W55.草津白根山

1.動 機
亀楽会の5月例会は久弥百名山草津白根山と志賀高原の志賀山だった。志賀山は今まで聞いたことがない山だったが、志賀高原の一つのピークで四十八池など巡る面白い山らしい。草津白根は10年前の定年の年に会社のファミリー登山で登ったことがあり、前日の四阿山の下りで若い山岳部の青年に負けまいと夢中になって下って膝を痛め、それ以後サポータ無では歩けなくなった因縁の山である。2日目に痛い膝を労わりながらやっとの思いで白根山に登ったことだけを覚えていて、ルートの細かい記憶は定かでなくなっている。はじめて歩く山を楽しい亀楽会会員と一緒に歩くのを楽しみに参加した。二日目は朝から小雨模様だったので、志賀山登山は中止になった。

2.データ
a)山域:草津白根山(2150m)、逢ノ峰(2110m)
b)登山日:2009/5/23(土)曇一時晴、24(日)曇時々雨
(草津白根歩行経路標高差)

c)コースタイム:
1日目:森山自宅 6:25 6:45 日立駅前 6:50 = 7:00 ひたちIC = 8:15 佐野SA 8:25 = 8:30 佐野藤岡IC = 9:05 太田桐生IC = 9:35 渋川伊香保IC = 10:50 道の駅草津 11:30 白根駐車場(昼食) 12:00 ---- 12:10 逢ノ峰 12:15 ---- 12:30 登山口 ---- 12:55 峠 ---- 13:05 展望の峰 13:20 ---- 13:35 ルート最高地点 13:45 ---- 14:05 峠 ---- 14:15 スキー場上 14:20 ---- 14:25 登山口 ---- 14:45 駐車場 14:50 ---- 15:05 湯釜展望台 15:15 ---- 15:25 駐車場 15:30 ---- 16:00 中間点---- 16:25 芳ヶ平ヒュッテ(泊)
2日目:芳ヶ平ヒュッテ 8:25 = 9:15 駐車場 9:30 = 9:50 硯川 10:05 = 10:45 草津温泉館(入浴) 11:50 = 13:00 道の駅おのこ(昼食) 13:35 = 13:55 渋川伊香保IC = 14:25 太田桐生IC = 14:55 佐野藤岡IC = 15:40 笠間PA 15:50 = 16:10 那珂IC = 16:30 佐和駅 = 16:50 大甕駅 = 17:00 森山自宅
(草津白根歩行経路)

d)同行者:亀楽会6名(男5、女1)、和子
e)地形図:1/25000 「上野草津」


3.山行記録
目覚まし時計の設定を間違えて、我家の出発が大幅に遅くなった。集合時間に15分遅れて日立駅前に到着すると、皆さん首を長くして待っていた。今回の参加者は合計8名、我家とNzさんの車に分乗して出発して、日立ICで常磐道に乗り、北関東道に入って東北道の佐野SAまで走って休憩した。ここで草津温泉までベテランドライバーのMzさんに運転を代わって貰った。Mzさんの運転で佐野藤岡ICで一旦R50におり、桐生太田ICから再び高速に乗って関越道の渋川伊香保ICで一般道におり、R353からR154、R292と2時間半走ったが、途中吾妻町の交差点に楠(?)の巨大な古木が立っていたり、長者原では丸岩の変わった形の岩峰が見えたり、その都度シャッタを押し、道路とタイヤの摩擦音が草津音頭のメロデイーになって流れてくると手拍子を打ったり助手席で楽しい時間を過ごした。
(交差点の古木)
(丸岩)

草津の道の駅で休憩してから、くねくね曲がりながら高度を上げるR292(草津志賀道路)を登っていった。\410を払って白根レストハウスの駐車場に入ると、。駐車場には2つのコンクリート造りの小屋があり、トイレかと思ったら噴火時のための避難小屋だった。トイレはずいぶん離れたレストハウスまで歩かなければならなかった。
駐車場は標高2000mを越えており、本白根山は2150mほどだから、登る標高差は150mに過ぎない。弁当を食べてから、身支度を整えて、弓池の畔の車道から逢ノ峰の登山道に入って弓池を右手に見下ろしながら登り始めた。逢ノ峰まで落差わずか100m、なんとしたことか今日は息が苦しい。いつもの水戸アルパインのペースがゆっくりなのか、亀楽会のペースが速いのか、ついて歩くのが苦しく、和子と二人は遅れ気味だった。
(白根駐車場)
(逢ノ峰登山道)

