X121.稲含山と御堂山(MAC忘年会)


1.動 機
水戸アルパインクラブの今年の忘年山行は西上州の山になり、一日目が稲含山、二日目が御堂山、忘年会は磯部温泉の雀のお宿で賑やかに行われた。山は2座とも標高は大したことなく西上州として岩場も少なかったが、結構登り甲斐のある山であった。

2.データ
a)山域:稲含山(1370m)、御堂山(878m)
b)登山日:2010/12/04(土)晴、05(日)晴
c)日程:
12/04:日立電鉄南営業所 = 水戸IC = 富岡IC = タクシ乗換 = 神の池公園 ---- 赤い鳥居 ---- 稲含山 ---- 二の鳥居 ---- 神の池公園 = タクシ = バス乗換 = 磯部温泉(泊)
12/05:磯部温泉 = 藤井関所跡 ---- 御堂山 ---- 藤井関所跡 = 荒船の湯(入浴) = 下仁田IC = 水戸IC = 日立電鉄南営業所
d)同行者:水戸アルパイン会員18名(男10、女8)、和子
e)地形図:1/25000 「下仁田」「神ヶ原」「荒船山」「南軽井沢」

3.山行記録
1日目(12/04):稲含山
アクセス
日立自宅 4:20 = 4:30 日立電鉄南営業所 4:40 = 4:55 勝田駅 = 5:35 水戸駅 = 6:05 水戸IC = 6:30 桜川RP 6:40 = 7:25 佐野藤岡IC = 7:55 太田桐生IC = 8:10 波志江PA 8:20 = 8:40 甘楽PA 8:50 = 8:55 富岡IC = 9:05 富岡市タクシ 9:10 = 9:50 神ノ池公園
山行
神ノ池公園 10:00 ---- 10:20 茂垣峠 ---- 10:55 稲含神社 ---- 11:00 稲含山山頂(昼食) 11:30 ---- 11:50 秋畑稲含神社 11:55 ---- 12:00 二の鳥居---- 12:10 一の鳥居 ---- 12:20 神の池公園 12:35 = 13:05 タクシ会社 ---- 13:20 富岡製糸場見学 14:30 ---- 14:45 タクシ会社 = 15:05 磯部温泉雀のお宿
(稲含山登山ルート)
(稲含山登山ルートの標高差)

超早起きして我家を出発して日立電鉄営業所でバスに乗り込んで4時40分に出発、東海、勝田、水戸と経由して6時過ぎに水戸ICで常磐道に乗って、北関東道に曲がった。桜川ロードパークで最後の仲間が乗り正面に日光連山を眺めていると、「富士山が見える!」と歓声が上がった。右手に目をこらすと、全体に白くなった富士山がはっきりと見えていた。北関東道では筑波山や日光連山を見ながら走るのは常だが、富士山を見るのは初めてだった。電線を避けてシャッタチャンスを狙った。
佐野藤岡ICを下りてからのR50も、太田桐生ICからの北関東道も渋滞なく赤城山や榛名山を眺めながら快調に走り、甘楽PAでも浅間山や谷川の白い峰々を楽しんで富岡ICで高速を下りた。バスは富岡の街中のタクシ会社の駐車場に入って、ここから4台のタクシに乗り換えた。
(筑波山)
(富士山)

タクシはR254から県道46号に入って雄川沿いをくねくねと高度を上げながら走って、那須の集落で右手の狭い地方道に入った。タクシの運転手さんは、ここから先、分岐ごとに道標を説明しながら走ってくれた。目の前にどっしりとした稲含山が見え始めると、道は砂利道になりやがて神の池公園に到着した。
ここが稲含山の登山口で大きな案内板が立っていた。今日は一の鳥居から右の赤い鳥居のコースを登り、左の二の鳥居のコースを下ってくるとのこと。
(稲含山)
(神ヶ池公園登山口)

タクシを下りてトイレを使い、広い駐車場でしっかりと準備運動をして歩き始めた。駐車場からは池らしきものが見えず、神ヶ池公園と名が付いているのに変だなと思っていたのだが、駐車場から登山道を少し上がったすぐのところにあった。透き通った綺麗な水を湛えた池で、ほとりに東屋も立っていた。
(登山口の案内図)
(神ヶ池)

