X113.南平山と龍王峡
(栃木の山のピークハント)

1.動 機
ヤマケイ分県登山ガイド「栃木県の山」初版に52の登山ルートが紹介されており、登ったルートを数えてみたら38ルートあり、残っているのは14ルートだけだった。これだけなら「茨城県の山」「福島県の山」に続いて「栃木県の山」も完登することを目標にしようと、我家のピークハント癖が出て話が決まってしまった。手始めに、比較的近くて紅葉も綺麗そうな「尾出山おでやま」と「南平山なんたいらやま」を一泊二日で歩いてきた。「丹勢山たんぜやま」も目論んでいたが、出かけてから「龍王峡ハイキング」に入れ替わった。前回の「尾出山から高原山への縦走コース」に続いて、今回は翌日歩いた「南平山と龍王峡」を紹介する。

2.データ
a)山域:南平山(1007m)、龍王峡(450m)
b)登山日:2010/11/7(日)晴
c)日程:鬼怒川温泉国民宿舎 7:50 = 8:10 川冶元湯駅 8:20 ---- 8:30 黄金橋 ---- 8:45 登山口入口 ---- 9:10 鉄塔 ---- 9:50 休憩舎 ---- 10:05 南平山山頂 10:35 ---- 11:15 鉄塔 ---- 11:30 登山口入口 ---- 11:40 県道23交差 ---- 11:50 逆川トンネル ----(渓流散策コース)---- 12:20 浜子橋 ---- 12:55 白岩半島(昼食) 13:20 ---- 13:50 むささび橋 14:00 ---- 14:20 虹見橋 14:30 ---- 14:45 龍王峡駅 14:56 = 15:05 川冶元湯駅 15:15 =15:40 日塩もみじライン富士見台駐車場15:50 = 16:05 もみじライン料金所 = 18:15 道の駅馬頭 18:20 = 19:00 常陸大宮レストラン 19:30 = 20:10 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「川冶」
(南平山-龍王峡ハイキングルート)

(南平山-龍王峡ハイキングルートの標高差)


3.山行記録
(南平山)
鬼怒川温泉の宿で早めに用意してくれた朝食を頂いて8時前に出発し、R121を北走して川冶元湯駅に車を置いて歩き始めた。龍王峡を歩いてから電車でここまで帰ってくるつもりだ。駅前広場には大きな観光案内図があり、南平山まで3時間とあった。龍王峡まで歩くとすれば急がなければならない。
冷たい風に震えながら駅から車道を10分歩いて運動公園まで来ると、鬼怒川を渡る青いペンキで塗られた大きな橋が見えた。黄金橋という名前から金ぴかの橋を想像していたので意外で、他に橋がないかと見渡したが他に橋は見当たらない。橋の渡り口には「小網ダム遊歩道」「あじさい公園遊歩道」の他に「南平山登山道」の道標もあって一安心。
(川冶湯元駅)
(黄金橋)

黄金橋を渡ると「あじさい公園」の案内図があり、書き足しで「南平山まで4.5km徒歩2時間30分」「龍王峡まで約6km徒歩3時間」とあった。今はアジサイにも魅力なく、先を急いであじさい公園には入らず山沿いの道を進んだ。
黄金橋から15分で南平登山道への分岐点(登山道入口)に着くと、登山道の案内板があり、南平山は平家落人の黄金埋蔵伝説が伝わる山との説明があり、山頂まで3024mと細かい数値と(山頂まで3kmの道標の位置から考えると、これは3240mの間違い)、片道2時間30分、往復5時間とあった。そばには「クマが出没しています。通行時には充分注意し「音」の出る物を携帯してください」の真新しい立札もあった。りんりん鈴をザックに付けて歩き始めた。
枯葉散り敷く道を登って行くと、間もなく砂金袋の絵が付いた「山頂まで3.0km」の道標があり、同じ道標が山頂まで200mごとに立っていた。
(登山道入口の案内板)
(200mごとの道標)

