Y47.高所山(里美の山完登)

1.動 機
昨年5月に明神山に登って「旧里美村のガイドマップに載っている17の山を全部登りました」とこのHPで報告したら、茨城の山のベテランさんから「17座の中で高所山が間違っているよ」とのご指摘を受けた。我家の高所山は457.4mの亀石三角点峰だったが「正しい高所山はその東にある・614の山である」とのことだった。
折角教えていただいたので、正しい高所山に登って「里美の山ピークハント完」を宣言し直したいが、指摘を受けた時期が低山歩きには暑過ぎる季節に入っていたので先延ばしになっていた。今年の山菜採りの時期になり「もしかしたら何か嬉しい収穫があるかも」との期待を持って里美の山最後のピークハントに出かけてみた。設定したコースが拙かったのかもしれないが、歩いたコースは籔漕ぎの連続、山菜の収穫はないしでちっとも面白くない山だった。ついでに、勘違いの偽高所山・亀石三角点にも登ってきたが、こちらはニリンソウの絨毯が迎えてくれたし、登山道には籔もなく気持のいいハイキングを楽しめた。山の名前は分らないが、里美村のガイドブックには登りやすいこっちの山を載せた方がいいと思うのだが。

2.データ
a)山域:高所山(614)、偽高所山(亀石三角点)(457)
b)登山日:2011/4/27(水)曇
c)コースタイム:
日立自宅 8:00 = 9:00 みどり滝 9:05 = 9:15 車止めP 9:25 ---- 9:45 林道分岐 ---- 10:05 林道終点 ---- 10:30 高所山 10:50 ---- 11:30 沢出合 ---- 11:45 林道出合 ---- 11:50 車止め 12:00 ---- 12:10 亀石登山口(昼食) 12:40 ---- 13:00 尾根取付き 12:15 ---- 13:35 偽高所山(亀石三角点) 13:50---- 14:00 沢出合 ---- 14:20 亀石登山口 14:25 = 15:30 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:「竪破山」
(高所山登山ルート)

(高所山登山ルートの標高差)
(偽高所山の標高差)


3.山行記録
地形図を眺めて、登山口は高平山に登った時に車を停めた横川林道の奥の車止めの場所とし、随分と遠回りになるが二本線の林道の終点まで林道歩きをしてから緩やかな尾根筋を山頂に向かって登れば簡単に確実に山頂に立てると読んだ。下山は南に向かう尾根筋を辿って最短距離で駐車場所に下ってこようと考えた。
朝食を済ませて我家を出発、R349,R461からラフロードの横川林道に入って沢沿いを走る。2kmばかり入ったところに「みどり滝」の名板が立っており、車を停めて沢を覗くと小さな滝があった。お世辞にも豪快とは言い難いが、みどりに苔むした岩を食みながら流れ下る美しい小滝だった。
みどり滝から更に林道を3kmも走って見覚えのある広場に着くと、一台の軽トラが停まっていた。右が高平山に向かった林道で、今日は左の林道に入る。両方とも入口に車止めのチェーンが張ってある。
身支度を整えて歩き始めると、左の林道の奥から大きな籠を背負ったおじさんが「先に採られていて、なーんもないよ」と下ってきた。何がどの辺で採れるのかと尋ねると「私は鳥だから分らんよ」と誤魔化された。「高所山にはこの道で登れるか」と尋ねると「林道をぐるーっと回って登るのかい、ご苦労さん」と労われた。これで高所山が・614の山であることが土地の人にも確認できた訳てある。
(みどり滝)
(車止め)

車止めから奥の林道はバラスが敷かれて綺麗に整備されていた。ところどころにタラボの木があったが、おじさんの歎きの通りに芽は全部きれいに採りつくされていた。ところどころ左に入る踏跡が見えたが、どこまで続いているのか確証なく、ひたすら林道歩きを続けた。
途中右に分かれる林道があってこれを見送り、・614の真下辺りで地形図の二本線が消える辺りで林道が細くなった。ここで左の荒れた斜面に道らしきものが見え、あとから思い直すと、この道に入るのが一番いい道だったかも知れないが、最初の計画通りに細くなった林道を少し進んで尾根が長く伸びて来ているところから斜面に取りついた。
(バラス敷かれた林道)
(細くなった林道)

始めは手入れのいい植林の中を登ったが、植林が尽きると蔦も這っている籔になって、籔や倒木との格闘になった。
(林道から植林へ)
(籔道)