すっかり葉を落とした雑木林の中の緩やかな道を落葉を踏みながら登って行くとすぐに車道を横断する。この車道は神の池公園から伸びてUターンしてきた道で、この先は下仁田に通じており、この上の茂垣峠の登山口にもつながっているらしい。
車道横断からすぐのところに一の鳥居があり、左に「稲含神社を経て山頂へ」と「二の鳥居」、右に「赤鳥居を経て山頂へ」の道標があり、我々は右に向かった。
急になった登山道を登って行き送電線鉄塔を過ぎると下仁田から登って来る林道の終点・鳥居峠に到着。ここには「稲含山山頂0.95km」の道標と一緒に「茂垣峠 下仁田町」の手書の道標があり「ガイドブック等には鳥居峠とありますが誤りです。訂正をしてください。稲含神社」と同じく手書きの注意札があった。
(一の鳥居)
(鳥居峠⇒茂垣峠)

峠から登ってすぐに赤い鳥居があり、これを潜ると急坂になり丸太の階段でジグザグに登るようになった。冷たい風が吹き付けるが、リーダの足取りが軽やか過ぎて追いかけるのに汗が滲んでくる。
(赤い鳥居)
(丸太階段の急登)

足元には霜柱が立ち、崖にはツララがぶら下がり、吹き付ける風を余計に冷たく感じさせた。
(シモバシラ)
(ツララ)

ジグザグを登ると少し展望の開けた所があり、真っ白い浅間山が目の前にあり、その左後ろにやはり白くなった八ケ岳の峰々も見えていた。その前に西上州の山々が並んでいて、ゆっくりと山座同定を楽しみたかったが、リーダはすぐに歩き始めた。
ここからは岩の露出が多くなり、木の柵や金網のフェンスで守られた道が続き、ところどころクサリも付けられており、地元の人に大切に守られながら良く登られている山であることを思わせた。冷たい風に耐えながら登って行くと、下って来るグループと交差し「この辺はやけに風が強くて寒いが、山頂は風がなくて暖かかったよ」と励ましてくれた。
(八ケ岳・浅間山)
(木の柵や金網フェンス)

クサリ場を登り切ると分岐があり、左が「秋畑稲含神社」右が「稲含神社・山頂」となっている。右手へ行き、鎖が付き木の柵で守られた岩混じりの急坂を登るとすぐに稲含神社に到着した。入口門には「下仁田町栗山稲含神社」とあった。立派な社殿や拝殿があり中庭は広かったが、弁当を広げるには雰囲気が余り良くない。代わる代わるお参りして、「山頂は暖かかった」の言葉を信じてすぐに山頂に向かった。
フェンスに守られた石段道を登って1370mの山頂に上がると、不思議なほどに風は殆んどなく陽が射して暖かい。選挙区も多かったので、各自あちこちに陣取って弁当を広げた。
(稲含神社)
(稲含山山頂)

中央には方位盤があり、360°の展望が広がっていた。妙義、榛名、赤城の上州三山、浅間山、浅間隠、鼻曲山、谷川岳のほか八ケ岳から北アルプスの白い峰々まで見えていた。荒船山の軍艦岩が目立ち、その前に立岩や鹿岳など最近登った西上州の山々を見つけては喜び合った。
(稲含山山頂からの展望:)

ゆっくりと展望を楽しんでから下山にかかった。「下仁田町栗山稲含神社」へ下り、また鎖や木枠に守られながら「秋畑稲含神社」分岐点まで往路の石段道を下った。「秋畑稲含神社」方向に曲がると、崖っぷちの斜面をトラバースしたり、ジグザグの丸太の階段道の急降下続き、秋畑稲含神社の道は赤鳥居の道よりもキツイように思えた。
神社に着くと社殿の前に苔むした対の駒犬さんがいた。下仁田側の稲含神社に対し、この秋畑稲含神社は甘楽町側に位置する。縁起書によれば、この神社の祭神は印度から渡ってきた豊稲田姫であり、名前は姫が稲を伝えるのに種を口に含んで来たことからきているとのこと。かつての栗山村と秋畑村が神様を奪い合った歴史もあるという。
(急坂下り)
(秋畑稲含神社)

