X112.尾出山から高原山へ
(栃木県の山ピークハント)

1.動 機
ヤマケイ分県登山ガイド「栃木県の山」初版に52の登山ルートが紹介されており、登ったルートを数えてみたら38ルートあり、残っているのは14ルートだけだった。これだけなら「茨城県の山」「福島県の山」に続いて「栃木県の山」も完登することを目標にしようと、我家のピークハント癖が出て話が決まってしまった。手始めに、比較的近くて紅葉も綺麗そうな「尾出山おでやま」と「南平山なんたいらやま」を一泊二日で歩いてきた。「丹勢山たんぜやま」も目論んでいたが、出かけてから「龍王峡ハイキング」に入れ替わった。先ずは「尾出山から高原山への縦走コース」を紹介する。

2.データ
a)山域:尾出山(933m)、山田山(825m)、高原山(754m)
b)登山日:2010/11/06(土)晴
c)日程:
日立自宅 7:45 = 7:55 日立南IC = 8:50 栃木IC = 県道32 = 県道199 = 9:50 寺沢林道路側 10:05 ---- 10:20 広場 ---- 10:40 沢分岐 ---- 11:10 嶽ノ越 ---- 11:40 尾出山(昼食) 12:20 ---- 12:40 嶽ノ越 ---- 13:00 山田山(・825)---- 13:45 高原山 13:50 ---- 14:00 #186鉄塔 ---- 14:15 #187鉄塔 ---- 14:30 作業道出合 ---- 14:45 寺沢林道路側 14:50 = 16:40 鬼怒川温泉国民宿舎(泊)
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「中粕尾」「ヤマケイ栃木県の山No.40」
(尾出山−高原山縦走ルート)

(尾出山−高原山縦走ルートの標高差)


3.山行記録
アクセス
いつもより少し早起きして朝食を済ませ、7時45分に我家を出発、日立南ICから高速に乗り、常磐道、北関東道、東北道と100kmを走って栃木ICで高速を下り、県道32のコンビニで昼食を買い込んで県道199に入った。その先には三峰山が左に見えだし、セツブンソウを楽しんだ星野四季の森があって、綺麗だったセツブンソウやロウバイを思い出した。県道199は田舎道で、ところどころ狭くなり、行き交うダンプカーと道の譲り合いをしながら走って行った。
尾出山神社の石碑のある分岐点に来て右に曲がって進んだが、すぐに「与州」のバス停が目に入った。ガイドブックでは尾出山登山口のある永野林道は「与州平」の手前左の橋を渡った先だとあり、国土地理院の地形図では永野林道分岐の先に「与州」の字がある。何か勘違いしたかと尾出山神社の分岐点まで引き返してマゴマゴしていると、土地の奥さんが運転するミニカがやってきて道をたずねた。「与州」と「与州平」とは別物で、「与州平」のバス停はまだまだ奥に入って民家もなくなる所にあると教えられた。
引き返してきた道を走りなおして奥まで入り、「与州平」のバス停を確認してから少し引き返して橋を渡った。橋の先には草ぼうぼうの林道が待っていた。車の底はもちろん、両側も茂った草や雑木でガサガサと叩かれながら走って行く。草地を過ぎても路面は一般車では底を打ちそうなほどのデコボコ道、和子が「間違いなく永野林道に入ったのかどうか心配だ」と騒ぎだし、ポケナビを取りだして尾出山や高原山との位置関係から間違いがない事を確認して安心して頂く。
交差用の広場もない狭い道がどこまでも続き、対向車が来たら何百メートルもバックしなければならない。心配しながら1.5kmも入って行くと左に分岐する林道があった。看板には造林用の作業道で一般車進入禁止とあった。分岐点に「左高原山、右尾出山」の道標があり、やっと最終的に安堵した。この分岐点の少し先に3台ばかりは止められそうな広くなったところがあり、一台の車が停まっていた。

尾出山から高原山へ
先着車の隣に車を入れ、身支度を整えて林道を歩き始めた。周りは杉の植林だが綺麗に手入れされており、左下に寺沢川の清流の音を聞きながら気持よく歩いて行った。15分歩いたところに広場があり、「与州自然環境保全地区」の大きな看板にはニホンサルやシカ、ノウサギが生息しているとあった。広場から先、道はどんどんと悪路になり、だんだんと斜度も急になってきて、林道歩きとはいえ汗が滲んできた。
広場から更に20分歩いた先で沢が二股に分かれていた。ここに「尾出山登山口」の道標があり、道標に従って左に下って寺沢川を石伝いに徒渉した。
(寺沢林道路側に駐車)
(寺沢林道を1.5km歩く)

登山道は左の枝沢沿いに細い道が伸びていた。始め沢の右(下流から見て)の崖のような斜面をへつるが、急斜面に作られた道は狭く、しかもザレていてうっかりするとズルッと谷間に転げ落ちそうだ。危なっかしさは先日の下の廊下よりも厳しい。落ちても命に関わることはなさそうだが、十分に痛い目に合いそうだ。道に沿って張られた細いロープに手を添えながら慎重に歩を進めていった。
それでも歩けなくなるほどの崖に突き当たると、沢を渡って対岸をへつる。
(枝沢沿いを右に左に渡りながら)

