Y11.屹兎屋山ついでに猫鳴山
(2011年の干支の山)

1.動 機
今年2011年は私の干支、兎年である。年初めに兎の名が付いた山に登りたいなとNETで調べると、近くの福島県に屹兎屋山があった。歩くコースとしては茱萸平橋から屹兎屋山に登って猫鳴山、二ツ箭山と周回するコースがあって、最大標高差550m、歩行距離13kmと一日コースとして面白そうだった。
正月三ヶ日を孫と遊んだりとゆっくり過ごし、4日に屹兎屋山に登ることにして、前夜のテレビ天気予報を見ると4日は一日曇り空となっていた。結構な標高差がある周回コースを頑張って歩いても曇っていて展望もないのでは張り合いがないと、一番手軽に歩けるコースで屹兎屋山をピークハントすることにした。県道上戸渡広野線から屹兎屋山に登って猫鳴山までを往復すると最大標高差わずか100m、歩行距離も7kmの楽ちんコースになり、8年前に啓ちゃんと一緒に歩いたこともある。
当日は県道が通行止めになっていて2km余分に歩くハプニングがあったが、空は意外にも晴れ渡って絶好のハイキング日和になり、陽だまりの下、雪の残った真っ白な道を気持よく歩き、屹兎屋山からの展望も楽しむことができた。

2.データ
a)山域:屹兎屋山(876m)、猫鳴山(832m)
b)登山日:2011/1/4(火)晴のち曇り
c)コースタイム:日立自宅 8.40 = 8:50 日立南IC = 9:25 いわき中央IC = 10:00 茱萸平1号橋 10:05 = 10:20 県道分岐 10:35 ---- 10:50 広野分岐 ---- 11:05 屹兎屋山分岐 ---- 11:10 展望広場 11:15 ---- 11:20 屹兎屋山 11:45 ---- 11:50 屹兎屋山分岐 ---- 12:30 茱萸平橋分岐 ---- 12:40 猫鳴山 13:00 ---- 13:05 茱萸平橋分岐 ---- 13:45 屹兎屋山分岐 ---- 13:55 広野分岐 ---- 14:10 県道分岐(昼食) 14:55 = 15:35 いわき中央IC = 16:20日立南IC = 16:35 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:「川前」「上浅見川」
(屹兔屋山−猫鳴山往復コース黒)と
(屹兔屋山−二ツ箭山周回コース黄)
(屹兔屋山−猫鳴山往復コース)


3.山行記録
楽チンコースなのでETC通勤割引に間に合うぎりぎりの時間に出発し、日立南ICからいわき中央ICまで高速を走り、あとはナビの指示するままに走ってR399に入った。日立では朝から天気がよかったが、福島県に入っても雲ひとつない青空が続き、目の前に二ツ箭山の男体山、女体山の岩峰も見えて来た。「こんなに良いお天気なら二ツ箭山からの周回コースを歩きたかったね」と言っても後の祭り、今の時間からでは日が暮れる。それでも二ツ箭山への登山口を確認するために茱萸平1号橋の袂に車を停めた。丁度二人の女性が車を下りて登り始めるところで、「このコースは籔っぽい所もあるが、誰でも登れますよ」と云いながら登って行った。橋の手前に「二ツ箭山茱萸平登山口」の手書きの道標があり、登山道は綺麗に刈り払いされていた。
ここから屹兎屋山と猫鳴山だけを周回するルートもあるが、標高差があり、谷間歩きが長くて面白くなさそう。R399をそのまま走ったが、茱萸平の集落を過ぎるとくねくねと曲がるごとに路面に雪が残るようになり、高度が上がるに連れて雪が多くなり、ついには全面積雪になってきた。スノ―タイヤも時々ギリギリと鳴き声を上げて気持が悪い。高度差400mを稼いで歩行を楽しようとしているのだからしようがない。ゆっくりゆっくりと走りブレーキを踏まないように注意深く運転していった。他の車が全く走って来ないので助かった。
雪の少ない路側を見付けて駐車し、ここから歩こうかと準備していたら、土地の男性が軽トラで通りかかり、「何してるの?」「これから屹兔屋山に登るの」「どこから来たの?」「水戸から」「昔私も水戸の近くで働いていたよ。はるばるやってきてどうして屹兔屋山なの?」「兎年だから」「なるほどね。屹兔屋山にここからでは大変だ。この先の県道を車で入れるところまで入って行くといいよ」と勧めてくれた。
そこから500m、県道の分岐点まで雪で真っ白な道を恐る恐る運転していった。県道の入口には「通行止」の立札があり、ゲートが半分閉められていた。「広野地区が落石のためしばらくの間通行止めにします」の立札があり、屹兎屋山登山口までは件の男性の言のように入れそうだったが、「途中でダメだったらどうするのよ。バックが下手なんでしょ!」の一言で、ここから歩くことに決定した。屹兔屋山と猫鳴山から下りてきて時間が許せば、この県道の先の五社山にも登ろうと目論んでいたのだから、この県道1km超の往復は大したことない。
(二ツ箭山)
(県道入口は通行止)

