X102.黒部峡谷の下の廊下

2日目:水平歩道(阿曾原温泉〜欅平駅−(電車)−黒薙駅〜黒薙温泉)
阿曾原温泉 6:45 ---- 7:20 峠 ---- 8:00 水平歩道始まり ---- 8:35 折尾の大滝 8:50 ---- 9:45 大太鼓 ---- 10:05 志合谷トンネル通過 10:10 ---- 12:00 水平歩道終り ---- 12:20 鉄塔 ---- 12:45 欅平駅 13:31 ---- 14:20 黒薙駅 14:25 ---- 14:40 黒薙温泉(泊)

昨日の黒四ダムから阿曾原温泉までの道を旧日電歩道。さらに北へ続く欅平までの道は水平歩道と呼び分けられているようで、今日は水平歩道を歩く。

早立ちの人達は昨夜のうちに渡された弁当を食べて出て行き、静かになった食堂で6時からの暖かい朝食を頂いて6時45分に歩き始めた。
まだ食事をしている人もいるテント場を通過して、沢を二つ渡るとすぐに急登になった。
(テン場を通って)
(沢を渡って)

小屋から見えていた鉄塔の高さまでジグザグにのぼっていく。
平らになった道を歩くと樹間に、阿曾原温泉の山小屋や湯気を上げる露天風呂が見えていた。
(鉄塔近くまで登って)
(歩いて)

梯子を下るといよいよ水平歩道が始まった。今日の水平歩道は昨日の日電歩道ほど足場の悪いところが少ないとのことで、ハーネスは付けないで歩いた。
(下って)
(水平歩道)

この水平歩道は上り下りは少ないが、尾根筋で出っ張り、谷間で大きく引っ込むので、阿曾原から欅平まで直線距離は5kmほどだが、歩行距離は13kmにもなる。折尾谷や志合谷では向かいの絶壁上にこれから歩く水平道が見えているが、歩いても歩いても何時までも折り返し点に着かなくて気分的に疲れた。
折尾谷の少し手前の谷に見事な滝「折尾の大滝」があって、滝を見上げながら一休みした。
折尾谷にはコンクリートで作られた砂防堰があって、道はこの堰の中に作られたトンネルにつながっている。珍しいトンネルと通ったが、この暴れ沢に道を作ってもすぐに崩れてしまうのだろう。
(折尾の大滝)
(折尾沢は砂防関の中を通過)

水平歩道は日電歩道ほどの断崖絶壁ではなくて、下や上に樹木が多く、黒部川がはるか下に見えていても余り恐怖感は湧いてこない。その分、見どころも少ないわけで、黄ばみ始めた紅葉を眺めたりしながら歩いて行った。
平らな道に気持にゆとりが出て来た女性陣は揃って歌を口ずさみ始めた。綺麗な歌声が谷間に響き渡って、男性陣の気持も安らげてくれた。
(樹木が多い水平道)
(ところどころに黄葉も)

水平道をどんどん歩いて行くと、出っ張った岩壁をコの字型に通路を彫った大太鼓と名づけられたところに着いた。ここの下には樹木はなくても黒部川は遥か下で、遠すぎてあまりよく見えない。
大太鼓展望台とあり、向かいに国内最大の岸壁「奥鐘山」が望める。スラブは急峻で他を圧する見事な壁、リーダはここを登った事もあると言う。
(どこまでも水平)
(大太鼓)
(奥鐘山の岩壁)

次の谷間は志合谷という崩壊した岩石が堆積した急勾配の谷間で、崩落地の下に作られたトンネルを通って通過する。長さ150mのトンネルで、明かりはないので中は真っ暗、ヘッドランプを頼りに歩いて行く。岩壁にある何かの成分が光を反射してキラキラと光って、とても綺麗だった。足下には湧き水が流れており溝は掘ってあるが、通路にも溢れた水が流れていてジャブジャブと強行突破する所もある。内部は鋼鉄で補強してあるが、素掘りのところもあって身をかがめないと頭を打ちそうで恐る恐るゆっくりと歩いて行った。通過に5分以上かかった。

(志合谷のトンネル)


(トンネル入口)
(トンネル内部)

志合谷のトンネルを通過すると、歩いてきた対岸の絶壁が綺麗で水平道がまっすぐ掘られている様が面白かった。トンネルは次の蜆谷にもその先にも短いものがあった。
歩くにつれて目の前の奥鐘山がますます近く大きくなってきた。
(志合谷対岸の水平道)
(短いトンネルも;蜆谷)

やがて、奥鐘山の肩に白馬や鹿島槍が望めるようになって、みんな大喜び。とはいえ、景色に見とれていて道から落っこちたら命が無くなる。立ち止まって針金に掴まって眺めた。
(展望良好、でも脇見は出来ません!)

