X52.夫婦山と月山

1.動 機
「夫婦二人の山歩き」を始めてから、夫婦山はその名前から登らなければならない山になっていた。夫婦山のすぐ近くにアカヤシオの名所月山があり、この花の時期にと狙っていたらなかなか実行できず、今年まで伸び伸びになっていた。今年は花の時期が遅れているので連休中では早過ぎるかと心配だったが、連休明けは天気が悪くなりそうなので最終日に思い切って出かけてみた。月山山頂ではアカヤシオには少々早過ぎたが、麓付近では満開で西上州に負けない見事なピンクの花を楽しむことが出来た。主目的の夫婦山は予想通りの籔山だったが、分かりにくい踏跡を辿って無事登頂することが出来、念願だった「夫婦二人の山歩き」のトップページに付ける写真を撮ることが出来た。

2.データ
a)山域:夫婦山(1342m)、月山(1287m)
b)登山日:2010/05/05(水)晴
c)コースタイム:日立自宅 5:45 = 7:10 道の駅喜連川 7:15 = 7:50 玉生コンビニ(朝食) 8:10 ---- 9:05 栗山ダム駐車場 9:25 ---- 91:40 ダム登山口 ---- 10:15 月山山頂 10:30 ---- 10:40 西尾根コース分岐 ---- 11:10 バーベキュー広場 11:20 ---- 11:35 栗山ダム駐車場(昼食) 12:00 = 12:05 #4ゲートP 12:10 ---- 12:40 夫婦岩 12:45 ---- 13:10 夫婦山山頂 13:35 ---- 14:15 #4ゲートP 14:25 = 14:35 日向記念公園 14:40 = 14:55 龍王峡 15:40 = 17:25 道の駅美和 17:35 = 18:45 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「川治」
(夫婦山と月山歩行ルート)

(月山登山標高差)
(夫婦山登山標高差)

3.山行記録
(月山)
5月連休の最終日、渋滞を警戒して我家としては滅多にない早起きをして出発したが、一般道は意外なほど空いていて、高速を使わなかったのは正解だった。常陸大宮、烏山、喜連川と走り、玉生のコンビニで朝食を取り、日光北街道を走って藤原から龍王峡ラインを北上、県道23号に入って旧栗山村に向かった。日蔭の部落から栗山ダムへの山道に入ったが、途中の牧場のゲートは連休のためか開きっぱなしになっていた。最高所の夫婦山登山口のある4番目のゲートを過ぎて少し下ると月山登山口の栗山ダムだった。連休のためか途中の道でお仕事の車は殆んど走っていなくて、ここまで空いている道を快調に走って、目的地の栗山ダムに着いたのは9時少し過ぎだった。
ここから先は一般車進入禁止、広い駐車場にはもうバスを含めて30台の車が停まっていた。トイレを使い、身支度を整えて車道を歩き始めると、向かいの月山の斜面にはピンクの花があちこちに咲いていて、早過ぎを心配したのは杞憂だったとホッとした。
(広い栗山ダム)
(月山の麓にはアカヤシオが賑やか)

BBQ広場へ向かう道から左に引き返すように別れて、栗山ダムの上部に向かった。堰堤長さ340mの巨大なロックフィルダムで堰き止められた表面積3.2ヘクタールの広大なダム湖は、500m下の今市ダムを下池として水を上げ下げして発電する東京電力の105万kW揚水発電所の上部ダムである。
ダム湖の湖面や赤薙山、夫婦山などを眺めながら湖畔の広い道を500m歩くと、「月山登山口」の道標があり右の谷間に道があった。ゆっくりと歩いて行くご夫婦があり、挨拶して追い越そうとすると「好きな月山に花を増やしたいと思って、家で育てた花の種を播きながら歩いているんです。少しあげるから家で播いてみたら」と言って、フーセンカズラやオダマキ、オイランハナなどの花の種を分けていただいた。この奇特なご夫婦、別れた後もゆっくりゆっくり歩かれたようで、私達が山を下るまで出合う事はなかった。
(巨大な栗山ダム)
(ダム登山口)

ダムコースは傾斜が緩くて登るのには一番楽な道らしい。始め腰のあたりまである笹を掻きわけて歩くところもあったが、それを過ぎると手入れのいい道になった。
上から下りてくる男性があり、「早いですね」と声をかけると、「山頂のアカヤシオは1週間から10日早かった。つまらんのでまた出直すことにしてさっさと降りてきた。」とのこと。下の方では華やかに咲いているアカヤシオの花を見ることが出来て、何をおっしゃるかと思いながら登っていったが、高度が上がるにお言葉通りになってきた。周りにアカヤシオの木は多いが、急坂を登るにつれて花芽はまだ固い蕾のものも多くなり、咲いているのはチラホラになってきた。
(麓近くはアカヤシオ)
(登るにつれて蕾ばかり)

山頂に上がると、狭い山頂に人の姿はなく、二等三角点と数多くの山名板がぶら下がっていた。早速、山名板の前で証拠写真を撮った。
まわりはアカヤシオの木に囲まれているが、男性の言った通りピンクの花は淋しい。一週間先にはこの木々が満開になって見事な眺めになるのだろうなと想像しながら、、立木を押しのけ押しのけ夫婦山や赤薙山をバックにして、チラホラ咲いている貴重なアカヤシオに向かってシャッタを押した。
(月山山頂)
(チラホラの後ろに夫婦山)

