X44.西上州 大津、碧岩−大岩
(22年度アカヤシオオフ)

1.動 機
今年のアカヤシオオフも、例年のように西上州の住人トラベエさんに計画していただいた。一日目はシモンさんの念願だった大津という玄人好みの山を歩き、二日目は難コース碧岩と大岩を歩いてきた。今年九州から帰ってきたワラベ(旧姓酒呑童子)さんが久しぶりに参加され、元気いっぱいに先頭に立ってガイド役を勤めていただいた。数日おきに寒波が押し寄せてくる異常気象に痛めつけられて、お題目のアカヤシオの花数は少なかったが、自分達だけでは絶対に歩けない西上州の3つの山を歩くことが出来て大満足の山行でした。

2.データ
a)山域:大津(1053m)、碧岩(1125m)、大岩(1133m)
b)登山日:2010/04/24(土)晴、25(日)晴
c)日程:
4/26(土):日立発=道の駅下仁田=大仁田ダム上----大津----大仁田ダム=大日向民宿(泊)
4/27(日):大日向民宿=三段滝駐車場----碧岩----大岩----三段滝駐車場=日立
d)同行者:トラベエさんウシコさん夫妻、ワラベさん、フーセンさん(1日目のみ)、シモンさん夫妻、和子
e)地形図:1/25000 「十石峠」

3.山行記録
1日目:大津
日立自宅発5:40 = 5:50日立南IC = 6:50佐野田沼IC =(一般道)= 7:30太田桐生IC = 7:4
0波志江PA7:50 = 8:10甘楽PA(朝食)8:40 = 8:45下仁田IC = 8:50道の駅下仁田9:00 = 9:30大仁田ダム上駐車場9:50 ---- 10:30小広場10:40---- 10:50斜面取付き ---- 11:25尾根12:30 ---- 12:401053m峰 ---- 13:10大津(昼食) 14:05---- 14:15尾根分岐 ---- 14:50沢筋 ---- 15:15大仁田ダム上駐車場15:25 = 15:40大日向民宿(泊)
(大津登山ルート))
(大津登山ルートの標高差)


早朝日立を出発、日立南ICから高速に乗り開通したばかりの北関東自動車道佐野田沼ICで高速を一旦おり、太田桐生ICから再び北関東自動車道に乗って上信越道の甘楽PAで朝食を取った。下仁田IC近くの集合場所の道の駅しもにたに定刻少し前に到着した。
全員8名が集合して挨拶を交わし、トラベエさんの先導で5台の車が隊列を組んで上州路を走り、大仁田ダムの上の駐車場に着いた。狭い駐車場にすでに数台停まっていたが、なんとか5台の車をはみ出さないように停めることが出来た。駐車場の向かいの崖を見上げるとちらほらとアカヤシオが咲いており、ダム湖のほとりには一本のミツバツツジが鮮やかな色を見せていた。
身支度をしてえぼし橋を渡ると対岸の絶壁にヒカゲツツジが咲いているのが見えた。すぐに車道は消え、右下に綺麗な沢の流れを見ながら落葉の積もった斜面を歩くと、すぐに対岸に渡ることになった。数本の丸太を渡してあるが、滑りそうで慎重になります。
(えぼし橋からスタート)
(始めの右岸から左岸に渡る)

しばらく左岸を歩いたが、岩場があったり倒木があったりして楽には歩けません。途中に馬頭観音(?)があったりして、昔は信州に抜ける道だったという話だが、昔の人はよっぽどお元気だったのだろう。右に倒木が重なる谷間を指差して、「下りはここに下りてくる」とのこと。下りの苦労が思いやられる。
左岸を30分歩くと、また徒渉点にでた。丸太も渡してあるが、気持悪くて流れに沈んでいる石を踏んで渡った。
(しばらく左岸を歩く)
(右岸に渡る)

沢を渡ったところが広くなっていて、ここで一休みした。まわりにはハシリドコロやニリンソウが咲いていた。色々な登り口があるようで、どこから大津の尾根に上がるか相談されている。色々あるという事は、どの登り口も大変だということなのだろうと覚悟した。
一休みして歩き始めると、踏跡はそのまま右岸を進むものと、右に沢へ下る薄い踏跡とがあり、しばらく迷った挙句、7人は沢に下ったがワラベさんだけ直進した。石を渡って左岸を少し歩くとワラベさんと合流した。
(右岸の小広場で休憩)
(また左岸に戻る)

