W117.神峰公園から小木津山公園へ
(大煙突を間近に見上げる)

1.動 機
「大煙突」は日立鉱山の煙害対策のために1914年(大正3年)に当時世界一の高さ155.7mで建設され、以来工都日立発展のシンボルとして市街を見下ろしながら聳え立っていた。それが1993年(平成5年)2月19日、突然上部2/3が倒壊してしまっていたのを、当時現役で務めていた実験所の屋上で発見した。その時のショックが今も強烈な印象として残っている。
その大煙突を近くから眺められると聞いて、昨日「神峰山ハイキングと大煙突を歩こう」というハイキングに参加し、大勢の参加者と一緒に大煙突展望台に案内してもらった。展望台が大煙突から思ったよりも遠くて当てが外れたが、その時、大煙突の尾根筋は歩くことができる道があると教えてもらった。翌日は曇り空の予報だったが、朝目覚めて外を見ると、昨日同様の好天気、早速その尾根を歩いてみることにした。
一方、水戸アルパインの3月例会で風神山から小木津山公園までの「日立アルプス縦走」を案内する幹事の一人になっているが、終盤を小木津山公園に降りるか、神峰公園に降りるかペンデイングになっていた。このルート選択の判断材料のために神峰公園から小木津山公園までを縦走し、その途中で大煙突の尾根に寄道してみるというコースが決まった。

2.データ
a)山域:大煙突展望台(370m)、小木津山自然公園(220m)
b)登山日:2009/11/29(日)晴
c)コースタイム:森山自宅 8:25 = 8:45 神峰公園駐車場 8:50 ---- 9:30 鞍掛山駐車場 ---- 10:15 大煙突展望台 10:20 ---- 10:30 分岐 ---- 10:45 尾根先端10:50 ---- 11:05 分岐 ---- 11:15 小木津山公園分岐(山神社) ---- 11:20 沢平分岐 ---- 11:35 林道出合(昼食)12:00 ---- 12:35 小木津山公園奥の入口 ----(自然公園散策)---- 13:05 小木津山自然公園正面入口 ---- 13:15 小木津駅 13:32 =(JR)= 13:36 日立駅 13:45 =(バス)= 13:55 神峰公園 ---- 13:50 神峰公園駐車場 = 14:15 森山自宅
(神峰山−鞍掛山登山ルート)

(神峰山−鞍掛山登山ルートの標高差)

d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「日立」

3.山行記録
日曜日の朝は常時渋滞の日立のR6も空いていて、国道を快調に走って神峰公園の駐車場に入ると、もう駐車場は半分埋まっていた。公園内は直登して、鞍掛山は昨日登ったのでパスして清掃センタ前の車道わきを歩いた。途中、新田次郎氏の「ある町の高い煙突」の記念碑を眺め、鞍掛山駐車場前の登山口からハイキング道に入った。
ここからは昨日の逆コースだ。45度もありそうな丸太の階段を50mほど登り、廃棄物処理場脇のなだらかな道を歩き、榊のトンネル道を過ぎたところで、昨日の大煙突展望台にも上がってみた。昨日よりも日当たりの方向が良く、紅葉の斑点をちりばめた中、大煙突から高鈴山まですっきりと見えていた。
(大煙突のレリーフ)
(大煙突と高鈴山)

展望台を降りて蛇塚を過ぎるとハイキング道は少し急坂になるが、なだらかな道をしばらく歩くと、右に表示が消えた道標があり、左に籔っぽい道らしきものがあった。分岐道に入ると中は刈り払いがされたいい道になった。
その先に「危険なので大煙突には近付くな」の注意札があった。「ハイキングコースから眺めよ」とあるが、ハイキング道とはどこまでなのかよく分からない。このあたりに昨日大勢を案内できなかった元がありそうだが、いずれにせよ自己責任の世界である。そのまま進んだ。
(尾根道への分岐点)
(注意札)

少し直進すると左に分岐する尾根道があり、驚いたことに、この尾根道は榊のトンネルになっていて広い散歩道だった。気持ちよく歩いて行くと、ムラサキシメジも見つかるし、綺麗なヤブツバキの大木もあり、ラッキーな尾根道だった。
尾根の斜面が下りになるあたりで広い尾根道は終わりになり、その先は谷あいの藪に下る踏跡になった。よく見ると、左の尾根の笹籔に刈り払いされた道ができていた。
(尾根筋は榊のトンネル)
(ムラサキシメジ)

(ヤブツバキ)
(刈り払いされた笹籔)

刈り払いされた道を下っていくと、目の前に大煙突が見えてきた。どこまで近づけるのか下っていくと、金網のフェンスがあり、立ち入り禁止の注意札がしてあった。大煙突まで100ヤードもあろうか、いろいろな木も邪魔してもう少し近づきたい気はするが、樹間でもなかなか迫力はある。この三倍もあった時を想像しながらしばらく見上げていた。
(尾根先端からの大煙突)

