W123.十万山と戸神山

1.動 機
風邪をひいて三日ばかり伏せっていたが、寝ていても風邪はすっきりとは治らない。こんな時は近くの山に出かけてきれいな空気を吸って治すのが我が家の流儀だ。せっかく出かけるのなら初めて登る山にしたいと、少し遠いが、今日は日曜日、ETC割引も利くので福島県浜通りの浪江の十万山と戸神山に出かけることにした。
十万山は浪江町と双葉町の境界付近にあって、太平洋を真近に望むことができる名山の一つ。山頂には手作りのブランコなどの遊具もあり、子供連れでも楽しめる山だという。
戸神山は福島県緑の百景の高瀬川渓谷沿いにあり、十二支の石像が登山道脇に配置された面白い山だという。

2.データ
a)山域:十万山(448m)、戸神山(430m)
b)登山日:2009/12/20(日)晴
c)コースタイム:日立自宅 9:20 = 9:30 日立南IC = 10:40 富岡IC = 11:00 とりあげ石 11:15 ---- 11:17 十万山登山口 ---- 11:28 二合目 ---- 11:35 四合目 ---- 11:42 五合目 ---- 11:46 六合目 ---- 11:58 八合目 ---- 12:03 九合目 ---- 12:05 浪江分岐 ---- 12:08 十万山山頂 12:27 ---- 12:34 八合目---- 12:45 五合目 ---- 13:04 十万山登山口 ---- 13:06 とりあげ石(昼食) 13:35 = 14:02 戸神山登山口 14:07 ---- 14:09 亥 ---- 14:11 戌 ---- 14:13 酉---- 14:15 申 ---- 14:17 羊 ---- 14:23 馬 ---- 14:27 巳 ---- 14:30 辰 ---- 14:36 卯 ---- 14:41 寅 ---- 14:45 丑 ---- 14:48 子(戸神山山頂)15:00 ---- 15:30 戸神山登山口 15:35 ---- 15:45 高瀬川展望台 15:55 = 16:20 富岡IC = 17:20 日立南IC= 17:30 日立自宅
d)同行者:、和子
e)地形図:1/25000 「浪江」

3.山行記録
1)十万山
暖かくなってから歩こうと思って、8時半ごろになって出発準備をしたが、車のエンジンがかからない。昨夜ナビ調整のため室内灯を点けて消し忘れていたのだ。夜勤明けで寝ている息子を起こし、バッテリーの対策をしてもらっている間に出発は9時を大きく過ぎていた。おまけに何としたことか、我が家のドライブの頼みの綱のナビも動作しなくなっていた。
日立南ICから富岡ICまではETC割引1000円で問題なく走ったが、ここから先はナビなしで何十年ぶりの道路地図を頼りのドライブだ。県道35号を何度も途中で停車しながら走って、なんとか十万山登山口の上石熊集落に入った。十万山登山には、もう少し先から井出林道に入るルートもあるが、林道が凍っていたりしたら厄介なので上石熊登山口を選んだ。
(十万山登山ルート)
(十万山登山ルートの標高差)

右手に十万山登山口の標柱を見つけたが、その先に何か看板が立っているのが見えた。駐車場所かと思って先まで走ると、それはそばにある大きな石「とりあげ石」の説明板だった。「この大きな石の上で、山から下りてきた熊がお産を無事おえたことからこの石を取り上げ石と言うようになり、以後安産の石として信仰された」とあった。大きな苔むした岩の上に小さな石が乗っていた。
ここから道は林道2本に分かれていて、転回のためかここで道が広くなっていた。この端に駐車させてもらって、身支度をして歩き始めた。
車道を200m引き返し、登山道入り口の立派な標柱の間を通って山道に向かった。
(とりあげ石)
(十万山登山口)

はじめは植林の中の平らな道だったが、やがて明るい雑木になり緩やかな登り道になった。左手の樹間には大倉山や日影山などの山々が望め、振り返ると太平洋も望めた。ざらざらの登山道を登っていくと、松の木に紙に印刷してビニルでカバーした2合目の道標があった。山頂まで1850mを等分した道標で、これから先、4合目、5合目、6合目、8合目、9合目の立木に同じ形式の道標が取り付けてあり、登山の励みになった。
(なだらかな登山道)
(二合目毎の道標)

松や雑木の道を登っていき、ひとつ小さなピークを越えて急坂を登り返すところに大きな赤松の木があり、五合目の道標があった。ちょうど真ん中に格好の大木があったものだ。
落ち葉を踏みながら登って6合目を過ぎると、露岩も頭を出す急坂になり、結構汗を絞られることになった。
(五合目の大松)
(少し急登)

急坂を頑張ると「地籍図根三角点」のある8合目のピークに登りついた。ここの道標には、ここが昔は十万山の山頂だったと書いてあり、樹間から鎌倉岳や五十人山を望むことができた。
ここからは山頂までなだらかな上り下りの繰り返しがあり、登山道の脇にわずかに雪が残っていた。
(昔の山頂の八合目)
(八合目からはなだらか)

次のピークが9合目で、井出林道からの道を合わせるとすぐに大きな赤松が立つ十万山の山頂だった。広い山頂には、ブランコや登り台などの遊具もあり、少し下ったところにはトイレもあった。東方の展望が素晴らしく、浪江町や双葉町の街の向こうに太平洋が広がり、福島原発の煙突群も見えていた。コーヒを飲みながらゆっくりと展望を楽しんだ。
(ブランコ)
(アスレチック)