ヒトリシズカやネコノメソウを愛でながら歩いて行き、立木に付けられた赤いテープを見つけて、ここから急斜面に取り付くことになった。45度位ありそうなザレ場で、うっかりすると小石を蹴飛ばして「ラク!」と声が飛び、恐ろしい勢いで小石が飛んでくる。上下に人が重ならないようにバラバラに登っていった。こんな苦労をする気概があれば、何処から登っても登ることが出来るだろうと思われてくる。
落差200mの急斜面を30分も頑張ってやっと尾根にたどり着いた。ここから大津には尾根上を大仁田ダム方向に1000m以上引き返す。痩せ尾根があったり、岩場があったりなかなか骨が折れる道らしい。反対方向のピークのアカヤシオを見てこようと出かけたワラベさんとフーセンさんを追って、ウシコさんと一緒に歩き始めた。少し下って登り始めたが、まわりのアカヤシオはまだ蕾でそれもまばらだった。上から「もうアカヤシオはないよ」と言いながらワラベさんとフーセンさんが下ってきたが、ウシコさんと次のピークまで登ってこようと登り続けた。すぐ先に見えた肩をピークと思って頑張ったが、肩に登りつくとピークはまだまだ遠くに見え、皆さんを余り待たせては拙いのでそこから引き返した。
もとに戻ってから、みんなで一緒に尾根を歩いて行った。痩せ尾根が多くアカヤシオの木が多いところもあり、咲いていればピンクのトンネルになるところだろうが、みなまだ固い蕾だった。
(ザレた急斜面に取り付く)
(上は痩せ尾根)

いくつもの小さなピークがあり、その都度急な下りも繰り返された。ピークでは樹間から西上州の山々が見え、その上には浅間山も白い頭を出していた。
(岩場を登る)
(急斜面の下り))

二か所の岩場のところではアカヤシオが咲いていた。「岩場では石の温度が高くなるのでアカヤシオの開花も早くなる」とのシモンさんの解説があった。
(アカヤシオも少し咲いていた)

1053m峰を越え、その先の2本の鋼索のある岩場に上がると、目の前に片面が切れ落ちた大津の岩峰が見えてきた。どこから登るのだろう。
岩場を下りて痩せ尾根を辿り、また岩場をよじ登って大岩を巻くと大津の山頂だった。
(大津の岩峰)
(大津に攀じ登る)

山頂には大津の山名板があり、1053mとなっている。さっきのピークが1053mの筈だから1053mピークを含めてこの辺一帯を大津と呼ぶというらしい。山名板の前で集合写真と記念写真の撮り合いをした。
眼下には大仁田ダムの青い湖面が見えており、我が愛車もはっきりと確認できた。アカヤシオ越しに写真を撮りたいところだが、ここでもアカヤシオはチラホラだった。
(大津山頂)
(大仁田ダムを見下ろす)

山頂からは、西上州の主だった山を見渡すことが出来、荒船山、三ツ岩岳、鹿岳、四ツ又山など最近登った山も並び、5月に水戸アルパインで登る予定の立岩の鋭鋒も見えていた。その上に浅間山は残念ながら雲隠れしていたが、妙義山、榛名山、赤城山の山塊が見えていた。
左端の方に、尖った岩山が目立っていた。碧岩と大岩と言う山で、明日登る山に決まった。あんな岩山にどうやって登るのだろう。
大津の山頂でウシコさん手作りのパンや、シモンさん持参の山菜料理などをいただきながら、山談議に花が咲いた。
(碧岩と大岩)

(大津山頂からの展望)

ここまでも誰ひとり出合う事もなく登ってきたが、独占した静かな山頂をゆっくりと楽しんでから下山にかかった。山頂の岩場を下り、痩せ尾根を辿って鋼索のある大岩を乗り越えて少し登ったあたりで左手の斜面に下り始めた。
下る途中に大津山頂の岩壁を真正面から見上げるところがあり、稜線から眺めた横向きの大津よりも迫力があった。
(途中の鋼索のある大岩))
(下る途中、大津を見上げる))

