W112.飯谷山
(新福島県の山完登)

1.動 機
昨年暮れにヤマケイ新分県登山ガイド「福島県の山」を調べてみたら、登ったことのない山が8つあり、これらを今年のうちに登ってしまうことを年頭の登山目標の一つにした。何座かをまとめながら登って夏までに7座を登り終えたが、少し遠い飯谷山だけが残っていた。
ここのところ行事が続いて忙しかったが、あまり遅くなると会津には雪が降るかもしれない。ETC割引を使える日曜日が絶好の登山日和になったので、飯谷山だけのために遠路日帰りで出かけてきた。登山道は綺麗に整備されていて、幸い麓付近の紅葉はまだきれいなままで残っており、思いがけずキノコの収穫もあって満足いっぱいの山行になった。
(登山口からの飯谷山)


(新分県登山ガイド・福島県の山)


2.データ
a)山域:飯谷山(783m)
b)登山日:2009/11/08(日)晴
c)コースタイム:日立自宅 7:00 = 7:10 日立南IC = 8:30 五百川PA(朝食) 9:00 = 9:30 会津坂下IC = 9:40 野老沢集会所 9:50、10:00 = 10:10 登山口 10:15 ---- 10:20 休けいの松 ---- 11:25 旧本殿跡 11:30 ---- 11:55 飯谷山山頂(昼食) 12:45 ---- 13:35 林道出合 ---- 13:50 登山口 14:10 = 14:30 会津坂下IC = 14:45 磐梯高原SA 15:00 = 16:35 日立南IC = 16:45 日立自宅
(飯谷山登山ルート)

(飯谷山登山ルートの標高差)

d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「柳津」

3.山行記録
朝食を抜いて早めに出発して常磐道に乗り、朝食をとろうと磐越道の阿武隈高原SAに入ったが駐車場が満車状態、次の五百川PAに入ってやっと朝食にありつけた。
磐越道は濃霧のための速度規制がされていて周りの山はよく見えなかったが、最後のトンネルを通過すると突然視界が晴れて、飯谷山と思われる山もはっきりと見ることができた。ラッキー! 会津坂下ICで高速を降りて、只見川を渡る最初の橋の先で右折して登山口のある野老沢(ところざわ)集落に向かった。
登山口への道標が2ケ所あったが集落の道は狭くて駐車場所が見つからず、そのまま集落を通過すると集会所があった。ここに駐車させてもらって身支度を整えて歩き出し、作業中の男性に登山道を確認すると「ここから歩くのは大変だよ。車で林道を上がっていった方がいいよ。林道は舗装されているよ」と勧められた。それでも歩いていこうかと少し歩いてみたが、山の斜面を見上げると、ずいぶんと高い所にガードレールが見えた。別の男性に確認すると確かにそのガードレールが林道のものだった。林道への入り口を教えてまらって、車に引き返した。
くねくねとした狭い林道を10分も登っていくと、右手に「飯谷山登山道入口」の道標があり、駐車場所も空いていた。籠を腰につけて鎌を取り付けた長い竿をもった男性がいたので、また道を確認した。「この先にも登山口があるが、ここからだと少し下ってから登り返す。紅葉は少し盛りを過ぎた。3日前は綺麗だったよ。途中にムキタケやナメコがあるから採って行きな。今時は木に生えるキノコに毒キノコはないから安心だ」と教えてくれた。長い竿は立木の高い所に生えたキノコを採るための道具だった。
道を少し歩くと「休けいの松」があり、別の道が入ってきていた。別の登山口から入ってきてる道のようだった。このあたりの紅葉はまだ十分に綺麗で、はじめは紅葉を愛でながら歩いていたが、そのうちあちこちの立ち枯れにムキタケやナメコが生えているのが目に入ってきた。低い所のキノコは採られていて、残っているのは高所か足場の悪い斜面だけだ。頑張ってキノコを収穫した。
(林道途中の登山口)
(キノコの目で歩く)

やがて植林になり、キノコの姿も無くなったが、その上で今度はブナの大木が立ち並ぶブナ林になった。下には敷き詰めた落ち葉、上には色づいた黄葉が残っていて気持のいい山登りになった。
ブナ林の上にはミズナラの木も混じってきて、ここにもムキタケがたくさん生えていた。花より団子、キノコ採りになると夢中になる夫婦は、時間のたつのも忘れて収穫を楽しみ、いつの間にかリュックはキノコでいっぱいになっていた。
(ブナ樹林)
(ムキタケ収穫)

キノコ採りに満足したころに数体の石の祠がある広場に着いた。「旧本殿跡」と書いた板があり、「山頂まで30分」の道標もあった。登山口からここまで1時間かかっており、コースタイムよりも大幅に長かった。
ここから結構な急坂になり、深い落ち葉で滑るので一歩一歩ゆっくりと登って行った。山頂近くなると木はすべて葉を落としていて、平坦なところでは絨毯の上を歩くようにふかふかとしていて気持ちがよかった。
(旧本殿跡)
(山頂部の紅葉はお終い)

山頂には山頂標があり、早速その前で証拠写真を撮った。
山頂は片方が切れ落ちて絶壁になっていて、座って休んでおれない。その先に小さな祠があり、その前が少し平らだったので、お参りしてからその前で弁当を広げさせてもらった。
(飯谷山の証拠写真)
(山頂の祠)

山頂の切れ落ちた崖の下には小さな池が見え、それを囲んだ紅葉の中で水面を光らせている様が美しかった。飯谷山は江戸時代の大地震によって崩壊したとのことで、片面の崖はその時の陥没によるもので、この小さな池(白沼)もその時にできたらしい。
山頂からの展望も広かった。北には白く雪をいただいた飯豊連峰が連なり、西には磐梯山の尖った山頂が目を惹いた。
(白池まわりの紅葉)
(飯豊連峰)

山頂でゆっくりと休んでから下りにかかった。下山道は登り以上に急坂で滑りやすかったが丸太の階段を付けてあり、随所に「下山道」の道標もぶら下がっていて助かった。こちらにはカエデの木が多くて真っ赤なモミジが混じって一段と綺麗だった。下り道にもキノコがあり十分に収穫していたのにまた寄り道をしながら下った。
(下りでもキノコの目)
(カエデも綺麗)

途中には展望所があり、蛇行する只見川の上に磐梯山や吾妻連峰を配した眺めは一服の絵になりそうだった。
南には白煙を上げる地熱発電所の上に、博士山が見えていた。4年前この山で今は亡き水戸アルパインのIさんに奇遇したことを思い出されてしかたなかった。
(只見川と磐梯山、吾妻山)
(博士山と地熱発電所)

気持ちよく下っていくと、下に舗装道が見えてきて、急な丸太の階段道になった。日立の鞍掛山のところの階段そっくりだった。
林道に降りて左に道をとり、1kmほど歩いて駐車場所に戻った。途中に「とこざ公園」という四阿屋のある広場があり、広い駐車場もあった。車を登山口におけない時にはここまで来ればよさそうだった。
(林道出会)
(しばらく林道歩き)

駐車場所近くの植林記念の高台に上がって飯谷山を見上げ、周りの紅葉の山を楽しんでから帰途についた。朝と違って帰りの磐越道からの展望がよかったので、途中、磐梯高原SAに立ち寄って磐梯山を眺めながら休憩した。
土地の人に勧められて林道を車で上がったので、キノコ採りに時間をとられたにもかかわらず、明るいうちに我が家に帰りつくことができた。


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