逢ノ峰の山頂には展望小屋が立っていて、目の前に白根山の荒々しい山肌が一望に見渡せる。その上に2305mの志賀高原最高峰横手山の長い峰が見えていたが、その右に見えるはずの岩菅山や佐武流山は雲の中だった。
(逢ノ峰山頂から白根山、後ろに横手山を望む)

展望を楽しんでから本白根の登山口に向かって下り始めた。下り始めには残雪があって歩きにくかったが、すぐに雪はなくなって歩きやすい登山道になり、スキーゲレンデの上に出た。ゲレンデの右脇に登山道が下っていたので、みんなでこの道を下ったが、道が荒れていて歩きにくかった。一人ゲレンデを下ったImさんが一足早く下りついて、登山道の案内板を眺めながら待っていた。
スキー場のリフトのところが登山口になっていて、鏡池方向と本白根山方向と分かれている。本白根山方向の入口にはロープが張られ、「残雪が多いので危険、通行禁止」の看板がぶら下がっていた。観光客のための注意と読んで、登山靴なら大丈夫だろうと、かまわず入り込んだ。初め10分ほどは登山道を深い残雪が覆っていたが、あとは歩きやすい道になった。
(逢ノ峰から登山口へ)
(残雪の登山道)

雑木林の中を暫く登っていくと、急に視界が開けて噴火口跡が目に飛び込んできた。更に登っていくと道標の立つ直角に曲がる峠になり、向かいに岩肌を見せる展望の峰がせまり、その前の深く円い噴火口の右に遊歩道が伸びていた。展望の峰の右手に本白根山の山頂があり、その間はるかに浅間山が煙を吐いていた。
(展望の峰へ:展望峰・浅間山・本白根山)

本白根山への道から左の展望峰に分かれる分岐点に古い地図があり、展望峰を本白根山頂と表記してあった。「有毒火山ガス噴出の危険のために三角点峰2164.8mも最高地点2171mも登山禁止にしたので、観光協会が代わりに展望の良いこの2145m峰を本白根山頂にしたのだ」と聞いたことがある。10年前にここへ来たときの話かもしれない。
展望の峰は360度遮るものが無い好展望、正面に浅間山がどっしりと控え、その左に鼻曲山、浅間隠山、少し離れて榛名連山が連なっており、右手には篭ノ登、水ノ登、湯の丸、四阿山、本白根三角点峰が連なって見飽きることがなかった。反対側には湯釜・白根山の向こうに横手山が見え、眼下の大きな噴火口のすぐ向こうの一番高いところが2171mの本白根山のピークである。
(展望の峰から:榛名山、浅間隠山、鼻曲山、浅間山、水ノ塔山、四阿山、本白根山)

展望峰を下りて三角点峰方向に歩くと、遊歩道脇にはミネズオウが白い花を咲かせており、ここの名物コマクサが新しい葉を広げはじめていた。
遊歩道の最高地点には「2150m最高地点」の立札があり、ここまで登ってきたことに満足してみんなで乾杯した。帰りに最高峰2171mを踏んで帰ろうとの提案もあったが、藪漕ぎは御免だとの空気が強く、そのまま往路を下ることになった。
(コマクサ)
(歩けるのはここまで)

峠の先にスキー場上への分岐点があり、帰りはこの道に入った。スキー場上からの展望は素晴らしく、逢ノ峰の向うに白根山、笠ヶ岳、横手山、岩菅山など近くの名山が並んでいた。
ゲレンデの急坂を気持ちよく下り、もう一度逢ノ峰に登るのは御免こうむって、舗装された車道を歩いて駐車場に戻った。途中、何度も駐車場とロープウエー上駅間のシャトルバスに追い越され、乗せて貰おうと手を上げたが、途中での乗車は駄目のようで通過されてしまった。
(下山はゲレンデ)
(逢ノ峰をパスして車道歩き)

時間がまだあるので、湯釜見物をすることになった。大勢の観光客と一緒に遊歩道を登って行ったが、今日の「夫婦二人」は一般観光客にもどんどんと追い越されて行った。休みがてら振り返ると、弓池や逢ノ峰が綺麗に見えていた。
(観光客と一緒に湯釜まで)
(後ろに弓池・逢ノ峰)