やがて檜の植林の中の急斜面になり、伐採された枝を避けながらジグザグに下っていった。沢筋に出る前には、やはり倒木が何本も横たわっていて、潜る人、高巻く人色々だった。
明日の山行には所用があって参加できないフーセンさんは、今日のうちにもう一山三ツ岩岳に登ってアカヤシオを眺めてお帰りになることになり、沢筋に出るとすぐに追い立てるように見送った。
小滝を眺めたりしながら往路を戻ったが、岩壁に咲いているアカヤシオやヒカゲツツジが太陽の具合で朝登る時見たよりも綺麗に見えていた。
駐車場に戻って、トラベエさんの車に付いて走り、県道93号に出て南牧村役場の近くの民宿に入った。今日はオフ組の貸し切り、またたびの湯に入り、宿の夕食をいただいてから、ワラベさん持ち込みのイモ焼酎やチーズで、また山談議に花が咲いた。
(植林の中の急斜面下り)
(大日向の民宿)



2日目:碧岩−大岩周回
大日向民宿8:20 = 8:35三段滝駐車場8:50 ---- 9:20三段の滝下9:25 ---- 9:40三段の滝上 ---- 9:45二子岩分岐(昼食) ---- 10:10斜面取付き ---- 10:35尾根 ---- 11:00碧岩11:30 ---- 11:55大岩分岐 ---- 12:25大岩(昼食)13:20 ---- 13:45碧岩分岐 ---- 13:55分岐 ----14:20斜面取付き14:30 ---- 14:40二子岩分岐 ---- 14:45三段の滝上14:50 ---- 15:05 三段の滝下 ---- 15:30三段滝駐車場15:45 = 16:20下仁田IC = 17:00太田桐生IC =(R50)= 17:35佐野藤岡IC = 18:35東海P(夕食)19:00 = 19:05日立南IC = 19:15日立自宅
(碧岩、大岩周回路)
(碧岩、大岩周回路の標高差)

宿の裏山は山桜が花盛り、その前にモクレンやレンギョウ、スイセンなどが賑やかに咲いていて、宿の朝食が用意できるまでの散歩も楽しかった。西の空には今日案内してもらう大岩と碧岩がそそり立っていた。
(民宿裏の花園)
(民宿近くから大岩、碧岩))

腹いっぱい朝食をいただいてから出発し、碧岩登山口の三段滝の駐車場に入った。マイクロバスも停まっていたが、何とか4台の車を入れることが出来た。トイレを使い身支度を整えて、三段の滝遊歩道の道標に従ってゲートボールのグランドの脇を通って歩き始めた。道標には「滝まで1050m、約30分」とあった。
すぐに「三段の滝まで920m」の道標があり、三段の滝遊歩道は左の居合沢沿いに曲がっていった。
(三段の滝駐車場)
(沢沿いの道に入る))

遊歩道という名前が付いているので、スニーカでも歩ける道かと思ったが、石ころだらけの道が続き、急坂になったり、梯子を登ったり、大きな岩を越えたり、滑りやすそうな木の橋を何度も渡り返しながらの沢沿いの厭らしい道がどこまでも続いた。
静かだった昨日の大津とは様変わりで、今日は歩く人が多く、追い越されたり、追い越したりしながら歩いていった。途中、左右に聳える岩壁にはアカヤシオやヒカゲツツジが咲いており、みんな立ち止まってはシャッタを押した。
(何度も沢を渡り返す))
(梯子もありました)

道標の通りに駐車場から30分歩くと、三段の滝の下に着いた。水量も多くて見ごたえのある素晴らしい滝だった。みんなであちこちの岩に移動しながら写真を撮った。
ここから大滝、碧岩に行くには滝の下の流れを渡る事になるが、ここから先の徒渉は橋はなくて、石から石へと飛びながら渡るようになった。石の間隔も広くて、仲のいいご夫婦愛を見ることもできた。
滝の脇をジグザグに登った先には、水にぬれてテカテカに光る滑りやすい岩場をトラバースする厭らしいところがあった。みんなロープをしっかりと握って慎重に渡った。
(三段の滝)
(濡れて気持の悪い岩場)

登る途中からは、三段の滝を横から眺めることが出来、下から眺めるよりもまた一段と迫力のある滝を見ることが出来た。
(巻道からの三段の滝)
(三段の滝最上段)

三段の滝を登り切ると、その上の居合沢を三度渡り返した。滝の下の徒渉よりも石の間隔が不ぞろいでもっとスリリングだった。
その先で「二子岩」と「碧岩、大岩」との分岐の道標があり、碧岩には左の碧岩沢に別れる。沢の傾斜が急になり、登山道も急坂を登るようになった。ジグザグの登山道をしばらく登ると、下に分岐点を歩くハイカーが小さく見えていた。
(滝の上で沢を渡る)
(二子岩分岐からは急坂)

