Y43.朝房山
(往きはよいよい帰りは怖い)

1.動 機
朝房山はヤマケイ「茨城県の山」の一座で、11年前に登っているが山行記が残っていない。朝房山は標高201mの超低山である上に、以前登った倉作からのコースはほとんど車道歩きだけで山頂近くまで着いてしまうので、山行記を書くためにわざわざ出かける気はしない。地形図を見ると、倉作と反対側の木葉下(あぽっけ)から何本も破線の道が通じているので、登りは北の藤井川ダム側の道を歩き、下りを南のゴルフ場側の道を歩いて周回することにして出かけた。ガイドブックには木葉下側の道は「余り歩かれていない」とあったので、籔道を覚悟してスパッツも付けて歩き始めたが、往路は山頂まで手入れされた道を全く籔なしで歩くことができた。「行きは良い良い帰りは怖い」、帰途は道に迷いコース変更をしながら何度も籔を漕ぐ羽目に陥った。

2.データ
a)山域:朝房山(201)
b)登山日:2011/4/10(日)薄曇り
c)コースタイム:
日立自宅 9:35 = 9:45 日立南IC = 10:00 水戸IC = 10:10 県道52号路側 10:25 ---- 10:35 谷道離れ ---- 10:40 @尾根道合流 ---- 10:55 A山道へ ---- 11:10 B谷道交差 ---- 11:45 朝房山 12:10---- 12:12 鳥居 ---- 12:15 C林道分岐(林道探査) 12:20---- 12:35 Dネコノメの谷 ---- 12:45 E林道出合 ---- 12:55 F破線道入口 ----(迷路)---- 13:30 G破線道入(昼食) 13:50 ---- 14:00 県道52号路側 14:10 = 一般道 = 15:30 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:「徳蔵」
(朝房山木葉下登山ルート)

(朝房山木の葉下登山ルートの標高差)


3.山行記録
前夜雨が降り、今日の道は籔漕ぎがありそうなので、籔の雨粒が渇いてから歩きだそうとゆっくりと9時半ごろ出発、一般道は通行止めを心配して高速で水戸ICまで走ると、登山口の木葉下(あぽっけ)に10時過ぎに到着した。林道入口傍の県道路側に広場があり、一台の軽トラも駐車していたので有難く駐車させていただいた。
身支度をし籔漕ぎに備えていつもは付けないスパッツも装着してから林道を歩き始めた。
(県道52号路側)
(林道入口)

この林道は常時は車は走らないようで、100mも歩かないうちに車止めがしてあった。車止めの右に地形図の破線の道が分かれており、これを辿ると手入れされた広い道が続いた。
(林道に車止め)
(右の破線道へ)

沢を渡っても沢の右沿いにアオキの群落がある整備のいい道が続き、真っ赤に熟れた実を写真に撮ったりしながら歩いて行った。
(アオキ茂る谷道)
(アオキの実)

地形図を見るとこの沢沿いのなだらかな道が2kmも続きそうで、予定ではこの道をそのまま歩く積りだったが、いざ歩いてみると、このまま歩いていては楽チンではあるが夏山登山の訓練にはなりそうにないと思い直した。地形図では右上の尾根には破線の道が途中までしかないが、境界尾根なので歩くことはできるだろうと予測、右尾根の鞍部に向かって踏跡をみつけて登って行った。
鞍部@に登り着くと樹間から向かいの藤井川ダムの湖面やホロロの湯の建物が見えていた。
(谷道から尾根へ)
(@藤井川ダム)

鞍部からは左の尾根の急斜面に踏跡が伸びていて、立木に掴まりながら登った。急斜面を登り切ると、なだらかな稜線になって歩きやすくなり、破線の道を右に分けた辺りからは道も広くなってきた。
ゆるいアップダウンをしながら歩いて行くと、広い道が右に下り始める所Aで道が急に籔っぽくなり、その左に踏跡が分かれていた。ナビで見るとここで左に曲がれば浅房山方向なので踏跡に入り込んだ。この先踏跡に林野庁の赤い境界見出標が飛び飛びに見られるようになって一安心、どんどんと歩いていった。途中、平らな所で踏み跡がはっきりしなくなったが、ナビを頼りにうろうろして、左直角方向にまた境界見出標を見つけて歩き続けた。
(広い尾根道)
(A山道へ)

