X55.立岩

1.動 機
西上州の立岩は去年の毛無岩への途中からや、先月の碧岩・大岩から、その岩峰を眺めて登らなければならない山になっていた。個人では尻ごみしたい山だが、水戸アルパインの5月例会の計画に入って、いつもの仲間とゆっくりと楽しく登ることが出来た。

2.データ
a)山域:立岩(1265m)
b)登山日:2010/05/16(日)晴
c)コースタイム:
(往路バス)日立自宅 4:45 = 4:55 日立電鉄南営業所 5:00 = 5:10 東海駅 5:20 = 5:35 那珂駅 5:40 = 5:55 水戸駅 = 6:20 水戸IC = 6:45 桜川PA 6:55 = 7:35 佐野IC = 8:05 太田桐生IC = 8:15 波志江PA 8:25 = 8:55 下仁田IC = 9:15 オアシス南牧 9:25 = 9:50 線ヶ滝駐車場
(歩行)線ヶ滝駐車場 10:05 ---- 10:15 中級登山口 ---- 11:05 ガレ場下 ---- 11:30 鞍部(昼食) 11:50 ---- 12:05 西立岩 12:30 ---- 13:25 荒船分岐 ---- 13:40 威怒牟畿滝 13:55 ---- 14:00 荒船分岐 ---- 14:10 水場 ---- 14:40 線ヶ滝駐車場 ---- 14:45 線ヶ滝 14:55 ---- 15:00 線ヶ滝駐車場
(守門岳登山ルート)
(守門岳登山ルート標高差)

(帰路バス)線ヶ滝駐車場 15:05 = 16:00 かぶら健康センタ(入浴) 17:00 = 17:05 下仁田IC = 18:00 太田桐生IC = 18:30 佐野IC = 18:35 佐野SA(夕食) 19:05 = 19:45 桜川PA 19:55 = 20:15 水戸IC = 20:40 水戸駅 = 20:55 勝田駅 = 21:10 東海駅 = 21:20 日立電鉄南営業所 21:25 = 21:35 日立自宅
d)同行者:水戸アルパイン会員23名(男11、女12)、和子
e)地形図:1/25000 「荒船山」

3.山行記録
1)バス
朝早く我家を出て、日立電鉄南営業所を5時発のバスに乗った。バスは西上州の細い道を走るために25名定員の小型バスだ。東海駅、勝田駅、水戸駅と仲間25名全員が乗って、ぴったり満員である。キャンセル待ちもあった盛況で、西上州の山の人気がうかがえる。危険個所も多くて単独では登りにくく、リーダに案内してもらえば安心して歩けるというのも参加者が多かった要因だろう。
下仁田ICで高速を降りて、細い道を走って南牧村に入り「オアシスなんもく」で最後のトイレ休憩をして、羽根沢の分岐から「線ヶ滝」の道標に従って更に狭い星尾川沿いの道に入り、さらに吉祥寺の先で左折して星尾部落に入る。バスは家並みの屋根すれすれに走るが、運転手は大して減速することもなくどんどんと走っていった。大上の集落あたりから目の前に聳える立岩の岩峰が見え、車窓からシャッタを押した。
バスは狭い道路で何回も対向車と交差しながら更に奥の線ヶ滝の駐車場まで入った。駐車場には既に5台の自家用車が停まって半分を占拠していたが、バスはその間で方向転換をしてみんなを降ろした。身支度をし準備運動をして10時過ぎに歩き始めた。
(大上からの立岩)
(線ヶ滝駐車場)

駐車場の端に「荒船山登山口」と「立岩登山口」の道標があり、荒船山への道や毛無岩への道が通行不能の注意札もあった。少し歩くと立岩登山道の古めかしい案内板が立っていたが、今回登る予定のガレ場コースは表示されていなかった。「登山者守り地蔵」のところで直進方向に「荒船山3.6km」の道標があり、「荒船山4.2km・威怒牟畿不動1.2km」の道標に従って右に入った。
すぐに現れた小さな沢を丸太の橋で渡り植林の中を沢沿いに歩くと、また次の分岐があり、直進は「イヌムキ不動1.5km、立岩3.0km、荒船山3.9km」、右に「立岩1.8km」「中級者向き(直登)」の道標があった。
ここから右に入ると手入れのいい植林の中の道になり、だんだんと急登になってジグザグに切った登山道になってきた。足元のスミレ、ヒトツバテンナンショウ、ヒトリシズカなどに慰められながら頑張る。
(中級登山口)
(植林の中を登る)

途中、登山道左の礫岩の上に鬼の形をした「人面岩」を通り過ぎると、まわりは始め唐松林、次いで落葉樹の林になり、新緑が陽を受けてまぶしいほど綺麗に輝いていた。
ハルリンドウやウツギを見て岩峰の左の谷間に曲がり込むと長い急坂のガレ場が待っていた。長い鎖がついているが、谷間に堆積した大小の石が重なった登山道で落石が怖い。石を落とさないように気を付けながらゆっくりと登っていった。
(人面岩)
(ガレ場)