一段高い最高点には山祇神社の小さな社と古い木の鳥居があってお参りしたが、三角点が200mほど先にあるようだったが無視した。
山頂広場には壊れた山頂標柱が立木にくくりつけてあり、その前で証拠写真を撮ってから下山にかかった。
(山頂の社)
(山頂標柱の前で)

よく整備されたなだらかな道は、下るのにも気持がいい。松の落ち葉が多いところは滑りやすくて少し気を使ったが、冬の日だまりハイク気分で快調に下った。目の前に太平洋が見えるのも気分がよかった。
駐車場所に戻って、バーナを使って力ラーメンを作って食べたが、冬はやはり暖かい昼食が何よりも美味しい。
(下りは快調ペース)
(太平洋も目の前)

2)戸神山
県道35号に引き返してから北上し、相馬焼の集落を過ぎたところの交差点で葛尾方面の落合へ抜ける県道253号に入った。この道は3年前に手倉山に登った時に走った道だった。
(戸神山登山ルート)
(戸神山登山ルートの標高差)

だんだんと細くなる高瀬川沿いの道を走っていくと、走ったことのある道でもだんだんと心細くなる。道の脇で作業中のご婦人に戸神山への登山口を尋ねると、「戸神山はこの向かいに見えている山だよ。ここを曲がった先に案内板があるよ」と親切に教えてもらえた。そこから見上げる戸神山の三角錐の形がよかったのでシャッタを押した。車を進めると、道路の右に十台以上も停められるような長広い駐車場があった。
道の左側には赤い鳥居があり、その右に大きな案内板、左に12支の動物の絵を描いた立派な石碑と「標高430m徒歩約50分」と書いた標柱が立っていた。案内板には「十二支の石像が登山道脇に配置された面白い山である。登山口には古い拝殿や鳥居などがあり、人々が信仰の山とした歴史を感じる。登山道途中には、杉林や松林、巨大なモミの木などがあり、また急な上り坂などがあるが、頂上の展望台から見る浪江町の景色は壮観である。またこの山は、かって船乗りが港にたどり着く目標としていたと言われており、船の安全を祈る山としても知られている」とあり、山頂から順番に十二支の祠が並んだ地図が付けてあった。
(戸神山と)
(登山口)

赤い鳥居を潜り、天明海地天の石碑や立派な拝殿を右に見ながら下ると、高瀬川を渡る鉄の橋があった。橋の上から眺める上下の高瀬川の渓谷は綺麗で、紅葉の時期にはさぞ見事だろうと思われた。橋を渡ったところに一軒だけ平屋の家があったが、明らかに廃屋だったので、この橋は今や、戸神山登山のためにだけに使われているように思われた。
橋を渡って少し登ると、登山道の右に小さな祠に収められた古い石像と、真新しい彩色のイノシシの石碑が並んで祭ってあった。続いてトリは道の両側に分かれて、サルはまた道の右に並んで祭ってあったが、次のヒツジは坂の上下に10mも離れて祭ってあった。
(立派な橋)
(十二支の石碑)

このあたりから斜面が急になって、登山道はジグザグに切られるようになり、次のウマがなかなか現れない。しばらく頑張ってやっとウマの新しい方の石碑を見つけたが、古い祠や石像は見つからなかった。
これから先急登が続き、岩っぽいところも現れたが、ロープは張ってなかった。道は歩きやすく整備されていたが、急坂を登るにつれて息が切れる。十二支の方は、石碑と石像が離れたものが多くなり、タツも古い祠が見つからなかった。急坂で保全が大変なのだろうか。
(ジグザグの登山道)
(岩っぽい急坂)

十二支に慰めながら登りついた山頂には、最後のネズミの石碑と石像が並んでおり、証拠写真を撮った。他に三等三角点と小さな社があり、横倒しになった鉄骨の展望台(?)が転がっていた。
(山頂の社)
(子の石碑前で)

山頂の先には小さな岩があり、その上からの太平洋の展望がよかった。先ほど登った十万山も見えていた。
あまりゆっくりしている時間はないのですぐに下りにかかったが、トラ、ウサギ、タツあたりの急坂は、下りでも滑りそうで結構きつかった。
(浪江の街と太平洋)
(下りもきつい)

登山口まで降りて、帰りの253号の途中、高瀬川展望台に立ち寄って渓谷美を楽しんだ。大きな高瀬川渓谷の全体案内図があり、紅葉の名所が多いようで、秋に訪れるのがお勧めのようだった。手倉山も沢コースが素晴らしそうだ。
コーヒを飲んでいるときに、郡山からきたという若夫婦と一緒になりシャッタを押してあげたが、車の水戸Noを見て「水戸から来てこれから家まで帰るのですか!?」と老夫婦の運転を心配されてしまった。県外だとは言っても、日立は郡山よりも近いんですよ。
(高瀬川渓谷展望台から)

(高瀬川渓谷案内図)

夕暮れ迫る道をナビなしでなんとか富岡ICまで走って高速に乗り、日立南ICをおりて17時半ごろに我が家に無事帰ってきた。思ったよりも面白い満足できる山歩きだった。


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