今日の半分の目的を達成したことに満足して、次の小木津山公園ルートの下見に向かった。T分岐まで引き返し、ここを左に曲がるとこちらも綺麗に刈り払いされていて問題なくハイキング道に出ることができた。ススキの原などなだらかなハイキング道を歩いて山神社の祠のところに来ると、右に向かって「小木津山自然公園へ3.4km」の道標がある。
小木津山への道は、はじめ粘土の掘れた道で、滑りやすくて踏ん張りながら下って行った。すぐになだらかな笹の道になったが、左は杉の植林、右はコナラの雑木林に囲まれている。小木津山までこんな道が多かった。日立アルプスを2度も下見歩きをした幹事の一人Hiさんは、「小木津山へのルートは薄暗くていやな感じ、神峰公園ルートの方が明るくてお勧め」とおっしゃっていた。今はほとんどの雑木が落葉しているから明るくて気にならないが、Hiさんが歩いた時はまだ葉が茂っていて暗くていやな感じだっただろうと納得した。3月末はどれぐらい葉が芽生えるのかなあ。
(山神社が分岐点)
(滑りやすい粘土道)

沢平分岐を過ぎると杉の植林の中の道になるが、杉は見事に枝払いされていて歩いていても気持ちがいい。ただ、ところどころ、登山道が雨水で掘れていて歩きにくいところがあった。「日立健康ハイキングコース」の看板が随所にたっているが、神峰山ルートよりも行政の整備が行届いていないようである。
日立市のハイキングマップでは、途中のピークあたりに「展望よし」の書き込みがあるが、その後立木が育ったのか展望の良いところには気付かなかった。
(杉やヒノキの植林)
(掘れたハイキング道)

ハイキング道を下っていくと、突然林道に飛び出した。「小木津山自然公園2.1km」の立札があり、石碑には「石尊(滑川)林道」とあるので、滑川から石尊山に向かう林道らしいが、地形図ではこの先で道が途絶えている。この林道出合は広場になっていて、弁当を広げながら、ここには以前来たことがあるなと話し合った。
林道は地形に従って山斜面を巻きながら大きく蛇行している。ところどころから日立電線の工場群を眺めたりしながら、何度か曲がり返して500mも歩いたところに分岐があった。右に「小木津山自然公園」「ひたち健康ハイキングコース」の道標があり、「マウンテンバイク、自転車の乗入れ不可」の立札もあった。
(石尊林道)
(林道から小木津山へ)

これから先も、今までと同じようなハイキング道が続いた。粘土の道だったり、落ち葉の道だったり、気持ちよく歩いて行くと小木津山周回道に出た。道標は「南展望台」「北展望台」への道に分かれるが、「日立ハイキングコース」の道標に従って北展望台側に向かった。
(また粘土道あり)
(明るい落葉道)

(暗い落葉道)
(公園周回道に入る)

すぐ先の分岐にも「日立ハイキングコース」の立札があり、斜面を下っていた。今回は下見なので、展望台はパスして一番近道を歩こう。ここから自然公園の中に入り、ハイキングする人と出会うことも多くなったが、丸太の階段道が多かった。風神山から25kmも歩いて来て疲れた足には、この階段道はきついかもしれない。
何か所にも分岐が現れるが、道標がしっかりしているから問題はない。斜面を下りきると「いしくぼの滝」という小さな滝がある。可愛い滝である。
(階段多し)
(いしくぼの滝)

このあたりから舗装された平らな広い道になり、赤や黄色のカエデの木が多くなり、お日さまを受けて美しい。家族連れなども多くなり、可愛い赤ちゃんを抱いた若夫婦に頼まれて喜んでシャッタを押した。出口に近付くとカラマツの黄葉が綺麗になったが、山の中のカラマツは松くい虫にやられた木が多くて立ち入り禁止になっていて、たくさんの木が伐採されたていた。
(カエデの紅葉が真っ盛り)
(睡蓮池もあり)

自然公園を出て、新しい家が立ち並ぶ団地の中を通って小木津駅前に着くと、神峰公園行きのバスは通過した後だった。バスは1時間後にしか来ない。JRに乗って日立駅でバスに乗り換えて神峰公園に戻った。

神峰公園へのコースは整備が良く展望もあって歩きやすいが、参加者の多くが歩いたことがある道だろう。小木津山公園へのコースは距離が短く、はじめての道を歩く面白さはあるだろうが、展望はなく、滑りやすい粘土道や丸太の階段道が辛いかもしれない。2コースに分けて、参加者の自由にまかせるのもあるかなあ。


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