100mもあるガレ場を登り切ると、右の岩壁にへばり付くように登る狭い岩場があった。足元に鎖が垂らしてあり、これを掴んで身体の確保をしながら登っていった。
しんがりを歩きながら岩場を登り切ると、ミツバツツジが綺麗に咲いていて、喜んで何枚かシャッタを押していたらレンズが動作しなくなった。どうしたものかともたもたしていたら、上の仲間が心配して「カワモトサーン!大丈夫か」と声が飛んできた。不動作の原因は電池の消耗だったが、迂闊にも予備電池を持っていなかった。仕方なくこれから先は和子のカメラを取り上げて撮り続けた。
(ガレ場から岩場へ)
(狭い岩場)

東立岩と西立岩の鞍部に上がったのは11時半、少し早いが昼食になった。これから先の西立岩山頂部には25人もまとまって座って休むところがないので、ここで昼食をとることになったのだった。
東立岩への道はなく、賑やかな昼食が終わると西立岩に向かって登り始めた。雑木林の中を登ると、目の前に岩峰があり踏跡が伸びていたが、リーダの指示でここはパスして尾根道を進む。樹間から雪をかぶった八ケ岳が見えていた。
一旦小さく下って雑木の間の岩の間のようなところを登っていくと、右に展望台になっている岩山があった。15名も登ると展望台はいっぱいになるとのことで、先を歩いていた半数がそちらに向かい、残りは直進して山頂方向に向かった。
(鞍部で昼食)
(展望岩)

西立岩山頂部ではミツバツツジはまだ蕾のままで、ヒカゲツツジが咲き残っていた。西方面に兜岩から荒船山、毛無岩の山並みが並び、その向こうに物見山、浅間山、八ケ岳が見え、はるかに北アルプスの山々も見えていた。こちらの眺めに気が取られて、南方向の西上州の山々を確認するのを忘れてしまった。
西立岩の山頂も狭くて、集合写真は2グループに分けて撮影した。その先の展望の広いところでは、黒滝山や大屋山の向こうに奥武蔵の山々が見られ、シモンさんから山並みの説明が行われた。
(荒船山と物見山、浅間山)
(西立岩山頂)

展望を楽しんでから下山にかかったが、なかなかの急坂が続き鎖も付いていた。
下って両側が垂直に切れ落ちた狭い痩せ尾根を辿ると、次の岩峰に突き当たった。左を巻く道が付いており、岩峰には登らなくてもよかった。
(下りの急坂)
(岩峰を巻く)

巻き道を通り過ぎるとまた痩せ尾根になり、また次の岩峰に突き当たった。今度の岩峰には巻き道はなく、20mほどの峰のてっぺんに向かって鎖が付けてあった。一人づつ慎重に登っていった。
登り切って振り返ると、後ろに今巻いてきた岩峰の向こうに西立岩が屹立していた。
(岩峰を越える)
(立岩を振り返る)

岩峰を乗り越えるとなだらかな雑木林の尾根歩きになり、気持よく歩いて行った。だんだんと杉の植林になってきたが、手入れがよく行われているので、ここでも気持よく歩けた。
やがて荒船山への分岐があり、これを過ぎて一部倒木や崩落で荒れたところもある登山道を注意深く下っていくと、岩壁の上から雨のように降り注ぐ滝が現れた。滝の流れは風に吹かれて途中で霧のようになって消えてしまっていた。「日本のエンジェルフォールだ」の声があがった。その下の岩棚には壊れた威怒牟畿不動の社があり、これについては下の広場にある東屋の前に説明板が立っていた。1750年の創建で、仏法守護と知恵を授ける神様で、大正初期までは近郷の参拝者が多かったらしい。
(岩峰を越えてから尾根下り)
(荒船分岐からは植林下り)





(威怒牟畿不動と滝)

東屋で一休みして少し下るとまた荒船山分岐があり、左に曲がってどんどん下っていくと、大きな石の墓があったり、ところどころ童子の墓も建っており、こんな山奥まで重い石を持ち上げる昔の人の信心の深さが偲ばれた。途中、水場の道標が立っていたが、泉は枯れていた。
登山口に戻ったのは14時40分、リーダが下見して立てた予定通りの時間だった。25名もの仲間を引き連れて、こんな難所の多い山を予定通りに歩き通した、リーダの計画力、統率力は大したものだが、付いて歩いた仲間の熟練度もこれまた素晴らしい。水戸アルパイン、バンザイ!だ。
登山口には、一旦麓まで下ったバスが出直して来て待っていた。ザックをバスに置いて、みんな空身で線ヶ滝の見物に滝壺まで下りてみた。一直線に流れ落ちる滝は見事だったし、下流側の深い谷間の渓流は素晴らしい見ものだったが、50mの階段を上り下りするのは、立岩を歩いてきた足にはなかなかきつかった。
(線ヶ滝)
(線ヶ滝の下流)

帰途は下仁田IC近くのかぶら健康センタで汗を流し、佐野SAで夕食をとってから往路を走って日立電鉄営業所に21時半ごろ帰着した。


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