一頑張りしてピークに登りつくと、眼下に湯釜がえも言えぬ美しい色をした水をたたえていた。この色はなんと言う色か、成分は何かと議論になったが、その場では結論が出なかった。
帰宅後の調査では、「湯釜は直径約300m、水深約30m、水温約18℃の火口湖である。エメラルドグリーンの水で知られ、観光地として人気がある。pHが1.0前後であり、世界でもっとも酸性度が高い湖、と言われている。これは火山ガスに含まれる塩化水素や二酸化硫黄が水に溶け込み、塩酸や硫酸となったためと考えられている。」また「水がエメラルドグリーンなのは、水に溶け込んでいる鉄イオンや硫黄などの微粒子の影響で、日光の特定の波長の光が吸収されるためだと考えられている。湯釜の水をビーカーなどに汲んでみても、エメラルドグリーンには見えない。」などとあった。
(美しいエメラルドグリーンの湯釜)

湯釜の美しい色合いに感激して下山し、宿泊には不要なものを車に置いて、今日の宿の芳ヶ平ヒュッテに向かった。
レストハウスの脇からの湯釜への登山道は「立入禁止」になっているが、「芳ヶ平方面」の遊歩道はこの道から枝分かれしている。「立入禁止」のロープをまたいですぐに右折した。こちらには観光客の姿もハイカーの姿も見えなかった。
白根山側は芳ヶ平までずーっと柵で囲ってあり、「硫化水素ガス発生危険地帯:立入禁止」の札がぶらさげてあった。歩いていくうちに、ゆるやかな斜面の向うには色々な山が見えて来た。知っているのは岩菅山、佐武流山、白砂山ぐらいだったが。
(芳ヶ平入口は立入禁止札の先にあり)
(立入禁止柵沿いの歩道:向うは岩菅山)

中間点付近では実際にガスが煙のように噴出しているところがあり、強烈な硫黄の臭いがして気分が悪くなりそうだった。
芳ヶ平まで全体的には下り坂で何カ所か沢状のところがあったが、全部雪渓で覆われていた。傾斜が緩いので滑る恐れはなかったが、踏み抜いたら危ないので気を使いながら渡った。
(硫化水素の噴出地点)
(雪渓渡りも多かった)

少し登りがあって、その先のカーブを回りこむと芳ヶ平が見え、その中に赤い屋根の「芳ヶ平ヒュッテ」が見えてきた。やっと休めると足取りが軽くなってきた。小さな美しい流れにかかる橋を渡ると芳ヶ平ヒュッテの入口に到着した。
ヒュッテは夫婦二人で賄っていて、子供代わりの大人しい犬三匹がいつもうろうろしている。室内にはいくつもランプが灯り、常時BGMが流れていて、夕食時などなかなか気分がいい小屋である。
室内に入るとつっかけに履き替えさせられ、二階の寝室につながる廊下に上がる時にははだしになる。外に出るときには山靴に履き替えるので、つっかけは一階の食事室兼談話室にいるときだけだ。ザックは廊下に置いて寝室内持ち込み禁止と告げられるなど、なかなか厳しい奥さんだが、それだけに室内は綺麗に清潔に保たれていて気持ちがいい。畳半畳分の広さだがシャワー室もあって嬉しかった。
(芳ヶ平ヒュッテ)
(ランプのある室内)

夕食前と朝食前に湿原やキャンプ場あたりを少し歩いてみた。まだ花の時期には早かったが、色々な花が咲く時期や紅葉の時期に歩けば気持ちが良さそうだった。
(キャンプ場からヒュッテ)
(芳ヶ平湿原)

朝食が終わるごろ、ご主人が「皆さんコーヒを飲みますか」と聞いてきた。サービスかと喜んでみんな「いただきます」と返事した。美味しいコーヒで気分が良くなったが、勘定書にはコーヒ代\500がちゃんと計上されていた。
朝目覚めた時には降っていた雨も食事前には止んでだんだんと空が明るくなってきた。今日も歩けるだろうとみんなで喜んでいたのだが、出発時刻になるとまたしとしとと降り出した。全員雨具を付けて、ご夫妻とワンちゃんに見送られて歩き始めた。どんなに雨が降っても車まで4kmばかりは歩かなければならない。
駐車場に着くと、「出場時に車に駐車料金を払え」の張り紙がしてあった。駐車料金\410は1回分ではなくて、1日分だった。雨が止んできたので、とりあえず車に乗って、今日の志賀山の登山口の硯川まで15km車を走らせた。途中で見えた志賀山の山頂にも雲がかかっており、今にもまた降り出しそうな雲行に、諦めのいい亀楽会会員は、全員一致で「今日は温泉に入って帰るだけ」に決まった。草津温泉館で身体を温め、道の駅おのこで昼食を頂いてから、往路を走って茨城に帰ってきた。
(雨具を付けて出発)
(硯川から横手山を望む)





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