X510.浅間山(前掛山)

1.動 機
九大山岳会のOB会関東支部の春の山行が四阿山で行われ、そのまま茨城まで帰るのは勿体ないので、次の日にどこかの山に登ってから帰ろうと検討した。調べてみると、4月半ばに浅間山の危険度レベルが1に下げられて前掛山まで入ることが出来るようになったとのニュースがあり、又とないチャンスなので火山館コースで前掛山まで往復することにし、前日、天狗温泉の浅間山荘に予約をとった。

2.データ
a)山域:前掛山(2524m)
b)登山日:2010/05/31(月)晴後曇
c)コースタイム:
浅間山荘 8:20 ---- 8:50 一の鳥居 ---- 9:10 不動滝 ---- 9:15 二の鳥居 ---- 10:05 火山館 10:15 ---- 10:20 草滑り分岐 ---- 10:35 Jバンド分岐 ---- 11:35 シェルタ ---- 11:55 前掛山山頂 12:05 ---- 12:20 シェルタ(昼食) 12:50 = 13:20 Jバンド分岐 ---- 13:30 草滑り分岐 ---- 13:35 火山館 13:45 ---- 14:20 二の鳥居 ---- 14:35 一の鳥居 ---- 14:55 浅間山荘
(帰途)浅間山荘 15:10 = 15:30 小諸IC = 16:35 波志江PA 16:50 = 17:05 太田桐生IC =(R50)= 19:15 水戸IC = 19:30 日立南IC = 19:40 日立自宅
(前掛山登山ルート)
(前掛山登山ルート標高差)

d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「浅間山」

3.山行記録
浅間山荘は若夫婦とそのお母さんで回っているような宿屋だが、宿全体が清潔で気持のいい山荘だった。前日の四阿山の下山が遅くなって、予定よりも1時間遅く着いても気持よく迎えられて、山菜いっぱいの温かい食事を作ってもらえた。朝も、山登りならと、他の宿泊客よりも30分早く準備してもらって暖かい朝食をいただくことが出来た。
朝から青空が広がっていたが、「最近は朝のうちガスが上がってくるが、昼ごろになると晴れてくる」との話を聞き、朝食もゆっくりと頂いて8時過ぎに宿を出た。宿の子犬と遊んだり、登山届を出したりしているうちに、宿の右手の登山口から歩き始めたのは8時20分になっていた。
(浅間山荘に前泊)
(山荘脇の鳥居が登山口)

鳥居の先に車止めがあり、広い林道を歩いて行くとすぐに橋を渡る。下を流れる蛇掘川を流れる水はまっ茶色で、山荘の温泉の色と同じ色だった。
(三回橋を渡る)
(川はまっ茶色)

3つ目の橋の手前には大きなシダの群生があり、ニュージーランドを思い出させた。その先で川の右岸(川下に向かって)を直進して一の鳥居に行くコースには鎖がしてあり、道も草ボウボウになっていて、入口に立っている道標もこのコースは墨で消してあった。右の橋を渡って左岸の道を歩いて行った。
道の脇にはスミレが咲き、ミツバツツジの紫の花がカラマツ林の新緑の中に映えていた。
(シダの群生)
(ミツバツツジ)

気持よく歩いて行くと、目の前の樹間に荒々しい岩山が見えてきた。地図を見ると牙山と剣ヶ峰という山らしい。
間もなく古びた木の一の鳥居が現れ、ここから道は二つに分かれる。川沿いを歩いて不動滝を眺めて行くことにした。
(樹間に牙山と剣ヶ峰)
(一の鳥居)

岩っぽい道を登って行き、沢を丸太の橋で渡って右岸を歩いて行くとやがて滝の音が聞こえてきて、2段の滝が見えてきた。ここのところ雨も多かったのか、滝壺近くまで入るとなかなか迫力があった。さらに上の滝にも行ってみたかったが、ロープで通せんぼしてあり、和子もきつく制止するので諦めた。
不動滝から急坂を登ると一の鳥居から別れた道と合流した。帰りはこの道を歩いてみよう。
なだらかになった道を歩いて行くと、牙山の岩壁が目の前に迫ってきて迫力満点になってきて、何度もシャッタを押した。
(不動滝)
(牙山の岩壁)

白いオオカメノキがあちこちに咲く斜面をジグザグに登って行くと、目の前が開けてきて、カモシカ平の看板が立っていた。右に牙山、左にトーミノ頭の岩頭を見上げながら歩いて行くと、道にはキジムシロやショウジョウバカマが咲き、ミネザクラの木も花を付けていた。
更に進むと浅間の第二外輪山の砂山も頭を出し、斜面が茶色に染まり、硫黄の臭いが立ち込める源頭部を過ぎるとザレた急斜面になり、向こうに黒斑山(?)の頭も見えていた。入口には「落石注意」とあり、上には今にも落ちてきそうな大石がゴロゴロしていて急いで通過した。
ザレ場を過ぎると牙山の岩壁を真正面から見上げるようになり迫力満点だったが、この頃から少しガスがかかり始めてシャッタチャンスを逃がしてしまった。
(カモシカ平)
(落石注意地点)