神社からは崖の脇の急な階段状の坂をジグザグに下った。二の鳥居を潜り、大石が転がる斜面を下って行くと、途中「大ケヤキ(夫婦ケヤキ)0.3km」の分岐があってちょっと魅力的だったが、そのまま通過。
一の鳥居まで下ってからは往路を歩いたが、林道を横断する所で、元気なお二人が林道に分かれて行った。登山道よりも平だが距離は2倍歩くので、神の池公園への到着はやはりみんなより少し遅かった。
(二の鳥居)
(林道を下る人も)

携帯で呼んだタクシに乗り込んで富岡の街に向かったが、運転手さん達は、途中、武家屋敷を経由して走ってくれた。
宿に入るにはまだ早かったので、みんなの希望をとって富岡製糸場の見学をすることになった。バスで移動するとバスの駐車料金が高いので、タクシ会社から製糸場まで15分ほど歩くことになった。歩きに来たのだからみんな不満はなく、富岡の街並みを楽しみながら賑やかに歩いて行った。
製糸場ではボランテアの人に案内され巧みな説明に耳を傾けながら1時間見学をした。女工哀史の工場と思っていたが、当初は全国から選抜された良家の子女が働きながら勉強していたとの話が思いがけなかった。
(富岡製糸場見学)

タクシ会社まで歩いて戻ってバスに乗り、磯部温泉に向かった。雀のお宿は大きなホテルだったが、忘年会のシーズンで満員の盛況のようだった。
15時過ぎに到着して、大浴場でゆっくりと汗を流し、宴会場で豪華景品のあたるあみだ籤に興じながらな食事に舌鼓を打った。今年は苦手なカラオケ合戦がなくて助かった。宴会の後は部屋に戻って賑やかな2次会が夜遅くまで続いたのでした。
(雀のお宿)
(賑やかな忘年会)


2日目(12/05):御堂山
雀のお宿 8:00 = 8:45 西牧関所跡登山口 8:55 ---- 9:20 林道終点 9:30 ---- 10:00 ジジババ分岐 10:05 ---- 10:15 ジジ岩ババ岩展望台 10:25 ---- 10:35 ジジババ分岐 ---- 10:50 高石峠分岐 ---- 11:00 御堂山山頂(昼食) 11:20 ---- 11:30 高石峠分岐 ---- 11:40 ジジババ分岐 ---- 12:15 林道終点 ---- 12:35 西牧関所跡
帰途
西牧関所跡 12:50 = 13:00 荒船の湯(入浴・昼食) 14:20 = 15:00 下仁田IC = 15:10 甘楽PA 15:20 = 15:55 太田桐生IC = 16:35 佐野藤岡IC = 16:40 佐野SA 16:50 = 18:00 水戸IC = 18:30 水戸駅 = 19:05 東海駅 = 19:15 日立南営業所 = 19:25 日立自宅
(御堂山登山ルート)
(御堂山登山ルートの標高差)

朝目覚めると、みんな揃って朝風呂に入って来る。空は今日も青空で、妙義山の岩峰が朝焼けで真っ赤に燃えていた。
今日も元気に歩こうと、朝食会場のバイキング料理を腹いっぱい頂いてからバスに乗り込んだ。
(朝焼けの妙義山)
(朝食は食べ放題)

宿から45分走ってR254沿いの「西牧関所跡」の石碑のあるところに着いた。上州生まれの幹事さんから「この道は信州に通じる主要道路で、その昔武士が歩く中山道に対し、女の人も容易に通れる裏街道として多くの人が歩いていたので姫街道ともいわれていた。その要地として西牧御関所(藤井関所)が設けられたが、関所跡はこの看板の所ではなく、奥の畑の中にあって今も敷石が残っている。」とのこと。
「西牧関所跡」の裏は墓地で、その脇を入って行った。R254から50mほど歩くと林道になり、入り口には、群馬百名山の標識があって登山道の説明文が書いてあった。今日は下見をしてくれたリーダの後を歩けばいいのでやり過ごした。その先には駐車場所があって数台の車が停まっていた。
林道は沢沿いに伸びていて、荒れた道を20分も歩くと林道もお終いになり、ここで小休止。
(西牧関所跡)
(始め林道歩き)