それでも細長い山頂部まで上ると不思議なことに籔が薄くなり、喜んで最高点めがけて歩いて行った。だがすぐにこれが糠喜びだった事を思い知らされる。最高地点の手前が厚い笹籔で遮られていた。左にかわして少し進んだ所の籔の薄いところを狙って突入した。
最高地点はまた籔が薄くはなったが、折角登ってきたのに山頂を示す何物もない。手書きの「高所山」の標識を作って立枯れて途中で折れた立木の上にのせて証拠写真を撮った。周りに満開の花を鈴なりに付けたアセビの大木が数本あるだけが慰めの静かな山頂で、本当の高所山に登頂して里美村17座完登したことを祝ってコーヒで乾杯した。
(山頂部は笹籔)
(高所山)

下山は、二本線林道の終点を狙って下るのが一番安全策とも思えたが、長い林道歩きはもう沢山、予定通り南向きの尾根を狙って下り始めた。平らな山頂部には踏跡らしきものは見えず、笹籔を右往左往しながら下ると、瘠せ尾根になると踏跡がしっかりとしてきた。
その踏跡は南西に向かう尾根に続いていて、駐車場所に向かう南向きの尾根にはまた笹籔のお迎えがあった。ここからの笹は密だがまだ細い笹だったので、薄い踏跡を辿って掻き分ける作業に余り苦労はなかった。
(笹籔漕ぎ)
(一部に踏跡あり)

笹を漕ぎながら尾根筋を駐車場所までの半分ぐらい下って来たところで、左の谷間に林道らしきものが見えたと和子が言う。気温が高くて籔漕ぎで汗もかいてきたので、谷間に下ってみることにした。急斜面を立木に掴まりながらズルズルと下って行くと、沢沿いの古い作業道に出た。道とは言っても棘がはびこっていて、払いのけながら歩くのに苦労させられた。
やがて手入れされた道になり、少し登るとすぐに林道に出てやっと一息ついた。ここから駐車場所まで5分ほど、件のおじさんがどこかからか帰ってきて、軽トラを発車させたところだった。
(沢沿いの道)
(車止めに戻る)

コースの選択を間違えて、悪いところばかりを選んで歩いた様な気がしないでもないが、本当の高所山は本当に面白くない山だった。

(間違えた高所山・亀石三角点)
このまま帰っては気分が悪いので、気分直しに去年間違えて登った方の高所山に登って帰ることにした。こっちの山は色々な花にも出合えたし、歩きやすくて面白い山だったとの印象が残っていたからだ。
横川林道をR461に出て北上し、下滝の先から林道に入りなおした。こちらの林道は細いが舗装されていて走りやすい。小さな橋を渡って去年車を停めた休耕田の所に着くと、休耕田は茅の茂る全くの荒地になっていて見る影もない。駐車していた場所には新しく小屋が建てられていて車を停めかね、近くの路側に駐車して歩き始めた。林道の終点は小広くなっていて、ここに駐車することも可能だった。
林道終点から先はすぐにニリンソウの群生地が始まり、沢を渡ってからもニリンソウの群落はしばらく続いて二人を喜ばせてくれた。
(偽高所登山口)
(ニリンソウの絨毯)

高所山の籔漕ぎをした後だからか、今年のニリンソウは一段と綺麗に見え、何度もシャッタを押した。
(ニリンソウ拡大)

群生地を過ぎ、しばらく落葉の急傾斜の岸辺をこわごわ通過してから、対岸の尾根に向かって沢を渡り返した。そこからしばらく急斜面の登りになったが、明るい斜面の踏跡沿いには白いニリンソウに交じって紫のカタクリも咲いていた。
(尾根へ取り付く)
(カタクリ発見)

尾根に上がっても明るい雑木林が続いて気持よく歩いて行くと、去年と同じく山名板は見当たらなかったが4等三角点があった。早速三角点標石を入れて写真を撮った。
(明瞭な登山道)
(偽高所山の三角点)

登ったとは反対の急斜面を下って行くと、登ってきた沢の上流に下り立つ。すぐにニリンソウの群落が始まり、白いニリンソウに混じって紫のスミレやムラサキケマン、ミミガタテンナンショウなど咲いていて、賑やかだった。
(スミレ)
(ミミガタテンナンショウ)

色々な花を愛でながら沢沿いを歩いて駐車場所に戻ると、駐車場所からR461の向こうの山にヤマザクラが彩りを添えて綺麗だった。
R461に出て少し下るとすぐに下滝の駐車場がある。駐車場から滝展望台に下りて眺める下滝は、本流の天竜川の水が流れ下るだけに豪快で気持が良い。気分を良くして我家に帰ってきた。
(向かいの山はサクラ満開)
(豪快な下滝)





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