登山道入口から500m、10分ほど歩くと鉄塔の下に着いた。向かいの山の紅葉が綺麗だった。この鉄塔の手前に右下から登ってくる道があり、川俣温泉への道から登ってくる登山道で、今日のうちに丹勢山にも登る積りの時には、ここから歩き始める積りだった。往復で2時間近く短縮できるのだ。
鉄塔を過ぎて歩くと斜度がきつくなったが、登山道は大きくジグザグに切ってあって歩く道の斜度はあくまでもなだらかである。周りは黄葉が太陽を受けて眩しいほどに綺麗だが、右に左にと延々と続く九十九折りの登山道は変化がなくて少々辟易としてくる。
(鉄塔からの紅葉展望)
(黄葉の中をジグザグに)

山頂まで800mの所に立派な休憩舎があったが、休む気分でなく通過した。
登り切った山頂には、色々な山名板がぶら下がっており、栃木百名山59座の札もかかっていた。
黄金埋蔵伝説の説明板もあり「約800年前、源平の戦いに敗れた平家の大将米沢淡路守は、一党をひきつれ鬼怒川を逆のぼり、谷筋を一望する南平山山頂に逃げのびました。しかし源氏の追討の手はやまず、さらに奥の川俣・湯西川まで落ちのびる際に、平家再興のために貯えていた金銀の財宝や漆を南平山のどこかに埋めたといいます。この財宝の埋蔵場所をときあかすカギとして「朝日さす夕日輝くこのおかに漆千杯、黄金千杯」という歌が伝えられています。藤原町」と面白い話が書いてあった。伝説を信じて宝探しをした人が大勢いるかも。
(休憩舎)
(南平山山頂)

山頂からは、東に釈迦ヶ岳が大きく見え、少し南に行ったところからは、南に月山の上に女峰山や大眞名子、奥白根山を望むことが出来た。
(釈迦ヶ岳・高原山)
(日光の山)

下りは黄葉が朝よりももっと輝いてきて気持よく、ジグザグ道を気持よく下った。ところどころでショートカットしながら。
このころから登ってくる人が多くなり、途中でお休み中の団体さんもあった。疲れた顔つきで「あとどれくらい」と聞かれ、「あと1km、30分ですよ。頑張って!」と励ます。
(下りは黄葉が綺麗)
(団体さんも登ってきた)

登山道入口まで下りついたのは11時半、ここから登り始めて2時間45分実歩行時間2時間15分、分県ガイドの2時間半に近い。看板の5時間の時間表示はいかにも長すぎるようだ。

(龍王峡)
南平山登山道入口から鬼怒川沿いに整備された遊歩道が南に向かって伸びており、木の橋を渡って歩いて行くとやがて道は川から離れてきて、民家のある明るい広い道になってきた。右に南平山らしき山並みが見えたが、ジグザグに下ったので方向音痴になり、どれが南平山か定かにできなかった。
10分も歩くと広い車道と交差し、案内板によると小網大橋を渡ってR121に繋がる県道23号だった。龍王峡までは5kmとあった。龍王峡遊歩道はこの県道を跨いで先にあり、遊歩道とはいえこれも広い道で、向かいから頻繁にハイカーがやって来るようになった。朝適当な時間に龍王峡駅を出発して歩き始めると、今頃丁度この辺りに着くころなのだろう。
県道から遊歩道を10分歩くと暗いトンネルになった。1973年建設の逆川トンネルだった。このまま車道を歩いて行かなければならないのかと思っていたら、三つ目のトンネルの入口に、龍王峡遊歩道渓流散策コースの立札があり、左の渓流側に下る道があった。本来は国有林管理道として作られた700mの道を一般者通行可として整備して解放しているようだった。
(龍王峡へ向かう)
(逆川トンネル)

遊歩道は岩っぽいところがあったり、丸太の階段があったりして、観光客にはきつそうなところも多かったが、若者や老夫婦など多くの人が歩いていた。
何か謂れがあるのか、炭焼き窯の跡もあった。
(渓流散策コース)
(炭焼き窯跡)

途中、コースの遊歩道から外れて渓谷沿いの岩場に出ると、山の紅葉と渓谷の清流のコントラストがいいところが何か所もあって、なかなか歩が進まない。
(渓流散策コースからの眺め)