登山道脇には、ユリワサビやコガネネコノメソウなどがところどころに咲いていて、目を楽しませてくれた。
(ユリワサビ)
(コガネネコノメ)

碧岩沢をそのまま登れば大岩への尾根道に出るが、碧岩に近道するために左の急斜面に取り付いて尾根に上がる。昨日の大津への急斜面よりももっとザレていて斜面も急だ。落石を起こさないよう気を付けながら登っていった。
支尾根に取り付くと少し斜度がゆるやかになり、アカヤシオの花にも目がいくゆとりが出てきた。
(碧岩への近道はザレた急斜面)
(アカヤシオ)

支尾根からは、右に二瘤の二子岩、左に碧岩が見えてきた。碧岩のゴツゴツした岩壁を見せられて、私に登れる山なのか心配になってくる。ガイドのワラベさんに付いて行くしかない。
(二子岩)
(碧岩)

支尾根沿いを登っていくと、大岩への道から来る尾根道に合流する。大岩に向かう時にここに引き返してくるので、ザックをデポしていこうかと思ったが、碧岩山頂で食事になるかもしれないからザックを背負って行けとの指示。
手前の岩は巻いて進み、いよいよ碧岩の登りになった。ロープの付いた岩場が2ヶ所続き、剣の縦ばいや横ばいに比べて高度感こそ少ないが、足場がはっきりとしていないので難しさは剣よりもよっぽど高い。「何があってもロープから手を放さなければ大丈夫」と言われ、しっかりとロープを握って足場を右に左に選びながら攀じ登っていった。
(碧岩最初の岩場)
(碧岩2番目の岩場)

山頂に登りつくと、素晴らしい展望が待っていた。昨日よりも天気が良いので、浅間山もはっきりと見えていて、しばらく、山座同定が賑やかだった。
(碧岩山頂)

水戸アルパインで来月登りに来る立岩の岩峰がよく見えていたが、幹事のHiさん夫妻とKuさんがこの日下見に来ていたことが後でわかった。向こうからもこちらを眺めていたのだ。
(碧岩からの展望)

すぐ近くに次に向かう大岩が見えていた。山頂で万歳をしている人影も見えるが、山頂付近は切り立った岩だらけ、次もなかなか大変そうだ。
(碧岩からの大岩展望)

岩場の登り降りは、下りの方が足元が見えにくくてやりにくい。一人ずつ、先に下りたワラベさんに足場を指示されながら一歩一歩慎重に下っていった。
(下りの大変)
(二つ目の岩場)

岩場を下ると、しばらく尾根道が続いた。
(少し尾根歩き)

途中、下りてきた碧岩がよく見えるところがあり、岩場に張り付いている人影も見えていた。良くもあんなところを上り下りしてきたもんだ。
(碧岩)

大岩への登りは碧岩ほど落差のある岩場はなかったが、固定ロープが張られておらず、返って怖い思いをした。
(大岩への登り)

大岩山頂からも西上州の山々の展望が得られ、展望を楽しみながら昼食にした。碧岩をバックにした記念写真が一番人気があった。
大岩の山頂から少し先に進むと東方向の展望が開け、昨日の大津や、三ツ岩岳、烏帽子岳、はては両神山までも見ることが出来た。
(大岩山頂)
(大岩山頂からの展望)

山頂近くの登りはトラベエさんと裏道を登ったが、下りはみなさんと一緒に表側を下った。岩場が続いたが、碧岩を目の前にした展望が素晴らしく、気持のいいルートだった。
(大岩からの下り)

大岩の岩場を下ってからは尾根道を進み、碧岩への分岐を通り過ぎて、「大岩、三段の滝」の道標のところで直角に曲がって碧岩沢に下り、ここからは往路をそのまま下っていった。
エンレイソウやエイザンスミレなどを愛でながら下って、三段の滝をもう一度ゆっくりと眺めてから駐車場に戻った。
(エンレイソウ)
(エイザンスミレ)

駐車場で解散になり、下仁田ICから高速に乗って19時過ぎに無事茨城に帰ってきた。途中の太田桐生の先の北関東道が早くつながることを願う。




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