草むらの中の細くなった道を進むと、右に急な涸れ沢があって「こっちに来い」と誘っているように見えた。左の立ち木にテープがぶら下がっており、そちらにも踏跡があったので左の沢に下って行った。沢を渡ってからは周囲の切り立った崖や岩峰を見上げながら、ひたすら涸れ沢を登っていった。ごろ石だらけの涸れ沢は歩きにくいことこの上ない。
それでも周りは明るくて、頭上にジジババの岩頭も伺え、大きなカエデの木がまだ紅葉を残していて目を楽しませてくれた。
(ごろ石の谷間)
(もみじ)

カエデの大木を過ぎると岩場が立ちはだかり、その左端にわずかな流れがあり滝になっていた。右側から足場がが刻まれていて、トラロープが張られているので、これを利用して岩場を登った。
左上にジジババ岩とその周辺の岩峰を見上げながら荒れた谷間を登って行くと、やがて傾斜が緩くなって、明るい雑木林の中の鞍部に着いた。ジジ岩ババ岩への分岐点で、汗を拭って一休みしたあと、ザックをデポしてジジ岩ババ岩展望所へ向かった。
(小滝の岩場)
(ジジババ岩分岐)

細い尾根の上の道を歩き、岩峰に突き当たって、その基部を右側から巻いて行く。この巻道は足場が狭いトラバースや、滑りやすそうな岩場の上り下りもあって、今日一番の難所だった。
急坂を登り切るとジジ岩ババ岩の真ん前の展望台に出る。まず、その大きさと形にびっくり。
右のジジ岩は逆光で表情がよく分らないが、左のババ岩はよく見える。よくもこんな形の岩ができるものだとあきれるような形で突っ立っていた。
ここは西上州の山の展望も良くて、鹿岳や荒船山など眺められた。
(ジジ岩ババ岩)

ババ岩をじっくりと観察している間に、後続のグループがやってきたので席を譲った。帰り際、グループ写真のシャッタを頼まれて押し、みんなの後を追って気持の悪い巻道を引き返した。
分岐点に戻ってザックを担いて休むこともなく御堂山の山頂を目指して出発進行。登り始めに右方を見ると、ここにも変わった岩が見えた。地形図にある帝釈岩だろうか。
(気持悪いトラバース)
(帝釈岩?)

御堂山への登りはのっけからなかなかの急登です。途中、高石峠の分岐点あたりで少し緩やかになったが、山頂までまた凄い急登になった。ズルズルと滑る足元を虎ロープにも助けられながら登って行った。標高が878mと低いので高をくくっていたが、なかなか登り甲斐のある山であった。
山頂は木に囲まれて広い展望はないが、北側が開けて金洞山を中心とする表妙義が間近に眺められて素晴らしい。さすが群馬百名山である。妙義山をバックに証拠写真を撮り、貸し切り状態の山頂で簡単な昼食を取った。後続のグループが登ってきたので席を譲り、集合写真のシャッタを押して貰って下山にかかった。
(急登)
(御堂山山頂)

下山は急坂を下り、途中の高石峠の分岐から下宿へ下るのかと思いこんでいたが、リーダはまっすぐ往路を下って行った。ガイドブック「下仁田の山歩き」によれば、この道には危険個所があると書いてあった。
下り道では、右に見上げるジジ岩ババ岩も間近で眺めた後だと親近感がわいた。
(高石峠分岐)
(下から見上げるジジ岩ババ岩)

岩場のカエデの大木も、真昼の太陽を受けて朝よりも一層見事に輝いていた。
(午後はもみじが映える)

西牧関所跡まで下ると、待っていたバスには暖かい味噌汁が用意されていた。運転手さんが下仁田ネギを仕入れて、下山時間を見計らって作ってくれていたのだ。寒空に熱い味噌汁が美味しくてお代わりまでしてしまった。
登山口近くの荒船の湯で汗を流し、昼食を食べて帰路に着いた。バスの中から御堂山を見上げると、その手前にジジ岩ババ岩が見えた。あのへんてこな岩は麓からも目立って見えているのだった。
(味噌汁のおもてなし)
(R254から見上げるジジ岩ババ岩)

出発が早かったので、帰途は渋滞することもなく、夕食時間も取らなかったので、18時には水戸に帰りついた。


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