散策コースを進むとトンネルの先の遊歩道に戻った。すぐに急坂を下ると浜子橋があって、橋の上からの眺めが、清流に洗われた岩の連続でまた素晴らしかった。
(浜子橋)
(浜子橋からの眺め)

浜子橋で対岸に渡るとR121に上がる道になるが、ここにも「国有林管理道・一般者通行可」の立札があって渓谷沿いに遊歩道が分かれていた。
ここから観光客がますます多くなり、団体さんや家族ずれもやってくる。狭い橋や木道も多く、急がない我が家は手前で待ってやり過ごす。疲れてぐずりながら歩く子供には「ジジババも頑張っているから、僕も元気出して」と困りはてている若夫婦を応援する。
(浜子橋からは家族連れが多くなった)

遊歩道は白岩半島のところで渓流にそって大きく蛇行する。白岩という名前は岩の多いこの辺りの地層を表しているのだろうか。
半島の先端あたりで河原に下りて昼食にした。暖かい陽のあたる場所を選んで食べ始めたのだが、1時を過ぎるともう太陽が山の頂きに隠されて日影になってきた。紅葉の渓谷美を堪能するには、正午近くを狙って歩くのがよさそうだ。これから先の龍王峡渓谷美の真髄部分は日影で鑑賞することになった。
(白岩近く)
(白岩半島の河原で昼食)

白岩半島の付け根に入ると、またR121への分岐があり、分岐点に龍王峡遊歩道の案内図があった。ここから先、紫竜峡、青竜峡、白竜峡と龍王峡の真髄が続く。龍王峡には今年5月、月山・夫婦山のアカヤシオ見物の帰りに立ち寄って見物したが、その時歩いたのは、この案内図のほんの右端部分だけだったのだ。龍王峡の広さを実感した。
(龍王峡の案内板)

ここからは遊歩道沿いに色々な説明板が並ぶようになり、甌穴群の「かめ岩」、下に穴が開いた「五光岩」、兎が飛び越えられるほど川幅が狭くなった「兎はね」など一つ一つ立ち寄ってみる。
(かめ穴)
(五光岩)

圧巻は「大観」の岩場から眺める龍王峡の渓谷美だった。峨峨とした岩の連なりと清流とは、まさに自然が作り出した芸術品だった。日当たりの具合が悪くて、残念ながら私の撮影技術では表現できなかったが。
(大観からの眺め)

中間点に立派なトイレと茶店があり、そこから下ったところがむささび橋。ここからの眺めも、大観に負けない美しさだった。
(兎はね)
(むささび岩)

(むささび橋から上流側展望)

(むささび橋から下流側展望・虹見橋が見える)

むささび橋からは渓谷の左右両側に遊歩道があるが、対岸に渡って虹見橋まで歩いた。紅葉の綺麗な遊歩道が続き、対岸にはすだれのような微妙な滝が何本も流れ落ちていて綺麗だった。
虹見橋まで来ると、駐車場の真下なので観光客がごった返していて賑やかだ。
(対岸のすだれ滝)
(虹見橋)

今年5月に歩いた時を思い出しながら、竪琴の滝や虹見の滝を眺め、五龍王神社にもお参りして龍王峡ハイキングを締めくくった。
(竪琴の滝)
(虹見の滝)

(帰路)
龍王峡駅から電車に乗って川冶元湯駅に戻り、駐車場に停めてあった車に乗って帰路についた。時刻はまだ15時過ぎたばかり、高速は止めにして、紅葉鑑賞を期待して日塩もみじラインを走って帰ることにした。
期待にたがわず、もみじラインの紅葉はまっ盛り、夕陽を受けて美しかった。ところどころ路側に車を止めては眺めながら帰った。
(走りながら)
(富士見台駐車場)

(途中臨時駐車)

「行きは良い良い帰りは怖い」塩原の街に入ってからは大渋滞。道の駅塩原まで1時間かかった。道の駅塩原に出入りする車がスピードを落とすための大渋滞だった。千本松牧場前でも少し渋滞したが、あとは快調、常陸大宮のレストランで夕食を食べて我家に20時過ぎに無事帰着しました。


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