身支度をして雪の県道を歩き始めると、未舗装の県道には雨で流された深い溝が見えて来た。轍は、これを跨いだり、片方に寄ったり、運転者は苦労して走った様子がうかがえた。
県道を15分歩くと屹兎屋山への分岐があり、その手前に何か所か駐車できる場所があって一台だけ駐車していた。広野方向への轍は薄かった。
(荒れた県道)
(屹兔屋山への分岐)

屹兎屋山への入口にはチェーンの車止めがあって閉まっていたが、その先も轍が残っていた。この道の荒れようは県道以上で、途中からはとても車では走れそうにない状況になった。轍も途中で消え、方向転換する道幅もないので、運転者は荒れた道路を必死の思いでバックして行ったのだろうと同情した。
ここから先は登山者の足跡だけだったが、途中からその脇に兎の足跡が見られるようになった。流石は兎の山である。
(荒れた林道)
(轍に代わって兎の足跡)

兎の足跡を追いかけているうちに巨大な通信鉄塔の立つ広場に出た。ここが猫鳴山への縦走路から屹兎屋山への分岐点で、屹兎屋山には右に向かうが、車道と登山道の二手があって登山道から一人の男性が下ってきた。半そで姿のお元気な男性だった。挨拶を交わして県道方向に下って行ったので、一台停まっていた車の主なのだろう。
我家は登山道を下って来ることにして車道を進んだ。通信施設が2ヶ所あり、その先にも通信鉄塔の広場があって、ここから北や西の展望が広がっていた。安達太良山は雲の中だったが、蓬田岳、矢大臣山、大滝根山などの阿武隈の山々を確認できた。
(阿武隈の山展望)

展望を楽しんでから一寸引き返した所に見覚えのあるパイプで作った踏み段があって、その上に登山道があった。これを登るとすぐに屹兎屋山の山頂だった。
山頂には大きな一等三角点があり、その前で証拠写真を撮った。
(屹兎屋山へ)
(屹兎屋山山頂)

山頂からは南の展望が広がっており、二つの岩頭が目立つ二ツ箭山の向こうに太平洋が広がり、小名浜から勿来、五浦の海岸が伸びていた。湯の岳が意外に小さかった。
山頂からは猫鳴山に向かう道と直接茱萸平橋に下る道があった。
(二ツ箭山と太平洋)

屹兎屋山山頂でゆっくりとコーヒタイムを取ってから猫鳴山に向かった。山頂から通信鉄塔のある分岐点までも急坂だったが、その先も急坂の下りが続いた。雪が積もっていて、滑りそうでこわごわと下り、ストックを握る腕にも力が入った。「里山でも冬はザックにアイゼンを入れておくといいね」と話しながら歩いて行った。
時々は平らな道が続き、降り注ぐ太陽の下で真っ白い雪道を歩くのは気持がよかった。雪道で足跡がはっきりとしているので、進む方向に悩むこともない。まわりにはアセビの木が蕾をいっぱいつけていて、花の季節に歩くのも気持よさそうだった。
(雪の登山道)

尾根歩きも、周りは樹木に囲まれていて展望はない。幸い落葉の季節なので、葉を落とした雑木林を通して、向かいの猫鳴山や後ろの屹兎屋山を望むことが出来た。
(猫鳴山)
(屹兎屋山)

気持よく歩いていくつかの小さなコブを越え、猫鳴山の手前の鞍部に来ると「屹兎屋山50分、猫鳴山15分」の案内があり、茱萸平橋への分岐標があった。そのすぐ先に三森山への分岐標があり、ここで猫鳴山から下って来る若者に出会った。今日出合った二人目の登山者だ。「二ツ箭山から来たけど猫鳴山は展望全くなしでがっかり。屹兔屋山はどうでしたか?」「山頂からは太平洋、その先の鉄塔広場からは阿武隈の山並、安達太良は雲の中だったけど」「あとどれぐらい?」「道標に50分とあったが、40分見れば十分」屹兔屋山に向かって元気に歩いて行った。
滑る雪の急坂を登って猫鳴山の山頂に着くと、若者の言の通り、周りは雑木に囲まれて何も見えない。ケルンの上に取り付けられた立派な山名板の前で証拠写真を撮って、またゆっくりとコーヒタイム。
(茱萸平橋への分岐標)
(猫鳴山山頂)

帰途は往路と全く同じ道を引き返す。途中で件の若者と出合うと、「展望が良くて良かった」とにこにこ顔だったが、「歩数計ではここまで12kmだった。二ツ箭山まで引き返すと日が暮れそうです」と云いながら走るように去って行った。
国道の駐車場所に戻ったのは14時過ぎ、行動食しか口に入れていなかったので、ここでラーメンに餅を入れた力ラーメンで空腹を満たした。短時間の登山は、車にバーナや水、食材を車に置いて行って、下山後に熱い食事が出来るので嬉しい。
最後の注意力を傾注して雪のR399を慎重に下っていると、途中で路側で何やら漁っている獣が目に入った。「こんなところにカモシカ!?」と思ったが、動き出した動物は猪だった。兎の代わりに猪のお目見えだった。
(昼食)
(猪に遭遇)

あとはどこに立ち寄ることろもなく、通勤渋滞に出合う事もなく、我家に明るいうちに到着した。以上、年初めの登山はなかなか楽しい山歩きでありました。




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