W83.大日岳

1.動 機
大日岳には、昨年剱岳の帰りに別山乗越から立ち寄って称名滝に下って帰る予定だったが、最終日が生憎の雨になって大日岳はパスになった。これがみんなの心残りになっていたが、今月始めの薬師岳山行の山小屋で「あの大日岳のリベンジをしたい」との声が上がり、リーダの好意で急遽今回の「初日室堂から奥大日岳に登って大日小屋に泊まり、2日目大日岳に登って称名滝に下る」山行が行われることになった。初日は雨模様で足元の花だけが慰めの山行になったが、二日目は好天になり素晴らしい展望を楽しむことができた。

2.データ
a)山域:奥大日岳(2606m)、大日岳(2501m)
b)登山日:2009/08/21(土)曇後小雨、22(日)晴
c)コースタイム:
前夜アクセス(8/20):森山20:30 = 20:40日立電鉄20:50 = 21:00東海駅 = 21:20勝田駅21:25 = 21:45水戸駅 = 22:05水戸IC = 22:40桜川PA = 佐野藤岡IC =(R50)
1日目(8/21):= 太田桐生IC = 0:40横川SA0:50 = 2:50名立谷浜SA3:00 = 4:00有磯海SA4:30 = 4:35立山IC = 4:50コンビニ5:05 = 5:30立山駅6:20 = 6:30美女平駅6:35 = 7:20室堂BT
室堂BT7:50 ---- 8:05地獄谷 ---- 8:25雷鳥平 ---- 9:00新室堂乗越 ---- 9:25室堂乗越 ----9:50カガミ谷乗越 ---- 10:50奥大日岳10:55 ---- 11:40ハシゴ ---- 12:35七福園12:45 ---- 13:00大日小屋
2日目(8/22):大日小屋5:30 ---- 5:55大日岳6:10 ---- 6:30大日小屋6:50 ---- 8:20中間点 ---- 9:15大日平山荘9:45---- 10:40牛ヶ首 ---- 11:45大日岳登山口 ---- 11:55称名滝展望台12:00 ---- 12:20レストハウス称名
帰途:レストハウス称名12:25 = 13:05アルプスの湯14:40 = 15:05立山IC =16:25妙高高原SA16:35 = 18:10横川SA18:25 = 19:55佐野SA20:25 = 21:15道の駅桜川 = 21:35水戸IC = 22:00水戸駅 = 22:20勝田駅 = 22:40東海駅 = 22:50日立電鉄 = 23:00日立自宅

d)同行者:水戸アルパイン会員11名(男4、女7)、和子
e)地形図:1/25000 「立山」「剱岳」

3.山行記録
(前日:アクセス)
今回のバスはいつもの日立電鉄とは違うバスだった。運転手さんの対応も礼儀正しく、車は小型だが参加者13名はゆっくり寝ていける広さがあり、乗り心地も良かった。南営業所を定刻に出発し、水戸ICから常磐道に乗って北関東道経由で走った。北陸道の有磯海SAで身支度を整え、走行中に朝飯を詰め込んで立山駅に5時半に到着した。今回はここからケーブルカーで美女平に上がり、路線バスで室堂に入った。ガスに囲まれて周りの山々を仰ぐことはできなかった。

(1日目:室堂−奥大日岳−大日小屋)
センタでは「前線が通過するので雷雨に注意」との放送が流れていたが、少々の雨は覚悟の上だったので、軽くストレッチをしてミクリガ池の登山道を歩き始めた。分岐点の展望台からもガスでミクリガ池の湖面も見えない。リーダは「ここから去年大日小屋の代わりに泊まった雷鳥荘の前を通ると、またここに泊まりたいという話になると拙いね」と言いながら地獄谷への道に入った。
ガスに煙る地獄谷は一層おどおどしく、鼻をつく硫黄の臭いも強烈だった。
(準備運動をして出発)
(地獄谷経由)