やがて団体さんやご夫婦連れの人達が登ってきたが、すぐに西の鎖場コースを下っていった。春霞で展望も利かないので、私達も長居は無用とコーヒを飲んだだけで下ることにした。下山ルートは少し北に引き返した分岐から、予め決めていた西尾根コースを下った。歩いてみるとこの痩せ尾根コースはとんでもない急坂の連続だった。登ってくる人に何人にも出会ったが、みんな青息吐息で喘いでいた。私達がダムコースを登って西尾根コースを下ったのは正解だったようだ。
それでも展望にはなかなかいいものがあった。目の前には赤薙山、その上に女峰山の山頂がちょっぴり頭を出し、右には栗駒ダムや夫婦山を見ることが出来た。下るに従ってアカヤシオも賑やかになってきて、急斜面に三脚を据え付けて大きなカメラを構えているご夫婦もあった。この辺りでは、登ってくる人もまだ元気だ。「うわー、綺麗!」の声が賑やかだ。。登るにつれてどんな声が出てくるのだろうか。
(下山は西尾根ルート)
(下るとアカヤシオ)

(赤薙山の上に女峰山の山頂)

長いロープ場を下ると広いバーベキュー広場の入口に降り立った。ブロックを組み立てた数えきれないほどのかまどが整然と並んでいて、まるで共同墓地を見るようだった。私達が下った西尾根コースにも、目の前の鎖場コースにも下の方にはピンクの花が華やかに見えていた。この時期は、鎖場コースを登って西尾根コースを下るのが一番良かったかな。
鎖場コースの登山口は、コンクリートの水路(水流なし)を横切った先に、「月山登山口」の青い道標がぶら下がっていた。小さな女の子を連れた団体も下りてきたので、この鎖場コースはそれほど難しいコースではなさそうに見えた。
間もなく行われるお花見バーベキュー祭りでは、この広場から山腹一帯に咲き誇るアカヤシオを眺めるだけで満足して帰る人も多いらしい。桜の花見と同じみたい。
(バーベキュー広場)

栗山ダム駐車場に戻って、駐車場の上にある小さな公園のベンチで弁当を広げ、一休みしてから次の夫婦山に向かった。

(夫婦山)
夫婦山の登山口は、日蔭に引き返す最初のゲートのところにあった。登り口と思われる踏跡を上がると「この歩道は多数の登山者が許可なく通行し出来た「道型」にすぎません。管理者はいませんので、無断で入山し、遭難、ケガまたは万一死亡等の事故が発生しても一切の責任は負いません」といういかめしい日光森林管理署の注意札が立っていた。これから先、山頂まで道標は一本もなかった。
踏跡は唐松林の中の腰までくる深いクマ笹の中に隠れて続いているが、頻繁にテープやビニル紐もぶら下がっているので、ゆっくり歩けば迷うことはない。それよりも、26度を超す暑さの中で笹で滑りやすい結構な急斜面を登るのがきつかった。たっぷりと汗を絞られた。
(#4ゲート近くに登山道)
(笹の仲を登る)

やがて二本松を過ぎ、小さなケルンのところまで来ると右や左に薄い踏跡の分岐らしきところがあったが、ひたすら高みに向かう踏跡を選んで登っていった。
(2本松)
(ケルン)

ケルンを過ぎると笹は背丈が低くなり、踏跡がはっきりとしてきた。踏跡の脇に大きな岩があり、その下にももうひとつ一回り小さい岩があった。二つを合わせて夫婦岩というらしい。
上の大きい方の岩に近づいてみると何とか上まで登れそうだ。攀じ登ってみると、そこはなかなかの展望台だった。
(中間は踏跡明確)
(夫婦岩)

遠くは霞んで良く見えないが、登ったばかりの月山はもちろん、大笹山、赤薙山、女峰山、馬老山、明神ヶ岳など眺められ、遠くにうっすらと雪山も見えていたがどこの山だろうか。
(会津方面)

夫婦岩を過ぎると牧場の境界柵跡の支柱沿いに登っていった。見渡す限り笹原ばかりで草原はなく、牧場はもう廃業しているのだろうか。錆びた支柱が立っているだけで金網や柵は一つも残っていなかった。
夫婦岩を過ぎて坂は少しゆるやかになったが、やがてまた急坂になって滑る笹と格闘していると、上から下ってくる二人連れのご婦人や、子犬を連れたご夫婦に出合った。この山で人と出合ったのはこの時が初めてで最後、登山者の多かった月山に比べて静かな山だった。
山頂近くになると、みんな勝手な方向から登るのか踏跡ははっきりしなくなった。とにかく高みを狙って登って三等三角点と三枚の山名板がある山頂に着いた。この山名板の前でのツーショットを「夫婦二人の山歩き」のトップページの新しい写真にしようと、色々なポーズで写真を撮った。
(境界柵跡に沿って登る)
(夫婦山山頂)

山頂からは西や北の展望は立木に遮られてあまり良くないが、東や南の展望が開けていて月山や女峰山がよく見えていた。
下山は藪こぎしてもしようがないので、踏跡がしっかりしていた登ってきた道を下ることにした。途中、夫婦岩のところで下の小さな岩まで下って別のルートを探ってみたが、ツツジの物凄い抵抗にあって、もとの道に追い返された。
(栗山ダムと月山)
(大笹山越しに赤薙山と女峰山)

夫婦山から無事下山して気分良く帰路についたが、時刻はまだ14時半、まっすぐ帰るにはまだ少し早い。朝気になりながら通り過ぎた日向記念公園に立ち寄って満開の桜を眺めた。
また、朝は龍王峡ラインを走ったが、帰りはR121に入って龍王峡に寄道し、下の渓谷まで下って「五龍王神社」にお参りし、「虹見の滝」や白龍峡の眺めを楽しんだが、夫婦山の後では、ここの200段近い石段の上り下りがきつかった。
(日向記念公園のサクラ)
(龍王峡)



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