何度か徒渉を繰り返すと沢は消えてなくなり、向かいに急斜面が立ちはだかった。ガレた急斜面をジグザグに登って行くと、暗い植林の中に右「尾出山ニ至ル」の道標があった。地形図の嶽ノ越である。
道標の上に「狩猟鳥獣捕獲禁止区域」の看板があり、(シカを除く)の但し書きが面白かった。鹿の食害にはどこでも困っているのだ。
(急斜面)
(嶽ノ越を右折)

峠から尾出山山頂への登りもきつかった。なかなかの急斜面が続いて、ガレていたり、岩場だったり、たっぷりと汗を絞られた。周りの樹木が植林からナラやクリの木に変わり、一面明るい黄葉になって慰められた。ツツジの木も多く、花の時期にも楽しそうだった。
(ガレ場や岩場の急斜面を登る))

登り着いた山頂からは樹間に周りの山々が見渡せたが、葉がまだ茂っていて展望は今一つ、苦労して雪をいただいた奥白根山の写真を撮った。山頂には二等三角点の他に、この山で修業したと言う勝道上人修業第二宿堂跡の石碑や山の神の石祠があり、「栃木の山紀行」と「栃木百名山61座」の山名板があった。
誰もいない山頂で、コンビニで仕入れた昼食をいただいていると、単独行の男性が登ってきた。男性は鹿沼の在でこの山には何回も登っており、高原山を変わったルートで攻めていて時間がかかったとのこと。駐車場所に先着していた車はこの男性のものだったようだ。
男性は栃木百名山は栃木の新聞社が募集して決めたもので、山名板のNoは標高順だと教えてくれた。鹿沼の山は、他のところに比べて手入れが悪くて申し訳ないと謝っておられた。
男性と山頂の証拠写真の撮り合いをしてから下山にかかった。
(奥白根山)
(尾出山山頂)

峠までの下りは急坂だが、下るのはらくちんだ。黄葉を楽しみながら快調に下っているとき、登ってくる単独行の男性に二度出合った。
嶽ノ越辺りが平らで踏跡が定かでなくなってきて、一番目立つ踏跡を辿ったら、どんどんと下る道になった。気が付くと高原山への稜線が随分と高く見えていた。
慌てて少しだけ引き返し、峠までは引き返さないで尾根に沿う道を進んで行ったが尾根には上がりそうにない。途中から尾根に向かって急斜面を強引に登って軌道修正をした。5分ほどのロス。
(下りは紅葉を楽しむ)
(秋山への道に迷い込む)

次の・825mピークに登って行くと、後ろの樹間に尾出山の立派な山容が見えるが、やはり雑木の葉が茂っていて写真にはならない。登り切ったピークには「山田山」と書いた古い山名板が取り付けてあった。
ここから次の大久保の頭まではなだらかな稜線歩きが続いた。右半分はヒノキの植林だが、左側は雑木林で明るい黄葉が気持ちいい。
(825m峰の山田山)
(なだらかな尾根道)

大久保の頭からは急斜面の下りになりジグザグに下ったが、高原山の登りはまた気持のいい緩やかな尾根道になった。なだらかに登った山頂には三等三角点と「栃木の山紀行」の山名板があり、その下で証拠写真を撮った。
山頂から振り返ると、尾出山と山田山が樹間に綺麗に見えていた。この山行で初めてまともに見ることが出来た山並みだった。
ここで、尾出山山頂からの下りで出合った男性が追いついてきて、下り道を確認してきた。鉄塔まで下ってから左に下ると案内したが、歩き方はなかなかの健脚者だった。
(高原山山頂)
(山田山と尾出山を振り返る)

高原山から急斜面を少し下るとすぐに鉄塔の広場になり、鉄塔が延々と続いているのが見渡せた。東電の指導標柱には「185号に至る」の表示があり、それならこの鉄塔は186号か184号か?
(急斜面)
(#186鉄塔から)

ここからは鉄塔点検路の道になり、はっきりとした整備された道を歩いた。急斜面でも茨城の東電の点検路で見られる黒いプラスチックの階段がないのが不思議だった。同じ東電でも管轄が違うのだろう。道は整備されているが、周りのヒノキはまるで手入れされていない死んだ植林地であまり気分が良くない。
次の鉄塔からの下り道は下って来た道の方に折り返すように付いており、指導標柱には「186号に至る」の表示があった。この方向は下り道を示しているのか上り道を示しているのだろうか。どうでもいいことが気になったが、一応、東京に近い方を若い番号にして、この鉄塔を#187、上の鉄塔を#186としておこう。
(鉄塔点検路)
(#187鉄塔)

ここからは急斜面をジグザクに下る道になり、下り切ると小さな沢を渡る。沢を渡って少し登り帰すと林道に出た。永野林道から分かれて来た作業道である。15分歩いて林道に出て、分岐近くの駐車場所に戻ると残っている車は一台もなかった。
(小沢を渡って)
(作業道)

靴を履き替えて、朝入ってきた荒れた狭い林道を引き返したが、幸い今度も心配した対向車には出合わないで済んだ。県道からR121に出て北上し、今夜の宿の鬼怒川温泉に向かった。今市からは対向車が連なっており、明日南平山に登ってから丹勢山に登るためにこの道を走って来るのは時間がかかりそうだ。明日は丹勢山は欲張らないで、龍王峡をゆっくりと散策しようという和子の提案を受け入れることにした。
永野林道の駐車場所から2時間走って鬼怒川温泉の国民宿舎に入り、暖かい温泉で汗を流し、盛りだくさんのご馳走を頂いて幸せな夜を過ごした。


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