その先の急斜面を下って、当初登って来る積りだった左からの谷沿いの道と交差Bし、交差点から向かいの斜面の道を登って行くと広い道Hに出た。一安心して休んでいると、突然小さな柴犬に吠えかかられた。可愛い子犬なのであまり怖くなくてしばらく遊んでいると、同年代の男性が朝房山方向から下ってきた。犬に紐を付けながら、「NHKのカルチャ教室で山歩きをしているが、3月4月はお休みで足がおかしくなってきたので、時々犬を連れてこの辺りの山に登ってきている。今日は初めて人に出合ったよ。これから林道を歩いて駐車場所に戻るところ。」と云いながら左に下って行った。この道を歩けばそのまま林道に出るのなら、木葉下からの一番楽チンなコースのように思えた。
車の轍もある広い道を右に歩いて行くと、目の前に朝房山の頭が伺えるようになったが、道は何度も曲がりを繰り返し分岐道も何度か現れた。分岐ごとにナビで確認しながら気持よく歩いて行くと、やっと左に朝房山への登り道が現れた。この道も山頂まで綺麗に手入れされており、登山口からここまで籔を漕ぐ事は一度もなかった。
(谷道合流の先から広い道)
(朝房山へ)

山頂の広場には人っ子一人おらず、静かな山頂だった。早速「浅房山」の標石の前で証拠写真を撮ったが、標石が少し傾いて見える。
後ろに回ってみると、標石が土台石ごと30cmも動いたらしい穴が残っていた。良くも倒れないで済んだものだ。隣の小さな石の祠は何も被害がなかったような形で立っていた。
(朝房山山頂)
(地震で動いた標石)

和子が朝食をたっぷり食べてきたのでまだ弁当は広げたくないというので、無傷の鉄骨造りの東屋の下でコーヒを飲み、トマトをかじって一休みした。
一休みしてから登ったとは反対方向の急坂を石の鳥居まで下ると、広い林道に降り立つ。右に行けば倉作の部落に出るが、今日は左に進む。
(鳥居へ下る)
(林道)

林道を100mも歩くと、下る積りだったゴルフ場に下る道が分かれていたが、舗装された余りに立派な道なので嫌気がさし、中ほどの尾根にある破線の道を歩いてみようと計画変更して林道を直進した。また100mも歩くと右に細い道が下っていたが、無視して林道を進むと登りに歩いた道の方向に近づくようだった。さっきの細い道は地形図の破線の道だと判断して引き返して、その分かれ道に入った。
道は篠竹を刈りはらったばかりで籔はなかったが、刈り取られた篠竹の背が高く尖っていて「こんなところで転んだら大怪我だ」と言いながらゆっくりと歩いた。トラバースになった所で急に刈り払いが無くなった。ナビがなければ引き返してみるところだろうが、ナビの軌跡を信じて猛進した。
(C林道から破線の道へ)
(笹籔)

笹籔を避けて植林に入って一山越え、急斜面を下ると沢の降り立った。地形図にはこの沢を下る破線の道が表記されているが、沢沿いは暗くて気分が悪くまともな道があるようにも見えなかった。
沢にはネコノメソウの大群落があってしばし目を楽しませてくれた。
(D一旦谷に)
(ネコノメソウ群落)

狙った尾根道に行くには、地形図では右の沢沿いに破線の道があるが、やはり沢道を敬遠して右上の林道目がけて植林を攀じ登った。斜面には思いの外倒木が多くて乗越えに難儀し、やっと林道に飛び出した時はホッとした。
林道は道端にスミレが咲いていたりして気持は良いが、登山口まで延々と林道を歩くのはやはり面白くない。
(E林道に飛び出す)
(しばらく林道を辿る)

200mも林道を歩くと破線の道との交差点に出て、右に踏跡は分かれていた。しばらくいい道が続いて、この尾根道を歩けば楽に県道に出られると気分良く歩いて行った。
(Fまた破線の道へ)
(始めはいい道)

ところが一ヶ所分岐を間違えたようで、ナビを見ると別の尾根に入っていた。引き返せばいいものをナビを頼りに軌道修正を始め、踏跡はそれほど明確でなく、あわてて逆方向に進路を取ったりしたこともあったりして、正規の破線の道に出るまで20分以上も右往左往していた。
出くわした正規の道は随分と広く、こんな立派な道が手前にあれば見落とす筈もないので狐に包まれた様な感じだった。
とにかくやっと無事に下山口に出られる状況になり、ここまでブツブツ言いっぱなしで歩いていた和子も、お腹が空いたと言ってここで弁当を広げることができた。
(道が無くなっちゃった)
(Gまた道に出て一安心)

尾根道を快調に下って県道に出て、駐車場所に戻ると軽トラはいなくなっていた。子犬連れの男性の車だったようだ。
今日は歩行距離6km、標高差150m足らずの山歩きだったが、迷い道したお陰でしっかり歩いた気分になって、水戸市森林公園に寄道する気にもならずそのまま帰途に着いた。時間はまだ14時、まだたっぷり時間があったので通行止めを覚悟で一般道を走った。静公園の咲き始めの桜など横目で見ながら走り、案の定、2ヶ所でナビに登録されていない通行止めに出くわしたが、15時半無事我家に帰り着いた。




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