硫黄谷から雷鳥沢のキャンプ場に入ると、悪天候の中なのに色とりどりのテントが張られており、家族連れのグループも多かった。
賑やかな雷鳥沢のキャンプ場の十字路を曲がって称名川を角材で作った橋で渡った。
(雷鳥平キャンプ場)
(称名川を渡る)

室堂平付近ではオンタデ、シラネニンジン、ヤマハハコなど白い花が多かったが、雷鳥沢あたりてはアキノキリンソウ、ウサギギクなど黄色い花が目を惹いた。
称名川を渡ってから急坂を石を越えながら登った新室堂乗越付近には、チングルマの大群落があった。既に果穂になっているが、花の盛りの頃天気のいい日に歩いて見たいところだった。
奥大日岳への急坂にかかるとお花畑は一段と賑やかになり、ヨツバシオガマ、ハクサンイチゲ、ミヤマダイコンソウ、ダイモンジソウ、サラシナショウマ、アカショウマ、モミジカラマツ、エゾシオガマ、ホツツジ、ハクサンフウロ、オヤマリンドウ、ハクサントリカブトなど色とりどりの花々が咲いていたが、小雨とガスでおぼろ気だった。これで天気が良かったら、女性陣の足取りがずっとゆっくりになっていたことだろう。コバイケイソウの大きな群落があったが、今はもう花時期は過ぎており、葉っぱだけが茂っていた。
(チングルマの群落)
(お花畑)

崖のような急な道を登ってお花畑を楽しみ、小さな池の先に「奥大日岳と大日平」の分岐があり、奥大日岳はここからすぐだった。
奥大日岳の山頂からすぐ近くに剱岳の西面の絶壁を眺めるのを楽しみにしていたのだが、今日は如何せん、周りは真っ白なガスの世界だ。集合写真と証拠写真だけ撮って分岐に戻って大日平への下りにかかった。
(崖も登る)
(奥大日岳山頂)

分岐点からはいきなり岩場の下りが始まり、アルミの梯子もあったりの急斜面で、雨で濡れた中を足を滑らさないように気を使いながら下っていった。
(下りは急坂)
(梯子もあり)

鞍部に下ってから七福園にかけても大石がゴロゴロする悪路だったが、コゴメグサ、トリカブト、タテヤマアザミ、カライトソウ、マツムシソウ、ハクサンシャジンなど賑やかだった。
気がつかないうちに中大日岳を越えて下ったところに大日小屋があった。当初は1日目にここから大日岳に往復してくる予定だったが、明日のお天気に期待して今日はこのまま小屋に沈没することになった。
小さな小屋だが、今日は我グループ13名以外は男性一人だけの貸切状態だった。雨具は玄関に干し、談話室のストーブの周りに陣取ってお喋りしながら濡れた衣類や手袋を乾かした。
(七福園で一休み)
(大日小屋に到着)

大日小屋はランプの小屋で、食堂兼談話室にはランプの照明が点いている。太陽光発電(?)あるので明るさが必要な時には電気照明もつく。この下でハンバーグなど手作りの美味しい夕食を頂き、ご飯とお汁はお代わりも頂戴した。
夕食後、7時前のテレビの天気予報を聞いてから、スタッフによるギターの演奏を聞いた。この小屋は富山の手作りギターメーカの社長が経営する山小屋で、スタッフはみんなこの社長の弟子としてギター製作を仕込まれている若者達だそうである。必然的にギターの演奏もお上手で、ランプの下で思いがけない音楽の夕べを楽しむことができた。
(ランプの下で夕食)
(ギターリサイタル)

(2日目:大日小屋−大日岳−大日平山荘−称名滝展望台−称名レストハウス)
日の出前に目覚めて外に出ると、雲は多めながら山の稜線はくっきりと見えていた。目の前に剱が見えるのが嬉しく、みんな5時の朝食まで飽かず眺めていた。
5時前からの朝食のあとも、はっきりと見え始めた剱の岩壁を、歩き出す直前までじっくりと眺めていた。
(日の出前)   大日小屋前から展望を楽しむ   (出発前)

