ホテル(泊)
(韓国岳登山コース)
(韓国岳登山コース高低差)

d)同行者:水戸アルパイン会員17名(男9、女8)、和子
e)地形図:1/25000 「韓国岳」「日向小林」「高千穂峰」


3.山行記録
眠った気もしないうちに目覚ましで起こされて、日立電鉄営業所朝2時15分発のバスに乗って、各地の仲間を乗せながら水戸ICから常磐道に乗り、守谷SAで休憩後羽田に向かうと、心配したETC割引の渋滞もなく順調に走って5時半に羽田空港に着いた。空弁を買い込んで待合室で朝食をとって乗り込んだ飛行機は7時前に離陸した。窓際の席から外を眺めるが、一面厚い雲に覆われて富士山も見えない。今日の登山はどうなることかと心配したが、西に行くに従って雲が切れてきて、四国では室戸岬や足摺岬が綺麗に見えていた。
鹿児島空港に近付くと今日明日歩く予定の霧島連山がはっきりと見えてきた。天気が悪ければ展望自慢の韓国岳は二日目にして1日目は高千穂峰にしようという話もあったが、この好天気では韓国岳縦走に決定だ。空港に降りて、青空の下の霧島連山に早速シャッタを押した。
空港には、これから4日間お世話になる宮崎交通のチャータバスが待っていた。山の中に入るので大型ではないが、19名には十分だ。早速、えびの高原に向かって出発。途中、コンビニで昼食を買い込んでR223からえびの高原線に入って、下の駐車場をどんどん通過して一番奥の登山口不動池まで上がってもらった。蒼い水をたたえた下の不動池を見下ろしながら身支度を整えて10時15分に歩き始めた。
(鹿児島空港からの霧島連山)
(不動池までチャータバス)

ところどころ石段で整備された登山道を緩やかに登っていくと、後ろの白鳥山の手前に蒼い不動池、右手に平らな山頂の甑岳が見えてくる。すぐにえびの高原からの登山道と合流すると、家族連れのハイカーが増えてきた。もう下ってくる人ともすれ違うことが多くなったが、「こんな思いをして登って、山頂に何があるのよ」と文句を言いながら付いてくる奥さんをなだめながら登っている男性には同情した。足元にはミヤマキリシマやハルリンドウが咲いているが、これも目には入らないようだ。
(合流点で多くのハイカーに出会う)
(ミヤマキリシマ)

硫黄山の賽の河原まで登ったが、周りに噴煙を上げているところは見えなかった。ここまで来ると目の前に大きく火口を広げた韓国岳がせまってきて登頂欲をそそってくる。後ろには白鳥山の手前に蒼い御池と白紫池が見えてきた。少し先に一合目の道標があり「韓国岳へ1.7km、えびの高原0.4km」とあった。
(硫黄山から韓国岳のパノラマ)

1合目ごとに道標があり、6合目辺りから右手に大浪池の湖面が見え出し、左の斜面には木の柵があった。柵の向うに何があるのかと覗いてみると、そこは爆裂火口の絶壁の上だった。噴火口は怖いほど深く、柵がないと、誤って転落する人もあるのだろう。
(大浪池)
(噴火口)

最後のガレバを上りきると、1700mの山頂標が立っている韓国岳山頂で、素晴らしい展望が広がっていた。少し離れた阿蘇や桜島は霞加減だったが、すぐ下の爆裂火口、取り囲む沢山の山々、蒼い水面の湖沼群、霧島山域だけでも十分だった。特に獅子戸岳、新燃岳を手前に置いた高千穂の峰は素晴らしい景観だった。
集合写真を撮ってから、めいめい場所を選んで展望を楽しみながら昼食をとった。
(韓国岳山頂)
(大浪池を見下ろしながら昼食)

下山は高千穂峰を目の前に見ながら、高千穂河原に向かって歩き始めた。ここまで多かった登山者も、えびの高原からの往復登山が殆どのようで、ここからは静かな山歩きになった。
ここからは韓国岳と獅子戸岳の間3.1kmを分割した道標が立っており、韓国岳の南面のガレバは丸太でジグザグに補強されていた。下るにつれて獅子戸岳の山頂がだんだんと高く見えてくる。
(高千穂峰を眼前に下山開始)
(ジグザグの前に縦走路)

獅子戸岳への登りもガレており、補強した丸太材も土地の崩壊と共に投げ出されたところもあり、登山道保守の苦労が思いやられた。
緩やかに登った山頂からは、目の前に火口外からも噴煙をあげる新燃岳がせまって迫力があり、後ろの韓国岳は大きかった。
(獅子戸岳への登り)
(獅子戸岳山頂)

獅子戸岳を下った鞍部は潅木が茂る草原になり、足元にはスミレやキジムシロ、上にはミツバツツジが花開いていて目を楽しませてくれた。振り返ると大きな韓国岳の前に、獅子戸岳の」左斜面が大きく崩壊していた。この崩壊地の形が獅子の面に似ているので獅子戸岳の山名が付いたとの話があった。
新燃岳の火口縁まで登ると、火口原のあちこちから噴煙が上がって異様な雰囲気を醸し出していた。真ん中の火口湖は美しいエメラルド色に輝いて綺麗だったと聞くが、今日は濁った銅色でどう見ても美しいとはいえない。帰りの飛行機で読んだ九州版朝日新聞で「新燃岳の火口湖が4月末から原因不明で色が変わっている」というニュースを読んだ。不思議な巡りあわせに出会ったものだ。
(韓国岳と獅子戸岳を振り返る)
(新燃岳の噴火口)

新燃岳山頂は火口縁を半周した対岸にあった。その途中にミヤマキリシマがとことどころ花開いており、これと高千穂峰や火口壁とのコントラストが美しく、代わる代わる座り込んでシャッタを押した。歩行速度は極端に遅くなった。
新燃岳をなだらかに下って中岳に登り返すと、草木一つない高千穂峰の御鉢が大きく見えてきた。明日はこれを越えて高千穂峰まで登るのだ。ずるずる滑って大変そうだ。
(ミヤマキリシマ越えの高千穂峰)
(中岳から高千穂峰と御鉢)

中岳の下り登山道は激しくガレていたが、ところどころにミヤマキリシマが彩を添えていた。鞍部まで下って高千穂河原園地に入ると、石畳の遊歩道が整備されていた。3本ある遊歩道のうち真ん中のツツジコースを歩いたが、ツツジは綺麗でも、でこぼこの石畳が疲れた膝に刺激を与えて辛かった。
(中岳からの下り)
(石畳が続く高千穂河原園地)

とても長かった石畳を歩いて、16時40分にやっとバスが待っている高千穂河原に下りついた。寝不足の身体でよくも6時間半も歩いたもんだ。夫婦二人では無理だったかも、明るい仲間と一緒に歩いたお陰だ。
バスに20分揺られて着いた硫黄谷温泉のホテルは、豊富な湯量の温泉を誇る温泉宿だ。温泉も気持ちが良かったが、ボーイやまかないさんの対応も気持ちよくて申し分なし。ぐっすり眠って元気を回復できた。
(高千穂河原)
(硫黄谷温泉のホテル)




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