坂を登ると木の鳥居と御宮があり、脇に2階建ての火山館があった。室内には浅間山の資料展示もあるようだが、見学は下山時にして、トイレだけ借用して先を急いだ。
お宮にお参りして坂を登っていくと、牙山から剣ヶ峰の岩峰群が並んで見えるようになり綺麗だった。
(火山館)
(剣ヶ峰と牙山)

湯の平口の草すべりの分岐を過ぎると、黒斑山あたりのガスが晴れて岩肌が姿を現し、トーミの頭へのジグザグの道も見えるようになった。当初は、車坂峠から入ってくる計画もしていたのだが、この坂を登り下りするのは我家にはきつ過ぎるなと話し合った。
Jバンド分岐を過ぎると、いよいよ前掛山への登りになるが、登り始めのガレ場にミネズオウがあちこちに群生を作っていて、白い花を一面に咲かせていて綺麗だった。
(トーミの頭と黒斑山)
(ミネズオウ)

前掛山の砂山を見上げると随分と高く見える。見えているのは尾根よりもずっと手前だけで、山頂はもっともっと高いのだろうと思うと気が遠くなる。斜面をひたすら斜めに登って行くが、だんだんと斜度がきつくなり、休み休みゆっくりと登った。気温が低いので汗はかかないが息が切れた。
(第一外輪山の登り)
(だんだんきつくなる)

登る途中でガスが晴れてきて、第一外輪山が全部見渡せるようになった。こうやって眺めていると、浅間山を見ながらあの稜線を縦走するのも良かったかなとも思えてくる。
(第一外輪山(黒斑山から鋸岳のの山並み))

更に登ると志賀高原、草津の山々が見えるようになったが、その右の谷川や日光の山々はいつまでも雲の中だった。
更に登って行くと、昨日登った四阿山も全貌を現し、どの辺りから登ったのだろうかと考えるのも楽しい。
(志賀高原、草津の山々)
(四阿山)

ゆっくり登っても、何人かのグループを追い越すことになる。登りついた先には柵が張られていて、「これより先立入禁止」の札が取り付けてあった。
ここから右に直角に曲がって少し行くと、非常時用の二つのシェルタがあった。シェルタはトンネル型で、一つは鉄板製だが、もう一つはコンクリートで出来た頑丈なものだった。
(立入り禁止)
(シェルタ)

シェルタからは火口越しに前掛山の山頂が良く見えており、火口壁沿いをゆるやかに登って行く。登るにつれてガスがふえてきて、浅間の山頂が見え隠れするようになってきて、下ってくる人に「早くのぼって良かったですね」と声をかけると、にこにこしながら「また晴れてきますよ」と励ましてくれた。
前掛山に近づくと、火口壁が一部蛇掘川と同じ色に染まっているところがあった。浅間山荘の温泉といい、同じ火山噴出成分の所為なのだろうか。
前掛山の山頂に着いたころはガスの最高潮、黒斑山などの第一外輪山は全く見えず、反対側正面の砂山の上に見えると期待していた山頂や噴煙はガスで見えなくなっていた。
(前掛山の火口壁)
(前掛山から浅間山)

ここで昼食タイムにして、晴れるのを少し待とうかとも考えたが、風も出てきて寒い! 気温4℃、風も強いので体感温度は氷点下だ。証拠写真だけ撮って下ることにした。
山頂の少し先は柵で通行止めになっていて、「警戒区域に立ち入ると法律により罰せられます」との看板があった。何がおこっても自己責任だと思っていたが、法律で禁止になっているとは初めて知った。こんな立札は登山口などもっと目立つところに立てておいてほしいものだ。今日も知るか知らずか山頂部の稜線をうろうろと歩いている人が一人見えていた。
(前掛山頂)
(立入禁止札)

昼食は風を避けてシェルタの中でと考えて下ったが、シェルタのトンネルは丁度風の通り道だった。岩陰に陣取って弁当を食べた。
登りではきつかった砂山の急坂も、下りは快調に飛ばして下り火山館で展示品を見ながら一休み。ガスが晴れてきて牙山の岩肌に日が当って一段と迫力が増していた。ロッククライミングをしたいわけではないが、今日一番気になった山だった。
二の鳥居からは、不動滝に下るルートは止めにして、上のルートを選んだ。一の鳥居までトラバース気味になだらかに下る道が続いて歩きやすかった。
(牙山)
(下りは不動滝を避ける)

無事浅間山荘まで下り、気温が低くて余り汗もかかなかったので、予定していた入浴も止めにして帰途に着いた。
チェリーパークラインをくねくねと下り、小諸ICから高速に乗り、北関東道の波志江PAで時間調整の休憩をして太田桐生ICで通勤割引でR50におりた。ここから最短コースを選んで走ったら、一度もガソリン給油しないで19時40分我家に到着できた。


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