5時30分に全くの空身ですぐ目の前の大日岳に登った。30分足らずで山頂に着くと、立山の右に今月始めに歩いた浄土山から薬師岳への山並みまで見えていた。早速山名板や二等三角点を入れて、剱や立山をバックに写真の取り合いを始めた。
(空身で大日岳へ)
(大日岳山頂)

三角点峰(2498m)からハイマツの中の踏跡を辿って最高点(2501m)に移動してみると、邪魔者がなくなってパノラマはなお広くなった。
(大日岳山頂からのパノラマ)

大日小屋に戻って一休みして、ザックを担いで大日平への下りに向かった。太郎平からの下りと同じように、目の前に鍬崎山があった。大日岳の山腹を巻くように下ると、下に大日平が広がってきた。
(大日平へ下る)
(好展望)

弥陀ヶ原の手前の大日平には深く掘れ混んだ称名川がうねっており、その終端が崖に広がっているところが称名滝だと思われた。弥陀ヶ原の上には鳶山から越中沢岳、薬師岳の縦走路、その向うには水晶岳などの北アルプスの峰々も見えていた。やはり、山歩きはお天気がいいのが一番だ。
(大日平と弥陀ヶ原、その上に薬師岳・鍬崎山)

展望を楽しむゆとりも、やがて始まった大石だらけの急坂下りで消えうせてしまった。奥大日岳からの下りに負けない難所がどこまでも続いた。水場があったり、クロウスゴやベニバナノイチゴが熟れていたりして喉を潤しながら下った。周りのオヤマリンドウやシモツケソウ、アキノキリンソウ、タテヤマアザミ、カライトソウ、ミソガワソウなど咲いていたが、陽の光を受けてとても綺麗だった。
2時間近く足場の悪い急坂を頑張って下りきると大日平の草原になり、木道も引かれて歩きやすくなった。草原の中にはイワショウブの白い花が清楚な姿を見せており、目の前の鍬崎山はその格好のいい山容で目の前に高く聳えていた。
(長い急坂下り)
(大日平)

草原の中を30分歩くと大日平山荘に着いて、その前庭で大休止した。山荘の主人は親切でその前庭で休ませてくれお茶も出してもらえたが、冷たいジュースが美味しかった。
山荘の裏手には不動滝の展望台があった。不動滝は称名滝の上流の支流に流れ落ちる滝だが、なかなか見応えがある滝だった。
(大日平山荘で大休止)
(山荘裏から不動滝)

山荘でゆっくりと休んでからまた歩き始めた。牛ヶ首まで大日平の草原を1時間ばかり気持ちよく歩いたが、振り返ると、草原の上に奥大日岳、立山、天狗山、鬼岳、獅子岳、鳶岳、薬師岳がずらりと並んでいた。
(大日平からのパノラマ)

ラクチン歩きは牛ヶ首までで、ここからはまたザレ場や岩場の急坂下りが始まった。称名滝への道に出るまで1時間かかり、大日小屋から称名滝までの1,400mの落差を大日平を挟んで2段に分けた格好になっていた。
(また急坂下り)
(ロープ場もあり)

登山口まで下って「称名滝を見に行きたい人?」とリーダが聞いたが、称名滝は去年じっくりと鑑賞したし、ここまで十分に歩いたとして女性陣は全員「No」だった。去年の剱に参加しなかった男性2人と一緒に重い足を引きずって称名滝の展望台まで頑張った。気の所為かも知れないが、昨日の雨で水量が増えて称名滝は去年よりも一段と豪快に見えた。
(称名滝と涅槃ノ滝)
(称名滝展望台から)

女性陣を待たせては拙いので急ぎ足でレストハウスまで歩くと、みなさんに明るく迎えてもらえて、かき氷のご馳走にもありつけた。

(帰途)
レストハウス称名まで茨城のバスが迎えに来ており、アルプスの湯で汗を流して昼食を取り、立山ICで高速に乗り、北関東道回りで走って佐野SAで佐野ラーメンの夕食を食べ、茨城には夜10時ごろ帰って来た。




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