(白馬三山と不帰のキレット)
(八峰キレットと鹿島槍・爺ヶ岳)

欅平にある赤い橋が近くに見え、アナウンスも聞こえてくるが、まだまだたっぷり時間かかるという。
しばらくすると笹が生い茂る原っぱに出て、次いで、突然急な下り坂となった。標高差300m、黒三発電所の鉄塔下を通って下ると、眼下に欅平駅の賑わいが見えて来た。
(長い下り)
(欅平駅到着)

12時45分駅に下りて乗車券売り場に行くと、14人まとまって乗れるのは13時31分の電車だと言う。少し欅平で時間を取って、付近の猿飛峡など散策もしてみたかったが、黒薙温泉の湯にも早く入りたい。13時31分の切符を買って、いい臭いを立てている立ち食いそばを食べようとみんなで並んだが、行列が長く店員は二人だけ、間に合いそうにもないので、それぞれソフトクリームなどで間に合わせた。
オープンの電車に乗ると少々寒いが、周りの景色が色々と見えて楽しかった。黒部川第三発電所や第二発電所があり、出し平ダムでは黒部ダムで見ることが出来なかった放流を眺めることが出来た。宇奈月から登ってくる電車の乗客と手を振り合うのも楽しい。
(欅平駅でトロッコ電車に乗る)
(出し平ダム)

コンクリートの水路橋を眺めて青い後曳橋を渡ると黒薙駅だった。全員の着替えを入れた段ボールを駅止めで頼んでいたのだが、駅員が黒薙温泉に連絡したら引き取って行ったという。親切な宿屋である。
温泉には駅から階段を50mほど登る。今日は大して歩かなかったのに「温泉に行くのにこんな登りがあるなんて聞いてなかったよ」と喧しい。
(黒薙駅)
(黒薙駅から石段を登る)

渓流と水路橋や後曳橋のコントラストを楽しみながら歩き、登った分下ると15分程で14時40分黒薙温泉に着いた。
(20分歩く)
(黒薙温泉到着)

黒薙温泉には男女別の内湯と、そのそばの露天風呂、少し離れた大露天風呂がある。今日は時間がたっぷりとあるので、先ずは内湯でしっかりと身体を洗ってから、男女時間切替制の二つの露天風呂にも入って、黒薙温泉を堪能した。
川魚や山菜でいっぱいの夕食を頂いて、ビールを飲みながら山談議に花を咲かせてから広い部屋でゆったりと眠りに着いた。宿のすぐ裏の黒薙川に2mの堰があり、滔々と流れる水の音が一晩中鳴り響いていて、眠りを妨げられたとぼやく仲間が多かった。部屋には耳栓を売っていますとの表示があったが、地響きのようなこの音が耳栓で防げるのだろうか。
(ゆったり露天風呂)
(騒音源の堰)



3日目:帰宅(黒薙−宇奈月−北陸道−上信越道−志賀高原−関越道−北関東道−水戸)
黒薙温泉 9:25 = 9:45 黒薙駅10:13 = 10:40 宇奈月駅 11:05 = 11:25 黒部IC = 12:10 名立谷浜PA(昼食) 12:45 = 13:25 野尻湖PA 13:30 = 13:45 信州中野IC = 志賀高原道路 = 17:30 渋川伊香保IC = 17:55 波志江PA 18:00 = 18:15 太田桐生IC = 18:55 佐野藤岡IC = 19:10 佐野SA(夕食) 19:35 = 20:15 桜川RP 20:20 = 20:35 水戸IC = 21:05 水戸駅 = 21:25 勝田駅 = 21:50 日立電鉄南営業所 21:55 = 22:05 日立自宅

朝一番のトロッコ電車は黒薙駅10時13分発だ。7時半の朝食を頂いて、また露天風呂に入って出発した。早めに黒薙駅に着いて後曳橋を電車渡る度にシャッタを何度も押した。
黒薙駅から宇奈月駅までは30分足らずだが、トロッコからの眺めは色々と変化して面白かった。赤い頭巾をかぶせられた大きな石があったり、乗客から餌がもらえるのか猿の集団がたむろするする所もあった。
(後曳橋を渡るトロッコ電車)
(お猿さん)

線路すぐそばにあった新柳河原発電所の建物はヨーロッパの古城を思わせるたたずまいだった。宇奈月に近づくと、宇奈月ダムの堰堤と赤い鉄橋の取り合わせが綺麗だった。
(新柳河原発電所)
(宇奈月ダム)

宇奈月駅に到着して駅前の売店でみやげ物を買い込み、待っていた日立電鉄のバスに乗り込んだ。まっすぐ帰るのは勿体ないので、途中志賀高原に立ち寄って横手山の紅葉を楽しもうと話し合って出発した。
北陸道の名立谷浜のPAで名物ラーメンの昼食を食べて、信州中野ICから志賀草津道路を走ったが、志賀高原に近づくと横手山の山頂は雲の中だった。山頂の焼き立てパンを食べるのは諦め、紅葉も車窓観光だけにして通過し、草津や中之条の土産物屋で試食をしながらまたお土産を買い込んで茨城に帰ってきた。
(志賀高原の紅葉)




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